PL-31E/TSの試聴感想を頂きました。

先日制作したPL-31E/TSプレーヤーが届いたK様から試聴感想を頂きました。
到着直後の比較では それまで使われていたプレーヤーと音はあまり変わらないとの事でしたが、
その後、調整してから時間をかけて聴いて頂いた感想を頂きました。
私に送られてきたメールの内容ですが無修正で掲載します。
小林様宅
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竹本様、
いつもお世話になります。
この土日で聴き込みましたのでご報告させて頂きます。
先日は早く聴きたい気持ちが強すぎて報告しました通り急いで
セッティングしたので大きなミスをしておりました。
まず、ベルトを再度確認した所、ゴムが捻れてかかっていましたので
これを正しく掛け直しました。
プレーヤーの水平も取れてませんでしたので、プレーヤーの脚を調整して
きっちりと水平を出しました。
あと、針圧調整を針圧計でなくウエイトの目盛りで合わせておりましたので
針圧計で測り直した所、正規の針圧より0、3gも重く針圧がかかってました。
これを針圧計で正規の針圧に調整しました。
基本的な事ができていない状態で報告してしまい反省しております。
気を取り直して、聴き直した所、
「きた---、解き放たれた音とはこの事か!」
素晴らしい!!以外の言葉が見つかりません。
私のフェバリットアルバムの1枚であるJONI MITCHELLのSHADOWS & LIGHT
という野外ライブ盤、今まではホールのライブを聴いているようだったのですが
ホールの天井がなくなってまさに野外ライブの臨場感が味合う事ができました。
スタジオ録音の盤は、マスター音源をレコーディングスタジオのモニタースピーカーで
聴いている感覚(実際、経験した事はないので想像ですが)です。
これは「レコードに刻まれたの音を引き出す」という事にプラスして、レコードの溝に
刻み込まれた現場の空気をも引き出しているのでは?と思ってしまいます。
本当に素晴らしいとしか言いようがなく、ずっと一人でニヤニヤしていました。
家内とは、学生時代にバンドを一緒にやっており家内も音楽自体は大好きなのですが、
音には無頓着で私のオーディオの趣味をいつも白い目で見ていました。
その彼女が「無茶苦茶音にリアル感があるね」と感嘆していました。
今、竹本様もブログに書いておられましたDIANA PANTONを聴いていますが
本当にそこで演奏しているのを聴いている感覚ですね。
フィデリックスのカートリッジMC-F1000はヘッドシェルがMITCHAKU Zなので
まだ聴けていませんが、MC-F1000で聴いたらどういう音が出てくるのか
本当に楽しみです。
たかが500枚程度のコレクションですが、明日から全て聴き直すことになりそうです。
素晴らしいプレーヤーを手に入れる事ができ心から満足しております。
本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
今後とも宜しくお願い致します。
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PL-31E/TSをとても気に入って頂けた様で、また一人ご愛用者が増えて嬉しく思っています。

グリモーのクレド

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グリモーの『クレド』です。以前買ったグリモーの『ザ・メッセンジャー』が良かったので予約を入れていたのが届きました。
CDではだいぶ前に発売されていた様ですが、今回はレコードでの発売となったようです。
前記事のPL-31E/TSの動作確認をかねて聴いていますが、期待通りの澄み切ったピアノの響きが空間に広がります。

さらに1台完成しました。

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またまた、御依頼頂いていたPL-31E/TSですが、本日完成して動作確認をしています。
部品は削り出しですが、あらかじめ加工は済ませて組み立てるだけなので短時間で仕上がります。
問題なければ来週早々にも発送したいと思っています。

『気まぐれジジイ』さんが三度YouTubeに動画を載せてくれています。



MC-L1000のカンチレバー修理その2

前回はカンチレバーの折損品の交換修理の記事を載せましたが
その後、無事にコイルを載せ終わり、1個体を復活させる事ができました。
以前は手が震えてコイルの配線修理に何日もかかって、成功率も3割程度でしたが、
今は鼻歌まじりで この作業が出来るほどの余裕です。
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音質ももちろん問題なく何時も聴いているMC-L1000/TSの音です。
コイルの断線修理はもう数えられないほどしましたが、
カンチレバーの交換作業は今回が初めてだったので
上手く修理する事ができて、これからのMC-L1000の修理の対応範囲に自信が持てます。
このMC-L1000/TSはfidelix社のMC-F1000と同様にダイレクトカップル型の完成形で、
音域、バランス、広がり、そしてキレと全てにおいて本当に素晴らしい音です。
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私は最高音質のカートリッジと確信していますので、これからも1個体でも多く復活させる事ができればと願っています。

