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【DAZN観戦】小原基樹が移籍後初ゴール。10試合ぶりの複数得点で11位へ|磐田 2-0 鳥栖

前半を見ているあいだは、正直こう思っていました。「これは、勝てないな」と。

乾貴士がいない日でした

2026年10月31日(土)14時3分、ヤマハスタジアム(磐田)。明治安田J2リーグ第14節、サガン鳥栖戦です。

この試合、乾貴士は出場停止でした。前節のいわき戦で退場になったぶんの1試合です(乾貴士が一発退場。10人で守り切った勝点1|いわき 1-1 磐田)。

これ、数字で見るとけっこう重いことです。第13節終了時点のFootball LABによると、乾はチームのアシスト数(2)も攻撃ポイント(21.78)も、どちらもチーム1位でした。

チームでいちばん攻撃に絡んでいる選手がいない。しかも磐田は3試合連続ドローで14位。勝点3を取らないと上には行けない。

そういう日でした。

9,823人。今季ホームで初めての昼開催

この日の入場者数は9,823人。天候は晴、気温22.1℃、湿度36%。主審は野堀桂佑さんでした。

キックオフは14時3分です。実はこれ、今季のホームゲームで初めての昼開催でした。

節 相手 キックオフ 入場者数
第1節 秋田 夜 14,901人
第3節 徳島 夜 14,235人
第5節 富山 夜 9,958人
第8節 八戸 夜 11,086人
第10節 札幌 夜 12,349人
第12節 大分 水曜夜 6,782人
第14節 鳥栖 14:03 9,823人

ホーム平均は11,305人(この試合を含む7試合)。9,823人は、水曜ナイターだった大分戦に次いで少ない数字です。

ただ、11月の晴れた土曜の昼にヤマハへ1万人近くが来る、というのは、やっぱりすごいことだと思います。

先発の変更は、1人だけ

磐田の先発です。

Pos No 選手
GK 16 牲川歩見
DF 15 ユーリ ララ
DF 2 ダニーロ
DF 6 金子大毅
MF 29 桑原航太
MF 7 上原力也
MF 18 井上潮音
MF 8 為田大貴
MF 47 佐藤大樹
MF 14 小原基樹
FW 32 太田龍之介

システムは3-4-2-1。前節から変わったのは1人だけで、負傷交代した藤原健介のところに井上潮音が入りました。

乾は前節も途中出場だったので、出場停止でも先発はほとんど動かさなかった、ということです。

鳥栖も3-4-2-1。前節から先発の変更はゼロ。監督は小菊昭雄さんです。

前半のシュートは、1本

そして前半が、きつかった。

前半の数字 磐田 鳥栖
20分時点のシュート 0本 1本
40分時点のシュート 0本 7本
前半終了時のシュート 1本 8本
枠内シュート 1本 2本
コーナーキック 0本 3本
ゴール期待値(xG) 0.08 0.35

40分までシュート0本。コーナーキックも0本。

唯一のシュートは45+1分、前半のラストプレーでした。上原力也の左からのFKに、ダニーロがPA中央からヘディング。これはGK松原颯汰に止められています。

つまり磐田の前半のシュート1本は、セットプレーからの1本だけでした。

なんとか耐え抜いて、0-0で折り返した。見ていて、そんな前半でした。

坂本亘基が、ひとりで怖かった

その鳥栖の攻撃、見ていていちばん怖かったのが坂本亘基でした。

この日の坂本の数字です。

項目 坂本亘基
シュート 5本(両チーム最多)
ドリブル 9回成功/9回(成功率100%)
こぼれ球奪取 3回

ドリブル9回、全部成功しています。

前半の時系列を並べると、ほとんど坂本の名前が出てきます。

時間 できごと
19分 坂本がドリブルでPA左へ → シュートは枠外
28分 坂本が左から持ち運んでクロス → ユーリ ララがクリア
30分 坂本が左から持ち運んでクロス → 上原力也がクリア
30分 坂本がPA手前から右足 → 牲川歩見がセーブ
31分 坂本がPA左から左足 → 上原力也がブロック
44分 坂本が中央から持ち込んで右足 → 牲川歩見がセーブ

ほかにも26分に山内翔のシュートを上原がブロック、32分に阿部海大のシュートをダニーロがブロック。

前半だけで、上原力也が4回(クリア2回・ブロック2回)、ダニーロが1ブロック、牲川歩見が2セーブ。この7つがなかったら、0-0では折り返せていません。

ちなみに磐田は今季、1試合平均タックル20.3回でリーグ1位です(第13節終了時点)。耐える力は、数字の裏づけがあります。

ハーフタイム、2枚替え

後半開始から、秋葉忠宏監督が2人替えました。

OUT IN
太田龍之介 マテウス ペイショット
為田大貴 川﨑一輝

前線と左に、違うタイプを入れる交代です。

マテウス ペイショットのハーフタイム投入は、前節のいわき戦に続いて2試合連続。しかも前節も太田龍之介との交代でした。同じ形を、2試合続けて使っています。

交代は、20分で効きました

この交代、数字ではっきり効いています。

時点 磐田 シュート(枠内)/xG 鳥栖 シュート(枠内)/xG
前半終了(45+1分) 1(1)/0.08 8(2)/0.35
65分 5(2)/0.83 12(3)/0.79
85分 8(3)/1.03 15(3)/1.02
試合終了 11(4)/1.97 15(3)/1.02

前半45分でシュート1本・xG 0.08だったチームが、後半の20分で4本・xG 0.75を積み増しました。

入った川﨑一輝が、さっそく仕事をします。48分に左からクロス、49分にも左からクロス。そして49分、この試合初めてのコーナーキックを獲得しました。

後半4分まで、磐田にはコーナーキックが1本もなかったということです。

58分。4回目のシュートで、ようやく

そして58分でした。

この1分間、磐田は立て続けに攻めています。

順番 できごと
1 上原力也がPA中央から右足 → 森下怜哉がブロック
2 こぼれ球を川﨑一輝が左足 → 塩浜遼がブロック
3 左CK(キッカー井上潮音)→ 髙橋利樹がクリア
4 ゴール

Jリーグ公式の記述を、そのまま載せます。

「左サイドから小原がドリブルで前進。そのまま持ち運んでクロスを供給する。ペナルティエリア内からユーリララがパスを送る。これに反応した川崎がペナルティエリア中央から左足で枠内にシュートを放つも、豊田にブロックされる。最後はMペイショットがペナルティエリア中央から右足でゴール左上に決める」

(ブロックした豊田歩は鳥栖のMFです。この日の鳥栖のGKは松原颯汰でした)

見ていたときは「ペナルティエリア内のユーリ ララのパスから」だと思っていたのですが、記述を読み直して気づきました。

この攻撃の起点は、小原基樹の左サイドのドリブル突破とクロスです。

その前に、小原が左を破っていました。ここ、あとで効いてきます。

マテウス ペイショットは、これが今季のリーグ戦では初ゴールです。

そして、この形です。

シュートを打って、こぼれ球をもう一度シュート。この厚みのある攻撃、相手にとってはかなりの脅威だと思います。

1分間で4回。ブロックされても、クリアされても、次が来る。守るほうからすると、いちばん嫌な時間ではないでしょうか。

先制してからが、いちばん怖かった

1-0になってからの10分が、この試合の山場でした。

時間 できごと
62分 髙橋利樹のスルーパス → 吉田真那斗がPA右から右足 → 牲川歩見がセーブ
63分 右CK → マテウス ペイショットがクリア
63分 塩浜遼がPA中央から左足 → ダニーロがブロック
64分 左CK → 上原力也がクリア
64分 坂本亘基がPA内まで持ち込んでクロス → 上原力也がブロック
64分 左CK → 森下怜哉がシュート、枠外
69分 坂本亘基がPA左からシュート、枠外

この60〜75分、ボール保持率は磐田42%、鳥栖58%。この試合でいちばん押し込まれた時間帯です。

攻め込まれるたびに、ヒヤヒヤの連続でした。1点差では、まったく安心できません。

68分に秋葉監督がもう2枚。佐藤大樹→イアゴ テレス、井上潮音→松原后。攻撃と守備を1枚ずつ、という交代です。

89分、小原基樹

そして89分でした。

左コーナーキック。キッカーは上原力也です。

蹴り込んだボールはクリアされ、そのこぼれ球を誰かが撃ち、ゴールの枠に当たります。そして、さらにこぼれたボールに反応したのが小原基樹でした。

PA中央から、左足。ゴール左上。

小原基樹、移籍後初ゴールです。

小原は今年6月25日にサンフレッチェ広島から期限付き移籍で加入しました。磐田での公式戦は、この日までリーグ戦11試合とルヴァンカップ2試合。13試合目で、やっと1点目です。

ここも「こぼれ球」でした。58分の先制点も、89分の追加点も、どちらも誰かが撃ったあとのボールです。

試合前の見出しは「小原基樹は意欲を燃やしている」でした

ここ、今回いちばん書きたかったところです。

この試合の前、Jリーグ公式サイトに出ていた見どころ記事のタイトルが、これでした。

「磐田に足りないのは決め切る力。小原基樹は意欲を燃やしている」

そして試合では。

時間 小原基樹がやったこと
58分 左サイドをドリブルで突破してクロス。先制点の起点
89分 こぼれ球を左足で。追加点
90分通して ブロック4回(チーム最多)

起点になって、決めて、守った。

「決め切る力」が足りないと言われていたチームで、「意欲を燃やしている」と書かれた選手が、2点とも絡んで移籍後初ゴールを決めました。

こういう日があるから、見るのをやめられないんですよね。

数字で見る90分

この試合のスタッツです。

磐田 鳥栖
シュート 11本 15本
枠内シュート 4本 3本
ボール保持率 45% 55%
パス(成功率) 398本(75.1%) 493本(77.5%)
CK 7本 7本
ゴール期待値(xG) 1.97 1.02

見てのとおり、シュートもパスもボール保持率も、全部鳥栖が上です。

上回ったのは枠内シュート(4対3)と、ゴール期待値(1.97対1.02)。そしてスコアが2-0。

これ、磐田にとっては珍しい形です。今季の磐田は、第13節終了時点で1試合平均のゴール期待値1.577に対して、実際のゴールは1.08。差分は-0.497でした。作ったチャンスの半分くらいしか決められていないチームだったんです。

この日はxG 1.97に対して2得点。やっと、期待値どおりに決めました。

15本打って、0点

逆に、鳥栖の話をします。

鳥栖は15本打って、0点でした。これ、今季の鳥栖そのものの数字です。

項目(第13節終了時点) 鳥栖の値 リーグ順位
1試合平均シュート 16.7本 2位
チャンス構築率 14.8% 2位
シュート成功率 6.5% 19位

撃つ量はリーグ2位、決まる率はリーグ19位。この日の15本0点は、偶然ではありませんでした。

それと、鳥栖はこれでアウェイ5連敗、今季アウェイ未勝利(0勝2分5敗)です。ホームでは強いチームなので、そこの落差がそのまま順位に出ています。

あと、鳥栖の最後のシュートは85分でした。そこから試合終了まで、1本も打たせていません。

10試合ぶりの複数得点

さて、ここがこの試合のいちばん大きい数字です。

節 相手 磐田の得点
第4節 栃木シティ(A) 3
第5節 富山(H) 0
第6節 甲府(A) 1
第7節 新潟(A) 1
第8節 八戸(H) 1
第9節 仙台(A) 1
第10節 札幌(H) 1
第11節 宮崎(A) 1
第12節 大分(H) 0
第13節 いわき(A) 1
第14節 鳥栖(H) 2

8月29日の栃木シティ戦(3-1)を最後に、9試合続けて1得点以下でした(開始5分で2-0!ゴールは奪える時間帯に奪うべし|栃木C 1-3 磐田)。

約2か月、10試合ぶりの複数得点です。

今季の複数得点は、これで3試合目。第3節の徳島戦(2-1)、第4節の栃木シティ戦(3-1)、そしてこの日。

2点取っての完封は、今季初めて

そしてもうひとつ。

節 相手 スコア
第6節 甲府(A) 1-0
第10節 札幌(H) 1-0
第12節 大分(H) 0-0
第14節 鳥栖(H) 2-0

今季4度目の完封です。14試合で4つ。

でも、ここに気づいてほしいんです。これまでの3つは、1-0、1-0、0-0。

2点以上取って完封したのは、今季これが初めてです。

札幌戦は1点を守り切る試合でした(後半のシュートは1本。クリア34本で守り切った|磐田 1-0 札幌)。大分戦は取れずに0-0でした(大分のGKに前半だけで4本。これで3試合連続無得点|磐田 0-0 大分)。

守れる。でも取れない。それがずっと続いていました。

この日、守れて、取れました。

ちなみにヤマハでは、これで3試合連続無失点です(1-0、0-0、2-0)。ホームは3試合負けなし。

勝点19で11位。得失点差がプラスになりました

この勝利で磐田は5勝4分5敗、勝点19。順位は14位から11位に上がりました(※10月31日時点の暫定)。

順位 クラブ 試合 勝点 得点 失点 得失
8 いわきFC 14 20 23 20 +3
9 北海道コンサドーレ札幌 14 20 17 19 -2
10 大分トリニータ 14 19 17 12 +5
11 ジュビロ磐田 14 19 16 15 +1
12 サガン鳥栖 14 17 14 17 -3
13 徳島ヴォルティス 14 17 11 14 -3

小さいことですが、ひとつ。

得失点差が、-1から+1になりました。

今季ここまでずっとマイナスだった得失点差が、この2-0でプラスに転じています。勝点が並んだときに効いてくる数字です。

8位のいわきまで、勝点差は1。1勝で8位まで行けます。

4試合負けなし。でも、まだ連勝がない

これで磐田は4試合負けなし(1勝3分)。第9節の仙台戦以降、5試合負けていません。

ただ、正直に書きます。

磐田は今季、まだ1度しか連勝していません。

勝った試合 その次の試合
第3節 徳島 ○2-1 第4節 栃木C ○3-1
第4節 栃木C ○3-1 第5節 富山 ●0-1
第6節 甲府 ○1-0 第7節 新潟 ●1-2
第10節 札幌 ○1-0 第11節 宮崎 △1-1
第14節 鳥栖 ○2-0 第15節 藤枝 ?

連勝は第3節と第4節の1回だけ。8月の話です。

勝ったあとに勝てない。ここを変えられるかどうかが、次の試合です。

次は中2日、アウェイで藤枝

次節は11月3日(火・祝)14時、藤枝総合運動公園サッカー場で藤枝MYFC戦。

中2日です。かなり短い。

相手の藤枝は、16位・勝点15。順位だけ見れば下ですが、油断できる相手ではありません。

節 H/A 相手 結果
第9節 H 湘南 1-1 △
第10節 A 鳥栖 0-1 ●
第11節 H 山形 0-0 △
第12節 A 栃木C 2-2 △
第13節 H 徳島 0-1 ●

直近5試合は0勝3分2敗。第4節を最後に、9試合勝てていません。

でも、だからこそ怖い。藤枝のホームは2勝4分1敗で1敗だけです。勝ち切れないかわりに、簡単には負けないチームになっています。

そして、ひとつ大きな情報があります。

藤枝の槙野智章監督は、この試合も出場停止です。10月29日にJリーグから2試合の出場停止処分が発表されていて、対象は第14節と第15節。つまり磐田戦のベンチに入れません。

そして磐田には、乾貴士が帰ってきます。出場停止は1試合だけだったので、藤枝戦から出られます。

アシストもチームトップ、攻撃ポイントもチームトップの選手が戻ってくる。しかも今日、その乾がいない状態で10試合ぶりの複数得点を取りました。

中2日はきついですが、材料はそろっています。

最後に、この日いちばん効いた言葉を。試合前の見どころ記事のタイトルです。

「磐田に足りないのは決め切る力。小原基樹は意欲を燃やしている」

燃やしていました。しっかり。

火曜、藤枝で。

(今季の全日程と結果はこちらのページにまとめています)


※スタッツはJ.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)に基づく、試合直後の数値です。Jリーグ公式の試合記録(data.j-league.or.jp)では、シュートが11対13、CKが7対7、FKが13対16と記録されています。シュート数(鳥栖)とFK数(磐田)が2系統で食い違っています。
※Optaの数値は試合直後に修正が入りました(磐田のシュート10→11本、ゴール期待値1.89→1.97、鳥栖のゴール期待値0.96→1.02)。本稿は修正後の数値を採用しています。
※オフサイドの数は、Jリーグ公式記録とJ.Leagueサイトが「磐田2・鳥栖0」、スポーツナビが「磐田0・鳥栖2」と真逆に表示されています。どちらが正しいか確認できないため、本文には記載していません。
※89分のゴールについて、Jリーグ公式の記述は「キッカーの上原がボールを蹴り込むも、松原にクリアされてしまう。こぼれ球に反応した松原がペナルティエリア中央からシュートを放つも、ゴールの枠に当たってしまう。最後はこぼれ球に反応した小原がペナルティエリア中央から左足でゴール左上に決める」です。この「松原」が鳥栖のGK松原颯汰なのか、68分から出場していた磐田のDF松原后なのか、記述からは区別できないため、本文では名前を特定していません。
※マテウス ペイショットの得点は、今季のリーグ戦では初ゴールです。ルヴァンカップでは今季2得点を記録しています。
※小原基樹は2026年6月25日にサンフレッチェ広島から期限付き移籍で加入しており、この得点が磐田での公式戦初ゴールです。
※本文中の1試合平均の数値(ゴール期待値、チャンス構築率、シュート成功率、タックル数、アシスト数、攻撃ポイント)は、すべてFootball LABの2026年10月27日更新ぶん=第13節終了時点のものです。この試合の数値は含まれていません。
※秋葉忠宏監督および選手のコメントは、本稿執筆時点でクラブ公式・Jリーグ公式のいずれにも掲載されていません。
※2026/27シーズンのJ2リーグにVARは導入されていません。この試合もVAR・AVARは配置されていません。
※順位は2026年10月31日時点の暫定です。同日の秋田対藤枝が雷の影響でキックオフを45分遅らせたため、本稿執筆時点では試合中でした。J2の公式順位表は公式記録の確定後に確定します。

