こんばんは。
さて、前回触れたベネルクス3国+ドイツへの旅行ですが、食べ物の話を忘れてはいけません。
ヨーロッパと言うとすぐに思い出すのは、フランス料理とイタリア料理です。今や日本にはそのレストランが数え切れないほどあり、どこに行ってもそのおいしさを堪能することができます。今回の旅行で感動したのは、そうしたメインコースの料理ではなく、スウィーツ系の味でした。
オランダは酪農の国とも言われていますが、驚いたのは朝食で食べたクレープの味でした。今回の旅行では、ホテルの朝食はすべてビュッフェ方式で、並んでいる料理をピックアップして、テーブルに運んで食べる方式です。主食はパンで、パンの種類は豊富でバケットもあればクロワッサンも、ロールパンや蒸しパンも並んでおり、すべてが美味です。
そして、そこに並んで、焼きたてのクレープが置かれています。
日本でもクレープは人気のスウィーツですが、日本のクレープを何も載せずに食べる人は少ないと思います。ホテルの朝食で並んでいる焼きたてのクレープは、もちろんプレーンで、何も載せてありません。そのクレープを食べたときのおいしさは衝撃的でした。ほんのり焼き色がついたクレープは、とても甘い香りが立ち上ります。そして、ナイフで切って口に運ぶと、その香り通りのほのかな甘さが口の中に広がって、とろけるような食感とともに幸せを感じます。おいしかった!
スウィーツといえば、ベルギーワッフルは日本でもスーパーに行けば、たいてい手に入ります。
ベルギーでは、町中にたくさんのワッフル屋さんを見ることができます。ブルージュの旧市街を散策したときにも、そこここにワッフルのお店が並んでいました。
(ブル-ジュ旧市街のワッフル屋さん 2026.04.)
旧市街のワッフル屋さんの前に来たときに、一緒に歩いてくれた現地のガイドさん曰く、「このお店は焼きワッフルでは評判のお店ですが、ワッフルには2種類あります。まず、このようにワッフル専門店で売っている焼きワッフル。それから、お店で食べる、皆さんがよく知るベルギーワッフルです。ベルギーワッフルは、ナイフとフォークで食べますが、焼きワッフルはお店で焼いたワッフルをそのままで出してくれます。」
すると、ワッフル屋さんのメニュー看板を指さして、「見ていただくとわかるとおり、焼きワッフルには、いろいろなものを載せて食べます。いちごやラズベリー、アイククリームや生クリーム、バナナやカスタードクリームなどなど、数え切れないトッピングがあって、どれも食べたくなりますよね。でも、皆さん、最初に食べるときには、何も載せないワッフルを食べてみてください。きっと、そのおいしさに驚くと思いますよ。」と教えてくれたのです。
自由散策の時間になると、さきほどのお店に行って焼きワッフルを頼みました。もちろん、何も載せないプレーンです。焼き時間がかかるので、しばらく待っていると、出てきました。ちょうど、日本のお好み焼きのような大きさで、段ボールのお皿に載った熱々のワッフルです。もちろん、何もトッピングはなく、端っこに生クリームがちょこんと載って、その脇に楊枝で作ったベルギーの旗がお子様ランチのように刺さっています。
その香ばしく、甘い香りの素敵なこと。そして、そのお味は。もう言葉で言い尽くせないほど、口の中に幸せが広がりました。
(焼きワッフルは最高のおいしさ!!)
