横浜Fマリノス一覧

仲川輝人への期待。

ちょうどその日は外出していたのだけど、
マリノスと長崎の試合、スコアを見るよりも先に、
仲川輝人の活躍がタイムラインに流れてきた。

すでに多くの場所で仲川輝人の話が語られている。
何番煎じか分からないけれど、
それでも自分なりに文字にしたいと思った。

大学サッカーを見に行っている。
と言うと、やっぱり珍しがられる。
普通はそれで終わりだが、
結構なサッカー好きに限ってはそこからさらに、
どの選手が注目ですかと聞かれることが多い。

ある時期の数年間、返事はいつも同じだった。
「専修大学の、仲川輝人と北爪健吾を、覚えておいてください。」

最初に見たのは、西が丘での関東大学サッカーリーグだった。
2011年の専修大学。
前年に二部リーグを優勝して昇格した勢いのままに
一部リーグでも圧倒的な強さを見せていた。

ちなみに当時の専修大学のスタメンはこんな感じ。
ー長澤ーーー大西ーーー仲川ー
ーーーーーー町田ーーーーーー
ーーーー下田ーー庄司ーーーー
松本ーー鈴木ーー栗山ーー北爪
ーーーーーーパクーーーーーー

タレント揃いの専修大学だったが、特に右サイドは強かった、
その中でも一際目を引く、14番の小柄な右のウイングアタッカー。
テクニックとスピードに優れ、小柄ながらも競り負けない。
一人や二人なら、簡単に剥がしていける。
得点力が高く、フィニッシャーにもなれる。

仲川輝人。
まだ一年生だった。
それでも既に、大学サッカーの枠の中ではトップクラスの選手だった。

ボールを持ったとき、スプリントを開始するとき、
大げさではなくて、これまで見てきたどの選手よりも、期待した。
そして、その期待に、いつも応えてくれた。

後方に構える同じく一年の右サイドバック北爪健吾も凄かった。
誰よりも速く、強く、サイドを駆け上がった。
専修大学の右サイドは完全に敵無しだった。

風間さんが作ったパスサッカーの筑波大学も、
ロングボールで徹底して押し込んでくる駒澤大学も、
スマートかつ勝負強いサッカーをする明治大学も、
僕はとても好きだったのだけれど、
僕が大学サッカーを見に行っていた理由のひとつに
あの頃の専修大学が、仲川輝人と北爪健吾が、間違いなくあった。

仲川輝人が在籍した2011年から2014年の4年間で
専修大学は関東大学リーグ1部で4連覇を達成する。
自身は2013年には得点王にも輝く。

間違いなくプロに行く、通用する、
Jクラブからの内定発表はまだ無かったが、
その先の道を、信じて疑わなかった。
僕も、おそらく他の人も。

2014年10月19日、いつもと変わらず、西が丘にサッカーを見に行った。
関東大学リーグ1部、第18節、専修大学対駒澤大学。
専修大学の右サイドはこの日も例外ではなく駒澤大学に脅威を与え続けていた。

しかし、その試合終盤、仲川輝人は相手のタックルを受けて負傷してしまう。

重症でないことを祈りながらも、
残念ながら相当な重症であることも同時に理解できてしまった。

なにかにすがりたい、信じたい思いもあったけれど、
目の前で起こってしまった事象はわりとすぐに受け入れられて、
この先で待っている苦難を
勝手ながら考えるほうが強かったような記憶がある。

診断結果は、前十字靭帯と内側側副靭帯断裂、右膝半月板損傷。

それでも、そのあとすぐの2014年10月28日、
横浜Fマリノスが仲川輝人の加入を発表した。
まだ先が続いている、開けていることを再認識できて、嬉しかった。

その後は省略しちゃうけど、ケガや二度のレンタル移籍を経て、
今年、ついにマリノスでコンスタントに出場機会を得るようになった。

プロの舞台での出場を、ずっと気にしてみていた。
ボールを持ったとき、スプリントを開始するとき、
あの頃と同じように、期待して、その姿を追う。
たぶん、これからも変わらない。

町田や福岡でも試合には出ていて、決して悪くなかったけれど。
J1で、ついに、試合を決定付けるプレーをして見せてくれた。
ひとつ結果を残した。
おめでとう。

ただ、翌日、DAZNで試合を見て、思ったのは。
ゴールシーンはあくまで結実に過ぎないかなーと。
長崎戦の、特に後半、ドリブルで仕掛けるプレーを、
「あの頃」と同じような感覚を持って見ていた。

過去と比べられて迷惑な話だと思うけど。
それでも僕は、ずっとずっと期待し続ける。

コンディションは、はっきりと上がってきている。
結果を残して、出場機会も増えるはず。

あれからずっと続いて辿り着いた今だから、
まだまだ、こんなもんじゃ、ないでしょ?
勝手に期待して、その姿を追うよ。


試合レポート/2018年J1第4節 浦和レッズ 0-1 横浜Fマリノス

明治安田生命J1リーグ第4節
2018年3月18日(日)16:04KO 埼玉
浦和レッズ 0-1 横浜F・マリノス
81' ウーゴ ヴィエイラ

公式はこちら

浦和レッズ

フォーメーション

ーーーーーー興梠ーーーーーー
ーー武藤ーーーーーー武富ーー
ーーーー柏木ーー長澤ーーーー
ーーーーーー青木ーーーーーー
宇賀神ー槙野ーマウリシオー菊池
ーーーーーー西川ーーーーーー