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【現地観戦】乾貴士が一発退場。10人で守り切った勝点1|いわき 1-1 磐田

勝たなきゃいけない試合でした。

雨のハワイアンズスタジアムいわきへ

2026年10月25日(日)、ハワイアンズスタジアムいわき。明治安田J2リーグ第13節、いわきFC対ジュビロ磐田です。

遠征してきました。

ハワイアンスタジアムいわき|いわき vs. 磐田

ハワイアンスタジアムいわき|いわき vs. 磐田

常磐線の湯本駅から、スタジアムまでは歩いて30分、シャトルバスで10分。駅を降りた時点で、もう降っていました。

傘よりカッパのほうがいい日です。実際、スタジアムの前は赤いポンチョだらけでした。

ここで、先に書いておきます。Jリーグの公式記録では、この日の天候は「曇」です。気温19.3℃、湿度90%。でも、湿度90%という数字が全部を語っていると思います。試合中も、終盤はしっかり降っていました。

秋葉忠宏監督も、試合後にこう言っています。

「さらに、この雨のいわきまで300人近いジュビロを愛するファン・サポーターが来てくれて、最後にはゴール裏から我々に力強いエールを送ってくれました」

記録は「曇」。でも、降っていました。両方書いておきます。

3,680人。いわきの今季ホーム最少

この日の入場者数は3,680人でした。

ハワイアンズスタジアムいわきは、芝生席を含めて5,000人規模のスタジアムです。そこに3,680人なので、スカスカという感じはまったくしません。むしろ、距離が近い。

いわき vs. 磐田|ハワイアンズスタジアムいわき

いわき vs. 磐田|ハワイアンズスタジアムいわき

ただ、いわきの今季ホームゲームの中では、いちばん少ない数字です。雨と、中3日の日曜開催(湘南戦から中3日)が重なりました。

そのうち300人近くが、磐田から来ていた人たちです。秋葉監督が試合後にわざわざ触れたのは、たぶんそのへんが見えていたからだと思います。

アウェイのゴール裏は芝生席でした。雨の芝生席で90分立っている人たちが、300人。

先発は3-4-2-1。上原力也が今季初先発

磐田の先発です。

先発メンバー|いわき vs. 磐田

先発メンバー|いわき vs. 磐田

Pos No 選手
GK 16 牲川歩見
DF 29 桑原航太
DF 15 ユーリ ララ
DF 2 ダニーロ
MF 8 為田大貴
MF 7 上原力也
MF 6 金子大毅
MF 14 小原基樹
MF 77 藤原健介
MF 47 佐藤大樹
FW 32 太田龍之介

システムは3-4-2-1。為田大貴が左のウイングバック、小原基樹が右。藤原健介と佐藤大樹がシャドーで、前は太田龍之介ひとりです。

そして上原力也が今季初先発でした。前節の大分戦で途中出場して、そのまま先発を勝ち取った形です。

ベンチには川島永嗣、松原后、西久保駿介、川﨑一輝、増田大空、井上潮音、乾貴士、イアゴ テレス、マテウス ペイショット。前節スタメンだった3人が、そろってベンチスタートです。

いわきは3-1-4-2。GK佐々木雅士、3バックが桒田大誠・中野陽斗・深港壮一郎、アンカーに藤井海和、前に高橋勇利也・木吹翔太・山口大輝、そして道脇豊・西谷亮・熊田直紀。監督は田坂和昭さんです。

6分、熊田直紀

そして、始まって6分でした。

Jリーグ公式の記述はこうです。

「ペナルティエリア内からの高橋のクロスに反応した熊田がペナルティエリア中央から右足でゴール左下に決める」

高橋勇利也のクロスに、熊田直紀。現地で見ていても、あっという間でした。「あ」と言っているうちにネットが揺れていた感じです。

秋葉監督は、この失点をこう振り返っています。

「試合の入りに気をつけようと言っていた中で、選手たちはウォーミングアップから非常に集中していました。ただ、あの早い時間帯に、スカウティングしていたクイックのプレーからやられたというのは、良い入りをしなければいけないと必死にやっている中でも、どこかに隙があったのかなと思います」

スカウティングしていた。つまり知っていた形で、やられたということです。

熊田直紀はこれが今季5点目。第12節終了時点でいわきのチーム得点王(4点)だった選手が、きっちり1点増やしました。

24分、藤原健介が倒れた

24分です。

藤原健介が倒れて、一度は立ち上がってプレーを続けようとしました。でも、続けられませんでした。

交代で入ったのは松原后。DFです。シャドーが抜けた穴に、DFが入りました。

この交代の意味は、たぶん「同じポジションの選手を入れる余裕がなかった」のではなく、「ここでシステムをいじってでも、後半の3枚替えのカードを残した」ということだと思います。実際、後半開始から3枚替えが来ます。

秋葉監督は、藤原の状態についてこう話しました。

「前半で交代するくらいですから、おそらく軽いものではないと思っています。これから病院に行って検査をしなければ分からないと思いますけど、あれだけ強気でキャプテンシーのある選手が、あの時間帯で一度プレーを続けようとして、それでも交代するということは、簡単なトラブルではないと思っています」

検査結果を待ちます。

なお、入ったばかりの松原后は31分に警告を受けています。慣れないポジションでの31分だったのか、単に厳しいプレーだったのかは、見ていて判断がつきませんでした。

前半のことは、上原力也が全部説明してくれた

前半は0-1で折り返しました。

正直、前半は「重いな」と思って見ていました。いわきが前から来て、磐田が引っかかる。そういう時間が続いていました。

これ、上原力也が試合後にそのまま説明してくれています。

「前から来る相手で、そこに自分たちも引っかかるシーンや、うまくいかないシーンもありました。ただ、相手もパワーを出してボールを奪いに来なければいけない中で、前半のラスト10分くらいはかなりきつそうでした」

「これを続けていれば絶対に点を取れるし、後半は相手も落ちてくると思っていました」

いわきは、第12節終了時点で攻撃回数がリーグ2位(1試合126.9回)のチームです。前から行って、たくさん仕掛ける。その代わり、後半は落ちる。

上原は、重く見えていた前半の中で、相手の息が上がっていくのを見ていました。こういう選手がいると違うんだな、と思いました。

後半開始、3枚替え。「予定どおりです」

ハーフタイムで、磐田は一気に3人替えました。

OUT IN
佐藤大樹 乾貴士
為田大貴 イアゴ テレス
太田龍之介 マテウス ペイショット

前線が総入れ替えです。

これ、ビハインドだから慌てて替えたのかな、と思って見ていました。違いました。

「もちろん5連戦の最後だったことや、相手との兼ね合い、コンディションなど、いろいろなものをトータルで考えた中で、これが一番勝つ確率が高いのではないかと判断しました。コーチングスタッフやメディカルスタッフなど、いろいろな方の知恵を集めて決めたことなので、あの3枚替えは予定どおりです」(秋葉監督)

予定どおり。前半のうちから決まっていた、ということです。

上原力也も、入ってきた3人についてこう言っています。

「後半に入った選手たちは、僕と似たような感覚を持っている選手たちなので、非常にやりやすかったですし、楽しかったです」

楽しかった、という言葉が出てくる0-1ビハインドの後半も、なかなかありません。

63分、いわきが一番やられている形で

60分に、いわきが2人替えました。高橋勇利也と木吹翔太を下げて、加藤大晟と久永瑠音。先制点をアシストした高橋がピッチを出て、3分後です。

63分でした。

Jリーグ公式の記述を、そのまま載せます。

「左サイドからのCKを獲得。キッカーの上原がボールを蹴り込むも、道脇にクリアされてしまう。こぼれ球に反応した乾がペナルティエリア左から右足で枠内にシュートを放つ。最後はイアゴ テレスがペナルティエリア中央からヘディングでゴール右上に決める」

現地では「乾のシュートにイアゴ テレスがコースを変えた」ように見えました。記述と合わせると、そのとおりです。枠内に飛んでいた乾のシュートに、イアゴ テレスが頭で触って、ゴール右上に行った。

公式記録の得点者はイアゴ テレス、アシストは乾貴士です。オウンゴールでも、乾のゴールでもありません。

ここで、数字をふたつ置かせてください。第12節終了時点のFootball LABのデータです。

最も多いパターン 本数(割合)
磐田の得点 セットプレーから 4点(30.8%)
いわきの失点 セットプレーから/クロスから 各6点(各33.3%)

磐田がいちばん点を取っている形で、いわきがいちばん点を取られている形です。

「セットプレーからでしたけど同点に追いつきました」と秋葉監督は言いましたが、「でしたけど」ではないと思います。そこを狙うのが、いちばん確率が高かったはずです。

イアゴ テレスはこれで今季5点目。チーム得点王です。

76分、乾貴士

そして、76分でした。

乾貴士が、一発退場です。

公式記録には「退場 乾 貴士 76’」とあるだけで、理由は書かれていません。この日の乾に警告はありませんから、2枚目の警告ではなく、一発です。

現地でも何が起きたかははっきり見えました。やってはいけないことでした。

同点にしたのが63分、そのきっかけを作ったのも乾でした。13分後です。

秋葉監督のコメントを、ほぼ全部そのまま載せます。ここは要約したくありませんでした。

「さあ、これからというときに、乾貴士はやってはいけないことをしました。あれは今後、クラブとしてもチームとしても、そして個人としても絶対にあってはいけないことです。それは厳しく話しましたし、本人も分かっていると思います」

「あそこで感情をコントロールできるように、あれだけのキャリアがある選手だからこそ、チームの模範となるような振る舞いをしてほしかったということは厳しく伝えました。きっと今後、彼がまたチームに良い影響をもたらしてくれると信じています」

「厳しく」が2回出てきます。

乾貴士は、第12節終了時点で磐田の攻撃ポイント(Chance Building Point)チーム1位の選手です。21.02ポイント。2位以下を引き離しています。この試合でも、同点ゴールの起点になりました。

その選手が、自分でピッチを去りました。

出場停止の試合数は、本稿執筆時点(10月26日0時)でまだ発表されていません。Jリーグの「出場停止のお知らせ」は10月22日付が最新です。一発退場なので次節・鳥栖戦の欠場は確定ですが、何試合になるかは規律委員会の決定待ちです。

リーグ戦13試合を見てきて、磐田の選手が退場になったのを見たのは、これが初めてでした。

残り14分+アディショナルタイム

10人になりました。1-1です。

82分に上原力也を下げて、西久保駿介。守りに人を足す交代です。いわきも69分に熊田直紀を下げて今野息吹、90分に藤井海和を下げて永木亮太と、前に重心をかけてきました。

ここからの時間は、現地だとすごく長く感じます。

秋葉監督の言葉です。

「その後の選手たちは、25分、30分ほど10人で戦う苦しい状況でも、絶対に勝点だけは持って帰るんだという思いを見せてくれました。もちろん勝点3を取りにいきながらも、最後のアディショナルタイムに入ってからは、何が何でも勝点を持って帰る。相手のパワープレーにも屈することなく、全員で跳ね返し続けました」

GKの牲川歩見は、こう言っています。

「攻撃のところでは、ペイ(ペイショット)やイアゴ(テレス)がピッチにいたので、一発で仕留めるところは狙いつつ、失点しないことが一番重要でしたし、勝点を持ち帰ることが大事だったと思います」

10人になっても、前に残した2人で殴り返す準備はしていた。でも、優先順位は失点しないこと。はっきりしています。

結果、いわきの枠内シュートは4本のままで終わりました。

数字で見る90分

この試合のスタッツです。

いわき 磐田
シュート 11本 10本
枠内シュート 4本 4本
ボール保持率 44% 56%
パス(成功率) 328本(62.8%) 494本(75.3%)
CK 4本 5本
FK 19本 17本

10人で14分+アディショナルタイムを戦って、保持率56%、パス494本です。

いわきは第12節終了時点で被チャンス構築率リーグ2位(9.2%)、被シュート3位(1試合11.9本)。つまり「打たせない」チームです。そこから10本打って、枠内に4本。数字としては悪くありません。

いわきのパス成功率62.8%というのも、このチームらしい数字です。つなぐより、前に速く送る。攻撃回数リーグ2位の裏側がこれです。

9試合続けて、1点以下

ただ、いちばん気になっている数字は、今回も変わりませんでした。

試合結果|いわき 1-1 磐田

試合結果|いわき 1-1 磐田

節 相手 磐田の得点
第4節 栃木シティ(A) 3
第5節 富山(H) 0
第6節 甲府(A) 1
第7節 新潟(A) 1
第8節 八戸(H) 1
第9節 仙台(A) 1
第10節 札幌(H) 1
第11節 宮崎(A) 1
第12節 大分(H) 0
第13節 いわき(A) 1

8月29日の栃木シティ戦(3-1)を最後に、9試合続けて1点以下です。リーグ戦13試合で14得点。複数得点はいまだに2試合(第3節の2点、第4節の3点)だけです。

第12節終了時点のFootball LABの数字では、磐田のゴール期待値は1試合1.604に対して、実際のゴールは1.08。差分は-0.524です。シュート成功率7.9%はリーグ15位。

チャンス構築率は11.1%で10位。チャンスは平均的に作れていて、決まっていない。この形がずっと続いています。

一方で、守備の数字は上位です

悪い話ばかりではありません。

第12節終了時点で、磐田のKAGI(守備の指標)は53.4でリーグ3位です。AGI(攻撃の指標)が51.9の8位ですから、はっきり守備のチームになっています。

この日、10人で守り切れたのは、気持ちだけではないと思います。牲川歩見の話が、それを裏づけています。

「秋葉さんも身体を張るということはよく言っていますけど、GKとの連係も意識しながら、どのコースを切るのかというところを、みんながすごく理解してきていると思います。どうやってコースに入っていけばいいのかというところも、お互いに声を掛け合いながらやってきたことで、うまく詰められるようになってきたからこそ、身体にボールが当たっていると思います」

「勇気が必要なプレーですけど、身体を張って対応してくれていることには感謝しかありません」

キーパーがここまで言うので、相当だったんだと思います。

ハワイアンズスタジアムいわきで、初めての勝点

それと、小さいけれど、ひとつ。

磐田はこのスタジアムで、これまで勝点を取ったことがありませんでした。2025年8月のJ2で1-3、2026年3月の百年構想リーグで0-1。2試合2敗です。

この1-1が、ハワイアンズスタジアムいわきでの初めての勝点1になりました。

いわきはこのスタジアムで、今季まだ負けていません。その無敗は続いたままですが、少なくとも勝たせませんでした。

5連戦が、終わりました

秋葉監督が言っていた「5連戦」は、10月10日から数えた5試合です。

日付 大会 H/A 相手 結果
10/10(土) J2第10節 H 札幌 1-0 ○
10/14(水) ルヴァン H 川崎F 0-4 ●
10/17(土) J2第11節 A 宮崎 1-1 △
10/21(火) J2第12節 H 大分 0-0 △
10/25(日) J2第13節 A いわき 1-1 △

16日間で5試合。そのうち移動は、川崎・宮崎・いわき。宮崎からいわきまで、だいたい日本の端から端です(1点が遠い。宮崎と1-1で、これで3試合負けなし|宮崎 1-1 磐田)。

リーグ戦に絞れば4試合で1勝3分、無敗。失点は1-0、1-1、0-0、1-1で合計2です。勝点は6。

この日程で無敗は、評価していい数字だと思います(大分のGKに前半だけで4本。これで3試合連続無得点|磐田 0-0 大分)。

3試合連続ドロー、4試合負けなし

宮崎、大分、いわき。3試合連続のドローです。今季最長になりました。

札幌戦の勝利を入れると4試合負けなし(1勝3分)。でも、4試合で勝点6です。4連勝なら12ですから、半分。

牲川歩見が、そこを正面から言っています。

「これまでホームでは良い戦いができている中で、この4試合の価値をより高めるのは勝利だと思います。勝たないとみんな笑顔になってくれないと思いますし、スタジアムにも足を運んでもらえないと思うので、次はホームで勝ちたいと思います」

「勝たないとみんな笑顔になってくれない」。雨の芝生席に300人いたことを思うと、この一文はけっこう効きます。

勝点16で14位。順位は3つ下がりました

この引き分けで磐田は4勝4分5敗、勝点16。順位は11位から14位になりました(※10月25日20時35分時点の暫定)。

負けていないのに3つ落ちたのは、同じ日に周りが勝ったからです。この日のJ2は、秋田が今治に1-0、宮崎が山形に2-0、札幌が富山に1-0、鳥栖が八戸に2-0。引き分けた磐田と大分以外、上位が順当に勝ちました。

順位 クラブ 試合 勝点 得点 失点 得失
9 いわきFC 13 17 20 19 +1
10 サガン鳥栖 13 17 14 15 -1
11 徳島ヴォルティス 13 17 11 13 -2
12 北海道コンサドーレ札幌 13 17 16 19 -3
13 ブラウブリッツ秋田 13 16 14 14 0
14 ジュビロ磐田 13 16 14 15 -1
15 藤枝MYFC 13 15 15 14 +1

9位から14位まで、勝点差はわずか1です。1勝で9位まで行けます。本当に、1勝だけの話です。

いわきは勝点17で9位。ハワスタ無敗を守って、順位をひとつ上げました。

次は中5日、ホームでサガン鳥栖

次節は10月31日(土)14時、ヤマハスタジアムでサガン鳥栖戦。中5日です。この連戦のあとに5日空くのは、かなり大きいと思います。

その鳥栖が、ちょっと不思議な相手です。

試合 勝点 得点 失点 得失
サガン鳥栖(10位) 13 17 14 15 -1
ジュビロ磐田(14位) 13 16 14 15 -1

得点も失点も得失点差も、完全に同じです。違うのは勝点1だけ。ここまで似ている2チームが当たるのも珍しい。

鳥栖は監督が小菊昭雄さんで、この日は八戸に2-0。ホームでは強いチームですが、ヤマハに来ます。磐田は鳥栖に直近2連勝中です。

そして、乾貴士はいません。藤原健介も、検査結果次第です。

ここまで磐田を引っ張ってきた2人を欠いて、ホームで勝点3を取りにいく。難しい試合になります。

でも、上原力也がいます。イアゴ テレスがいます。マテウス ペイショットがいます。そして、10人でも崩れなかった守備があります。

最後に、秋葉監督がこの日いちばん強く言っていたことを。

「あとはいつも言っていますけど、監督である僕がどう勝点3を持ってくるのかということだと思います。本当に選手たちは毎試合90分間、常に100%ファイトしながら勝利を目指してやってくれています。あとは僕自身がもっともっと必死に知恵を絞り、勉強しながら、いろいろなことを考えて、しっかりと勝点3を取れるチームにしたいと思っています」

