OTTO TP-L1を聴いてみる その2

前回の続きになっています。今回は音質について書いてみたいと思います。
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丁度内周ベルトドライブのベルトを掛ける位置にゴム系の磁性体ではないかと思われる黒ベルトが巻いてあります。これがローターでS極、N極互いに120極と言う途轍もない数に分割してあります。この為回転が円運動に近くなり(120角形)理想的な回転を得やすい構造といえます。
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その磁性ベルトをこの溝に入れると溝の一部にコイルを巻いた磁極がありこれで吸引、反発を繰返してプラッターを回しているのです。
さて、肝心の音質についてですが、オリジナルのままの音を通常の基準の評価で聴いては、優しく自然な音がします。かなり厳しい事を言わなければ、そのままでも十分に使用に耐える音質のプレーヤーだと思います。
ただし、Facebookの記事でYさんが書かれてたとおり、クォーツロックをかけた音は音楽がゴチャゴチャな混沌とした音になってしまって聴いていられません。クォーツロック無しの音が断然自然に聴こえて好いと思います。
音が全体に明るく、賑やかな感じがあるので、悲しさや薄暗さの弱音の表現が弱い所があり、これが音楽の表現をワンパターンにしているのではないかと思います。
プラッターの軽い事が起因しているのかもしれませんでしたので、オリジナルのゴムシートからクリスタルシートに交換したところ驚く程の改善が見られました。音出しを始めた頃は「手元に置くほどの物でもないかな?」と思いましたが、十分に所有する価値がある様です。
音質の総評としてはロクサンの『ザークシーズ』の様な最上位のベルトドライブの方が上かもしれませんが、構造的には面白い機種ですので暫く使ってみたいと思っています。

OTTO TP-L1を聴いてみる

やっと殺人的な酷暑が通り過ぎた様に感じる日が多くなった様ですが、まだまだ暑さのぶり返しがありそうなので油断は禁物です。
皆様、体調には十分に気を付けてお過ごしください。

さて、最近FacebookでOTTOのリニアモーターを搭載したプレーヤーの記事が載りました。私も以前から このプレーヤーが気になっていて、音を聴いてみたかったので、ヤフオクで購入してみました。さほど落札価格は高くはなりませんでしたので、試してみるには丁度良い機会だと思いました。
1D3A1352B.jpgこのプレーヤーは120極と言う多極のリニアモーターを搭載していて、とてもユニークな構造をしています。駆動コイルの電流にスイッチングを必要としない三相の正弦波電流にする事でコッキングのないスムーズな回転を得ています。
故江川三郎さんもこのTP-L1を推していて、昔、オーディオアクセサリー誌で このモーター部を使って超巨大な慣性モーメントプレーヤーの実験をした記事を載せていました。
なにより、他のプレーヤーとは類を見ない構造は、自身でプレーヤーを制作する者としても、とても興味をそそる機種である事は間違いはありません。

フェイズメーションのカートリッジを修理しました。

最近 鎌倉のSさんから依頼を受けてカートリッジを修理しました。
お受けしたのはこのカートリッジです。
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フェイズメーションのPP-500です。
ダイヤモンドチップの脱落だそうで、チップの取付修理の御依頼でした。
あまり知識が無かったのでPP-200と取り違えていましたが、ネット検索すると30万越えの最高級機なんですね。
当然の様にチップはラインコンタクトでカンチレバーはボロンです。
メールでお話を聞くとカンチレバーの先端からチップが取れたそうで、カンチレバー先端が破損してチップが取れたのではない様です。よく見ると先端が溝がきってあり二股に別れているそうです。

現物が送られてきたので実体顕微鏡で見てみるとカンチレバー先端の溝からチップが抜け落ちて脱落したようで、カンチレバー自体は無事でした。
さて、問題はこれに使用してあるチップですが最高級機だけにカンチレバー先端の質量を削る為に極小のチップが使ってあって、チップを挟む溝がかなり狭い。私の手持ちの多くのチップはジャンクカートリッジから採取したチップですので、この溝に入るチップがありません。
相談でカンチレバー先端の溝には入れず、先端に直接接着する方式になってしまうとSさんに連絡を入れて相談している間に、ふとこの細いみぞに入るほど小さいチップを使用しているカートっリッジが頭に浮かびました。