スターティングメンバー

GK 1 西川 周作
DF 38 菊池 大介
DF 2 マウリシオ
DF 5 槙野 智章
DF 3 宇賀神 友弥
MF 16 青木 拓矢
MF 15 長澤 和輝 63'
MF 10 柏木 陽介
FW 9 武藤 雄樹
FW 30 興梠 慎三 86'
FW 7 武富 孝介 79'
控えメンバー
GK 28 福島 春樹
DF 26 荻原 拓也 86'
DF 31 岩波 拓也
MF 11 マルティノス
MF 18 山田 直輝 63'
MF 22 阿部 勇樹
FW 21 ズラタン 79'
監督
堀 孝史

横浜F・マリノス

フォーメーション

ーーーウーゴヴィエイラーーー
ーユンーーーーーーーー遠藤ー
ーーバブンスキーー天野ーーー
ーーーーーー扇原ーーーーーー
山中ーデゲネクー中澤ーー松原
ーーーーーー飯倉ーーーーーー

スターティングメンバー

GK 21 飯倉 大樹
DF 27 松原 健
DF 22 中澤 佑二
DF 2 ミロシュ デゲネク
DF 24 山中 亮輔
MF 6 扇原 貴宏
MF 33 ダビド バブンスキー 77'
MF 14 天野 純
FW 11 遠藤 渓太
FW 7 ウーゴ ヴィエイラ 90+3'
FW 25 ユン イルロク 84'
控えメンバー
GK 31 杉本 大地
DF 13 金井 貢史
DF 23 下平 匠
MF 35 吉尾 海夏 77'
MF 8 中町 公祐
FW 16 伊藤 翔 90+3'
FW 26 イッペイ シノヅカ 84'
監督
アンジェ ポステコグルー

サイドバック軸の旋回性で結果を出したマリノス。浦和は光が見えず

攻守の切り替わりが多くて早い、激しいゲームになりました。

そうなった要因の一つは、やはりマリノスのサッカーによるもので、
ハイラインかつ狭い距離感の位置取りによって、
常に小さなトライアングルを作って数的優位を取り
ボールと選手を早く前に動かしていく。

相変わらずセンターバックからの次のポイント、
ボランチやサイドバックにボールが渡る時の
数的有利の作り方が上手かったです。
浦和のワイドの武藤・武富の周囲に、
サイドバックと中盤がポジションを取る。
そしてサイドラインには幅を取るユンイルロクと遠藤。
ビルドアップが破綻することはありませんでした。

この試合の唯一の得点となったウーゴヴィエイラのゴールは、
マリノスらしさが出たシーンです。

ペナルティエリア幅の高い位置でボールを持った
左サイドバック山中が、中央にボールを運ぶ。
それに連動して、中盤の選手たちが、
マリノスから見た右サイド側にスペースを作るように、
押し込んだ浦和DFラインを混乱させながら
左奥に斜めに抜ける。

バイタル中央まで侵入した山中の、
右へのショートパスを受けたウーゴヴィエイラ。
これに遅れて対応するのが、浦和のフォワード興梠。
後追いで対応しようとしますが、間に合いません。
押し込まれる中で、マリノスの囮の動きによって
本来山中がいる側の浦和右サイド側に順番に剥がされる。
マークもカバーもありませんでした。

マリノスは、このシーンは良かった。
とはいえ、全体を通してみると、
高いボール支配率、人数をかけて押し込む、主導権を握る、
それを、決定機に還元するところにまだ課題がありそうです。

個人的には、ディティールはまだまだ理解しきれてないのですが
過去のゴールシーンや決定機から、
いくつかポイントは見えてきたような気がしています。

その中の一つが、アタッキングサードでのサイドバック中心の「旋回性」。
ボールを回してとにかく一度ウイングまで持って行く。
中央気味にポジションを取るサイドバックが
前向きでボールを受けると、ゴールに向かって直線的に進む。
それに呼応して、各選手が旋回する。

山中・松原を中心にした旋回性を高めることと、
そもそもそのシーンをもっと多く作ることが、
次のステップになりそうです。

対する浦和は、まだ光が見えません。
この日は西川のセーブに結構助けられました。

遠藤の負傷もあり、
右ウイングのマルティノスを武富に、
右サイドバックの遠藤を菊池に
この日は変えてきました。

幅を取るマルティノスに対して、
武富は中に入って2トップ気味にプレーする。
菊池はサイドのオープンスペースで受けると
基本はアーリークロスでGKとDFラインの間を狙う。
割り切ってダイレクトでクロスを上げるシーンもよく見られました。

マルティノス次第だったこれまでよりも
流動性が多少は生まれて良くなった感じがあったのも事実ですが
正直言ってマリノスが攻め込んでくることに対応した結果であって
浦和が大きく改善したと見てしまうのは
ちょっとポジティブすぎる感じがしました。

結果も内容も伴わない状況なだけに、
「いつも通り」では通用しないことを、
どれだけ理解できているか。
勝つための貪欲さや気迫や姿勢が見えないことが気になります。
第三者として、そういう強さを、浦和レッズには求めたい。
過去の強かった浦和レッズには、それがあったように思うのです。


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