この日の勝点1について、正直に書きます。

負けなかった。それ以上でも、以下でもありません。

いや、少しだけ「以上」はありました。このスタジアムで初めての勝点で、10人になっても守り切れることを証明した90分でした。

でも「以上」はそこまでです。勝たないと、順位は上がりません。

湯本の駅まで戻る道も、まだ降っていました。それでも、来てよかったと思っています。前に遠征した仙台では、最後の最後に沈みました(シュートは3本だけ。90+4分、首位仙台に力尽きる|仙台 2-1 磐田)。今回は、沈みませんでした。

土曜、ヤマハで。

(今季の全日程と結果はこちらのページにまとめています)


※スタッツはJ.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)に基づく、試合直後の数値です。Jリーグ公式の試合記録(data.j-league.or.jp)ではシュートが9対9、CKが4対5、FKが19対17と記録されています。
※「第12節終了時点」として引用したシーズン平均の数字(ゴール期待値、チャンス構築率、AGI/KAGI、得点・失点パターン、チャンスビルディングポイント)は、すべてFootball LABの2026年10月23日更新ぶんです。第13節ぶんのタイムライン・シュート・チャンスビルディングポイントは、本稿執筆時点で未公開です。
※この試合の天候は、Jリーグ公式記録では「曇」、気温19.3℃、湿度90%、ピッチは全面良芝と記録されています。本文中の「雨」は、現地での見え方と、秋葉忠宏監督の試合後コメント(「この雨のいわきまで」)に基づく記述です。
※オフサイドの数は、Jリーグ公式記録(いわき4・磐田1)とJ.Leagueサイトのスタッツ(いわき1・磐田4)でホームとアウェイが逆に表示されています。どちらが正しいか確認できないため、本文には記載していません。
※乾貴士の退場の理由は、Jリーグ公式記録には記載されていません。本人に警告がないため、2枚目の警告ではなく一発退場です。出場停止の試合数は、本稿執筆時点(2026年10月26日0時)で未発表です。
※藤原健介の負傷の程度は、本稿執筆時点でクラブから発表されていません。
※2026/27シーズンのJ2リーグにVARは導入されていません。この試合もVAR・AVARは配置されていません。
※磐田のハワイアンズスタジアムいわきでの過去2試合(2025年8月のJ2、2026年3月の百年構想リーグ)は、いずれも敗戦です。
※順位は2026年10月25日20時35分時点の暫定です。J2の公式順位表は公式記録の確定後に確定します。
※写真に写っているお客さまについては、顔が識別できないようぼかし処理をしています。

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【DAZN観戦】大分のGKに前半だけで4本。これで3試合連続無得点|磐田 0-0 大分

崩せていなかった、わけではありませんでした。

創立55周年記念マッチのヤマハで

2026年10月21日(水)19時、ヤマハスタジアム(磐田)。明治安田J2リーグ第12節、大分トリニータ戦です。

この日はクラブ創立55周年記念「セキスイハイム東海マッチ」。主審は窪田陽輔さんで、キックオフは19時03分でした。

相手の大分は、前節まで3連勝。しかもそれだけではありません。

節 日付 H/A 相手 結果
第8節 9/26 H 藤枝 1-1
第9節 10/3 H 山形 2-1 ○
第10節 10/10 A 横浜FC 2-1 ○
第11節 10/17 H 新潟 5-1 ○

前節は新潟に5-1です。そして第5節からリーグ戦7試合負けなしという状態で、ヤマハに乗り込んできました。

監督は四方田修平さん。失点はここまで9で、これは首位・仙台と並ぶJ2最少タイです。得点16に対して失点9。守備の上に立っているチーム、ということになります。

ここで叩いて大分のリズムを崩したい。そういう試合でした。

先発は前節から4人変更。山﨑浩介はメンバー外

磐田の先発は、前節の宮崎戦(1-1)から4人変更です(天皇杯の借りは返せず。宮崎には公式戦3試合で未勝利|宮崎 1-1 磐田)。

山﨑浩介、佐藤大樹、乾貴士、ジョアン ヴィクトルが外れて、金子大毅、小原基樹、藤原健介、マテウス ペイショットが入りました。

布陣は3-4-2-1。GK牲川歩見、3バックはダニーロ・ユーリ ララ・桑原航太。中盤に金子大毅、為田大貴、小原基樹、井上潮音。シャドーにイアゴ テレスと藤原健介。前線にマテウス ペイショット。

ここで、ひとつ書いておきたいことがあります。

山﨑浩介が、先発からもベンチからも外れていました。

前節の宮崎戦で54分にアクシデントで交代した選手です。第6節の甲府戦から第11節まで6試合続けてフル先発していた、ここ1か月の不動のセンターバックでした。クラブからの発表はありません。この日、山﨑が入っていた場所には桑原航太が入っています。

対する大分も3-4-2-1。前節の新潟戦(5-1)から、先発は1人も動かしませんでした。GKムン キョンゴン、3バックは宮川歩己・三竿雄斗・戸根一誓。前線にマテウス レイリア、パトリッキ ヴェロン、有馬幸太郎。

2分、15分、23分、24分

前半は、はっきり磐田の時間でした。

数字でいうと、こうです。

前半 磐田 大分
シュート 8本 4本
枠内シュート 4本 0本
ゴール期待値(xG) 0.64 0.28

そして、この「枠内4本」が、この試合のすべてだと思っています。

時間と選手を並べます。

時間 選手 形 結果
2分 為田大貴 小原のクロスにPA左から右足 ムン キョンゴンがセーブ
15分 藤原健介 Mペイショットのパスから右足 ムン キョンゴンがセーブ
23分 マテウス ペイショット こぼれ球にPA中央から右足 ムン キョンゴンがセーブ
24分 井上潮音 ドリブルで進入してPA手前から左足 ムン キョンゴンがセーブ

前半だけで、4本。全部、大分のGKに止められています。

「崩しきれない」の正体は、GKだった

見ていて「3連勝中の大分、守備もしっかりしていて固い。なかなか崩しきれない」という感覚になりました。

でも、記録を並べると、少し違う絵が出てきます。

崩してはいたんです。45分で枠内に4本も入れている。大分は同じ45分で枠内ゼロです。

崩せていなかったのではなく、崩したあとで止められていた。「固い」の中身は、フィールドプレーヤーの壁というより、まずGKでした。

ブロックされた回数も多かったです。3分にマテウス ペイショットのシュートを戸根一誓が、4分にダニーロのシュートを戸根が、11分に小原基樹のシュートを三竿雄斗が。体を投げ出す守備と、最後のGK。その2段構えでした。

ちなみに大分のこの日の枠内シュートがいつ生まれたかというと——後半の話になるので、あとで書きます。

前半のxGは0.64対0.28

時間ごとの推移も残しておきます。J2はJ3と違って、ゴール期待値(xG)が公開されています。

時点 磐田 本(枠内)/xG 大分 本(枠内)/xG
20分 6(2)/0.43 1(0)/0.03
40分 8(4)/0.64 4(0)/0.28
前半終了 8(4)/0.64 4(0)/0.28
65分 10(4)/0.78 6(0)/0.46
85分 12(4)/0.95 10(0)/0.66
試合終了 14(5)/1.46 11(1)/0.70

20分の時点で6本対1本。立ち上がりから押し込めていました。

大分の最初のシュートは13分、パトリッキ ヴェロンのPA手前からの右足で、これは藤原健介がブロックしています。

前半は0-0のまま折り返しました。

後半開始、大分がすぐ動いた

そして後半。ハーフタイムで交代カードを切ってきたのは大分でした。

茂平に代えて小田逸稀。前節から11人を動かさなかったチームが、0-0のハーフタイムで最初の1枚を使ってきた形です。

「さすがは大分、しっかり修正してきて、前半のように簡単に攻めはさせてくれない」という感覚。そのとおりでした。

52分から53分、大分が左サイドの宇津元伸弥を起点に連続攻撃。53分にこの試合初めてのコーナーキックを取っています。前半はコーナーすら取れていなかったわけです。

その53分、小田逸稀に警告。入ってきた選手がすぐカードをもらうくらい、球際が上がっていました。

磐田は54分、イアゴ テレスに代えて乾貴士を投入します。

65分、大分が一度に3人替えた

そして65分。大分が一度に3人を代えました。

時間 OUT IN
HT 茂平 小田逸稀
65分 西村恭史 榊原彗悟
65分 パトリッキ ヴェロン 木本真翔
65分 有馬幸太郎 古川大悟
90分 宇津元伸弥 森山公弥

前線とシャドーをまるごと入れ替えています。0-0の65分で、3連勝中のチームがここまで動く。勝ちに来ていたということだと思います。

磐田も応戦しました。67分にマテウス ペイショットと為田大貴を下げて太田龍之介と川﨑一輝。76分に井上潮音と小原基樹を下げて上原力也と佐藤大樹。5枚を使い切っています。

この時間帯、磐田のシュートは65分で10本、85分で12本。20分で2本しか増えていません。大分の修正は、確かに効いていました。

82分、取り消されたゴール

82分でした。

カウンターから、完全に崩し切った形。太田龍之介がゴールに押し込みました。

——と思ったら、オフサイドの判定。

崩し切っていただけに、これは本当に悔しかったです。

ここで、正直に書いておきます。

この「ゴールの取り消し」は、公式の記録には残っていません。J.Leagueサイトのライブコメンタリーの82分にあるのは、この1行だけです。

川崎がオフサイドを取られ、相手ボールとなる

川﨑一輝は67分から入っていた選手です。オフサイドの位置にいたのが川﨑一輝で、押し込んだのが太田龍之介、という形なら、見たものと記録の両方が成り立ちます。ただし、そこまでは記録に書かれていません。

もうひとつ、気になる食い違いがあります。同じJ.Leagueサイトのチームスタッツでは、磐田のオフサイドは「0」と出ているんです。コメンタリーには82分に磐田のオフサイドが記録されているのに、チーム合計はゼロ。ゴールが取り消されたときのオフサイドは、別扱いで集計されることがあります。そう考えると、この食い違いの説明はつきます。

なお、2026/27シーズンのJ2にVARは導入されていません。この試合もVAR・AVARは置かれていないので、この判定は副審のオンフィールドのものです。

見たものを消す必要はないと思うので、本文では見たままを書きました。記録との食い違いは、末尾に注記してあります。

85分まで、大分の枠内シュートはゼロ

さっきの続きです。

大分の枠内シュートは、85分の時点でもゼロでした。

シュートは10本打っていたんです。でも、枠に飛んでいない。28分に有馬幸太郎のシュートをユーリ ララが、36分に戸根一誓のシュートをダニーロが、37分に林田滉也のシュートを金子大毅がブロック。70分には木本真翔のシュートをダニーロが、77分にも木本のシュートを桑原航太が止めています。

そして大分のこの試合唯一の枠内シュートが生まれたのが、90+3分。

左サイドで得たフリーキックを、榊原彗悟が直接狙った1本です。これを牲川歩見がセーブしました。

つまり、牲川歩見のこの日のセーブは1本。それが90+3分のフリーキックでした。前半のうちに4本止められた側と、93分間で1本だけ止めれば済んだ側。その差が、スコアに出なかっただけの試合です。

最後の10分は、殴り合いだった

「最後はかなりオープンな打ち合い。両チーム、勝ち点3を取りに、ゴールを奪いに行っている姿がよくわかりました」

この感覚も、記録に残っています。

時間 できごと
85分 上原力也のシュートを林田滉也がブロック
85分 乾貴士のクロスに佐藤大樹が合わせるも、ゴール左へ
89分 川﨑一輝のPA中央からの右足を三竿雄斗がブロック
90分 ユーリ ララのPA手前からの右足もブロック
90+2分 太田龍之介に警告
90+3分 榊原彗悟の直接FKを牲川歩見がセーブ
90+4分 大分が右コーナーキック
90+5分 大分が左コーナーキック

85分の佐藤大樹の1本が、いちばん惜しかったと思います。乾貴士のクロスに合わせて、ゴールの左。

そして最後は大分がコーナーを2本続けて取って、終了。0-0でした。

数字で見る90分

試合全体のスタッツです。

項目 磐田 大分
シュート 14本 11本
枠内シュート 5本 1本
ゴール期待値(xG) 1.46 0.70
ボール支配率 59% 41%
パス成功率 85% 78%
コーナーキック 5本 4本
フリーキック 11本 15本
ファウル 14 10

xGが1.46対0.70。ゴール期待値でいえば、磐田は1点以上を取っていておかしくない試合でした。実際に取れた点は、ゼロです。

磐田はこの試合でパス650本を記録しています。支配率59%、パス成功率85%。持てていたし、つなげてもいました。

警告は53分に小田逸稀、80分に木本真翔、90+2分に太田龍之介。大分の2枚は、どちらも交代で入った選手でした。

大分からは、3試合連続で無得点

ここから少し、重たい数字が続きます。

大分との直近3試合を並べます。

日付 会場 スコア
2025/4/25 ヤマハ 磐田 0-3 大分
2025/8/31 クラサスドーム大分 大分 0-0 磐田
2026/10/21 ヤマハ 磐田 0-0 大分

3試合、270分。磐田は大分から1点も取れていません。

2025年の4月にヤマハで0-3、8月にアウェイで0-0、そして今回も0-0。2年連続で、計3試合。

ヤマハでは4試合勝てていない

対戦成績も、正直に書きます。

磐田と大分の通算は、磐田から見て15勝9分9敗(全大会33試合)。長い目で見れば勝ち越しています。

でも、近年はこうです。

  • 直近6試合、勝ちなし(0勝3分3敗)。最後に勝ったのは2019年9月28日のアウェイ2-1で、7年以上前
  • ヤマハスタジアムでは4試合勝ちなし(0勝2分2敗)。ヤマハでの大分戦の最後の勝利は2015年3月29日

相性、という言葉で片づけたくはないのですが、数字としてはそう出ています。

第4節から、8試合続けて1点以下

そして、いまの磐田でいちばん気になるのがこれです。

節 相手 磐田の得点
第4節 栃木シティ(A) 3
第5節 富山(H) 0
第6節 甲府(A) 1
第7節 新潟(A) 1
第8節 八戸(H) 1
第9節 仙台(A) 1
第10節 札幌(H) 1
第11節 宮崎(A) 1
第12節 大分(H) 0

8月29日の栃木シティ戦(3-1)を最後に、8試合続けて1点以下です。今季のリーグ戦12試合のうち、複数得点はたった2試合(第3節の2点、第4節の3点)しかありません。

リーグ戦13得点。これが、いまの磐田の攻撃の現在地です。

ホームに絞ると、もっと厳しい数字になります。

試合 勝 分 敗 得点 失点
ホーム(ヤマハ) 6 2 2 2 5 5
アウェイ 6 2 1 3 8 9

ホーム6試合で5得点。1試合あたり0.83です。ヤマハでの内訳は 1-1、2-1、0-1、1-2、1-0、0-0。

3試合負けなし。でも、2得点だけ

悪い話ばかりではありません。

この引き分けで、磐田は3試合負けなし(1勝2分)になりました。その前が第7〜9節の3連敗だったことを考えると、流れは止まっています。

節 相手 結果 失点
第10節 札幌(H) 1-0 ○ 0
第11節 宮崎(A) 1-1 △ 1
第12節 大分(H) 0-0 △ 0

そしてこの3試合で2度目の完封です(後半のシュートは1本。クリア34本で守り切った|磐田 1-0 札幌)。リーグ戦では今季3度目の無失点になりました。

守備は、確かに戻ってきています。J2最少タイの得点力を持つ相手を、無失点で抑えたわけですから。

ただし、この3試合の得点は合計2です。守れるようになったぶん、点が取れなくなった。そういう形で勝点が積み上がっていません。

そして、今季初めてのスコアレスドローでもありました。無得点はリーグ戦では今季2試合目です。

10月の4連戦、残りは1つ

ここまでの日程も、頭に入れておきたいところです。

日付 大会 H/A 相手 結果 間隔
10/14(水) ルヴァン3回戦 H 川崎F 0-4 ● 中3日
10/17(土) 第11節 A 宮崎 1-1 △ 中2日
10/21(水) 第12節 H 大分 0-0 △ 中3日
10/25(日) 第13節 A いわきFC — 中3日

10月14日のルヴァンカップから数えて、12日間で4試合(枠内シュートは2対8。ゴール前だけが、違った|磐田 0-4 川崎)。しかも中2日で九州(宮崎)、次は福島(いわき)と、移動も重なります。

10月10日の札幌戦から数えると16日間で5試合。この日程の中で、2試合を無失点で乗り切ったのは、評価していいところだと思います。

勝点15で11位。次は中3日、アウェイでいわき

この引き分けで磐田は4勝3分5敗、勝点15。順位は11位です(※10月21日22時時点の暫定)。

大分は勝点18で7位。3連勝は止まりましたが、リーグ戦8試合負けなしに伸ばしました。今季3度目の完封で、それが3つともアウェイの0-0というのも、このチームらしいところです。

順位 クラブ 試合 勝点 得失点
7 大分トリニータ 12 18 +7
8 テゲバジャーロ宮崎 12 17 +1
9 いわきFC 12 16 +1
10 藤枝MYFC 12 15 +2
11 ジュビロ磐田 12 15 -1
12 サガン鳥栖 12 14 -3

