2019年秋ドラマ-少年寅次郎一覧

少年寅次郎 最終回 感想|家族それぞれの愛の形と、寅さんの旅立ち。

 

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結局、平造(毎熊克也)とは分かち合えないまま家を出て行って、

"あの"寅さんへとなったんですねぇ…そう思うと、ちょっと複雑な心境。

 

くるま屋は優しい人ばかりだから、誰かガツンと言ってくれる人がいたならば

寅次郎(井上優吏)が出て行く事はなかったでしょうし、

もう少し駅に辿り着くのが早ければ、引き止める事だって出来たでしょう。

ほんっとうに平造は、最後まで「素直じゃない」を通り越して捻くれた人だった…(泣)

けれども、そんな彼にも自分なりに奥さんを想う気持ちがあった事が

見受けられただけ、まだ救いはあったのかもしれません。

あれからどこへ行ってしまったのかが気になって仕方ない…。

 

男はつらいよ」シリーズは全く見た事なければ、

タイトルと寅さんがフラれる物語…くらいのざっくりした知識しか持っていない状態で、

単純に「岡田脚本だから面白そう」という目的で見始めた本作ですが、

そんな私でも予想以上に楽しめた作品でした。

寅次郎の子供時代が舞台なので、ファンの人だけが楽しめる

内輪寄りになってしまうんじゃないかと少し不安だったものの、

全体的に「母親がいる事の尊さ」「様々な形の愛情を受け取り育つ親子の物語」の作りで

"人気シリーズもののエピソード0"とは違った

1つの作品として成立していたと思います。

勿論、初見に優しいだけでなく、こうして寅さんが出来上がったんだなぁと

想像させる部分も多々あり、映画を見たくさせるある種の広告塔としても

ファンの人が本作を見て2倍楽しめる作品としても、

さじ加減が程よく盛り込まれていた印象でした。

 

寅次郎の旅立ちでしんみりしてしまってからの「お元気ですか?」の手紙、

そこからまとめに入る流れには急な感じがして、

全5話だから駆け足気味になってしまったのかな?とは思いましたが。

とにかく、最近にはなかったような穏やかで懐かしい「ザ・昭和」らしさが心地良く、

どの登場人物の気持ちも汲み取り共感させる心情描写も丁寧で、

毎回見終わった後は「上質なホームドラマを見たなぁ」という余韻に浸れました。

 

また、初めて見たのが恐らく「花より男子」での女子学生役だった井上真央さんが

今ではもうお母さん役にしっくり来るんだ…という驚きもあり、

寅次郎役を演じた藤原颯音くんも井上優吏くんも、凄く芸達者な訳ではないのだけれど

子供らしいあどけなさや繊細さがぴったりハマっていて、

役者面においても収穫を得るものが多かったです。

 

今期1,2位を争う作品がもう終わってしまった寂しさ…

男はつらいよ」1本でも借りて見てみようかな。

 

 

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少年寅次郎 4話 感想|父の事殴って良いぞ、寅さん!

 

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なんだって、平造(毎熊克也)はあんなに人を馬鹿にするんでしょうねぇ…

寅次郎(井上優吏)じゃなくても殴りたくなってしまったよ。特にラストのシーン(笑)

何やったってどうせ、みんな優しくしてくれるだろうとか甘えてるんですよね。

っていうか、戦争前より捻くれてないか?というのは置いといて…

 

今回は"現在の母"である光子(井上真央)と"かつての母"であるお菊(山田真歩)の、

二人の母親の我が子に対する想いが描かれました。

 

赤ちゃんの時以来の寅次郎に会いに来たお菊。

空白の数年間、今まで何をしていたのか?どんな想いで生活して来たのか?といった過去は

詳しく明かされはしなかったものの、

散歩先生(岸谷五朗)の提案で再会を果たし、腕を掴んで

ごめんね…ごめんなさい…と延々と泣きながら寅次郎に謝り続けるその姿には、

自身の行為をどんなに悔いてきたか…という背景が滲み出るようで

涙が止まらないシーンでした。

 

他にも、万年筆を見て寅次郎とお菊の関係を悟り、それをあえて話さない光子や、

神社で光子とお菊が対面し、一見神頼みするつもりで本当は光子に

「頼みましたよ?」と背中を押しているのが見て取れる様子など、

今回も視聴者がその人の心情を想像させる形で、優しさと温かみが感じられる描写が

盛り込まれていたのが良かったです。

 