MC-L1000のカンチレバー修理

ようやく気温も下がってきましたね。
涼しくなってきたので、やっとオーディオをやる気がでてきました。

私の普段使用するカートリッジは断線したVictor社のMC-L1000を私自身が修理したものですが、
幾つか手元にある中で、針先が折れてチップが無い物や、テンションワイヤーが切れてしまっていてカンチレバーのみとなっている物があります。以前からこれらの修理が出来ないものかと考えていましたが、ようやく目途がたったので今回ニコイチで修理をしてみる事にしました。

カンチリバー修理
修理完了後の写真となってしまいますが、
下は先端がチップごと折れたベリリウムカンチレバーを上の振動系ユニットから取外した物で、上はテンションワイヤーの切れたチップの付いたカンチレバーから後部の鍔の付いたダンパー受け部品を取外し、入替えた修理後の振動系ユニットです。
カンチレバーを鍔から取外す方法が思いつかずに暫く悩んでいましたが、やっと取外す事ができて上手く修理ができましたので、これから何時もの様にfidelix社のコイルをとりつけて修理をしていきたいと思います。

プレーヤーのトルクについて

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この世に存在するモーター全ては必ずトルクムラがあり滑らかに回転する完全なものは一つもない。これは絶対です。
トルクを強くすれば力強くメリハリの付いたシャキシャキした音に聴こえますが自然な音から離れていきます。
そのトルクムラの影響を受けないためにはトルクを極力弱くして惰性だけで回す事です。

では、糸ドライブの様にプラッターを重くしてトルクを弱くすれば全て解決するかと言うとそう単純ではありません。
モーターのトルクムラの影響は少なくなりますが、
たいがいのプレーヤーはスピンドルが太過ぎたり、プラッターが重過ぎたりで回転の抵抗が大きくて
弱いトルクエネルギーでは軸に吸収され滑らかだけど弱弱しく、活き活きとした音ではなくなります。
プラッターが重ければ音が良くなると思っている方がいますが、同時に回転抵抗も増えているのです。
この弱い回転エネルギーを減衰させない為に回転抵抗は徹底的に小さくしなければなりません。
この様にすれば最も自然で滑らかで力強い音が得られるのです。
これが私の言う所の『手回しプレーヤーの音』になるのです。

NEOのその後

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最近入手したスピーカー『NEO』を継続して聴いていますが、その後の試聴感想を少し書いてみます。
アルミ一枚板の衝立状のフロントパネルとアルミハニカムカーボンコンポジットのお椀状の特殊形状がよく分かると思います。

前記事にも書いた様に高域は歪みが少なく鮮明なのに聴き易く
低音はパワーを入れた時には分厚く、腹に響く密度の高い低音を叩き出します。
少々のデフォルメ感はあるもののオーディオ的快感があるので『これでもいいじゃん!』と納得させられるだけの物があります。

アンプ類はフォノイコも含めて全て左右モノ駆動ですので、空間の広がり感は文句ありません。
幾つか聴いた感じでは低音が分厚く音の開放感があり高域は繊細なのでフルオーケストラは相性が良い様です。
また大音量では迫力と力強さが抜群なので『ハープアルパート』や『マンジョーネ』の様なフュージョン系には相性抜群です。
全体としては音の切れや解像度は普通で、フルレンジの『AL-05BONSAI』に比べれば聴き劣りしますが
通常のネットワーク式マルチウェイスピーカーと同程度で こんなものでしょう。
しかし、小径フルレンジでは出せない音も出せますので、これはこれでとても気に入っています。

暫くならしていて感心するのは、このNEOではなく、ドライブするパワーアンプの『CERENATE』です。
もう長く使っていますが、とにかくPOWER感がありシッカリとしていて揺るぎがありません。
大型のパワーアンプではこの様なPOWER感のある物は幾つもありますが、
超小型のアナログパワーアンプでこれだけの力感が出せる物は他にはなかなか無いのではと思っています。