10位の藤枝とは勝点で並んでいて、得失点差の差だけです。1勝で順位は大きく動きます。

次節は10月25日(日)15時、ハワイアンズスタジアムいわきでいわきFC戦。中3日のアウェイです。

いわきは9位、勝点16。第10節で秋田に1-0、第11節で甲府に5-0、そしてこの日は湘南と1-1で、3試合負けなし。しかも甲府戦の5-0は今季最多得点です。

監督は田坂和昭さん。今年9月に就任したばかりで、大分トリニータで監督を務めた経験がある方です。大分戦の次がその田坂さんのチーム、という巡り合わせになりました。

そして、ここも正直に。

磐田はハワイアンズスタジアムいわきで、2戦2敗。まだ勝っていません(2025年8月に1-3、2026年3月の百年構想リーグで0-1)。いわきとの直近3試合も勝ててません。

崩せていないわけじゃない。xGは1.46ありました。枠内にも5本飛ばしています。

足りないのは、最後のひと押しだけです。

日曜、いわきで。

(今季の全日程と結果はこちらのページにまとめています)


※スタッツはJ.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)に基づく、試合直後の数値です。J.League公式の試合記録(data.j-league.or.jp)はJ2の場合、試合の2日後に公開されます。公開後に数値が変わる可能性があります。
※入場者数・天候・気温・湿度は、本稿執筆時点で公表されていません。
※82分の「太田龍之介のゴールがオフサイドで取り消された」という記述は、中継映像からのものです。J.League公式の記録にも、J.Leagueサイトのライブコメンタリーにも、ゴールの取り消しに関する記載はありません。同コメンタリーの82分にあるのは「川崎がオフサイドを取られ、相手ボールとなる」という1行のみです。なお同サイトのチームスタッツでは磐田のオフサイドは0と表示されており、コメンタリーの記述と食い違っています。
※2026/27シーズンのJ2リーグにVARは導入されていません。この試合もVAR・AVARは配置されていません。
※山﨑浩介が先発・ベンチともメンバー外となった理由は、クラブから発表されていません。
※交代の時間は、J.League/Opta表記とクラブ公式表記で1分ずれる場合があります(マテウス ペイショットと為田大貴の交代は、クラブ公式が67分、Optaが68分)。本稿はクラブ公式の表記に合わせました。
※順位は2026年10月21日22時時点の暫定です。J2の公式順位表は公式記録の公開後に確定します。

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【DAZN観戦】天皇杯の借りは返せず。宮崎には公式戦3試合で未勝利|宮崎 1-1 磐田

耐えた90分でした。

勝点13で並ぶ相手と、アウェイで

2026年10月17日(土)19時、いちご宮崎新富サッカー場。明治安田J2リーグ第11節、テゲバジャーロ宮崎戦です。

この試合前、宮崎が10位、磐田が11位。勝点はどちらも13でした。直接並んでいる相手との、アウェイでの一戦です。

磐田は3日前、ルヴァンカップでJ1の川崎フロンターレに0-4(枠内シュートは2対8。ゴール前だけが、違った|磐田 0-4 川崎)。あれは先発11人を全員入れ替えた試合でしたが、それでも0-4という数字は残ります。切り替えて臨みたい試合でした。

天候は晴れ、気温21.9℃、湿度71%。主審は中井敏博さん。キックオフは19時03分でした。

入場者数は3,293人。宮崎の今季ホーム平均(2,985人)を上回り、開幕戦に次ぐ今季2番目の数字です。この日は「星山設計サンクスマッチ」で、「ピンクリボン活動みやざき」の賛同試合でもありました。

そして秋葉忠宏監督が試合後、2度も口にしていたのがこれです。

我々の身体を動かしてくれたのは、300人以上のジュビロを愛するファン・サポーターの皆さんのおかげです

宮崎まで、300人以上。これはすごいことだと思います。

天皇杯で2回やって、2回とも負けている

この対戦、リーグ戦では初めてでした。J2で初めて同じカテゴリーに並んだので、当然といえば当然です。

ただし、公式戦では過去に2回やっています。どちらも天皇杯で、どちらも磐田が負けています。

日付 大会 会場 スコア
2024/6/12 天皇杯2回戦 ヤマハ 磐田 1-2 宮崎
2026/8/26 天皇杯2回戦 ヤマハ 磐田 0-1 宮崎(延長)

今年8月の試合は、延長110分に土信田悠生に決められて0-1。ホームで、延長戦の末の敗退です。

つまりこの日は、借りを返しにいく試合でもありました。

結果から言うと、返せていません。1-1なので、磐田は宮崎相手に公式戦3試合で0勝1分2敗。まだ勝てていない相手です。

先発は札幌戦から、1人だけ変更

ルヴァンで11人全員を入れ替えた磐田ですが、この日はきっちり戻してきました。

10月10日の札幌戦(1-0)と比べて、先発の変更は1人だけ。吉村瑠晟が外れて、為田大貴が左サイドバックに入りました(後半のシュートは1本。クリア34本で守り切った|磐田 1-0 札幌)。

布陣は4-2-3-1。GK牲川歩見、最終ラインは桑原航太・ダニーロ・山﨑浩介・為田大貴。中盤にユーリ ララと井上潮音。前に佐藤大樹、乾貴士、イアゴ テレス。1トップにジョアン ヴィクトル。

ルヴァンの先発11人のうち、この日も先発したのは為田だけ。「川崎戦の11人は、土曜にはほぼ戻ってきます」と書いたとおりになりました。

対する宮崎も4-2-3-1。監督は大熊裕司さん。前節の富山戦から2人変更で、黒木謙吾と安部崇士が入っています。

8分、桑原航太のJリーグ初ゴール

試合は、磐田が先に動かしました。

8分、この試合1本目のコーナーキック。左CKのキッカーは井上潮音。右足で入れたボールに桑原航太が反応してシュートを放ちましたが、これはゴールの上へ。

ところがそのこぼれ球に、もう一度桑原が反応しました。ペナルティエリア左から左足でゴール右上へ。

1本目を外して、こぼれ球を自分で押し込む。8分、1-0です。

そしてこれが──桑原航太のJリーグ初ゴールでした。

桑原は2004年7月生まれの22歳。帝京長岡高から関西大学に進み、2025年7月にJFA・Jリーグ特別指定選手として磐田に。8月16日の横浜FC戦でJリーグデビューして、この日がリーグ戦8試合目です。右サイドバックが本職の選手です。

試合後、本人がセットプレーについて話していました。

セットプレーでは藤本主税さんから良い役割を与えてもらっていますし、その役割の中で結果を出さなきゃいけないとずっと感じていました

藤本主税コーチの仕込みが、きっちり形になった1点でした。

この時点でOptaが出していた数字も、悪くないものでした。

今季のリーグ戦、先制に成功した試合は5試合。4勝1分け0敗で勝率は80.0%

先制すれば、負けていない。そういうチームだったはずでした。

23分、追いつかれた

ところが15分後です。

左サイドから奥村晃司がニアへ鋭いクロス。これに橋本啓吾が合わせましたが、牲川歩見がセーブ。しかしこぼれ球をもう一度橋本が拾って中央へ折り返し、走り込んだ家坂葉光が右足で流し込みました。

23分、1-1。

家坂本人のコメントが、この場面をよく表しています。

(奥村)晃司くんがクロスを上げたタイミングで、ハッシー(橋本 啓吾)がつぶれてくれたので、マイナスのところに自分が入っていった。本当に良いボールが来たので、流し込むだけだった

これが家坂葉光の宮崎加入後初ゴール。磐田の初ゴールと、宮崎の初ゴールが、同じ試合で出ました。

宮崎の黒木謙吾は、磐田の先制点について「後ろのコミュニケーションミスで簡単に相手ボールにしてしまい、そこから失点してしまった」と話していました。つまり磐田のCKも、もとは宮崎のミスから。お互いにミスで1点ずつ、という前半でした。

前半は、押されすぎた

「せめて前半はリードして折り返したかった」という感覚、そのとおりだと思います。

ただ、数字を見ると、1-1で折り返せただけでも御の字でした。

前半終了時点 磐田 宮崎
シュート 3本 9本
枠内シュート 1本 3本
ゴール期待値(xG) 0.17 0.77
ボール支配率 43% 57%

シュート3対9、xGは0.17対0.77。しかも磐田の枠内1本は、8分のゴールそのものです。つまり前半、磐田は得点以外に枠内シュートがゼロでした。

秋葉監督も、試合後にそのまま認めています。

前半はあまりにも押されすぎました。なかなかプレッシングがはまらず、ボールを奪った後もミスがかなり多かったです。そうした苦しい前半の中で、セットプレーから先制できたのは狙い通りでした。だからこそ、あの失点は防がなければいけなかったと思います

井上潮音は、押された理由をもっと具体的に話していました。

相手のSBが高い位置を取ってビルドアップしてくることが分かっていた中で、自分たちのサイドハーフが気にし過ぎてしまい、下がり過ぎてしまったことが自分たちに勢いが出なかった1つの要因だと思います

後半、少しだけ流れが来た

秋葉監督はハーフタイムに手を打ちます。後半開始からジョアン ヴィクトルに代えて太田龍之介を投入。

ハーフタイムに修正するためのアイデアを伝えたところ、選手たちがすぐに反応してくれました。特に前半は、宮崎さんの勢いに惑わされているように我々からは見えていました

実際、15分ごとのポゼッションを見ると、1区間だけ磐田が上回っています。

時間帯 磐田 宮崎
0〜15分 40% 60%
15〜30分 42% 58%
45〜60分 40% 60%
60〜75分 54% 46%

69分に乾貴士と為田大貴を下げて、小原基樹と川﨑一輝を同時投入。ここから磐田の時間が来ました。

70分に小原のシュート、71分に小原のクロスから太田龍之介、78分に川﨑一輝が枠内へ。J.Leagueの戦評は、小原について「クロスバーに嫌われるなどゴールには至らない」と書いています。

あと一歩でした。

54分、山﨑浩介がアクシデントで

その前に、ひとつ気になる交代がありました。

54分、山﨑浩介がアクシデントで金子大毅と交代しています。クラブ公式も「アクシデント」と表現していて、負傷の程度は発表されていません。

急遽入った金子大毅のコメントです。

ダニーロと初めてセンターバックを組んだ中で、コミュニケーションを取りながらやれた部分もあったので、その点では手応えもあります

ダニーロと金子のセンターバックは、この日が初めて。それで無失点に抑えています。

中3日で大分戦が来るので、山﨑の状態は気になるところです。

後半、宮崎は10本打って枠内ゼロ

ここが、この試合でいちばん伝えたいところです。

後半のスタッツ(試合全体から前半を引いた数字)を見てください。

後半のみ 磐田 宮崎
シュート 3本 10本
枠内シュート 0本 0本
ゴール期待値(xG) 0.31 0.88

宮崎は後半に10本打って、枠内はゼロです。

そして、これは「宮崎が外しただけ」ではありません。Optaの記録を追うと、枠に向かった宮崎のシュートは、ことごとく磐田の選手に止められています。

時間 場面
51分 阿野真拓が枠内へ → 山﨑浩介がブロック
59分 家坂葉光が枠内へ → ユーリ ララがブロック
65分 宮脇茂夫が枠内へ → ダニーロがブロック
85分 松本雄真が枠内へ → 金子大毅がブロック
90+5分 松本ケン チザンガが枠内へ → ユーリ ララがブロック

5本。全部、体で止めています。

牲川歩見のセーブは、23分と29分の前半2本だけ。後半はGKが触る前に止めていたということです。

これ、札幌戦とまったく同じ構図です。あの試合も牲川のセーブは前半の2本だけで、後半はクリアとブロックで守り切りました。

クリア49本、ブロック21本

その証拠が、この数字です。

項目 磐田 宮崎
クリア 49回 14回
ブロック 21回 16回
タックル 21回 9回
1対1勝利数 13回 12回

クリア49本。札幌戦が34本でしたから、それを大きく上回っています。

ここ数試合、磐田はずっと「クリアの数」の話をしています。

試合 磐田のクリア 結果
八戸戦(9/26) 相手が42本 1-2 ●
仙台戦(10/4) 48本 1-2 ●
札幌戦(10/10) 34本 1-0 ○
宮崎戦(10/17) 49本 1-1 △

秋葉監督も、そこを聞かれて答えています。

あれだけ身体を張って、自分たちが絶対に崩れず、最後の最後まで集中し続けたところは本当に素晴らしかったです

守る力は、確実についてきています。問題は、そこではない。

数字で見る90分

試合全体のスタッツです。

項目 磐田 宮崎
シュート 6本 19本
枠内シュート 1本 3本
ゴール期待値(xG) 0.48 1.65
ボール支配率 45% 55%
チャンスクリエイト 5回 16回
クロス 11本 31本
アタッキングサードプレー 169回 302回
コーナーキック 4本 6本

ここでいちばん重たいのが、磐田の枠内シュート1本です。

90分で、枠に飛んだのは8分の1本だけ。そしてその1本が、ゴールになっています。

言い方を変えれば、打ったシュートが枠に飛んだのは1回きりで、それは入った。決定力の問題ではありません。枠に飛ばすところまで行けていない。

シュートの推移を追うと、もっとはっきりします。

時間 磐田(枠内) 宮崎(枠内)
20分 3本(1) 4本(0)
40分 3本(1) 9本(3)
前半終了 3本(1) 9本(3)
65分 3本(1) 15本(3)
85分 6本(1) 16本(3)
試合終了 6本(1) 19本(3)

磐田は20分から65分まで、シュート3本のまま止まっています。45分間、1本も打てていない。

「きちんとやりたいことをやれているのは宮崎で、磐田は大苦戦」という感覚は、この表のとおりです。

なおシュート数は、J.League公式の試合記録では宮崎13本・磐田5本と、Opta集計(19対6)とかなり違います。数え方が違うので、本稿はOpta集計でそろえました。どちらを取っても、差の方向は変わりません。

桑原航太「勝ち切れなかった悔しさの方が大きい」

初ゴールを決めた桑原航太のコメントが、いいんです。

練習からやってきたことをそのまま試合で出すことができて、結果としてゴールにつながったのは良かったです。でも、勝ち切れなかった悔しさの方が大きいですね

Jリーグ初ゴールの日に、これです。

守備についても、こう話しています。

ゴール前の守備は札幌戦から続けて粘り強くできていますし、トレーニングしてきた成果を出せていると思います。ただ、1-0で守り切れなかったことは課題だと思います

そして最後が、いちばん刺さりました。

僕は優勝も昇格も経験がないですけど、周りの選手から話を聞いていても、そういうチームはこういうゲームもしっかり勝ち切っていくんだと感じています。そのために、自分たちがここから改善していかなきゃいけないと思っています

22歳が、自分の初ゴールの話をほとんどしていません。

井上潮音「最低限の勝点1」

井上潮音のコメントには、天皇杯の話が出てきます。

最低限の勝点1だと思います。アウェイで、あのように手ごわい宮崎を相手に勝点を持って帰れたことは悪くないですけど、優勝を目指す上では勝点3が必要だったと思います。でも、いまのチーム状況や天皇杯で宮崎に負けたことを考えると、アウェイで勝点を持ち帰れたことは次につながると思います

選手のほうから、天皇杯の名前が出ました。やはり、あの敗戦は残っているんだと思います。

イアゴ テレスも、同じことを別の言い方で話していました。

もちろん勝ちに来ていたので、勝点3を取れなかったフラストレーションはある。でもリーグ戦は長いので、負けないことも大事です。耐えて勝点1を取れたことは大きいと思っている

そして秋葉監督の総括が、この試合のすべてだと思います。

この勝点1が今後大きなものになるのか、無駄になるのかは自分たち次第です

勝点14に5クラブ。宮崎9位、磐田10位

この引き分けで、磐田は4勝2分5敗、勝点14。順位は10位です。

順位 クラブ 勝点 得失点
1 ベガルタ仙台 24 +10
2 RB大宮アルディージャ 20 +10
3 アルビレックス新潟 20 -4
… … … …
8 藤枝MYFC 14 +2
9 テゲバジャーロ宮崎 14 0
10 ジュビロ磐田 14 -1
11 サガン鳥栖 14 -2
12 徳島ヴォルティス 14 -2

8位から12位まで、5クラブが勝点14で並んでいます。宮崎と磐田の差は、得失点差の1だけ。

首位の仙台とは勝点10差。「J1昇格を目指すチームが、こんなところで足踏みをしている場合ではない」というのは、そのとおりです。

ただ、この混戦は裏を返せば、2連勝すれば一気に景色が変わる位置でもあります。

次は中3日、ホームで大分

次節は10月21日(水)19時、ヤマハスタジアム(磐田)で大分トリニータ戦です。

相手は7位、勝点17。16得点9失点という、失点の少ないチームです。簡単な相手ではありません。

しかも中3日。宮崎からの移動もあって、秋葉監督は「ほとんどトレーニングはできません」と話していました。

みんなでしっかりと回復してホームに帰り、良い勝点3を取れるように、またしっかりとやっていきたいと思います

守る力はついてきました。クリア49本は、そういうことです。

足りないのは、枠に飛ばす力のほう。90分で1本では、勝てません。

でも、その1本が入ったのが、デビュー8試合目の22歳だったというのは、悪くない話だと思います。

次はヤマハで。


※スタッツはJ.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)に基づく、試合直後の数値です。J.League公式の試合記録ではシュート数が宮崎13本・磐田5本と異なります。数え方の統一を優先して、本稿は全項目をOpta集計でそろえました。後日修正が入る可能性があります。
※Optaの「セーブ数」欄は両チームとも0で、実際の記録(牲川歩見が前半に2本)と合っていません。本稿ではこの項目を使っていません。
※後半のスタッツは、試合全体から前半を差し引いた算出値です。走行距離・スプリント数は未公開です。
※54分の山﨑浩介の交代は、クラブ公式が「アクシデント」と表現しています。負傷の部位・程度は本稿執筆時点で発表されていません。

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【DAZN観戦】後半のシュートは1本。クリア34本で守り切った|磐田 1-0 札幌

やっと、勝てました。

秋葉監督は、試合前に「ゼロで抑える」と言っていた

2026年10月10日(土)18時、ヤマハスタジアム(磐田)。明治安田J2リーグ第10節、北海道コンサドーレ札幌戦です。

磐田はリーグ戦で3連敗中。新潟に1-2、八戸に1-2、仙台に1-2。3試合すべて1点差で、3試合すべて同じスコアでした(シュートは3本だけ。90+4分、首位仙台に力尽きる|仙台 2-1 磐田)。