親の承諾も取らず、寅次郎に心の準備をさせないまま

お菊を会わせるなんて良いの!?と思っていた散歩先生も…

愛する奥さんを亡くしてしまった今、彼女にも後悔のないように、

お互いが生きていて手の届くうちに会わせてあげたい、幸せになってもらいたい

という気持ちが働いての行為だったのかもしれませんね。

そして、その親の元で立派に育ち、

相手の立場になって考えられる子に成長した夏子(井頭愛美)。

2人の母親と更に、散歩先生と夏子も含めて4人なりの「思いやり」も

描かれたお話だったと思います。

 

光子もまた、寅次郎を心根真っ直ぐに育て上げてくれた。

産みの親も愛してくれていると分かって喜ばしい事だった。

でも…平造への憎しみは募る一方で、やはり家を出て行ってしまうんですね。

どうやって落とし所をつけるのか、気になります…。

 

 

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ドラマとは全く関係のない余談。

本当は日曜日に見て感想を上げるつもりだったものの、

録画が(いつもはちゃんと録れてるのになぜか)映像が乱れ乱れで、

気付いたら20分しか録れておらず…

再放送を待ち、視聴出来るチャンスを待ち…で、放送直前になってしまいました(汗)

 

感想を定期的に読みに来てくださる方もあまりいないとは思いますが、

もしいらっしゃったら、大変遅くなってしまってすみませんでしたm(_ _)m

HDDレコーダーくん、最終回はしっかり録ってくれよ〜!

 


少年寅次郎 3話 感想|愛情は親から子、兄から妹へと受け継がれる…

 

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寅次郎(井上優吏)、人生で初めての失恋。 

男はつらいよ」のあの寅さんに育つまでの

"エピソード0"感が今までより濃く出ていたとともに、

愛情は親から子供へ、兄から妹へ受け継がれていく…も

車屋の動きを絡めながら描いた回でもありました。

 

父・正吉(きたろう)が平造(毎熊克哉)に告げた最後の言葉。

「どうしようもないろくでなしの、いい加減な事ばっかり言って…

口も悪いし行も悪い。そういう、ダメなお前に戻れよ…」で早速泣かされてしまったなぁ。

ずっとダメダメな息子を見てきたからこそ、

その言葉に愛情が込められているというのが伝わるシーンでした。

 

光子(井上真央)はそんな温もりのある正吉と共に暮らす事で

芯の強い愛されるお母さんになり、

寅次郎はその母の元で、誰よりも人の気持ちが分かる優しい子へと育つ。

そして、妹・さくら(野澤しおり)もまた兄の背中を見て成長する。

 

「お父さんを好きになる!」と言った当時のさくらが

時を経て自ら平造に近づくようになるのも感慨深く。

ああ、こうやって車家はいつもの日常へと戻れたんだなぁと思える流れと

機敏な感情描写の積み重ねがあったからこそ、

12歳になった寅次郎、街の雰囲気が変わり

新たなキャラクターのいる世界観にも、すぐに馴染む事が出来ました。

 

何年後かになった時は、藤原くんロスではあったけれど…

井上くんの寅さんも上手かったなぁ。

「ばかだねえ」の言い方や見た目は寅さんに近くなってきたと思わせられるんだけど、

ただのマネっ子ではなくて、中学生の時期にあるナイーブな一面とか、

あどけない幼少期とは違った大人らしい考え方が滲みでてくる所とか。

難しい役どころを自然と演じられていました。

眉毛にあるいぼ、笑うと目が線になるのも一緒で…

よく似た方をしっかり用意されたスタッフの意気込みも凄い。

 

序盤では毎熊克哉さんの演技に持ってかれっぱなしで、

竜造(泉澤祐希)が以前とさほど変わりない姿で帰ってきたシーンなんかは

対比が効いていて。

いろんな感情が込み上げんばかりに抱きしめる平造の様子に、

この人は戦地でどれだけの苦しみと地獄を味わったのだろうか…と、

過去は詳しく明かされなくとも、つい想像してしまいました。

 