さて、こんな素敵な旅が味わえるのも、この世界が平和だからこそです。
我々が、成田を出発する2ヶ月前の2月。アメリカのトランプ大統領が電撃的にイラン空爆を実行しました。イランの最高指導者であるハーメネイ師を殺害し、イラン革命防衛隊の司令部爆撃によって多くの幹部をも抹殺したのです。イランは、すぐさま、中東地域に配置されたアメリカ軍基地にミサイルによる報復攻撃を行いました。
UAE(アラブ首長国連邦)のドバイ国際空港もその標的となり、ドバイ空港経由で日本からヨーロッパに向かう航空機は一時、運休となりました。幸い、我々の飛行機は直行便だったので、無事に旅行は催行されましたが、ホルムズ海峡の閉鎖により、原油価格の高騰が懸念され、燃料サーチャージが値上げされることになりました。
人類の歴史に汚点をみつけるとすれば、それは「戦争」です。エゴによる命の奪い合いにより、我々を悲しみと不幸に陥れる人災は、汚点の最たるものと言えるのではないでしょうか。
今週は、その「戦争」の終わり方を研究した本を読んでいました。
「戦争は如何にして終結したか」
(千々和泰明著 中公新書 2021年)
【終わりなきウクライナ侵攻】
2022年2月24日。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を実行し、ウクライナはロシアからの一方的な侵略に対抗して防衛戦を強いられることになりました。ロシアは、これを軍事作戦と銘打って領土拡大を続けています。
侵攻が始まった当初、EUとアメリカなど西側諸国は、この戦争に自ら参加することを避けながらも、経済制裁やエネルギー輸入の凍結、さらには軍事支援など、あらゆる支援を尽くして、ロシアの侵攻を食い止めようとしました。にもかかわらず、4年以上経た現在もこの軍事侵攻は延々と続いています。
ウクライナの人々の悲しみは、いかばかりかと心が痛みます。
当時、アメリカの大統領は民主党のバイデン大統領でした。彼は平和がもたらす恩恵を十分に認識しており、ロシアには厳しい経済制裁を科し、ウクライナにはNATOとともに手厚い軍事支援を行いました。それは、「力での(境界線の)現状変更は認めない。」とする国際法(国連憲章)の精神を揺るがす秩序の破壊だからです。
そんな中、昨年1月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が第47代、2度目の大統領に就任しました。トランプ氏は、MAGA(Make America Great Again)を合言葉に、アメリカの対外財政政策をことごとく変更していきます。関税攻撃もさることながら、EUやNATO、国連に対して、これまで負担してきた拠出金を見直すこととし、ロシアに侵攻されているウクライナへの武器供与に関しても、レアアースの採掘権など、支援に見合う代償を求めたのです。
(初会談で口論する両大統領 nikkei.comより)
さらには、アメリカの軍事力を背景に南北アメリカ大陸、その北に位置するグリーンランドをアメリカの影響下に置くことを公然と宣言しているのです。のみならず、自らの支持母体でもあるキリスト教信者のユダヤ系住民を背景に、イスラエルのネタニヤフ首相と協調して中東のイランまでをも軍事侵攻で攻撃したのです。
これでは、プーチン大統領と何ら変わらない独裁的権力者に他なりません。
1989年、ブッシュ大統領(父)とゴルバチョフ書記長がマルタ会談で冷戦の終わりを宣言して以降、これほど国家同士の対立が表立ち、戦争が近づいている時代はないのではないでしょうか。
【戦争が終結するとき何が起きるのか】
今回の新書は、「戦争」の終わり方を分析した研究書です。
著者は、政治学の専門家ですが、これまで政府機関などで安全保障の副官房長官補や自衛隊防衛研究所の研究員などを務めてきた安全保障のプロフェッショナルでもあります。
国家間の「戦争」には、はじまりがあれば終わりもあります。この本の扉の裏には、鉄の宰相と呼ばれたドイツ帝国のビスマルクの言葉が載せられています。「戦争の終わりにおいて、その発言が戦争を始めるときほど立派でない指導者に災いあれ。」
(「戦争はいかに終結したか」 amazon.co.jp)
確かに、戦争の終わり方のよって、その後の国家のあり方や世界の平和の形態は大きく影響を受けることになります。世界大戦はもちろんですが、朝鮮戦争やベトナム戦争を考えても、その終わり方がその後の世界のあり方を決定づけている、といっても過言ではありません。