この試合の前、クラブ公式に秋葉忠宏監督の言葉が載っていました。

ここで連敗を止めなければ、本当に負のスパイラルに入ってしまう

そして、もうひとつ。

今一度、全員で「ゼロで抑える」という強烈な守備の意識にマインドを変えていきたい

ここまで9試合で13失点。優勝するチームは失点が少ない、という話をしたうえでの言葉だそうです。

仙台戦のあと、チームは約2時間かけて試合映像をフルで見返すミーティングをやったとのこと。佐藤大樹は「ダメなところはダメ、いいところは続けるという話し合いがあって、いい緊張感があった」、主将の藤原健介は「全員が思っていることを話した」と話しています。

その結果がどうだったか、という試合です。

ヤマハに12,349人

この日の入場者数は12,349人。天候は晴れ、気温23.5℃、湿度55%、無風。ピッチは全面良芝。主審は清水勇人さん。キックオフは18時03分でした。

この日は「ヤマハ・ヤマハ発動機マッチ」。EXILE/三代目J SOUL BROTHERSの小林直己さんが来場して花束贈呈とハーフタイムの挨拶、ヤマハ野球部のストラックアウト、ブラスアンサンブルの演奏、電動車椅子サッカーの体験とエキシビション。キックオフ前にはジュビレーションのペンライト演出で、スタンドがサックスブルー一色になりました。

先発は3人変更。牲川歩見が2試合ぶりに戻ってきた

先発は、前節の仙台戦から3人変更です。

OUT(仙台戦) IN(札幌戦)
GK 三浦龍輝 GK 牲川歩見
MF 金子大毅 MF ユーリ ララ
MF 川合徳孟 MF イアゴ テレス

最終ラインの4人(ダニーロ・桑原航太・山﨑浩介・吉村瑠晟)は据え置き。布陣も4-2-3-1のままです。

ここで目を引いたのがGKでした。第1節から第7節まで全試合に先発していた牲川歩見が、八戸戦と仙台戦では外れていました。それが2試合ぶりに戻ってきた。今季の磐田は、これでGKが3人目です。

対する札幌は3-4-2-1。監督は川井健太さん。前節から1人だけの変更で、白井陽斗が外れて長谷川竜也が入りました。札幌は前節、いわきに2-1で勝って開幕戦以来8試合ぶりの白星。今季初の連勝を狙って乗り込んできています。

前半、磐田は10本打っていた

「押し気味の前半」という印象でしたが、数字で見ると、思っていた以上に押していました。

前半終了時点 磐田 札幌
シュート 10本 3本
枠内シュート 2本 2本
ゴール期待値(xG) 1.48 0.10
コーナーキック 2本 0本

シュート10対3。ゴール期待値にいたっては1.48対0.10です。15倍近い差がついています。

20分の時点で、磐田6本に対して札幌は0本。Optaも10分の時点で札幌について「10分が経過するも、まだシュートに至るシーンを作り出せない」と出していました。

でも、枠内は2本だった

ただ、「なかなかシュートまで持っていけない、もどかしい展開」という感覚も、間違っていません。

10本打って、枠に飛んだのは2本だけです。

しかも20分時点の枠内は1本、40分時点でも1本。つまり前半の大半、打ってはいるけれど枠には行っていないという時間が続いていました。

ポゼッションの推移も、途中で入れ替わっています。

時間帯 磐田 札幌
0〜15分 57% 43%
15〜30分 31% 69%
前半トータル 50% 50%

最初の15分は磐田のものでしたが、15分から30分は札幌が69%。この時間帯に札幌も出てきて、29分と34分に長谷川竜也のシュートがありました。どちらも牲川歩見がセーブしています。

押していたけれど、決めきれない。そして相手も出てくる。もどかしい、というのはそういう前半でした。

40分、佐藤大樹が倒された

そして40分でした。

桑原航太のパスがペナルティエリア内の吉村瑠晟につながり、そこから佐藤大樹が西野奨太にファウルを受けてPK獲得。西野には同時に警告が出ています。

ここに、小さいけれど大事な話があります。

佐藤大樹は、北海道出身で、札幌のアカデミー育ちなんです。つまりこの日は古巣との一戦でした。

試合前、本人はこう話していました。

すごく思い入れのある相手からゴールを決めてアピールしたい

結果から言うと、佐藤大樹はこの日ゴールを決めていません。

でも、決勝点を生んだのは彼でした。古巣から奪ったのは、ゴールではなくPKだった。これはこれで、十分に「アピール」だったと思います。

もうひとつ皮肉だったのが、ファウルをした西野奨太のほうです。この選手、Jリーグ公式の試合前の見どころで札幌の「キーマン」として名指しされていた選手でした。「今季はチーム最多のデュエル勝利総数を記録し、前節はセットプレーから先制点を奪うなど、攻守両面でチームを支えている」と。

その守備の要が、PKを与えて警告を受けました。

42分、イアゴ テレスが右下へ

キッカーはイアゴ テレス。

右足で、ゴール右下。落ち着いたものでした。42分、1-0。

イアゴ テレスは26歳のブラジル人で、今年7月9日にロンドリーナEC(ブラジル)から期限付き移籍で加入した選手です。8月8日の秋田戦でJ初出場、8月22日の徳島戦でJ初ゴール。そこから栃木シティ戦で2点を決めて、この日が今季リーグ戦4点目になります。

前節の仙台戦は出場していません。その前日の10月3日にU-21Jリーグで先発フル出場していました。そこから中6日での先発復帰です。

Optaが42分にこんな数字も出していました。

イアゴテレスはここまでで5本以上のシュートを放っている

前半だけで5本以上。磐田の10本のうち半分がこの人です。相当に積極的でした。

流れの中からの得点ではありません。でも、前半のゴール期待値1.48という数字を見れば、入るべくして入った1点だったとも言えます。

後半、磐田のシュートは1本だけ

両チームとも、ハーフタイムの交代はゼロ。札幌ボールで後半が始まりました。

そして、ここからの45分が、この試合のすべてです。

後半、磐田のシュートは1本しかありません。

48分、桑原航太がペナルティエリア手前から右足で枠内へ。これは田川知樹にセーブされました。以上です。

後半のゴール期待値は、磐田が0.03。ほぼゼロです。

後半のみ(全体−前半) 磐田 札幌
シュート 1本 9本
枠内シュート 1本 1本
ゴール期待値(xG) 0.03 0.62

「一進一退」という感覚だったとのことですが、少なくともシュートの数では一方通行でした。磐田1本、札幌9本。

ただし、ここが重要なところで、札幌の9本のうち枠に飛んだのは1本だけです。

終盤、札幌の猛攻

札幌は64分にヴィニ ペイショットを投入します。この交代が、終盤の圧の中心になりました。

時間 場面
75分 Vペイショットのクロス → ダニーロがクリア
78分 Vペイショットがエリア中央からシュート → ゴール上に外れる
81分 Vペイショットがエリア手前からシュート → ゴール上に外れる
83分 Vペイショットのクロス → ダニーロがクリア
84分 Vペイショットが枠内へ → ブロック
85分 青木亮太がエリア手前からシュート → ゴール上に外れる
90+3分 内田瑞己が枠内へ → 野澤零温がブロック
90+4分 スパチョークが枠内へ → ブロック
90+5分 内田瑞己が枠内へ → 川﨑一輝がブロック

アディショナルタイムだけで、枠内シュートを3本ブロックしています。

75分から90分までのポゼッションは、磐田38%に対して札幌62%。ボールはずっと札幌が持っていました。

牲川歩見のセーブは2本。どちらも前半だった

ここが、この試合でいちばん面白かったところです。

牲川歩見のセーブ数は、90分を通じて2本。29分と34分の長谷川竜也のシュートです。

つまり後半のセーブは、記録上ゼロ。

札幌が9本打った後半、牲川がボールを触って止めた場面がない。枠に飛んだ1本も、ブロックや守備陣の対応で終わっています。

これは「GKが当たっていたから守り切れた」という試合ではありません。ゴールの前に行く前に止めていたという試合です。

クリア34本、ブロック16本

その証拠が、この数字です。

項目 磐田 札幌
クリア 34回 18回
ブロック 16回 11回
タックル 17回 22回
ボールタッチ 783 1,181
1対1勝利数 17 25

クリア34本、ブロック16本。ボールタッチ数では400近く下回り、1対1でも負けている。それでもゼロで抑えた。

八戸戦のとき、磐田はクリア43本の壁を崩せずに負けました(クリア42本の壁。24本打って、1点|磐田 1-2 八戸)。仙台戦では、自分たちがクリア48本の側に回って、90+4分に崩されました。

そして今回、クリア34本の側に回って、今度は崩されなかった。

3試合続けて、同じ構図を別の立場で見ています。そして3試合目で、ようやく守り切りました。

数字で見る90分

試合全体のスタッツです。

項目 磐田 札幌
シュート 11本 12本
枠内シュート 3本 3本
ゴール期待値(xG) 1.51 0.72
ボール支配率 45% 55%
パス成功率 78.2% 82.3%
チャンスクリエイト 10回 9回
クロス 15本 22本
コーナーキック 5本 3本
ファウル 8回 13回
警告 2枚 1枚

シュート数も枠内シュートもほぼ互角。支配率は札幌。でもゴール期待値は1.51対0.72で磐田が倍以上です。

この試合の磐田は、少ない機会をいい形で作っていたチームでした。そしてそのほとんどが、前半に集中していました。

個人で見ると、チャンスクリエイト数の最多は乾貴士の5回。69分に小原基樹と交代していますが、それまでの69分間でチームの半分を作っています。

「ゼロで抑える」は、実現した

試合終了。1-0。

この完封は、今季リーグ戦で2度目です。1度目は9月12日の甲府戦(1-0)。つまりホームでは今季初の無失点になります。

節 日付 対戦 結果
第5節 9/6 富山(H) 0-1 ●
第6節 9/12 甲府(A) 1-0 ○
第7節 9/19 新潟(A) 1-2 ●
第8節 9/26 八戸(H) 1-2 ●
第9節 10/4 仙台(A) 1-2 ●
第10節 10/10 札幌(H) 1-0 ○

3連敗を止めて、4試合ぶりの勝点3です。

秋葉監督が試合前に掲げた「ゼロで抑える」が、そのまま結果になりました。内容が美しかったかと言われると、後半のシュート1本というのは正直かなり苦しい。でも、宣言したことをやったという意味では、この試合には意味があります。

ちなみにヤマハスタジアムでの直近の札幌戦は、今年3月14日の百年構想リーグで0-1でした。同じ場所で、きっちり返しています。

ジョアン ヴィクトルが、9月度のベストゴールに

試合とは直接関係ありませんが、うれしいニュースがありました。

ジョアン ヴィクトルが、Jリーグの2026年9月度・J2月間ベストゴールを受賞しています。

磐田が9月のリーグ戦で挙げた得点は、甲府戦の川合徳孟、新潟戦の佐藤大樹、そして八戸戦のジョアン ヴィクトルの3つだけ。つまり受賞したのは、9月26日の八戸戦で決めた、あのゴールです。

井上潮音の浮き球を胸でコントロールして、そのままオーバーヘッド。負けた試合の中の、唯一の得点でした。

あのときは「1点しか取れなかった」という書き方をしましたが、その1点が、月間でいちばんのゴールだったわけです。

この日のジョアン ヴィクトルは先発フル出場とはいかず、69分に太田龍之介と交代しています。それでも、前半はよく体を張っていました。

15位から10位へ。次はアウェイで宮崎

この勝利で、磐田は4勝1分5敗、勝点13。順位は15位から10位へ、一気に5つ上がりました。

順位 クラブ 勝点 試合
1 RB大宮アルディージャ 20 10
2 ベガルタ仙台 20 9
3 アルビレックス新潟 19 9
… … … …
10 ジュビロ磐田 13 10
… … … …
20 北海道コンサドーレ札幌 8 10

勝点13は、8位の藤枝・9位の秋田と並んでいます。1勝で景色が変わる位置に戻ってきました。

秋葉監督が仙台戦のあとに言っていた「中断期間までに最低限、勝点5差まで持ってこられるように」。首位の大宮・仙台とは勝点7差です。まだ届いていませんが、10差から7差になりました。

一方の札幌は、これで最下位(20位)に転落。今季初の連勝を狙った試合でした。

次節は10月17日(土)19時、アウェイのいちご宮崎新富サッカー場でテゲバジャーロ宮崎戦です。

内容はまだ、胸を張れるものではありません。後半のシュート1本は、次も通用するやり方ではない。

でも、まずは止まりました。ここからです。


※スタッツはJ.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)に基づく、試合直後の数値です。本稿執筆時点でJ.League公式の試合記録がまだ発行されておらず、後日数値が修正される可能性があります。なお後半のスタッツは、試合全体から前半を差し引いた算出値です。走行距離・スプリント数は未公開です。
※本文中に引用した秋葉忠宏監督・佐藤大樹・藤原健介のコメントは、いずれも試合前にクラブ公式およびJ.League公式に掲載されたものです。試合後の監督・選手コメントは、本稿執筆時点で両クラブ公式・J.League公式とも未掲載です。公開され次第、追記します。
※PK獲得の場面について、Optaの記録は「佐藤が西野からファウルを受けてPKを獲得する」とのみ記しています。ファウルの種類は確認できていません。

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【観戦記】シュートは3本だけ。90+4分、首位仙台に力尽きる|仙台 2-1 磐田

最後の最後に、力尽きました。

数年ぶりのユアスタへ

2026年10月4日(日)15時、ユアテックスタジアム仙台。明治安田J2リーグ第9節、ベガルタ仙台戦です。

仙台は、数年前に2年間住んでいた街です。というわけで、遠征してきました。

01_ユアテックスタジアム仙台|仙台 vs. 磐田

01_ユアテックスタジアム仙台|仙台 vs. 磐田

泉中央の駅を出て、あの道を歩いてスタジアムへ向かう時間が、もう懐かしい。ユアスタは陸上トラックのない、ピッチと客席が近い専用スタジアムです。この「近さ」が、この日の90分にそのまま効いてきました。

天候は曇、無風。気温18.7℃、湿度64%。ピッチは全面良芝と記録されています。主審は池内明彦さん。キックオフは15時03分でした。

14,828人という数字

この日の入場者数は14,828人。

仙台の今季ホーム平均(この試合まで)が14,744人ですから、平均をわずかに上回る、いつもどおりの大入りです。でも「いつもどおりで14,700人」というのが、そもそもすごい。

02_スタジアムの中|仙台 vs. 磐田

02_スタジアムの中|仙台 vs. 磐田

熱いサポーターのいるクラブ同士の一戦でした。ゴール裏はもちろん、メインもバックも、仙台のサポーターでほぼ埋まっている。アウェイ側にも磐田のサポーターがしっかり集まっていました。

そしてこの日の仙台は首位。前節のいわき戦で今季初めて首位に立って、この試合はその座を守るか落とすかの一戦でした。対する磐田は、リーグ戦で5敗目を背負うことになる14位。立場がはっきり違う試合でした。

立ち上がり2分、セットプレーから

そして、始まって2分でした。

仙台が磐田陣内の右サイドでFKを獲得。キッカーの武田英寿が左足で入れたボールに、菅田真啓がペナルティエリア中央でヘディング。これは三浦龍輝がかき出しましたが、こぼれ球に反応した梅木翼が右足で押し込みました。

2分、1-0。梅木はこれで2試合連続ゴールです。

この時点でOptaが出していた数字が、ちょっと怖いものでした。仙台は今季のリーグ戦で先制した4試合、4勝0分0敗で勝率100%。先制を許すと、まず勝てない相手です。

10分、佐藤大樹が追いついた

ところが磐田も、すぐに返しました。

10分、左サイドの遠めからのFKの流れから、ペナルティエリア内でダニーロが落としたボールに佐藤大樹が反応。ゴール正面、中央から左足で蹴り込みました。

1-1。わずか8分で振り出しです。

セットプレーで取られて、セットプレーで返す。同じ入り方で殴り合った立ち上がりでした。

そして、ここから長い長い「耐える時間」が始まりました。

前半、磐田のシュートは1本

このあと前半が終わるまで、磐田はシュートを1本も打てていません。

つまり、前半の磐田のシュートは、10分の同点ゴールになったあの1本だけです。

前半終了時点(45+7分)のOptaの数字を並べます。

前半終了時点 仙台 磐田
シュート 18本 1本
枠内シュート 4本 1本
ゴール期待値(xG) 1.29 0.41

18対1。磐田のシュートは1本で、それが点になっている。言い方を変えれば、この1本の精度だけで前半を1-1にしていたということです。

Optaは10分の時点でもう「10分が経過するも、まだシュートに至るシーンを作り出せない」と出していました。そして磐田の最初のコーナーキックは、なんと38分。前半の37分間、セットプレーのチャンスすら作れていなかったわけです。

「仙台の圧」というのは、こういう数字になります。

乾貴士を、消しにきていた

この前半、仙台がいちばん徹底していたのが乾貴士への対応でした。

見ていても、乾にボールが入るたびに複数人が寄せてくる。前を向かせない。これは意図的だったことが、試合後の森山佳郎監督のコメントではっきりしました。

練習では「この選手が乾だぞ」と言っていたら、なんだかそれを気にしすぎてちょっと前に出る迫力がなくなったので、「そこまで気にするな」みたいな感じにはなりましたけど。「どこに乾がいるぞ」というのは常に声をかけあって、そこに(ボールが)入った時にはプレスに行けるようにというところです。
自由に動いて、本当に相手のいない場所を見つけてボールを受けて、前を向けたら本当にスルーパスとかクオリティーが非常に高い選手なので。そこを自由にさせないというのが今日一つの命題ではあったので、その前のところに入れさせないというところから、うまくできたかなと思います。

「そこを自由にさせないというのが今日一つの命題」。首位のチームが、わざわざ練習で名前を出して対策する選手。38歳の乾は、まだそういう扱いを受けています。

そしてここが残酷なところで、森山監督はこう続けています。

そこを自由にさせなかったことで、乾選手もそうですけど、前半の川合(徳孟)選手とか佐藤(大樹)選手にも、そんなにいいボールが入らなかったので、そこは非常に良かったです。