今回『NEO』が入った事で今までに集めたレコードがどの様に鳴るのか聴き返してみるのが楽しみです。

NEOのファーストインプレッション2

前置きが長くなりましたが、NEOの聴いた感想を少し
ソースはレコードで、プレーヤーはもちろん私の作ったPL-31E/TSです。
カートリッジはVictorのMC-L1000にfidelixのコイルを載せ替えた/TSです。
十数年前はLINNのLP-12を使っていましたが音はその頃からはかなり進化していますので
今の方が正しい判定が出来ると思っています。
フォノイコはfidelixのLEGGIEROを左右1台づつ使い、パッシブアッテネーターから
ボリュームを取去ったパワーアンプCERENATE を左右2台のmono使用です。

まず一聴周波数レンジが上下に広く、特に高域は歪みが少なく滑らかで肌理細やかだとすぐに分かりました。
これは十数年前にショップで聴いた時にも感じた事なので、この印象が今までこのスピーカーが記憶に残っていた理由だと思います。バイオリンソロなどを聴くととても聴き易く優しい音です。
次に感じるのは余計な音がしないでスッキリしています。やはりボディ構造から来る所が大きいのかもしれません。
低域は流石にダブルウーハーの大型フロアーなのでタップリとした量感で余裕があります。
質感はやや重めで、私は軽い質感の低音が好きなので好みとは少し違いますが
この重さも低音の迫力とドスの効いた凄みににつながっている様に思います。
構造的にウーハーの後ろからマグネットを棒で押してある構造と確りとしたメカニカルアースを取ってある事が功奏してか
久々にマンジョーネのサンチェスの子供たちを爆音で聴きましたが全く揺らがない凄い迫力には驚きました。
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NEOのファーストインプレッション

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7月の末に来たNEOですが、当初はこの様な本格的なフロアー型のスピーカーを入れる予定はなく、
ウーハーが20cm程度の中型の2wayブックシェルフ型を聴いてみたいと思って探していたのです。

理由は『ALTECのA5マルチ』の様なアンプを8台も使う大掛かりなスピーカーシステムではなく、
もっと簡単に鳴らせて、そこそこの周波数レンジと音質が得られるスピーカーが無いかと思って探していたのです。
また、サブシステムの『AL-05BONSAI』はフルレンジとは思えないレンジの広さで、
とくに驚くのはフルレンジの苦手な低域の再生能力です。
かなり高い要求をしなければ十分に満足のゆく音を出してきますが、
厳しい聴き方をすればやはり高域が苦しく、バイオリンなどの高域の弦楽器の音色が僅かに固いと感じられます。
これはフルレンジなので高域の分割振動での歪みは避けられず、これ以上を要求する事が酷なのです。
生き生きとして張りのある再生音は、このままでも十分に楽しく音楽を聴けてしまうところが究極のフルレンジではないかと思うところではあります。

私自身は経験からネットワークが及ぼす音の悪さは十分に分かっていて、出来れば使うのは避けたいと思っていて、特に数百Hz以下とクロスが低いスピーカーは大きなコイルが直列入る為に、鈍く重い低音になやすく、また、3way以上のスピーカーのスコーカーにコイルとコンデンサが直列に入る為に微細な情報の欠落と生き生きとした張りのある中域は出づらい事は分かってしましたので、アンプがスピーカーユニットに直結のマルチアンプシステムやフルレンジを好んできたのです。

さて、この様な考えでネットワークを使いながら、そこそこ軽く反応の速い低音と肌理の細かい滑らかな高域を出す為にはクロスが2~3000Hz位のネットワークを使った2wayあたりが妥協点なのではないかと思う事は常々有ったのです。



NEOと言う名のスピーカー

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前回の記事で新しいスピーカーが入った事は書きましたが
このスピーカー、全くの不見転で買ったのではなく、十数年前にショップで何度か聴かせてもらっています。
現在のハイエンドウッドレススピーカーの走入ではなかったかと記憶しています。
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ダブルウーファーの3way、フロントパネルは20㎜アルミ一枚板の削り出しで
キャビネットは内部に平行面のない前衛的な形のカーボン製で
内部にはスコーカー後方に極僅かの吸音材があるだけです。
20cmウーハーはネオジムマグネットを後方から魂柱でフロントパネルに押し付けて止める構造で
全面のパネルに止めネジが無い事からこれが分かります。2I3A6392C.jpg