基本的に可笑しみのあるストーリーではあるのですが、

ふとした時に戦争時代のやるせなさ、残酷さ、繊細さも含まれていて…

やっぱり、「ひよっこ」や「この世界の片隅に」を書いてきた

岡田脚本の真骨頂でもあり、それが山田洋次原作の世界観と

見事にマッチングしてるなぁと思わされます。

 

キャストもまたその世界観にハマっていて、見終えた後はいつも

「ああ、1つの作品を見た」という余韻に浸れますね。あと2回か…(泣)

 

 

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少年寅次郎 2話 感想|人情深い"あの"寅さんになったのも納得出来る…

 

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今回は、光子(井上真央)や平造(毎熊克哉)との関わりで何かを感じ取ったり、

二人の様子を後ろから見たりする寅次郎(藤原颯音)のカットが多かったので、

彼にとって「思いやりとは何か?」「大人の抱える複雑な心境とはどんなものか?」

を学ぶ回になるのかなぁと思いながら見ておりましたが。

戦争当時の背景も絡めて、まさかそんな想いが芽生えるとは…という切なさが

寅次郎の表情から込み上げてきてしまいました。

 

子供が思った以上に周りに敏感である事は

本作だけでなくどのドラマでも描かれたりするもの。

ですが、ほんの興味で土手に行き、燃えている向こう側の町とすぐ上を通る軍用機に

ただただ見とれる寅次郎の姿は、自分の無力さを知り、

このままスッと消えてしまうのではないかと自然と感じ取れてしまうような

ショックの大きいシーンでした。

 

しかし、戦地へ出征し家を出て行く家族、亡き兄、戦況下で緊迫した日々を過ごす毎日と

シリアスな展開が続いた分、光子からの愛情たっぷりの抱擁には、

寅次郎と同じように嬉し涙が…。

他にも、兄・昭一郎(村山陽央)との最期の会話にも泣いてしまったり、

逆に序盤ではムードメーカー的存在として明るく振る舞う寅次郎に

何度もクスッとさせられ、この愉快な日常がずっと続けばいいのに…と思わされたりと、

見所があり過ぎて言葉で上手く伝えられないほど、

終始登場人物に心が揺り動かされっぱなしでした。

 

やっぱり、「間」がとても素晴らしいと感じられるドラマは良いドラマ。

向こうの世界の空気や時間が、こっちにも伝わってくるような感覚を覚えます。

 

 

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少年寅次郎 1話 感想|母親役の井上真央さんと寅次郎役の子が良過ぎる!!

 

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ああ、良いなぁ…昭和らしい世界観。

ゆったり時間が流れているかのような雰囲気。

 

全体的に劇伴が抑えめで、あくまでも寅次郎(藤原颯音)の動きと

母・光子(井上真央)との会話に重点を置いた物語に仕上がっていたのが、

そう感じられた理由なのかもしれませんね。

にしても、ゲンコツを久しぶりに見た気がするなぁ…(笑)

どこか懐かしくて微笑ましい そんなクスッと出来る所もありつつ、

細かな表情や動きで魅せる、深い愛情で結ばれている寅屋の人々の温かさに

ジーンと心が満たされつつ…最後まであっという間に楽しんだ1時間でした。

 

そして何より一番良いと思ったのは、

井上真央さんが寅次郎の母親役としてしっくり来過ぎる件ね!

姉御肌というか何というか、凛とした女性ではあるんだけど、

本当は人一倍人情深くて、弱さも抱えていて…といった

一言では表せないような様々な面を持った役を自然と演じられていて、

もう初回を見ただけで「この役は井上さんでしょ!」と確信してしまいました。

あとは寅次郎役の颯音くん。

寅さんシリーズは正直名前とテーマ曲を知ってるだけで、全く作品は見た事ないんですけど、

それでも本当に寅さんなんじゃないかと思えるくらいソックリでしたなぁ。

個人的には、笑った時の目が線になっている表情がお気に入りです。

可愛い。もっと笑顔を見せて欲しい(笑)

 

次回は何やら戦争描写が増えるようで、

初回よりはシリアスな展開になってしまうかもしれませんが、

基本的には温かくホッコリした世界観に魅了されそうな気がします。

 

それにしても、ナレーションが付くと朝ドラ風味で…

岡田脚本となるとすぐさま「ひよっこ」を彷彿とさせられましたね。

声が増田さんに似てるなぁと思いながら見てましたが、

調べてみたら原由子さんだったのにはビックリ。

 

 

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