見ていて、ずっともどかしかったんです。
ボールは持てている。相手陣内まで運べている。それなのに、最後の一本が出てこない。
試合が終わってスタッツを見て、その正体が分かりました。
シュートは、17本打っていたんです。打てていなかったわけじゃなかった。
枠に飛んだのが、3本でした。
雨のヤマハ。風は、東北東から
2026年9月6日、明治安田J2リーグ第5節。ホーム・ヤマハスタジアムにカターレ富山を迎えました。
徳島戦、栃木シティ戦とリーグ2連勝。9月2日のルヴァンカップ・相模原戦も3-0で勝って、公式戦3連勝。チームの調子は間違いなく上向いている——そう思って画面の前に座りました。
ただ、天気が心配でした。
公式記録は雨、気温23.7℃、湿度79%。ヤマハスタジアムは水はけがいいことで知られていますが、この日は雨だけでなく、風もありました。
気になったので、気象庁のアメダス磐田観測所(スタジアムから約2km)の記録を調べてみました。
| 時刻 | 雨(1時間) | 風速(10分平均) | 風向 |
| 19:00 | 6.0mm | 6.4 m/s | 東北東 |
| 19:20 | 6.5mm | 8.1 m/s | 東北東 |
| 20:00 | 4.5mm | 7.1 m/s | 東北東 |
| 20:50 | 3.0mm | 7.5 m/s | 東北東 |
正直に書くと、「激しい雨」というほどではありませんでした。1時間3〜6.5mmは、気象庁の分類では「やや強い雨」の手前です。
ただ風は、ずっと7〜8メートル。東北東から吹き続けていました。傘がさしにくいくらいの風です。しかも90分間、向きが変わらない。
ロングボールもクロスも、思ったところに落ちない。そういう夜だったと思います。
入場者数は9,958人。今季ここまでのヤマハの平均が13,031人なので、雨がなければもっと入っていたはずです。それでも1万人近くが来ていたことのほうが、私にはすごいことに思えます。
22分、小川慶治朗
立ち上がりは、悪くありませんでした。
前半2分、藤原健介のクロスにジョアン・ヴィクトルが右足で合わせています。ブロックされましたが、いきなり相手ゴール前まで運べていた。
ところが前半22分でした。
古川真人のパスから、小川慶治朗がペナルティエリア中央で右足。ゴール右下に、決められました。
0-1。
リズムは悪くなかっただけに、これは効きました。見ているこちらのショックも大きかったです。
ただ、そこから磐田は押し返しています。前半30分時点の直近15分のボール支配率は、磐田65%対富山35%。データの上では、ちゃんと反撃していました。
それでも前半のうちには届かず、0-1で折り返します。
17本打って、枠内3本
後半も、同じ感覚が続きました。ボールは持てる。でもゴールの匂いがしない。
私はずっと「シュートが打てていない」と思って見ていました。フラストレーションが溜まっていくのが、自分でも分かるくらいに。
でも、終わってみたら違ったんです。
| 項目 | 磐田 | 富山 |
| シュート | 17 | 13 |
| 枠内シュート | 3 | 7 |
打ってはいたんです。17本も。富山より4本多い。
問題は、そのうち枠に飛んだのが3本しかなかったこと。逆に富山は13本中7本が枠内でした。
つまり「打てなかった」のではなく、「打ったけれど、枠を捉えられなかった」。私がもどかしかったのは、そこだったんだと思います。
もうひとつ、この試合を象徴する数字があります。スポーツナビが掲載しているゴール期待値(xG)です。
※ゴール期待値:そのシュートがどれくらいの確率でゴールになるかを、位置や状況から数値化したもの。合計が2.0なら「平均的には2点入る内容だった」という意味になります。
| 項目 | 磐田 | 富山 |
| ゴール期待値(xG) | 2.35 | 0.84 |
数字の上では、磐田は2点分以上のチャンスを作っていたことになります。それで0点。富山は0.84の内容で1点。
内容で負けていたわけではない。でも、勝負には負けた。サッカーのいちばん厳しいところが、そのまま出た試合でした。
後半46分には、桑原航太のシュートがゴールの枠を叩いています。あと数センチでした。
※xGはスポーツナビ(データスタジアム)の掲載値です。Jリーグ公式サイトやクラブ公式には掲載がないため、参考値として扱ってください。
オフサイド7回。半歩、早かった
もうひとつ、見ていて気づかなかった数字があります。
磐田のオフサイドが、7回。富山は0回でした。
前半だけで3回、すべてジョアン・ヴィクトルです。後半は吉村瑠晟が1回、太田龍之介が2回、そしてアディショナルタイムにもう1回。
「最後の一本が出てこない」と感じていた場面のいくつかは、実は出ていたんですね。ただ、走り出しが半歩早かった。
裏を返せば、それだけ抜け出そうとしていたということでもあります。7回オフサイドを取られるチームは、7回以上は裏を狙っている。
※Jリーグ公式サイトのスタッツ表では、オフサイド数が磐田0/富山7と表示されています。ただし試合速報を1回ずつ確認したところ、7回すべて磐田の選手に対する判定でした。この記事では速報にもとづいて「磐田7/富山0」としています。