平成生まれの方々は、今の北朝鮮と韓国は生まれたときから38度線を国境とした二つの国と認識していると思いますが、実はこの二つの国は今でも戦争中なのです。1948年、将来統一されると約束されていた南側の朝鮮と北側の朝鮮がそれぞれ、「大韓民国」、「朝鮮民主主義人民共和国」として樹立を宣言しました。
第二次世界大戦の終結時、朝鮮は北側をソ連、南側をアメリカが統治していました。この2国は共産主義と民主主義の代表としてイデオロギーの浸食を恐れて対立し、世界中を巻き込む冷戦がはじまりました。冷戦激化は朝鮮を巡る戦争へと発展し、1950年、ついに北朝鮮は南朝鮮に侵攻し、朝鮮戦争が勃発したのです。
戦争は、前半は共産軍側(ソ連、中国が主導)が優勢、その後、国連軍側(アメリカが主導)が押し戻し北側に攻め入り、翌年の4月から5月には膠着状態となります。そして、ソ連、中国、アメリカ各国の国内事情と思惑によってこの戦争をなんとか休戦にしようと終結への動きが始まります。
この本には、その「休戦」にいたるやりとりが簡潔に記されています。
そして、1952年7月、「朝鮮戦争休戦協定」が締結されます。しかし、この協定は「和解なき休戦」と呼ばれており、75年が経とうとしている現在でも2つの国は「休戦」中であり、戦争は続いているのです。なぜ、朝鮮戦争は終結しなかったのか。本著には、大国間の思惑に翻弄された「休戦」へのいきさつが明確に分析されているのです。
(朝鮮戦争休戦 大佐級の協議 wikipediaより)
【原因の根本解決か、妥協的和平か】
戦争の終結を決定づける要素とは何か。
著者は、序章で第二次世界大戦を機に始まった、「終戦」に関する各国国際政治学者による研究を紹介しています。その中では、「パワーポリティクスに基づいた権力政治的アプローチ」、「戦闘国の人的犠牲や経済的疲弊の度合いから見る合理的選択的アプローチ」などを紹介していますが、どの説にも一長一短があり、決定的な定説とはなりにくいようです。
こうした研究を前提として著者が指標とするのが、「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマ、です。前者は、極端に言えば優勢勢力が劣勢勢力を殲滅し、この世から消滅することです。例えれば、ナチスドイツをこの世から殲滅した第二次世界大戦は、「戦争原因の根本解決」の代表です。このときに問題となるのは、「現在の犠牲」です。ある統計で、連合国側は、この殲滅のために5600万人もの人が亡くなったと言われています。この「犠牲」によって手にするものは「将来の危険」の除去です。
一方の「妥協的和平」は、戦争終結による「和平」によって戦争による「現在の犠牲」を最小限にして戦争を終結させます。例えば、この本の第三章で語られるベトナム戦争は、アメリカが「現在の犠牲」を最小限にするために最終的な妥協によってパリ協定による戦争の終結に至ったものと言えます。この場合、ベトナムが共産国となるという「将来の危険」を捨てて終結を図った結果、アメリカ軍撤退の4年後に「ベトナム社会主義共和国」が成立することになりました。
この本では、「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマ、を基軸として、第一次世界大戦、第二次世界大戦、太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争の終結を解析していきます。
いったい、戦争終結はその後の世界にそのような世界(和平)をもたらすのか。今。正井目の前で起こっている戦争のゆくえにも思いをはせる一助にもなります。戦争を終結させたさまざまな権力者たちの決断に興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。人間はどのように「戦争」を終わらせてきたのか。興味は尽きません。
今年も不安定な天気と陽気が続きそうです。皆さん、どうぞご自愛ください。
それでは皆さんお元気で、またお会いします。
〓今回も最後までお付き合いありがとうございます。
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