マイク・シノダ 『ポスト・トラウマティック』

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私達は同じ悲しみを心に抱く仲間であり、同じ想いで繋がっています
もうすぐチェスターが居なくなって4年になりますが、悲しみは変わることはなく、乗り越えることは一生出来ません
しかし、悲しんでばかりもいられません
私達は前進するしかないのです

マイクも同じ気持ちだったと思います
恐れずに、ありのままを形(音楽)にすることが表現者であり、マイク自身のあり方だからです


「Looking For An Answer」
2017年10月、LINKIN PARKがハリウッド・ボウルで開催したChesterの追悼公演
MikeはChesterが亡くなった8日後に書いた「Looking For An Answer」という曲をピアノの弾き語りで披露しました。この曲はアルバムには収録されていませんが、彼のソロ曲は、この夜初めてファンに紹介されました。



皆大丈夫だよというけれど
俺は忘れられないんだ
どうすればいいか教えてくれ

俺はひとり  
見失ってしまったんだ

答えを探してしまうんだ
そんなのどこにもないのに


Album 『Post Traumatic』


■ 以下、rockin'on 2018.02.13の記事より全文を引用いたします
【マイク・シノダが最新EP『Post Traumatic』に託した、「チェスター喪失の先」を生きる決意】

1月25日に配信リリースされたマイク・シノダの最新EP『Post Traumatic』。リンキン・パークの一員としてともに音楽を紡いできた盟友=チェスター・ベニントンを喪った衝撃に今なお揺れ続けるシノダの胸中が、今作に収められた切実な新曲群“Place To Start”“Over Again”“Watching As I Fall”からも色濃く滲んでくる。

「僕が作り上げるものは粉々に壊れてしまうかもしれない」と怖れるのはもう嫌だ、終わりなんて知りたくない、僕が欲しいのは「始まりの場所」だ――とモノローグのような調子で切々と歌われる“Place To Start”。昨年10月27日に米LA・ハリウッドボウルで開催されたチェスター追悼コンサートの舞台に立つまでの感情を包み隠さずラップ越しに述懐した“Over Again”。そして、重厚かつ不穏なリズムトラックとともに「《彼ら》は僕が墜ちていくのを見ている」と自分を取り巻く世間の視線に対する違和感を露わにした“Watching As I Fall”――。

リリース直後にシノダがTwitterでファンに向けて公開した自筆のメッセージにも「これはリンキン・パークでもフォート・マイナーでもなく、僕自身だ」と綴られていた通り、ここにあるのは極めて私的な、シノダの心の奥底にある想いの結晶そのものなのだろう。
リンキン・パークのライブアルバム『ワン・モア・ライト・ライヴ』の発売に際して昨年12月に行われたInstagram上のリスニングパーティーで「チェスターの声をあんなに長い時間聴いているのが辛かった」と途中退席したことを後日明かしていたシノダ。PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)を示唆するシリアスな作品タイトルはそのまま、彼自身の状態を残酷なまでにダイレクトに自ら描ききったものと言える。

しかし。今作には、チェスター追悼コンサートでシノダがピアノ弾き語りで披露した“Looking For An Answer”は収められていない。チェスター急逝後のシノダ自身の、虚空を彷徨うような喪失感をそのまま焼き込んだあの楽曲の哀しい美しさとは、今のモードは明確に一線を画したものである――ということも、この『Post Traumatic』という作品はリアルに物語っている。

「リンキン・パークを続けるつもりだし、メンバーみんな同じ気持ちだ。でもそのために、たくさん立て直さなきゃいけないものもあるし、答えるべき問いもある。時間が必要だ」――困難な状況に屈することなく一歩一歩前に進もうとするシノダのアティテュードが、彼の日々のツイートから伝わってくる。今年8月にはマイク・シノダ名義で「SUMMER SONIC 2018」に出演することも決定。「その先」へ向けて歩み始めた彼の決意に、最大限の拍手を贈りたい。(高橋智樹)


■ 【マイク・シノダ1万字インタビュー:チェスター・ベニントンの死と自身の現在地】
Rolling Stone Kory Grow 2018/06/28 より一部分を引用しています

● 『ポスト・トラウマティック』のテーマはベニントンの死というよりも、彼を失ったシノダが向き合った自分自身の姿だ(本作がベニントンのトリビュートアルバムと解釈されることだけは避けたいと彼は話す)。ベニントンの死の直後に書かれたと思われる、悪夢の中を彷徨っているかのような「プレイス・トゥ・スタート」で彼はこう歌う。「誰か俺の存在意義を教えてくれないか?過去を忘れようと必死なんだ」