イエロー9枚の90分
この試合、警告が合計9枚出ました。激しい試合だったのは、間違いありません。
| 時間 | チーム | 選手 |
| 33分 | 富山 | 谷本駿介 |
| 42分 | 磐田 | 藤原健介 |
| 45+2分 | 磐田 | 吉村瑠晟 |
| 45+2分 | 富山 | 古川真人 |
| 53分 | 富山 | カン ミヌ |
| 60分 | 磐田 | ダニーロ |
| 64分 | 富山 | 深澤壯太 |
| 69分 | 富山 | キム テウォン |
| 83分 | 富山 | 平尾駿輝(GK) |
内訳は磐田3枚、富山6枚。意外にも、富山のほうが倍でした。
しかも富山の6枚のうち4枚が、リードしてからの53分以降に集中しています。83分にはGKの平尾駿輝にも出ました。
1点を守り切ろうとする側の必死さが、そのまま枚数になった。そう読むこともできると思います。
退場はありませんでした。
磐田 0-1 富山|スタッツで見ると
| 項目 | 磐田 | 富山 |
| シュート | 17 | 13 |
| 枠内シュート | 3 | 7 |
| ボール支配率 | 54% | 46% |
| パス成功率 | 79% | 76% |
| コーナーキック | 9 | 5 |
| フリーキック | 14 | 13 |
| オフサイド | 7 | 0 |
| 警告 | 3 | 6 |
支配率54対46、CK 9対5、パス成功率でも上回っています。数字だけ並べれば、磐田が押していた試合です。
それでも0-1。
後半20分時点では、枠内シュートが磐田2本に対して富山6本という時間帯もありました。押していても、危なかったのは磐田のほうだった瞬間がある。0-1というスコア以上に、薄氷だったのかもしれません。
富山との相性、実は悪くない
富山は苦手な相手、という印象を持っていました。でも調べてみたら、少し違いました。
| 日付 | 対戦 | 結果 |
| 2014/5/18 | 富山(A) | 磐田 1-0 ○ |
| 2014/8/17 | 富山(H) | 磐田 3-2 ○ |
| 2025/3/9 | 富山(A) | 磐田 1-3 ● |
| 2025/8/23 | 富山(H) | 磐田 2-0 ○ |
| 2026/9/6 | 富山(H) | 磐田 0-1 ● |
リーグ戦の通算は磐田の3勝2敗。勝ち越しています。
ただし直近3試合では富山の2勝1敗。2025年3月には富山のホームで1-3と敗れています。「相性が悪い」というより「最近やられている」というのが正確なところでした。
そしてこの日、ヤマハスタジアムでは初めて富山に負けました。
連勝は止まった。次は甲府
| 節 | 対戦 | 結果 |
| 第1節(H) | 秋田 | 1-1 |
| 第2節(国立) | 横浜FC | 1-3 |
| 第3節(H) | 徳島 | 2-1 |
| 第4節(A) | 栃木シティ | 3-1 |
| 第5節(H) | 富山 | 0-1 |
2勝1分2敗、勝点7で11位。得点7、失点7、得失点差0。きれいに五分の位置です。
リーグ2連勝とルヴァン勝利を合わせた公式戦3連勝は、ここで止まりました。
リーグ戦、次節は9月12日(土)19時、アウェイでヴァンフォーレ甲府戦。JITリサイクルインクスタジアムです。
管理人、馳せ参じます!
17本打って3本しか枠に飛ばなかった夜のあとで、次にどれだけ枠を捉えられるか。
内容は悪くなかった。あとは、決めるだけです。
この日の記録
| 項目 | 内容 |
| 大会 | 2026/27 明治安田J2リーグ 第5節 |
| 日時 | 2026年9月6日(日)19:03キックオフ |
| 会場 | ヤマハスタジアム(磐田) |
| スコア | ジュビロ磐田 0-1 カターレ富山(前半 0-1/後半 0-0) |
| 得点 | 22分 小川慶治朗(富山/アシスト:古川真人) |
| 入場者数 | 9,958人 |
| 天候 | 雨 気温23.7℃ 湿度79% |
| 主審 | 田中玲匡 |
| 磐田先発 | GK牲川歩見/DFダニーロ・桑原航太・吉村瑠晟/MF金子大毅・小原基樹・ユーリ ララ・乾貴士・イアゴ テレス・藤原健介/FWジョアン ヴィクトル |
| 磐田交代 | 57分 ジョアン ヴィクトル→太田龍之介/65分 藤原健介→井上潮音/65分 小原基樹→川﨑一輝/73分 イアゴ テレス→野澤零温/73分 金子大毅→渡邉りょう |
| 警告 | 磐田3枚(藤原42分・吉村45+2分・ダニーロ60分)/富山6枚 |
| 順位 | 磐田 11位(勝点7/2勝1分2敗) 富山 6位(勝点9/3勝2敗) |
| 次戦 | 9月12日(土)19:00 J2第6節 vs ヴァンフォーレ甲府(アウェイ・JITリサイクルインクスタジアム) |
雨の中、1万人近くが最後まで見届けた夜でした。
次は甲府。切り替えていきましょう。
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