乾を止めると、その先の川合と佐藤にもボールが行かなくなる。磐田の攻撃が「乾を経由する設計」になっていることを、相手の監督が正確に言い当てていました。

後半、ペイショットと太田を同時投入

秋葉忠宏監督は、ハーフタイムで動きます。

後半開始から川合徳孟→マテウス ペイショット、ジョアン ヴィクトル→太田龍之介。長身2枚を同時に入れて、システムも3バックに変えました。

これは効きました。少なくとも、最初の15分は。

森山監督のコメントです。

後半には相手が大きな二枚を入れてきて、全くやり方を変えてくるだろうなというところでは予想通りでしたけど、最初の15分ぐらいはかなりそれで戸惑って。なかなかこっちのペースになりませんでしたけど、その後はまたこちらに流れを引き寄せたら、もうほぼ相手を圧倒していました。

「最初の15分ぐらいはかなりそれで戸惑って」。首位の監督に、はっきりそう言わせています。交代は当たっていたんです。

57分にはFKから仙台ゴールに迫りましたが、ゴールライン手前で石井隼太に止められました。あそこが入っていたら、という場面です。

ただ、「その後はまたこちらに流れを引き寄せたら、もうほぼ相手を圧倒していました」。後半の残り30分は、また仙台の時間に戻りました。

耐える時間が、長すぎた

Optaが刻んだ仙台のシュート累計を並べると、この試合の形がよく見えます。

時間 仙台のシュート累計 磐田のシュート累計
20分 11本 0本
40分 13本 1本
前半終了 18本 1本
65分 19本 1本
85分 25本 3本
試合終了 30本 3本

85分から試合終了までの約10分で、仙台はさらに5本打っています。終盤になっても落ちない。むしろ上がっている。

そしてここが一番つらい数字なのですが、磐田のゴール期待値(xG)は0.61で、後半はまったく増えていません。40分時点で0.61、試合終了時点でも0.61。つまり後半45分間の磐田の得点期待値は、ほぼゼロでした。

三浦龍輝のセーブが何度もありました。6分に岩渕弘人、41分に武田英寿、76分に髙田椋汰、82分に中島元彦、86分にマテウス モラエス。覚えているだけでこれだけあります。

耐えていた。ずっと耐えていました。でも、耐えるだけの時間が長すぎました。

90+4分、相良竜之介

そして、90分+4分でした。

ペナルティエリア手前から杉山耀建が出したパスに、相良竜之介が反応。ペナルティエリア中央から右足で、ゴール上に決めました。

2-1。残り時間はほとんどありませんでした。

03_スコアボードと仙台ゴール裏|仙台 2-1 磐田

03_スコアボードと仙台ゴール裏|仙台 2-1 磐田

決めた相良は88分に投入された交代選手で、これが今季初ゴールでした。

森山監督が、送り出すときの言葉をそのまま話しています。

ピッチに出るときは、相良には「相手は右足を警戒してくるから。お前は右足も左足も打てるから、相手は右足を警戒してくるのは頭の中に入れて、とにかく足を振れ」という話はしたのですけど、右足で決めてくれました。

相良本人のコメントも、短いけれど印象的でした。

(ゴールシーンは)うれしすぎてあまり覚えていないのですけれども、(杉山)耀建からパスが来て、ボールも少し跳ねていて打つまで時間があった中で、ふかさないように、枠に入れることだけを考えて打ちました。
時間も短かったですし、求められているのは得点だと思っていました。「とりあえず足を振ってほしい」ということだったので、振ったことが結果につながりました。

相良はキャンプから負傷で出遅れて、調子が上がってきたところでまた負傷して、ずっとメンバーに絡めていなかった選手だそうです。そういう選手が、2分だけの出場で決勝点を決めた。

仙台側から見れば、これ以上ないドラマです。磐田側から見れば、これ以上ない失点です。

数字で見る90分

試合全体のスタッツを並べます。J.League公式の試合記録と、J.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)でシュート数が大きく違うので、両方載せます。

【J.League公式の試合記録】

項目 仙台 磐田
シュート(前半/後半) 19本(11/8) 3本(1/2)
コーナーキック 14本 3本
フリーキック 14本 18本
オフサイド 3回 0回

【J.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)】

項目 仙台 磐田
シュート 30本 3本
枠内シュート 8本 1本
ゴール期待値(xG) 2.59 0.61
ボール支配率 53% 47%
チャンスクリエイト 24回 2回
クロス 23本 5本
アタッキングサードプレー 255回 90回
クリア 18回 48回
ブロック 16回 28回
タックル 9回 18回
ファウル 16回 14回
警告 2枚 6枚

シュート数が19本と30本で食い違っているので、ここは数字を一つに決めずに両方出しておきます。どちらを取っても、磐田の3本との差は変わりません。

そして注目したいのが下半分です。クリア48回、ブロック28回、タックル18回。これは全部、磐田が仙台を上回っている数字です。守る作業を、仙台の2倍以上やっていた。

八戸戦のときに「クリア43本の壁」と書きましたが(クリア42本の壁。24本打って、1点|磐田 1-2 八戸)、この日は磐田がその側に回っていたわけです。8日前に自分たちが崩せなかった壁を、今度は自分たちが作って、90+4分に崩された。

警告6枚という荒れ方

もう一つ気になったのが、カードの数です。

時間 選手 チーム
22分 井上潮音 磐田
29分 梅木翼 仙台
35分 佐藤大樹 磐田
38分 ジョアン ヴィクトル 磐田
47分 山﨑浩介 磐田
81分 マテウス ペイショット 磐田
88分 ユーリ ララ 磐田
90+6分 相良竜之介 仙台

合計8枚のうち、磐田が6枚。退場はありませんでした。

これは荒れたというより、止めるしかなかったということだと思います。シュート30本を打たれる展開で、ファウルでしか止められない場面が何度もあった。カードの枚数は、押し込まれていた時間の長さの裏返しです。

秋葉監督のコメントにも、その空気が出ています。

このスタジアムの圧がある中で、あれだけ球際に来る、ファウルも紙一重になるような戦いになりました。そこに対してはしっかりと逃げずに戦い続けてくれました。

「ファウルも紙一重」。現地で見ていて、まさにそういう90分でした。

ルヴァンで輝いた4人は、どこにいたのか

ここが、この試合でいちばん気になったところです。

5日前の9月29日、ヤマハスタジアムでルヴァンカップのジェフ千葉戦がありました(J1千葉に4ゴール、この勢いをリーグに!|磐田 4-2 千葉)。J1の千葉に4-2で勝った試合です。

あの試合で結果を出したのは、リーグ戦であまり出番のなかった選手たちでした。あの記事の最後に、「この4人がリーグ戦で使われるのか」と書きました。答え合わせです。

選手 ルヴァン千葉戦(9/29) 仙台戦(10/4)
西久保駿介 先発。6分に先制点、66分にアシスト ベンチ →74分から出場
マテウス ペイショット 先発。23分・66分に2得点 ベンチ →後半開始から出場
小原基樹 先発。2アシスト ベンチ →78分から出場
小池直矢 83分から出場。85分にJ初ゴール メンバー外

3人がベンチスタート、1人はメンバー外でした。

ただ、これを「使われなかった」と書くのは、たぶん違います。ペイショットは後半開始から45分フルに使われ、西久保と小原も終盤に入っている。3人とも、勝点を取りにいく局面で投入されています。

一方で、磐田の先発は前節・八戸戦から6人も入れ替わっていました。GKが川島永嗣から三浦龍輝に替わり、桑原航太、金子大毅、井上潮音、川合徳孟、ジョアン ヴィクトルが入る。これはこれで、かなり大きな変更です。

ターンオーバーはしている。交代カードも使っている。それでもシュートが3本。やりくりの問題ではなく、もっと根っこのところで止まっているのかもしれません。

三浦龍輝「やっとつかんだチャンスでした」

この日、ゴールマウスに立ったのは三浦龍輝でした。

セーブを何度も重ねて、それでも2失点。試合後のコメントが、読んでいて少しきつかったです。

仙台の圧を感じていましたし、守備の時間が多かったですけど、ゴール前に入られる回数や相手のシュートも多かった中で、ディフェンス陣は体を張って守ってくれていました。その辺りは次に生かしていかなければいけないと思います。

先制点については、こう話しています。

立ち上がりにセットプレーから失点してしまった部分は自分も責任を感じています。アップのときからグラウンドが予想以上に悪くて、ボールが変化することには気をつけていましたけど、予想以上に変化したという感覚がありました。それでも止めなければいけなかったと思います。

「それでも止めなければいけなかった」。公式記録のピッチ評価は「全面良芝」でしたが、立っている本人には違って見えていたようです。それでも言い訳にしていません。

そして、仙台との差を聞かれて。

仙台のほうが徹底していたと思います。同じサッカー、勢いのあるサッカーの中でも徹底していたと思いますし、必ずやり切ってくるという部分で僕らが苦労した試合だったと思います。

「徹底していた」。これがこの試合のすべてだと思います。やろうとしていることは似ている。やり切る量が違った。

最後の質問が、一番刺さりました。

── リーグ戦ではやっとつかんだチャンスでした。結果につなげられなかった思いは?
自分のプレーがどうこうよりも、必ず勝点3を取らなければいけない試合でした。その役目を果たせなかった責任は重いですし、それに尽きます。

「やっとつかんだチャンス」。自分のプレーの話を、一言もしていません。

秋葉監督「結果は監督である僕だけの問題」

秋葉忠宏監督の試合後のコメントは、ほぼ全部が選手への感謝と、自分への矢印でした。

このスタジアムの圧や空気感がある中、選手たちが最後の最後までファイトして、体を張って最後まで走り抜くというメンタリティーは素晴らしかったです。だからこそ、なんとか勝点1を持ち帰りたかったですけど、最後の最後まで戦い抜いてくれた選手には感謝しかありませんし、何も言うことはありません。
あとは僕自身がどうするか。これだけファイトしてくれる選手たちがいる中で、どのように勝ちに持っていけるか。そこだけだと思っています。

フラッシュインタビューでは、もっと直接的でした。

結果は監督である僕だけの問題

何があろうとやり続ける。打ちのめされようが何をされようがファイティングポーズを取り続けて、立ち向かって行き続ける。選手たちにはそのメンタリティーがあるので、あとは僕が何としても必ず勝利を引き出せるように必死になってやりたい

「打ちのめされようが何をされようがファイティングポーズを取り続けて」。

そして、こう締めています。

選手たちには胸を張って磐田に帰ってもらいたいですし、このあとどのように戦えるかが大事です。過ぎてしまったことは時を戻せないので、フットボーラーとしての人間力が問われていると思っています。
アウェイの地まで来てくれたサポーターとともに必ず逆襲するためにも、なんとか中断期間までに最低限、勝点5差まで持ってこられるように、また必死になって1週間準備したいと思います。

「中断期間までに最低限、勝点5差まで」。ここだけ、具体的な数字が出てきました。

試合後のゴール裏から、ブーイング

試合後、アウェイのゴール裏からブーイングが聞こえてきました。

磐田のサポーターは、どちらかというとおとなしいほうだと思っています。それが珍しく、はっきりとブーイングを送っていました。

04_試合後の選手|仙台 2-1 磐田

04_試合後の選手|仙台 2-1 磐田

3連敗ですから、無理もない。ここまで来て、この終わり方ですから。

選手たちはゴール裏の前に一列に並んで、深々と頭を下げていました。

05_試合後の挨拶|仙台 2-1 磐田

05_試合後の挨拶|仙台 2-1 磐田

八戸戦のあと、乾貴士がブーイングについてこんなことを話していました。「我々が憎いわけではない。勝ってほしい裏返し」。たぶん、この日も同じです。

そして秋葉監督の「アウェイの地まで来てくれたサポーターとともに必ず逆襲するためにも」という言葉は、この光景を見たあとの言葉だったのだと思います。

勝点5差まで ── 次は札幌、ヤマハで

第9節終了時点の順位表です。

順位 クラブ 勝点 得失点
1 ベガルタ仙台 20 +9
2 アルビレックス新潟 19 0
3 カターレ富山 17 +9
4 RB大宮アルディージャ 17 +9
5 横浜FC 17 +7
6 湘南ベルマーレ 16 +2
… … … …
14 ジュビロ磐田 10 -2

磐田は14位、勝点10(3勝1分5敗)、11得点13失点。首位の仙台とは勝点10差です。

リーグ戦の直近5試合を並べると、こうなります。

節 日付 相手 結果
第5節 9/6 富山(H) 0-1 ●
第6節 9/12 甲府(A) 1-0 ○
第7節 9/19 新潟(A) 1-2 ●
第8節 9/26 八戸(H) 1-2 ●
第9節 10/4 仙台(A) 1-2 ●

3連敗。そして3試合すべてが1-2です。1点は取れている。でも2点取られている。

次節は10月10日(土)18時、ヤマハスタジアム(磐田)で北海道コンサドーレ札幌戦。札幌はこの日いわきに2-1で勝って、開幕節以来8試合ぶりの白星を挙げました。勢いを持って乗り込んでくる相手です。

秋葉監督が言った「勝点5差」まで詰めるには、まず目の前の1試合。ホームで、3連敗を止めるところからです。

ユアスタの空気は、やっぱりすごかった。あの中で90分耐えた選手たちに、拍手を送りたい気持ちは本当にあります。

でも、次はヤマハで勝ちましょう。


※スタッツはJ.League公式の試合記録およびJ.Leagueサイトのスタッツ(Opta集計)に基づく、試合直後の数値です。J2では後日修正が入ることがあります。走行距離・スプリント回数は本稿執筆時点で未公開です。
※試合後のアウェイゴール裏のブーイングについては、筆者が現地で見聞きしたものです。各媒体の記事では確認できていません。
※磐田の選手コメントは、本稿執筆時点でJ.League公式に掲載されている三浦龍輝のみです。クラブ公式のインタビューが公開されたら、追記します。

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【DAZN観戦】クリア42本の壁。24本打って、1点|磐田 1-2 八戸

連敗だけは、避けたかったんです。

連敗だけは、避けたかった

2026年9月26日(土)17時、ヤマハスタジアム(磐田)。明治安田J2リーグ第8節、ヴァンラーレ八戸戦です。

前節は敵地でアルビレックス新潟に1-2。攻め込みながら決めきれず、少ないチャンスを決められて落とした試合でした(新潟は7本で2点、磐田は15本で1点|新潟 2-1 磐田)。

だからこの日は、ホームで確実に取り返したかった。

相手のヴァンラーレ八戸は、リーグ戦では初めての対戦です。2025シーズンにJ3を2位で終えて、クラブ史上初のJ2昇格を果たしたチーム。ここまで2連敗、しかも3試合連続で無得点という状態で磐田にやってきました。

この日も雨。気温21.6℃、湿度73%。入場者数は11,086人でした。主審は小林拓矢さん。

ボールは、持てていた

立ち上がりは悪くありませんでした。

ボールを支配して、八戸陣内に押し込む。前半だけでシュート13本を記録しています。八戸は8本。数字の上でも、磐田の時間でした。

秋葉監督はこの日、直近のリーグ戦から先発を4人入れ替えています。川島永嗣、吉村瑠晟、佐藤大樹、太田龍之介。布陣は4-2-3-1でした。

9分、一瞬の隙

そんな入りだったのに、9分でした。

ペナルティエリア内から岡健太が入れたクロスに、音泉翔眞が反応。ペナルティエリア中央から右足で、ゴール左上へ。

0-1。

押し込んでいた側が、一瞬の切り替えで失点する。前節の新潟戦とまったく同じ入り方でした。

28分、ハンドでPK

それでも磐田は攻め続けます。

28分、右サイドから川﨑一輝のクロスに山﨑浩介がヘディング。これを八戸のディフェンスが体で止めたのですが、平松航の手に当たっていた。ハンドリングの判定で、磐田にPKが与えられました。

ここで追いつければ、前半のうちに逆転までいける。そう思いました。

31分、大西にセーブされた

キッカーは太田龍之介。

右足で放ったシュートは、ゴールの左下へ。しかし八戸のGK大西勝俉が、これをセーブしました。

うわ、と声が出ました。

結局、前半は0-1のまま終了。シュート13本を打って、枠に飛んだのは2本だけでした。

57分、秋葉監督が3人を替えた

後半に入っても、構図は変わりません。押し込む、跳ね返される、また押し込む。もどかしい時間が続きました。

57分、秋葉監督が動きます。一度に3人。

ユーリ ララに代えて井上潮音。イアゴ テレスに代えて川合徳孟。そして太田龍之介に代えて、ジョアン・ヴィクトル。

PKを外した選手が、ここでピッチを去りました。

62分、ジョアン・ヴィクトル

その5分後です。

右サイドから井上潮音が入れたクロスが、ペナルティエリア中央のジョアン・ヴィクトルへ。これを右足で、ゴール右上に突き刺しました。

1-1。

交代で入った選手のクロスを、交代で入った選手が決める。しかも、PKを外した太田に代わって入った選手です。ヤマハの空気が、はっきり変わったのが画面越しにも伝わってきました。

ここから、と思ったんです。

69分、高吉。こぼれ球が沈んだ

ところが、その7分後でした。

左サイドから音泉翔眞のクロス。これに反応したオウイエ ウイリアムがペナルティエリア中央から左足でシュートを放ち、吉村瑠晟がブロック。しかしこぼれ球が、ペナルティエリア手前に走り込んでいた高吉正真の前に転がりました。

左足。ゴール右下。

1-2。

ブロックした先に相手がいた、という失点です。誰かのミスと言い切れる形ではありません。でも、勢いがこちらに傾いていた7分後というのが、あまりにも痛かった。

最後まで押し込んだ。それでも届かなかった

そこからの20分間、磐田はずっと相手陣内にいました。

けれど、八戸の守備が本当に固い。最後は全員が自陣に戻って、跳ね返して、また跳ね返す。

そのまま1-2で試合終了です。

クリア42本。これが「厚い壁」の正体

試合中、何度も「壁だな」と思いながら見ていました。その感覚を、スタッツがそのまま裏づけていました。

項目 磐田 八戸
クリア 13 42
ブロック 20 21
タックル 15 18
タッチ数 1,284 508

クリア42本。磐田の3倍以上です。

タッチ数は1,284対508。ボールに触った回数が2.5倍も違うのに、それでも割れなかった。八戸は、割らせないことに徹して勝ち切ったということだと思います。

3試合連続で無得点だったチームが、この日は2本のシュートチャンスを決めました。悔しいですが、そういう試合です。

数字で見る、この90分

項目 磐田 八戸
シュート 24 18
枠内シュート 5 5
ボール支配率 67% 33%
パス成功率 83% 61%
コーナーキック 6 2
フリーキック 9 15
ファウル 13 10
警告 2 0

