

以前から気になっていたfidelix社のシェル内臓のヘッドアンプ『SATELLITE』が到着しました。
昔、YAMAHAから『HA-2』と言うシェルにFETを取付たヘッドアンプが発売されましたが、本機はそれと同じものです。
ただし、電源はバッテリーなのでAC電源の『HA-2』より音質はさらに上なのは比較をするまでもないと思います。
このシェルにFETを組み込む発想はFIDELIXの中川さんが自分用に作って使っていたのですが、シェル交換時などに大きなショックノイズが出るので製品としての販売を躊躇っていたのですが、オーディオ業界の人にこの話をしたところ、YAMAHAがそれを聞いて製品化、販売したのが『HA-2』だったそうです。その後にYAMAHAは このシェル組込みのヘッドアンプの特許の申請を出したそうですが、考えたのは中川さんですので、結局特許は通らなかった様です。
私はYAMAHA『HA-2』 は発売当初から興味があり「機会があれば使ってみたい」と思っていたのですが、そのまま時が過ぎてしまいました。それが現在になってFIDELIXから発売になるとは思いもしませんでした。
微小信号領域では接点は音質劣化の原因なのは、アームの接点を磨いたり、カートリッジの端子からフォノイコの端子までモガミ2526ケーブルを直結させる事で著しく音質が向上する事はよく知られた事です。ならばシェル内にアンプを置いてカートリッジ直後に信号を増幅してしまえば その後の接点の音質劣化が少なくなるのではとの考え方です。


さて、肝心の音質ですが、一聴で生々しく、リアルになった事がすぐに分ります(眼前での演奏者の実在感が上がった)。低域も力強く、勢いがあります。微小レベルの音はLEGGIEROのフォノイコは聴きにいかないとやや聴こえにくい所がありましたが、『SATELLITE』はスッ!と自然に耳に入ってきますし、何処までも空間に延びるピアノの響きの純度もかなり上がっています。
本来は元の状態に戻して確認をする所ですが、今まで聴いてきた音と比較をしなくても明らかに音質が良くなっている事が分かりますので、音質の差はかなりあると思います。リーリコなどの高性能なヘッドアンプも聴いてきましたが、今までに聴いた最上の音が出ていると思いますので、是非多くの人に聴いて頂ければ『SATELLITE』の澄んだ生々しい音にきっと吃驚して頂けると思います。