FIDELIXの『SATELLITE』を暫く聴いてみて。

少しの間の暑さの中休みで少々「ホッ!」と一息つけましたが、まだまだ、これからが暑さの本番なので皆さん体調には十分に気を付けてお過ごしください。

さて、前回導入したFIDELIXのシェル内臓式ヘッドアンプ『SATELLITE』を暫く聴いてみた感想を少し。
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今まで長い間レコード再生をやってきましたので、私自身は今のレコードの音にほぼ不満はなく、完成の域に達しているのではと自認していました。
ですので、これからは「これ以上の音質向上は大きくは望めないのではないか?」と思っていたのです。
今回の『SATELLITE』の導入もFIDELIXのバッテリー式ヘッドアンプ『LIRICO』をすでに使っていましたので、アーム内の接点の悪さを緩和する程度の音質向上がある位に軽く考えていました。
しかし、音を聴いたとたん比較をしなくても分かる位の音質の差に吃驚してしまったのです。

低域はボトムエンドまで深く沈み込み音質の反応の速くなっているので軽い音質で音程は明確に聴こえ、中音のボーカルの霞がとれて鮮明になって本物がステージで実在するかの様に聴こえ、ピアノの純度が上がり濁りのない透明な美しい響きに惚れ惚れしてしまいます。響きは空間一杯に広がり、ライブ盤の拍手は今までで一番生々しい、そう、その会場の空気までも再現しているかのです。
要するに一言でいえば 本物の音により近づいたと言えます。

MCカーリッジから出た直後にはこんな素晴らしい音で出ているのに、通常の使い方ではアーム内を通ってフォノイコまで届くまでに 信じられないほど音質は劣化しているのか?と考えさせられるほどの驚愕の大差で、おそらくはアナログレコード再生の究極と思わせるほどの素晴らしさです。

最近、偶然に『気まぐれジジイさん』が拙宅に来たので、この『SATELLITE』の比較を聴かせたのですが、本当に驚いて直ぐにFIDELIXに注文。
それが届いたので早速YouTubeに動画を載せてくれていますので見に行って下さい。

ピュアストレートアームの軸受けについて

ピュアストレート
最近、「アームは曲っている物だ」と言う今までの常識を覆して「オフセット角の無いピュアストレートアームが音が好い!」という認識がかなり広がってきている様です。ネットでもアーム先端を切り落として実験をされる方をよく見かける様になりましたが、ピュアストレートアームを勧めてきた私としてはとても嬉しく思っています。アームを真直ぐにするとインサイドフォースが発生せず、立上がりの良い鮮明な音になる事が実際に試して御理解頂けて来たのだなと思っています。
 さて、アームを真直ぐにした事に注目が集まっていますが、軸受けに関しても とても重要な要素がある事を御存じでしょうか?
上下、左右に抵抗無くスムーズに動く事を求められますので、通常のアームは縦軸と横軸各2個づつベアリングを使ったジンバル型が多いのではないでしょうか?
しかし、アームはミクロの山を拾うと言う役目がある為に、極僅かな支点の揺らぎもあってはならなのです。この事からするとベアリングはガタ(遊び)がある事が前提で遊びがなければ動かなくなってしまうと言う事を知ってもらいたいのです。
この事から考えると動作点は極力少なくしたい!という事からベアリングを使わないワンポイントアームが有利だという事になります。
鉛筆の様な尖った軸に陣笠のような軸受けを被せた形状で接触点は僅かに1点で、上下、左右に抵抗なく動く為に全くガタつきがなく高感度にできる事が判ると思います。
しかし、このワンポイントアームの最大の問題はカートリッジを前から見た左右の捻りには全く対応できないという事です。
ワンポイントアームで有名なオーディオクラフトはオイルの粘性で対応を考えましたが、低い周波数で動く事に変わりはなく、どうしても甘い低音になりやすかったです。またアーム本体の下方に重りを付けて重心を下げる方式や、マグネットで規制を掛ける方式など、各社色々な方法で苦労してきたのだと思います。しかし、いずれも捻りに対して動いている事にかわりはありません。
ここで、『LEAK』と言うメーカーが最初に考え付いた『持たせ掛け式』が非常に優れている事に気が付いたSTAXがUA-7などのアームに採用したのです。その後にSATINのアームにも採用され、現在はFIDELIXの『0サイドフォース』にも採用されでいます。