シュート24対18、支配率67%対33%。85分時点でのゴール期待値は、磐田2.82に対して八戸1.24でした。

数字の上では、勝っていておかしくない試合です。

でも、枠内シュートは5対5。24本打って、枠に飛んだのは5本だけでした。

2試合続けて、同じ負け方をしている

ここが、いちばん引っかかっているところです。

第7節 新潟戦 第8節 八戸戦
結果 1-2(●) 1-2(●)
磐田のシュート 15本 24本
相手のシュート 7本 18本
磐田の得点 1 1
相手の得点 2 2

打っている本数はむしろ増えています。それでも、取れる点は1点のまま。

前節のあとに私が書いたのは、「決めるべきところで決めないと、決められてしまう」でした。2試合続けて、同じことを書くことになってしまいました。

ちなみに磐田は、ここまでの全試合で相手をシュート数で上回っています。上回り続けて、3勝1分4敗です。

J2初対戦の相手に。7年前は6-0だった

磐田とヴァンラーレ八戸が公式戦で顔を合わせたのは、これが2度目です。

1度目は2019年8月14日の天皇杯3回戦。同じヤマハスタジアムで、当時J1の磐田がJ3参戦1年目の八戸を6-0で下しています。

それから7年。八戸はJ3を2位で終えてJ2に上がり、ヤマハで磐田から勝点3を持ち帰りました。

これがサッカーなんだよな、と思います。悔しいけれど。

13位、勝点10。次はルヴァンで千葉

これで8試合を終えて3勝1分4敗、勝点10で13位。得点10、失点11です。試合前は9位でしたから、一気に4つ落としました。

八戸も勝点10で14位。得失点差の順で、秋田12位・磐田13位・八戸14位と並んでいます。

次は9月29日(火)19時、ヤマハスタジアムでJリーグYBCルヴァンカップ2回戦、ジェフユナイテッド千葉戦です。リーグ戦の第9節は10月4日(日)15時、アウェイでベガルタ仙台戦。

まずは火曜日。ホームで勝って、空気を変えたい。

この日の記録

項目 内容
大会 2026/27 明治安田J2リーグ 第8節
日時 2026年9月26日(土)17:00 キックオフ
会場 ヤマハスタジアム(磐田)
スコア ジュビロ磐田 1-2 ヴァンラーレ八戸(前半0-1/後半1-1)
得点(磐) 62分 ジョアン・ヴィクトル(アシスト:井上潮音)
得点(八) 9分 音泉翔眞(アシスト:岡健太)/69分 高吉正真
磐田の交代 57分 ユーリ ララ→井上潮音、イアゴ テレス→川合徳孟、太田龍之介→ジョアン・ヴィクトル/70分 佐藤大樹→小原基樹/78分 ダニーロ→為田大貴
入場者数 11,086人
天候 雨/21.6℃/湿度73%
主審 小林拓矢
警告 50分 ユーリ ララ(磐)/89分 藤原健介(磐) 八戸は警告0・退場なし

※得点シーンの記述、スタッツ、交代、審判、入場者数はJ.League公式の試合ページ(テキスト速報・スタッツ・メンバー)を参照しています。

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【グラフトンで観戦】新潟は7本で2点、磐田は15本で1点|新潟 2-1 磐田

アウェイ、デンカビッグスワンスタジアムに乗り込んでのアルビレックス新潟戦。
久しぶりの対戦なので遠征しようと考えていたのですが、断念しました。

シルバーウィークに、ライブが重なった

まず、シルバーウィークです。そこに新潟市内でライブが重なって、宿が高騰。

調べれば調べるほど「これは無理だ」という値段になっていきました。悔しいけれど、今回は見送りです。

ただ、家でひとり画面に向かうのも寂しい。そう思っていたところに、ちょうどいいイベントを見つけました。

かわりに、五反田へ

東京・五反田の英国風パブ「THE GRAFTON」で、この試合の観戦+生解説イベントが行われるというのです。

オーサキ監督イベント看板

オーサキ監督イベント看板

ゲストはオーサキ監督。東京外国語大学サッカー部の監督を務めていて、ジュビロ磐田の試合を毎節、戦術の面から分析している方です。

行ってきました。

オーサキ監督イベント会場の様子

オーサキ監督イベント会場の様子

目の前での解説、とても参考になりましたし、何より面白かったです。

ひとりで見ていたら「なんで今そこ?」で終わっていた場面に、その場で理由がつく。試合の見え方が変わる体験でした。

立ち上がり15分は、完全にジュビロの時間だった

2026年9月19日(土)19時、デンカビッグスワンスタジアム。明治安田J2リーグ第7節です。曇り、気温25.7℃、湿度84%、無風。主審は吉田哲朗さん。

磐田は4-2-3-1。GK牲川歩見、最終ラインは川﨑一輝・山﨑浩介・ダニーロ・松原后。ボランチに小原基樹とユーリ ララ。前に乾貴士、藤原健介、イアゴ・テレスを並べ、1トップにジョアン ヴィクトル。

立ち上がりは、完全に磐田の時間でした。

4分イアゴ・テレス、6分ダニーロのヘディング、8分藤原健介、10分乾貴士、13分ジョアン ヴィクトル。最初の13分で5本です。

オーサキ監督は「最初の17分間」と言っていましたが、体感としてもまさにそのくらい。珍しく、と言っては失礼ですが、セカンドボールも磐田が拾えていました。

J.League公式の戦評も「15分までに5本のシュートを放つ」と書いています。見ていた印象と、記録がぴたりと合っていました。

前半、磐田12本・新潟1本。そして0-1

今になって思えば、この時間帯に先制点を奪えなかったのが、すべてだったのだと思います。

そして30分。新潟のこの日はじめてのシュートが、そのままゴールになりました。

加藤徹也のクロスを磐田がクリア、そのこぼれ球を大西悠介が拾ってワンタッチで送り、マテウス モラエスがダイレクトで左足。0-1です。

前半の数字が、この45分を残酷なくらい正確に表しています。

前半終了時点 磐田 新潟
シュート 12 1
枠内シュート 2 1
ゴール期待値(xG) 1.16 0.06
パス成功率 84% 65%
コーナーキック 4 0
得点 0 1

※ゴール期待値(xG)は、そのシュートがどれくらいの確率でゴールになるかを位置や状況から数値化したもの。1.16対0.06というのは「平均的には磐田が1点は取れていた内容で、新潟はほぼ何も起きていない」という意味になります。

12本打って0点、1本打って1点。数字だけ見ると、何かの冗談みたいです。

ハーフタイムに、3枚替え

後半開始から、秋葉監督は一気に3枚を代えました。

  • 小原基樹 → 川合徳孟
  • ジョアン ヴィクトル → 太田龍之介
  • 松原后 → 吉村瑠晟

甲府戦で決勝ゴールを決めた川合徳孟を入れて、前線も左サイドも入れ替える。「取りに行く」という意思がはっきり見える交代でした。

新潟の後半2本目が、2点目になった

ところが、です。

49分にイウリ カスティーリョのシュートを牲川歩見がセーブ。これが新潟の後半1本目。

そして60分。早川史哉のサイドチェンジから、加藤徹也を経由して白井永地が左からクロス。イウリ カスティーリョがヘディングで合わせて0-2。

新潟の後半2本目のシュートが、そのまま2点目になりました。

この試合の新潟のシュートは、90分を通して7本。そのうち2本がゴールです。

88分、佐藤大樹。磐田でのリーグ戦初ゴール

67分にイアゴ・テレスに代えて佐藤大樹、乾貴士に代えて小池直矢。

そして88分。藤原健介からボールを受けた小池直矢が左サイドからクロスを上げ、佐藤大樹がファーサイドでヘディング。1点を返しました。

佐藤大樹は今年6月にブラウブリッツ秋田から加入したばかり。これが磐田でのリーグ戦初ゴールです。

ただ、時すでに遅し。2-1のまま、試合終了でした。

秋葉監督「たった一度の攻撃で失点してしまった」

試合後の秋葉忠宏監督のコメントが、見ていた私の気持ちとほとんど同じでした。

「率直にもったいないゲームだったと思っています。あれだけの内容を見せながらも勝点1も持ち帰れなかったのは、本当にもったいないですし、痛かったです」

「特に前半にビッグチャンスを生かせず、たった一度の攻撃で失点してしまったのが非常にもったいなかったです。点を取れないのであれば、我慢して取らせないことももっと必要でした」

決めるべきところで決めないと、決められてしまう。そして、決められないなら決められないなりの守り方がある。そういうことなのだと思います。

「ビッグスワンの魔力」

後半についても、監督は正直に話しています。

「後半は自分たちでイライラしてしまい、前半のように冷静にプレーできれば問題なくひっくり返せたと思っています。それなのに、ビッグスワンの魔力みたいなものや空気感、判定も含めて、セルフコントロールができず、慌ててしまいました」

「こういったビッグマッチでの経験や、90分間のメンタルコントロールをまだまだ積む必要があると感じた試合でもありました」

この日の入場者数は20,708人。警告は前半45分にイアゴ・テレス、68分に小池直矢、そして試合終了後に乾貴士。数字にも、その「慌て」は出ていました。

相手の監督は、新潟OBで秋葉監督の後輩

この試合、もうひとつ書いておきたいことがあります。

新潟の船越優蔵監督は、秋葉監督と2002年から2004年まで新潟でチームメイトだった方です。2013〜14年には群馬で、秋葉監督のもとコーチも務めています。

その船越監督が、試合後にこう話していました。

「ゲーム自体は、はっきり言って磐田さんとの差があるなと。内容のところではまだまだ満足できません」

「本当に素晴らしいチームだったと思いますし、次はコテンパンにやられるのかなという恐怖心すら感じています」

「秋葉監督と僕の勝負ではなく、チーム同士の勝負なので。でも、負けたくなかったですし、本当に素晴らしい人間で、素晴らしい指導者です。僕はいつもあの人の背中を追いかけていて、まだまったく追いつけていないですし、追い越そうと頑張っています」

勝った側の監督が、ここまで言う。負けたのは悔しいけれど、この言葉は素直に嬉しかったです。

数字で見る、この90分

項目 磐田 新潟
シュート 15 7
枠内シュート 3 4
ボール支配率 61% 39%
パス本数(成功率) 579(77.4%) 280(61.1%)
コーナーキック 6 0
得点 1 2

コーナーキックは6対0。パスの本数は倍以上。それでも1-2です。

※シュート数には2系統あり、主審記録ベースの公式記録では磐田12本・新潟5本となっています。船越監督も会見で「シュート数こそ5対12で」と話していました。上の表はトラッキングデータによる数値です。

9位、勝点10。次はホームで八戸

これで7試合を終えて3勝1分3敗、勝点10で9位。得失点差はゼロに戻りました。

一方の新潟は5勝0分2敗の勝点15で、今季初の単独首位。ただし得失点差はマイナス1です。船越監督は「この時期の首位は全く意味がない」と言っていました。

対新潟は通算15勝12分7敗。直近5試合は3勝2分と負けていなかったので、久しぶりの対戦で止まった形になります。

次は9月26日(土)17時、ホームのヤマハスタジアムでヴァンラーレ八戸戦です。

12本打って0点だった前半を、ホームでひっくり返してほしい。

ハイライト

J.League公式チャンネルにハイライトが上がっています。

この日の記録

項目 内容
大会 2026/27 明治安田J2リーグ 第7節
日時 2026年9月19日(土)19:00 キックオフ
会場 デンカビッグスワンスタジアム
スコア アルビレックス新潟 2-1 ジュビロ磐田(前半1-0/後半1-1)
得点(新) 30分 マテウス モラエス(アシスト:大西悠介)/60分 イウリ カスティーリョ(アシスト:白井永地)
得点(磐) 88分 佐藤大樹(アシスト:小池直矢)
入場者数 20,708人
天候 曇/25.7℃/湿度84%/無風
主審 吉田哲朗
警告 45分 イアゴ・テレス(磐)/59分 マテウス モラエス(新)/64分 船越優蔵監督(新)/68分 小池直矢(磐)/試合終了後 乾貴士(磐) 退場なし

※監督コメントおよび試合データは、J.League公式の試合ページ(戦評・ライブテキスト・スタッツ)、新潟日報、スポーツナビから引用・参照しています。

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【観戦記】甲府キラー、爆誕。19歳・川合徳孟が2年連続の決勝ミドル|甲府 0-1 磐田

去年と、同じでした。
同じスタジアム、同じ0-0、同じペナルティエリア手前。そして同じ背番号33の右足。
こんなことが、本当にあるんですね。

甲府駅に、フラッグが出ていた

珍しく、配偶者が「行きたい」と仰せになられました。

というわけで、いざ遠征。向かうのはJITリサイクルインクスタジアム、明治安田J2リーグ第6節、ヴァンフォーレ甲府戦です。

甲府駅に着いて、まず目に入ったのがこれでした。

01_甲府駅の歓迎フラッグ|甲府 vs. 磐田

01_甲府駅の歓迎フラッグ|甲府 vs. 磐田


「ジュビロ磐田 サポーターの皆様 甲府へようこそ」。ヴァンフォーレのエンブレムと、ジュビロのロゴが並んでいます。

甲府は、本当にアウェイに優しいチームだと思います。遠征してきた側が、駅に降りた瞬間に歓迎されている。この一枚を撮るために、少し立ち止まってしまいました。

雨は、キックオフ前に止んでくれた

心配していたのは天気でした。ポンチョも一応、鞄に入れてきています。

ところがキックオフのころには、雨はほぼ止んでいました。結局この日、ポンチョの出番はなし。よかった~。

公式記録は曇り、気温25.5℃、湿度84%。9月の甲府にしては、過ごしやすい夜でした。

02_バックスタンドからの眺め|甲府 vs. 磐田

02_バックスタンドからの眺め|甲府 vs. 磐田


この日はバックスタンドから、夫婦ふたりでの観戦です。

相手の監督は、2022年に磐田を率いた人

この試合、気になっていたことがもうひとつありました。

甲府の監督は、渋谷洋樹さん。

2022年に磐田のトップチームヘッドコーチを務め、その年の8月からはシーズン途中で監督に就任した方です。12月まで、磐田を率いていました。

こちらのことを、いちばんよく知っている人がベンチにいる。非常に怖い存在です。

※渋谷監督は甲府での在籍も長く、2010〜2014年にトップチームコーチ、2020〜2022年にヘッドコーチを務めています。2025年12月に甲府の監督に就任しました。

前半、東ジョンが立ちはだかった

出だしは磐田が甲府陣内に攻め込む展開でした。

12分、15分と太田龍之介。22分にイアゴ・テレス。相手ゴール前まで、何度も運べています。

ただ、そのたびに甲府のGK東ジョンが立ちはだかりました。入りそうで、入らない。

03_先発メンバーとジュビロサポーター|甲府 vs. 磐田

03_先発メンバーとジュビロサポーター|甲府 vs. 磐田


この展開、嫌な予感がするんです。取れるときに取っておかないと、カウンターを食らって失点。サッカーあるある、というやつです。

前半のシュートは磐田8本、甲府5本。コーナーキックにいたっては磐田7本、甲府1本。押しているのは間違いなく磐田でした。

それでも、0-0で折り返します。

あとで知ったことですが、東ジョンはこの試合についてこう話していました。

「太田龍之介選手の特徴は分かっていた。遠い位置からでも打ってくるので早めに準備をしていた」

読まれていたんですね。

「0-0のハーフタイムが、実は一番危ない」

私が前半に感じていた「嫌な予感」。あれは、ベンチでも同じだったようです。

秋葉忠宏監督が、ハーフタイムに選手へ伝えたことを明かしています。

「実は、こういう我々がペースを握っているように見えるゲームでも、甲府さんは粘り強く、辛抱強く守りながら、どこかでひと刺しする力を持っています。だから『これは甲府さんのペースでもある』と、はっきり伝えました」

「いい状態で点を取れず、0-0で迎えるハーフタイムが実は一番危ないと、選手たちにも釘を刺しました」

バックスタンドで「嫌だな」と思っていたことを、プロは言葉にして、対策にしていました。当たり前かもしれませんが、こういうのを読むと少し嬉しくなります。

飲水タイムが明けた、その1分後

後半は、両チームともにギアを上げそうで上げきれない、もどかしい展開でした。

時間だけが過ぎていきます。ゴールの匂いが、あまりしない。

61分、小原基樹に代えて川合徳孟。73分には乾貴士に代えて佐藤大樹、イアゴ・テレスに代えて為田大貴。秋葉監督が立て続けにカードを切ります。

そして72分、飲水タイム。

プレーが再開されて、その1分後でした。

川合徳孟。2年連続、同じスタジアムで

74分。

投入からわずか1分の為田大貴からボールが渡ります。受けたのは川合徳孟。ペナルティエリアの手前でした。

右足を振り抜いた瞬間の、低い弾道。ボールはGKの手前で一度バウンドして、伸ばした手も届かずゴールの中へ吸い込まれていきました。

バックスタンドから見ていて、声が出ました。

J.League公式の戦評は、このシュートをこう書いています。

「攻守の切り替えが激しい時間帯に川合 徳孟へボールが入ると、右足のアウトにかけたようなシュートがファーに決まって、磐田がついに均衡を崩した」

見出しはそのまま、「均衡を崩した川合徳孟の“ミドル”」。

そして、ここからが本題です。

私たちは去年も、このスタジアムで同じものを見ています。2025年10月4日、J2第32節のヴァンフォーレ甲府戦。

あの日も0-0のまま試合が進み、前半44分、川合徳孟がペナルティエリア手前から右足を振り抜いて、ゴール右上に突き刺しました。スコアは甲府0-1磐田。決勝点でした。