「感じたままを歌詞にしたんだ」彼はそう話す。「こんなことは曲にすべきじゃないとか、世間はどう思うだろうとか考えたこともあった。大切な誰かを失った人間が何かを生み出そうとする時、それは避けられないと思う。途方もない悲しみに暮れている時、人は不毛な自問自答を繰り返す。俺もそうだった。曲を作ることに怯えていた時期もあった」


シノダの友人でもあるデフトーンズのフロントマン、チノ・モレノは彼に共感する。2008年にバンドのベーシストだったチ・チェンが交通事故に遭い、5年間生死の境をさまよった果てにこの世を去った。ベニントンが逝去したことを知ったモレノは、当初はシノダに連絡することをためらっていたが、後にメールを送ったという。それがきっかけで2人は共にスタジオ入りし、『ポスト・トラウマティック』に収録された「リフト・オフ」を共にレコーディングした。

またその時、2人は両者が経験した喪失感について語り合ったという。「主に話し合ったのは、罪悪感を覚えることなく創作活動ができるようになるまでに、どれだけの時間が必要かということだった」モレノはそう話す。「彼が生み出してきた音楽のいちリスナーだからこそ、俺には彼の葛藤がよく理解できたんだ」



● シノダが最後にベニントンと会ったのは、彼がこの世を去るわずか数日前のことだった。「あいつからワツキーっていう名前の少年を紹介されたんだ」ラッパーであり詩人でもあるその少年の才能に、ベニントンは惚れ込んでいたという。「あいつは彼のことをしょっちゅう話題にしてたから、俺にも紹介してくれよって言ったんだ。それからしばらくして、ワツキーは友達と2人で俺たちがいるスタジオにやってきた。彼らが帰った後も、チェスターと俺はしばらくスタジオに残ってた。できそこないの曲をいじってみたり、控えていたブリンク182とのジョイントツアーのことなんかを話したりしてた。どうってことのない、いつものムードだったよ」


その数日後、ベニントンはロンサンゼルスの自宅で自ら命を絶った。本誌の取材に応じた友人によると、彼はアルコールへの依存に苦しんでいたという。また同年上旬に行われたインタビューの場で、リンキン・パークのヒット曲「ヘヴィ」について尋ねられたベニントンは、うつ症状に悩まされていることを告白している。検死報告書によると、ベニントンの体からはアルコールが検知されている。「当日の彼がどれだけ飲んでいたかは分からないけど、彼のアルコール依存の深刻ぶりを考えれば、わずかな量がその引き金になってしまった可能性も否定はできない」ベニントンの友人であり、彼のサイドプロジェクトであるデッド・バイ・サンライズのメンバーであるライアン・シャックは本誌にそう語っている。「ほんのわずかなアルコールが、彼の自制心を奪ってしまったのかもしれない」



● シノダから見たベニントンは、予測不可能で巨大なエゴを抱えた、複雑なキャラクターの持ち主だった。「声だけじゃなく、あいつはパーソナリティもラウドだった」彼はそう話す。「あいつはどこでも誰とでもすぐ打ち解けるって、いつも俺たちからからかわれてた。とにかく楽しいことに目がないやつだったんだよ。その一方で、内面はとても繊細で複雑だった」

「やたら熱いくせに、ものすごく冷淡なところもあるんだ」彼はそう続ける。「あいつは映画オンチだって、俺はいつもネタにしてた。俺がまだ観てない映画の感想を聞くと、『10点中11点』とか『あんなクソみたいな作品に巨額の金が注ぎ込まれたなんて信じらんねぇよ。金返せってんだ』なんて言ってた。そういうやつだったんだよ」

感謝祭の日には何十人もの親戚を招いて料理を振る舞うなど、家庭人として知られたベニントンは、他人にも驚くほど気さくに接することもあったという。「まるで予想がつかないんだ」シノダはそう話す。「そっけない態度をとることもあれば、相手がひくような話をし始めることもある。飛行機で隣に座ってる赤の他人を相手に、どう考えても場違いな話を延々と続けたりね。小さな子供のように純粋で、無防備なところがあったんだ」

ベニントンの死の直後、リンキン・パークはウェブサイトにコメントを掲載した。ある一節が感じさせる切実さは今も当時のままだ。「悪魔がお前を奪い去ることは運命だったと、俺たちは自分に言い聞かせようとしてる。音楽を通じてその悪魔と向き合ったお前に世界中の人々が共感したことは、きっと奴らとの契約の一部だったんだろう」

