2021年春ドラマ-生きるとか死ぬとか父親とか一覧

生きるとか死ぬとか父親とか 6話 感想|今と向き合って生きるしかない…という決意の回

 

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「インテリジェンスの欠如」から「思いやりの欠如」の展開に…。

祝儀袋に入れる用の新札を手に入れようと机に一枚ずつ並べては

必死に探している時のカメラワークがもろ防犯カメラ(第三者)の視点になっていて、

「何やってんだ、この人達は…w」みたいな

ちょっとした呆れ笑いが含まれているようなシーンが可笑しかっただけに、

トキコ(吉田羊)が生まれる前の哲也(國村隼)の醜い部分が明かされた過去には

胸が抉られるものがありました…。

 

昔の男はみんなそうだったという伯母(三林京子)のフォローは入ったけど、

何度も流産させるほど奥さんを労わろうとしなかったんだから相当酷い。

それを特に物語っているのが、妊娠して間もない奥さんに高い所にある物をとらせたエピソード。

手を伸ばした時に流れた感覚を覚えた事に医学的根拠があるのかどうか不明ですが、

少なからず、奥さんは病院で胎児の死を知り「あの時のあの行動が悪かったのか」と

自分や旦那を責める日々が続いたのは間違いない訳で。

哲也はその繊細な気持ちに気づこうとせず、

奥さんを支える事、子供について話し合う時間をほったらかしては

仕事や女遊びに邁進していたらしい過去があった事が分かります。

 

「自分が生まれる前の母を癒せない事が、私には猛烈にもどかしい」

「ありのままを書くつもりでいたのに、いつの間にか良いお話を紡いでいただけのような気がする」

自分が送ってきた人生は良い思い出の方が多いと信じたかったトキコの心情と、

本作でこれまで描かれてきた、父との関わりと通してのほっこりエピソードがシンクロ。

そして、時間をかけて考えて出た想いが

「どんなに下衆な話でも、どんなに無様で不都合な話でも、笑い倒して書こうではないか」。

父の話をエッセイに綴る意味をもう一度自身に問いかける"決意"の表現ではあるけれど、

今回の様々なエピソードは全てこのモノローグに集約されているんじゃないかなぁ…とも思いました。

 

後半戦に突入するための"転換回"という役割だけでなく。

このまま夫婦2人で生きて行くべきなのか葛藤するリスナーや、

成り行きに任せれば良いとする旦那に対してどうやって説得しようか

これから模索する形になるリスナーにも。

 

赤ちゃんを授かって今最も幸せそうな雰囲気が漂っていても、

今後待ち受ける育児や子育ての大変さを乗り越えてこそ真の幸せが得られるのかもしれない…

とも考えられる新婚夫婦にも言える事で。

複数の出来事が積み重なって一見ややこしそうでも、最終的に語られるトキコの決意によって

「"今"と向き合って生きる事が大切だ」という…

見終わってから、不思議とそんなエールをもらえたお話でした。

 

トキコが変化を見せてからの次回は、3話で登場した友人・ミナミ(石橋けい)と

カオリ(中村優子)が再び登場するとの事で、

どんな展開が繰り広げられていくのか楽しみです。

でも、20代のトキコ松岡茉優)と哲也のエピソードにも

ガッツリ触れる所が見たいなぁ…という気持ちもありますね。

 

 

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生きるとか死ぬとか父親とか 5話 感想|思わぬ収穫の方が多い人生よね。

 

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「思わず涙がホロリと崩れ落ちるようなエピソードが生まれるに決まっている」

というトキコ(吉田羊)のモノローグが入った時点で、

あ、これは感動的なエピソードにならないな…むしろ真逆の方に行ってしまいそうだと

察しましたが、結果的には今回もほっこりする内容でした。

 