つまり、こういうことです。

試合 時間 シュート 結果
2025/10/4 J2第32節 44分 PA手前から右足 甲府 0-1 磐田
2026/9/12 J2第6節 74分 PA手前から右足 甲府 0-1 磐田

場所も、形も、結果も、まったく同じ。どちらもJITリサイクルインクスタジアムで、どちらもペナルティエリア手前からの右足、どちらも決勝点、どちらも1-0の勝利です。

しかも川合徳孟は、リーグ戦の通算得点が3。そのうち2点が、甲府から奪ったものです。

「甲府キラー」と呼んでも、怒られないと思います。

本人も、そう感じていたようです。試合後、「昨年の甲府戦でもゴールを決めました。いいイメージはありましたか」と聞かれて、こう答えています。

「昨年のいいイメージはありましたし、それが今日のゴールにもつながったと思います。しっかりと決め切ることができて良かったです」

ゴールの場面については、こうです。

「最初からゴールは意識していましたし、積極的にシュートを打とうという気持ちで試合に入りました。自分の得意な形だったので、シュートを打とうと決めて、あのようなゴールにつながって良かったです」

「シュートコースもしっかりと見えていましたし、練習でも意識してやっていたので、それを試合で出すことができて良かったです」

「自分の得意な形」。2年続けて同じ場所から同じ形で決めた選手が言うと、説得力が違います。偶然ではなく、狙って打っていた。

去年の彼は18歳でした。今年は19歳。そして今季から、磐田の副主将を務めています。

勝負の神様は、誰に微笑んだのか

試合前、私は「神様が味方をするのはどっちだろう」と思いながらスタジアムに入りました。

その答えらしきものが、秋葉監督のコメントの中にありました。

この日、決勝点をアシストしたのは為田大貴。前節の富山戦ではベンチ外だった選手です。なぜベンチに入れたのかと聞かれて、監督はこんな話をしています。

「前回の富山戦の2日前、1日前のトレーニングで、スプリントのときに『ここまで走ろう』と言っていた中で、少し抜いてしまっている選手が多かったんです。その中でも、タメや貴士、イアゴ、ダニーロという4人は最後まできっちりとやっていました」

「タメは常にどんなときも、メンバー外になろうと、ウォーミングアップだろうと、100%で本気でやってくれます。そういう選手に最後は勝負の神様が微笑んでくれると思いますし、勝負はほんの些細なことで決まると思っています」

「彼が頑張ってくれたところから、(川合)徳孟が持ち込んでのシュートでしたから、彼を選んで良かったと思っています。普段のトレーニングが本当に大事なんだと改めて実感できる、僕にとってもいい教訓になったゲームでした」

神様は、水曜日の練習を見ていたわけです。

73分に入って、74分にアシスト。ピッチにいた時間は、得点までわずか1分でした。

ようやく、今季初のクリーンシート

そのまま逃げ切って、試合終了。甲府0-1磐田。

「試合は、ようやく今季初のクリーンシートにできました。守備面では最後、理屈ではなく、『何が何でも守るんだ』『何が何でも点を取らせない』というメンタリティー、執念、執着を出してくれました」

今季初の完封。ここまで5試合で失点7、どこかで必ず1点は取られていたチームが、この日はゼロで終えました。薄氷の勝利ではありましたが、この「ゼロ」は大きいと思います。

GK牲川歩見も、この日は5本のセーブを記録しています。両ゴールキーパーが5本ずつ止めた試合でした。

その牲川のコメントが、また良かったんです。この日、彼には八田直樹選手と同じチャントが送られていました。

「先輩と同じチャントを歌っていただけたのは嬉しかったですし、こうやって結果を残すことで認められていくと思っていました。個人的には少し遅くなってしまったとは思いますけど、サポーターの皆様にクリーンシートを届けられて良かったと思っています」

「シンプルに嬉しいです。ゼロにできたことは、一つのきっかけとして大きいと思います。ただ、これを続けていくことが僕たちの次の課題になってくると思うので、そこにまたチャレンジしていくことを意識したいです」

この日の最終ラインには、山﨑浩介が初先発で入っていました。そのことについても、牲川はこう話しています。

「コミュニケーションの部分は日本語でやり取りができたので、すごく伝えやすかったですし、声をかけるところは意識していました」

初先発の選手を後ろから支えながらの、今季初完封。ゴールキーパーの仕事だなあ、と思います。

太田龍之介の、古巣戦

もうひとつ、この試合には見どころがありました。

1トップに入った太田龍之介にとって、甲府は古巣なんです。

前半の決定機は、ほとんど彼のところから生まれていました。12分のヘディング、15分のシュート。そのどちらも、東ジョンに止められています。

「本当にガス欠になるまでは、相手にとって一番危険な存在でした。彼の背後への抜け出し、キープ力、そしてフィニッシュ。(中略)ただ、古巣戦はどうしても力が入るところもありますし、最後のフィニッシュだけ少し力が入ってしまったのかなと思います」

力が入ってしまう。分かる気がします。

数字で見る、この90分

「どちらに転んでもおかしくなかった」というのが、見ていた私の実感でした。ただ、数字を見ると少し違う顔が出てきます。

項目 甲府 磐田
シュート 10 13
枠内シュート 5 6
ボール支配率 40% 60%
パス成功率 74% 80.7%
コーナーキック 2 11
ゴール期待値(xG) 1.11 1.47

コーナーキックが11対2。支配率も60%対40%。押し込んでいたのは、間違いなく磐田でした。

※ゴール期待値(xG)は、そのシュートがどれくらいの確率でゴールになるかを、位置や状況から数値化したもの。合計が1.47なら「平均的には1.5点入る内容だった」という意味になります。

ちなみに、川合徳孟の決勝点そのもののxGは0.03ほど。100回打って3回しか入らない、そういうシュートでした。

秋葉監督も、そこは正直に言っています。

「あとは、スタッツ通りにもっと点は取れると思います。前半から得点を取れていれば、このような苦しいゲームにはならなかったと思います。いつも言っていますけど、3点、4点、5点と取って、ゼロで勝つというフットボールを展開したいと思っています」

渋谷監督の言葉も引いておきます。

「前半に失点していれば得点差が開いた試合になっていたかもしれない」

相手の監督にそう言わせたということは、内容として悪くはなかったのだと思います。それでも1点しか取れなかったところに、課題が残ります。

1,000人を超えるサポーターが、甲府にいた

この日の入場者数は9,289人。そのうち、磐田から来ていたサポーターについて、秋葉監督がこう話しています。

「まずは甲府まで、1,000人以上の我々を愛し、共に戦ってくれるファン・サポーターの方々が来てくれたこと。本当に感謝しています。何なら5,000人くらい来てくれたんじゃないかと思うほど、ホームかと錯覚するような大きな声で、最後の最後まで我々を鼓舞してくれました。だからこそ、あのような劇的なゴールにつながったと思います」

バックスタンドから聞いていても、本当にそうでした。ゴール裏の声が、ずっと途切れない。

その中の1,000人のうちの2人が、私たち夫婦だったということになります。

8位、勝点10。次は新潟

試合結果|甲府 0-1 磐田

試合結果|甲府 0-1 磐田


これで6試合を終えて3勝1分2敗、勝点10で8位。得点8、失点7で得失点差はプラス1になりました。

甲府は2勝1分3敗の勝点7で13位です。

対甲府は、これで5連勝。通算でも17勝10分2敗と、大きく勝ち越している相手になりました。

※順位は9月12日時点のもので、第6節には未消化の試合が残っています。

次は9月19日(土)19時、アウェイでアルビレックス新潟戦。デンカビッグスワンスタジアムです。

川合徳孟は、次に向けてこう話していました。

「今季初のクリーンシートでしたし、点を取られないことは勝つために大事なことです。まずはそこを続けながら、内容にもこだわって、前半から90分を通してアグレッシブに守備をしていきたいです」

「もっと点を取れたシーンもあったと思うので、そういう場面を逃さず決め切れば、毎試合勝てると思います」

去年も、今年も。同じスタジアムで、同じ背番号33に救われました。

また来年も、ここに来ようと思います。

ハイライト

クラブ公式チャンネルに、DAZNのハイライトが上がっています。あの一撃は、ぜひ映像で。

この日の記録

項目 内容
大会 2026/27 明治安田J2リーグ 第6節
日時 2026年9月12日(土)19:00 キックオフ
会場 JITリサイクルインクスタジアム
スコア ヴァンフォーレ甲府 0-1 ジュビロ磐田(前半0-0/後半0-1)
得点 74分 川合徳孟(磐) アシスト:為田大貴
入場者数 9,289人
天候 曇/25.5℃/湿度84%
主審 山岡良介
警告 65分 イアゴ・テレス(磐)/90+5分 スタチオーリ ミケーレ(甲) 退場なし

※監督・選手のコメントは、ジュビロ磐田公式サイトの試合結果ページおよびJ.League公式の試合後会見録・インタビューから引用しています。

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【DAZN観戦】17本打って、枠内3本。雨のヤマハで止まった連勝|磐田 0-1 富山

見ていて、ずっともどかしかったんです。
ボールは持てている。相手陣内まで運べている。それなのに、最後の一本が出てこない。
試合が終わってスタッツを見て、その正体が分かりました。
シュートは、17本打っていたんです。打てていなかったわけじゃなかった。
枠に飛んだのが、3本でした。

雨のヤマハ。風は、東北東から

2026年9月6日、明治安田J2リーグ第5節。ホーム・ヤマハスタジアムにカターレ富山を迎えました。

徳島戦、栃木シティ戦とリーグ2連勝。9月2日のルヴァンカップ・相模原戦も3-0で勝って、公式戦3連勝。チームの調子は間違いなく上向いている——そう思って画面の前に座りました。

ただ、天気が心配でした。
公式記録は雨、気温23.7℃、湿度79%。ヤマハスタジアムは水はけがいいことで知られていますが、この日は雨だけでなく、風もありました。

気になったので、気象庁のアメダス磐田観測所(スタジアムから約2km)の記録を調べてみました。

時刻 雨(1時間) 風速(10分平均) 風向
19:00 6.0mm 6.4 m/s 東北東
19:20 6.5mm 8.1 m/s 東北東
20:00 4.5mm 7.1 m/s 東北東
20:50 3.0mm 7.5 m/s 東北東

正直に書くと、「激しい雨」というほどではありませんでした。1時間3〜6.5mmは、気象庁の分類では「やや強い雨」の手前です。
ただ風は、ずっと7〜8メートル。東北東から吹き続けていました。傘がさしにくいくらいの風です。しかも90分間、向きが変わらない。

ロングボールもクロスも、思ったところに落ちない。そういう夜だったと思います。
入場者数は9,958人。今季ここまでのヤマハの平均が13,031人なので、雨がなければもっと入っていたはずです。それでも1万人近くが来ていたことのほうが、私にはすごいことに思えます。

22分、小川慶治朗

立ち上がりは、悪くありませんでした。
前半2分、藤原健介のクロスにジョアン・ヴィクトルが右足で合わせています。ブロックされましたが、いきなり相手ゴール前まで運べていた。

ところが前半22分でした。
古川真人のパスから、小川慶治朗がペナルティエリア中央で右足。ゴール右下に、決められました。
0-1。
リズムは悪くなかっただけに、これは効きました。見ているこちらのショックも大きかったです。

ただ、そこから磐田は押し返しています。前半30分時点の直近15分のボール支配率は、磐田65%対富山35%。データの上では、ちゃんと反撃していました。
それでも前半のうちには届かず、0-1で折り返します。

17本打って、枠内3本

後半も、同じ感覚が続きました。ボールは持てる。でもゴールの匂いがしない。
私はずっと「シュートが打てていない」と思って見ていました。フラストレーションが溜まっていくのが、自分でも分かるくらいに。

でも、終わってみたら違ったんです。

項目 磐田 富山
シュート 17 13
枠内シュート 3 7

打ってはいたんです。17本も。富山より4本多い。
問題は、そのうち枠に飛んだのが3本しかなかったこと。逆に富山は13本中7本が枠内でした。

つまり「打てなかった」のではなく、「打ったけれど、枠を捉えられなかった」。私がもどかしかったのは、そこだったんだと思います。
もうひとつ、この試合を象徴する数字があります。スポーツナビが掲載しているゴール期待値(xG)です。

※ゴール期待値:そのシュートがどれくらいの確率でゴールになるかを、位置や状況から数値化したもの。合計が2.0なら「平均的には2点入る内容だった」という意味になります。

項目 磐田 富山
ゴール期待値(xG) 2.35 0.84

数字の上では、磐田は2点分以上のチャンスを作っていたことになります。それで0点。富山は0.84の内容で1点。
内容で負けていたわけではない。でも、勝負には負けた。サッカーのいちばん厳しいところが、そのまま出た試合でした。

後半46分には、桑原航太のシュートがゴールの枠を叩いています。あと数センチでした。
※xGはスポーツナビ(データスタジアム)の掲載値です。Jリーグ公式サイトやクラブ公式には掲載がないため、参考値として扱ってください。

オフサイド7回。半歩、早かった

もうひとつ、見ていて気づかなかった数字があります。
磐田のオフサイドが、7回。富山は0回でした。

前半だけで3回、すべてジョアン・ヴィクトルです。後半は吉村瑠晟が1回、太田龍之介が2回、そしてアディショナルタイムにもう1回。
「最後の一本が出てこない」と感じていた場面のいくつかは、実は出ていたんですね。ただ、走り出しが半歩早かった。
裏を返せば、それだけ抜け出そうとしていたということでもあります。7回オフサイドを取られるチームは、7回以上は裏を狙っている。

※Jリーグ公式サイトのスタッツ表では、オフサイド数が磐田0/富山7と表示されています。ただし試合速報を1回ずつ確認したところ、7回すべて磐田の選手に対する判定でした。この記事では速報にもとづいて「磐田7/富山0」としています。

イエロー9枚の90分

この試合、警告が合計9枚出ました。激しい試合だったのは、間違いありません。

時間 チーム 選手
33分 富山 谷本駿介
42分 磐田 藤原健介
45+2分 磐田 吉村瑠晟
45+2分 富山 古川真人
53分 富山 カン ミヌ
60分 磐田 ダニーロ
64分 富山 深澤壯太
69分 富山 キム テウォン
83分 富山 平尾駿輝(GK)

内訳は磐田3枚、富山6枚。意外にも、富山のほうが倍でした。
しかも富山の6枚のうち4枚が、リードしてからの53分以降に集中しています。83分にはGKの平尾駿輝にも出ました。

1点を守り切ろうとする側の必死さが、そのまま枚数になった。そう読むこともできると思います。
退場はありませんでした。

磐田 0-1 富山|スタッツで見ると

項目 磐田 富山
シュート 17 13
枠内シュート 3 7
ボール支配率 54% 46%
パス成功率 79% 76%
コーナーキック 9 5
フリーキック 14 13
オフサイド 7 0
警告 3 6

支配率54対46、CK 9対5、パス成功率でも上回っています。数字だけ並べれば、磐田が押していた試合です。
それでも0-1。

後半20分時点では、枠内シュートが磐田2本に対して富山6本という時間帯もありました。押していても、危なかったのは磐田のほうだった瞬間がある。0-1というスコア以上に、薄氷だったのかもしれません。

富山との相性、実は悪くない

富山は苦手な相手、という印象を持っていました。でも調べてみたら、少し違いました。

日付 対戦 結果
2014/5/18 富山(A) 磐田 1-0 ○
2014/8/17 富山(H) 磐田 3-2 ○
2025/3/9 富山(A) 磐田 1-3 ●
2025/8/23 富山(H) 磐田 2-0 ○
2026/9/6 富山(H) 磐田 0-1 ●

リーグ戦の通算は磐田の3勝2敗。勝ち越しています。

ただし直近3試合では富山の2勝1敗。2025年3月には富山のホームで1-3と敗れています。「相性が悪い」というより「最近やられている」というのが正確なところでした。
そしてこの日、ヤマハスタジアムでは初めて富山に負けました。

連勝は止まった。次は甲府

節 対戦 結果
第1節(H) 秋田 1-1
第2節(国立) 横浜FC 1-3
第3節(H) 徳島 2-1
第4節(A) 栃木シティ 3-1
第5節(H) 富山 0-1

2勝1分2敗、勝点7で11位。得点7、失点7、得失点差0。きれいに五分の位置です。

リーグ2連勝とルヴァン勝利を合わせた公式戦3連勝は、ここで止まりました。

リーグ戦、次節は9月12日(土)19時、アウェイでヴァンフォーレ甲府戦。JITリサイクルインクスタジアムです。
管理人、馳せ参じます!

17本打って3本しか枠に飛ばなかった夜のあとで、次にどれだけ枠を捉えられるか。
内容は悪くなかった。あとは、決めるだけです。

この日の記録

項目 内容
大会 2026/27 明治安田J2リーグ 第5節
日時 2026年9月6日(日)19:03キックオフ
会場 ヤマハスタジアム(磐田)
スコア ジュビロ磐田 0-1 カターレ富山(前半 0-1/後半 0-0)
得点 22分 小川慶治朗(富山/アシスト:古川真人)
入場者数 9,958人
天候 雨 気温23.7℃ 湿度79%
主審 田中玲匡
磐田先発 GK牲川歩見/DFダニーロ・桑原航太・吉村瑠晟/MF金子大毅・小原基樹・ユーリ ララ・乾貴士・イアゴ テレス・藤原健介/FWジョアン ヴィクトル
磐田交代 57分 ジョアン ヴィクトル→太田龍之介/65分 藤原健介→井上潮音/65分 小原基樹→川﨑一輝/73分 イアゴ テレス→野澤零温/73分 金子大毅→渡邉りょう
警告 磐田3枚(藤原42分・吉村45+2分・ダニーロ60分)/富山6枚
順位 磐田 11位(勝点7/2勝1分2敗) 富山 6位(勝点9/3勝2敗)
次戦 9月12日(土)19:00 J2第6節 vs ヴァンフォーレ甲府(アウェイ・JITリサイクルインクスタジアム)

雨の中、1万人近くが最後まで見届けた夜でした。

次は甲府。切り替えていきましょう。

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