1D3A1273.jpgこれば私のTSアームを軸受の所からカットして後方から見た図となります。A点は尖った鉛筆のような軸先端に緑色のイモネジに擂鉢状の穴を開けた軸受けで受けています。
また、下方B点で前後に長穴を開けたプレートの側面を黄色のウエイトでバランスを崩して軸にもたせ掛けて接触させて捻りの振動を抑えているのです。
金属同士の接触である為に動く事はなく、非常にシンプルで明確な動作となりますので音質に対しても絶大な効果があります。

シェル内搭載ヘッドアンプ『SATELLITE』

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以前から気になっていたfidelix社のシェル内臓のヘッドアンプ『SATELLITE』が到着しました。
昔、YAMAHAから『HA-2』と言うシェルにFETを取付たヘッドアンプが発売されましたが、本機はそれと同じものです。
ただし、電源はバッテリーなのでAC電源の『HA-2』より音質はさらに上なのは比較をするまでもないと思います。
 このシェルにFETを組み込む発想はFIDELIXの中川さんが自分用に作って使っていたのですが、シェル交換時などに大きなショックノイズが出るので製品としての販売を躊躇っていたのですが、オーディオ業界の人にこの話をしたところ、YAMAHAがそれを聞いて製品化、販売したのが『HA-2』だったそうです。その後にYAMAHAは このシェル組込みのヘッドアンプの特許の申請を出したそうですが、考えたのは中川さんですので、結局特許は通らなかった様です。
私はYAMAHA『HA-2』 は発売当初から興味があり「機会があれば使ってみたい」と思っていたのですが、そのまま時が過ぎてしまいました。それが現在になってFIDELIXから発売になるとは思いもしませんでした。

 微小信号領域では接点は音質劣化の原因なのは、アームの接点を磨いたり、カートリッジの端子からフォノイコの端子までモガミ2526ケーブルを直結させる事で著しく音質が向上する事はよく知られた事です。ならばシェル内にアンプを置いてカートリッジ直後に信号を増幅してしまえば その後の接点の音質劣化が少なくなるのではとの考え方です。
1D3A1269.jpg今回は私の普段使いの『MC-L1000/TS』カートリッジを付けての試聴です。カートリッジ直後の黒いFETが見えると思います。これをPL-31E/TSプレーヤーに取付、同社『LEGGIERO』×2左右モノ使いのフォノイコに入れ、パッシブボリュームを通した後に同社『LB-4a』パワーアンプからQUAD『ESL2805』スピーカーで再生します。TSアーム取付時にはシェル内FETの分が重くなる為に、場合によってはサブウェイトはもう一段重い物を使用する様になると思います。
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さて、肝心の音質ですが、一聴で生々しく、リアルになった事がすぐに分ります(眼前での演奏者の実在感が上がった)。低域も力強く、勢いがあります。微小レベルの音はLEGGIEROのフォノイコは聴きにいかないとやや聴こえにくい所がありましたが、『SATELLITE』はスッ!と自然に耳に入ってきますし、何処までも空間に延びるピアノの響きの純度もかなり上がっています。
本来は元の状態に戻して確認をする所ですが、今まで聴いてきた音と比較をしなくても明らかに音質が良くなっている事が分かりますので、音質の差はかなりあると思います。リーリコなどの高性能なヘッドアンプも聴いてきましたが、今までに聴いた最上の音が出ていると思いますので、是非多くの人に聴いて頂ければ『SATELLITE』の澄んだ生々しい音にきっと吃驚して頂けると思います。

シェル内臓ヘッドアンプ『SATELLITE』

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以前から気になっていたfidelix社のシェル内臓のヘッドアンプ『SATELLITE』が到着しました。
昔、YAMAHAから『HA-2』と言うシェルにFETを取付たヘッドアンプが発売されましたが、本機はそれと同じものです。
ただし、電源はバッテリーなので『HA-2』より音質はさらに上なのは比較をするまでもないと思います。
 このシェルにFETを組み込む発想はFIDELIXの中川さんが自分用に作って使っていたのですが、シェル交換時などに大きなショックノイズが出るので製品としての販売を躊躇っていたのですが、オーディオ業界の人にこの話をしたところ、YAMAHAがそれを聞いて製品化、販売したのが『HA-2』だったそうです。その後にYAMAHAは このシェル組込みのヘッドアンプの特許の申請を出したそうですが、考えたのは中川さんですので、結局特許は通らなかった様です。
私はYAMAHA『HA-2』 は発売当初から興味があり「機会があれば使ってみたい」と思っていたのですが、そのまま時が過ぎてしまいました。それが現在になってFIDELIXから発売になるとは思いもしませんでした。