その一節について尋ねられると、シノダはしばらく押し黙り、適切な言葉を探すかのように周囲を見渡していた。「あのくだりが言わんとしていることを一言で説明するなら、俺たちはあいつがどういう人間かを知ってたってことだよ」彼はそう話す。「何が起きてもおかしくないと、俺たちは心のどこかで覚悟してたし、それはあいつ自身も同じだったと思う。そういうことだよ。大切な人間を失った悲しみは、そう簡単に癒えはしない。傷口は今も開いたままだ」

● 「誰かの死と向き合うっていう行為は、様々な感情に順番に向き合っていくことだと思ってた」彼はそう話す。「実際はそうじゃない。家族や友人がその人物の死を悼む時、彼らは同じタイミイングでまったく異なる感情を抱えている。その状態はカオスへと変貌していくんだ。精神的脆さを露呈する人間もいれば、ただ悲しみに暮れたり、怒りに身を任せる人もいる。かと思えば、中にはその事実を深刻に受け止めようとしない人間だっている。そういう感情のズレは、やがて人間関係に影響し始める。俺が1人で作品を作ろうと思ったのは、そのカオスから自分を遠ざけ、自分自身の感情と向き合おうとしたからでもあるんだ」

● 「過去数年間で、俺はソングライターとして大きく成長したと感じているんだ」彼はそう話す。「それはヒット曲を書けるようになったっていう意味じゃない。ある曲に対して、多様なアプローチができるようになったってことなんだ。以前は曲の大半を俺が一人で書き上げて、スタジオでバンドのメンバーに弾いてもらうっていうやり方だった。彼らと一緒に曲を作り上げていくこともあったけど、あまりいい結果に繋がらなかったんだ。でも(リンキン・パークの2014年作)『ザ・ハンティング・パーティ』の一部、それと『ワン・モア・ライト』(2017年)の大半で外部のソングライターと作業した経験を通じて、俺はそれまでとは異なる作曲アプローチを身につけた。それは今作にも生かされているし、その制作過程からも多くを学んだと思う」

「あらゆる曲にはテーマがあるべきだ」彼はそう続ける。「人生そのものに退屈してしまっているような状況では、優れた作品は生まれにくい。でも人生が波乱に満ちていると、想像力の泉から無数のアイディアが湧き起こってくるものなんだ」


● 冒頭曲の「プレイス・トゥ・スタート」から、最終曲の「キャント・ユー・ヒアー・ナウ」を書き上げていく過程は、彼の心情を大きく変化させていったという。『ポスト・トラウマティック』は、彼が大切な人間を失ったという現実を受け入れられるようになるまでの、9ヶ月間にわたる精神面の変遷を描いた作品だ。歌詞の中には自意識の膨張を抑えきれず、理性的な言葉を見つけられなかった部分もあるという。本作には「ホールド・イット・トゥギャザー」のバースデイパーティーの一節のような、彼の日常を切り取った描写が数多く登場する。

「あのラインは特に印象に残っているもののひとつだ」彼はそう話す。「普段は『これは曲になるかもしれない』なんていう風に、日常のワンシーンを書き留めておくようなことはしないんだ。このアルバムにおけるそういう描写は、俺が創作活動にいかに没頭していたかを物語ってると思う。その幾つかは、アルバムにおける個人的ハイライトと言ってもいい」

「このアルバムを作ることは、俺のキャリアにひとつの区切りをつけるっていう意味もあったんだと思う。『思いはすべて吐き出した、もう言うべきことはない。このチャプターは終わりを迎えた』そんな風に感じてるんだ」彼はそう話す。「普段なら恐怖を伴う感覚だ。でも俺にとっては、新しいチャプターの幕開けを告げるコールだったんだ。このアルバムを完成させたことで、こういう区切りのつけ方もあるってことを学んだよ」

彼の描く絵がそうであるように、その音楽もまたベニントンの死と切り離して受け止められることは決してないということを、シノダはある時点で理解したという。「アバウト・ユー」のコーラスでは、その思いがこう歌われている。「思い浮かべるのは別の誰かなのに、気づけばそれはお前の姿をしているんだ」シノダはこう話す。「チェスターのこと以外にも、俺は曲にしたい思いをたくさん抱えてる。でも人々は、何もかもをあの悲劇的な出来事と結びつけてしまう。そのもどかしさを曲にしたかったんだ」


