こんばんは。
コロナ禍で音楽ライブがご法度となって3年。今年はそのライブが解禁となりました。今年の年忘れは、11月と12月に参加したライブパフォーマンスを振り返って1年の締めとしたいと思います。
11月には小曽根真さんのビアノライブ。
(小曽根真 ソロライブ ポスター)
小曾根さんは今年も大活躍でした。特に注目だったのは”NO NAME HORSES”のニューアルバムとそれに伴う全国ツアーです。2月にかつしかシンフォニーホールで参加したライブは、大迫力のビックバンドで心の底から感動を味わいました。そして、11月のピアノソロは、まったく違ったソロピアノの魅力を満喫することができました。小曾根さんと言えば、ショパン生誕200周年で発売したショパンアルバムが思い出されます。あれ以来、小曾根さんの奏でるジャズ系クラシックもすっかり定番となりました。この日もコロナ禍の中で、外に出る夢を描いた作品”Need to Walk”をはじめジャズ曲も思う存分堪能しましたが、聴きものだったのは第一部で奏でたモスコフスキーのエチュード8番と第二部で奏でたラフマニノフのピアノコンチェルト第2番でした。原曲のロマンを内に秘めながらジャスの香りをちりばめた演奏にはすっかり心を動かされました。
12月には、人気のチェロ奏者宮田大さんとピアニスト、ジュリアン・ジェルネさんのコンサート、今は亡きエマーソン・レイク&パーマーのライブ、佐渡裕指揮新日本フィルハーモニーのベートーベンの交響曲第9番合唱付、さらには孤高の名ピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンのソロピアノと素晴らしいライブを堪能できました。
宮田さんのチェロの響きは唯一無二と言ってもよいのびやかで打ち震えるような低音が魅力です。この日には、今年亡くなった坂本龍一さんの”星になった少年”や久石譲さんの”Asian Dreem Song”をはじめ日本の名曲の数々をロマンあふれるチェロで奏でてくれました。そして、第一部の最後に演奏した”リベルタンゴ”は、チェロで奏でていたとは思えないノリを響かせていて思わず体が揺れてしましたした。その素晴らしい演奏に心が震える感動を味わうことができました。
エマーソン・レイク&パーマーと言えば1970年代のプログレッシブロックをけん引したアイコンです。
(EL&P来日 ポスター)
今回、メンバーの唯一の生き残りであるドラマーのカール・パーマーが、今は亡きキース・エマーソン、グレック・レイクの映像と共演するとの趣向で、”最後のEL&P公演”という触れ込みのライブでした。EL&Pと言えば近年NHKの大河ドラマでもその傑作である”タルカス”が使われるなどそのパワフルな楽曲が見直されています。今回は、1992年のロイヤル・アルバート・ホールでのライブパフォーマンスにドラムのカール・パーマーのみがライブで共演するという前代未聞のライブ公演でした。
その趣向に心配もありましたが、そのパーフォーマンスは素晴らしいものでした。グレック・レイクのラッキーマンから始まったライブは、フィルムとは思えない臨場感があり、全編素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられました。特に驚いたのは、同行したギタリスト、ポールとベーシストのサイモンのパフォーマンスです。”タルカス”の演奏は、映像ではなくギタリストとベーシストのトリオでのライブパフォーマンスが繰り広げられました。ギターシンセサイザーが奏でるあのタルカスのキーボード。これは、ライブで参加した人にしか味わうことができない唯一無二のアグレッシブな演奏でした。さらにベーシストは12弦ベースを駆使して、あの”石を取れ”をインプロビゼーションで聞かせます。そのリリカルなベースメロディはすべての聴衆を魅了しました。今回のライブはEL&Pファンの心をつかみ取る素晴らしいパフォーマンスでした。
そして、年末と言えば”第九”です。
(佐渡裕 新日フィル”第九”ポスター)
今回は、新日本フィルの音楽監督に就任した佐渡裕さんが凱旋公演として満を持して指揮をした”第九”です。演奏の前に佐渡さん自身がマイクを持ってあいさつに登壇。第九の魅力を語ってくれました。その第一楽章は、前を向いて人生を突き抜ける情熱を表わしていると言います。人は皆、一度は人生を最高のパフォーマンスで突き抜ける瞬間を持っています。その情熱の人生を語るのです。そして第二楽章。第二楽章は、遮二無二突き抜けた情熱の人生を語る知性の疾走を表わしていると言います。その溌剌としたテーマは、まさに知的な失踪と言っても過言ではありません。そして、流麗に奏でられるたおやかな第三楽章。それは、人生の豊かさを朗々と歌う充実と生命力の静けさに満ち溢れた美しい旋律が我々の心を魅了します。そして、第四楽章。ベートーベンは、それまで奏でてきた三つの楽章を奏でた後で、そのすべてを否定します。”友よこの調べではない”、世界中の人々を兄弟と呼び、この地球(テラ)に生まれて生きることの歓びを互いに喜び歌い尽くそう。そして、兄弟たちよ喜び合うだけではなく抱き合おうではないか。素晴らしい”第九”に自らの人生が走馬灯のように心に巡ります。
ウクライナに侵攻したロシア、ガザ地区を巡り殺戮を重ねるイスラエルとテロを重ねるパレスチナの為政をなす人々。その最も醜い人間の姿を目の当たりにすると、この”第九”に込められた人類への想いをすべての殺し合う人々に聞いてほしい、と心から願います。
今年の最後に聴いたのは、クリスチャン・ツィメルマンのソロピアノです。
(ツィメルマン ピアノリサイタル ポスター)
ツィメルマンは、1975年に18歳でショパンコンクールで優勝して以来、世界中の名指揮者、名管弦楽団との演奏を重ねてきました。自らピアノの調律するほどピアノ愛する名ピアニストです。この日の公演は、聴いたことのない人のいないションパンのピアノソナタを披露してくれました。どの曲もピアノの発表会などで耳にするソナタばかりですが、ツィメルマンの指から奏でられる音は、知っているショパンのソナタとは異なるリリカルで静かな音でした。これこツィメルマン以外の人出は奏でることのできないショパンでした。心からその音に感動しました。さらにドビッシーの”版画”。その東洋的なメロディラインもドビッシーならではのリリカルな曲。ツィメルマンの繊細なタッチは、ドビッシーの作った音をさらに研ぎ澄ませて心に届けてくれたのです。
コロナ禍を経験して、我々はコロナ以前よりもいっそう素晴らしい音楽を味わうことができています。皆さんも、今年1年を振り返れば心に触れた数々の出来事があったことと思います。そうしたできごとを心によみがえらせながら今年最後のときを迎えましょう。
今年も、拙ブログにご訪問頂き本当にありがとうございました。どうぞ、よいお年をお迎えください。
それでは皆さんお元気で、またお会いします。
〓今回も最後までお付き合いありがとうございます。
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