 微小信号領域では接点は音質劣化の原因なのは、アームの接点を磨いたり、カートリッジの端子からフォノイコの端子までモガミ2526ケーブルを直結させる事で著しく音質が向上する事はよく知られた事です。ならばシェル内にアンプを置いてカートリッジ直後に信号を増幅してしまえば その後の接点の音質劣化が少なくなるのではとの考え方です。
1D3A1269.jpg今回は私の普段使いの『MC-L1000/TS』カートリッジを付けての試聴です。カートリッジ直後の黒いFETが見えると思います。これをPL-31E/TSプレーヤーに取付、同社『LEGGIERO』×2左右モノ使いのフォノイコに入れ、パッシブボリュームを通した後に同社『LB-4a』パワーアンプからQUAD『ESL2805』スピーカーで再生します。TSアーム取付時にはシェル内FETの分が重くなる為に、場合によってはサブウェイトはもう一段重い物を使用する様になると思います。


QUAD2805の片chの修理を依頼しました。

やや肌寒いものの何時もの年なら もうすでに蒸し暑くなり始めていますので、気温が低くてかえって過ごしやすい日が続いていますね。
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最近はQUADのESL2805を導入してからは、ALTECやBONSAIなどのダイナミック型スピーカーは全く聴く事が無くなってしまいました。
QUAD2805は箱の中から音がしている様な感じが無いのと、ダイナミック型では反応していない微細な音がハッキリと聴こえるので凄くリアルで、一度この音を聴いてしまうと他の持っているスピーカー達に手が伸びない状態になっているのです。
QUAD2805は以前に埼玉の方に修理をしてもらった片chは絶好調で、反対側のchは正常に近い状態では鳴ってはいますが、もともと静電型はダイナミック型に比して歪みがとても低くいので、僅かな歪みがあっても分かってしまう為に、音楽を聴いていて未修理の片chになんとなく歪みが出るのが分かり(とくに音量が大きい時)、聴いていて精神衛生上よくないので思い切って修理をしてもらう事しました。
修理依頼の連絡を入れると「現在はSTAXの大物3組の修理が入っていて、修理の予定は10月になる」との事でした。
今の時点でも聴くのにはそれほどの問題があるわけでもないので、「待つのも楽しみのうち」と思って声がかかるのをのんびりと待っています。以前より「今年中には修理をしなければ。」と常に思っていて、何時も心に引っ掛っていた物がありましたが、修理予定の目途が立ったのでこれで安心しました。
ただし、修理の時には2805が暫く聴けなくなってしまうので、それが寂しいと思ってしまいます。

QUAD2805の片CH修理を依頼しました。

やや肌寒いものの、何時もの年なら もうむし暑くなり始めていますので、気温が低くて過ごしやすい日が続いていますね。

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最近はQUADのESL2805を導入してからは、ALTECやBONSAIなどのダイナミック型スピーカーは全く聴く事が無くなってしまいました。
QUAD2805は箱の中から音がしている様な感じが無いのと、ダイナミック型では反応していない微細な音がハッキリと聴こえるので凄くリアルで、一度この音を聴いてしまうと他の持っているスピーカー達に手が伸びない状態になっているのです。
QUAD2805は以前に埼玉の方に修理をしてもらった片CHは絶好調で、反対側のCHは正常に近い状態では鳴ってはいますが、もともと2805は歪みがとても低くいので、僅かな歪みがあっても分かってしまうので、音楽を聴いていて片CHIになんとなく歪みが感じられる時があり(とくに音量の大きい時)、聴いていて精神衛生上よくないので思い切って修理をしてもらう事しました。
修理依頼の連絡を入れると「現在はSTAXの大物3台の修理が入っていて、修理の予定は10月になる」との事でした。
今の時点でも聴くのにはそれほどの問題があるわけでもないので、「待つのも楽しみ」と思ってジックリと構えています。
ただし、修理の時には2805が聴けなくなってしまうので、それが寂しいと思ってしまいます。

レイブラウンのソウラー・エナジー

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最近聴いて音の良さに感激したレコードを紹介します。
RayBrownのSOULAR ENERGYの45rpmのAnalogue Productionsからの復刻盤ですが、
もうマスターテープかと言う位の高音質でした。
演奏も素晴らしいです。