そのコンセプトは『ポスト・トラウマティック』をリリースするべきかどうかという葛藤とも結びついていた。「有名人の身に起きる出来事を、世間はいつだって深読みしようとする」彼はそう話す。「ある男性が彼女が別れた途端、『知ってる? 彼はコーヒー党なのに、今朝は紅茶を飲んでたらしいわよ。きっと彼女と別れたせいね』なんて世間は噂し始める。本当のことは誰にもわからないのにさ。インターネットは誰かのイメージを勝手に作り上げてしまうんだよ」

自身もその状況に置かれるであろうことを「ある程度は覚悟している」と話す彼は、他人と気まずいやり取りを交わすことにも慣れたという。


● リンキン・パークの今後について考える前に、まずは『ポスト・トラウマティック』がどう受け止められるかを見極めたいとシノダは話す。5月にソロのミニツアーを開催した際、当初こそ感情の波に飲み込まれそうになりながらも、自信をつけるまでに長くはかからなかったという。「すごく緊張したけど、ショーの半分を終えた頃にやっと落ち着きを取り戻して、マイクを通してオーディエンスにこう話したんだ。『一番ハードな部分を乗り越えたから、最後までやれるはずだ』」彼はそう話す。「決して感極まったわけじゃないんだ。ただ過去のショーとは何もかもが違ったから、覚悟を決めるまでに少し時間がかかったってことさ」


当日のセットリストは『ポスト・トラウマティック』の曲やリンキン・パークのトラックだけでなく、シノダの別プロジェクトであるフォート・マイナーの曲も交えられていた。その内容は今後変わっていく予定だという。「今はいろんな選択肢を残しておきたいんだ」そのスタンスは、ショーの内容が(ベニントンに対する)トリビュート的だとする批判を受けてのことなのかもしれない。「そんなつもりはないんだけどね」彼はそう話す。「トリビュート的な部分もあるかもしれないけど、それはあくまでショーの一部でしかない。後日、あのショーがトリビュート的だったかどうかファンに意見を求めたんだけど、大半はそうじゃないって言ってくれた。メディアはアクセスを集めるヘッドラインを立てようとするもんなんだよ」

彼は席を立つと、飲み干したコーヒーの隣で手付かずのままになっていたマフィンを手に取った。どんなことがあったとしても、自分が置かれている状況を受け入れて前に進み続けること、それが彼がファンと共有しようとするマインドセットだ。「アートには傷を癒す力がある」彼はそう話す。「俺は大切ものを失い、悲しみに暮れていたけれど、こうしてまた再び歩き出した。このアルバムが、同じように感じてる誰かの背中を押してくれることを願ってるよ」


■ Track listing

特に記載のない限り、 すべてのトラックはマイク・シノダによって書かれています
01. Place to Start
02. Over Again
03. Watching as I Fall
04. Nothing Makes Sense Anymore
05. About You (featuring Blackbear)
ShinodaMatthew Musto
ShinodaJordan ReyesAaron Harmon

06. Brooding (Instrumental)
07. Promises I Can't Keep
08. Crossing a Line
09. Hold It Together
10. Ghosts
11. Make It Up as I Go (featuring K.Flay)
ShinodaBrad DelsonKristine Flaherty

12. Lift Off (featuring Chino Moreno and Machine Gun Kelly)
ShinodaRory AndrewColson BakerAndrew DawsonChino Moreno
ShinodaAndrew Dawson

13. I.O.U.
14. Running from My Shadow (featuring Grandson)
ShinodaBrad DelsonKevin HissinkRoss GolanJordan Benjamin
ShinodaBoonn

15. World's on Fire
16. Can't Hear You Now
17. Prove You Wrong
18. What the Words Meant

■ Personnel
Mike Shinoda – vocals, piano, guitars, bass, drums, percussion, keyboards, synthesiers, samplers, mixing, composer, art direction, paintings, producer

【Additional musicians】
Rob Bourdon – percussion on 1
Darren King – drums on 9
Boonn – guitar on 14
Blackbear – vocals on 5
K.Flay – vocals on 11
Chino Moreno – vocals on 12
Machine Gun Kelly – vocals on 12
Grandson – vocals on 14


チェスターは、明朗で周囲の人達に気配りのある人でした
しかし、自分自身を受け入れる事が出来ず、苦しんでいました

今も私の悲しみが消えないのは・・・
4年近く経つのに何がそんなに悲しいかって?

彼がもっと気楽に生きられたら良かったのに
自分自身をそこまで追い込まなくても良かったのに・・・と思うからなのです


「Brooding」



ご視聴ありがとうございましたm(__)m
Wikipedia引用あり

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