前回のスーツ屋で「もし私が結婚して子供を産んでいたら」

「もしまだ母が生きていたら」などと、

一人たらればを悶々と考えていた姿が頭に焼き付いていて、

今回はそれを絡めて、哲也(國村隼)と親子ごっこをする事で

思わぬ所・出会いから彼の過去の核心に触れる展開が訪れてくるんじゃないかと

ソワソワしながら待ち構えていた分。

哲也の古くからの友人だと言う沼田(菅原大吉)から、

口を拭く癖は、父が自分が子供の頃に親身に世話してくれた時の名残から来ているという

昔のエピソードを聞かされ、

そこから幼い自分のそばにいた時間があった事を知り、

それと同時に、今まで知らなかった"パパ"としての別の顔も知れた喜びを

静かに嚙みしめるトキコの様子を見て、思わず自分事のように安心してしまいました。

愛人のためにマンションを買ったという黒歴史が少し明かされヒヤッとしたものの、

「娘に尽くす"良いパパ"の時代」が確かに存在していたのは、本当に良かったです。

 

そして、期待していたものではなかったけど嬉しい出来事があった一日を送った

トキコ経験談にも共感。

期待しているのが良い方でも悪い方でもそうですが、

「〜になるだろう」と断定しながらいざその通りに動いてみても案外思い通りにはならなくて、

その代わりに視野に入れていなかった所から

思わぬ収穫が起こるもんなんですよね…人生って、割と。

例えば、周りの評判が高いからって期待値を上げてある作品を見てみたら、

自分にとってはそこまで絶賛するほどのものではなかったり。

成人式の日にぼっちになったら嫌だな…と前日まで不安がっていたのが、

いざ当日になると、いろんな同級生と昔話に花を咲かせて心地良いまま帰路に着く事が出来たり。

「確実」より「偶然」の方が多いよなぁ…と、つくづく実感させられる話でもありました。

 

3話からは「人生」「日常」を和やかに描く話が続きましたが、

次回はいよいよ母の過去に触れるとの事なので、ちょっと覚悟しつつも、

本作の世界観に身を任せながら見ていこうと思います。

 

 

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生きるとか死ぬとか父親とか 3・4話 感想|変わらないモノなんてない

 

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第3話「美容とか 見た目とか(偏見とか)」

 

へぇ〜…こんな話もあるんですね。

トキコ(吉田羊)はなぜ父を心から許していないのか」を探るという

ドラマらしい部分がごっそりなくなって、

展開はトキコのシーンと哲也(國村隼)のシーンで分けて

"日常"を前面に押し出した内容に。

 

1、2話と比べると地味で少し異質な印象ではあったけれど、

その時の状況や会話を通して、過去から現在までの時代の流れ、変化に思いを馳せる…

といった作りは一貫しているように感じられ、

今回は「老いに対してどう向き合っていけば良いのか?」について考えさせられました。

 

リスナーからの投稿も、インパクトが強めで面白かったですね。

会社の人達には概ね好評だったらしいですが、

長い間大切な時間を共に過ごしている関係だから…

生理的に無理!状態にすぐ陥ったのも無理はないです。

そして、良い歳になってから顔のシミ取りをする事にツッコむトキコ

カツラの話を聞いちゃうと、随分可愛いもんだと思ってしまいますよ(笑)

 

でも、今頃になって美容に目覚め始めた理由としては、

恐らく前回の叔母(松金よね子)の姿を見た時の衝撃が

少なからず影響しているんでしょうね…。

気づこうとしなかっただけで、自分もこうして確実に年老いている…

自分もいつかこんな風にボケてしまうのだろうか…っていう不安がね。

 

第4話「時代とか 東京とか(面影とか)」

 

変化する街。

それは東京だけに限った事ではないけど、確かに東京が一番変化が激しいのかも。

昔ながらの小劇場が潰れるニュースはたまに見るし。

何より、飲食店の移り変わりは凄まじいですよね…。

 

銀座じゃない個人的な話になりますが、

東京のとある街で数年前に父の会社の手伝いをしていた時に、

当時一番美味しかったと記憶しているラーメン屋に連れて行ってもらった事があったので、

それから今度は職場としてその街に滞在するようになった今、またその店に行こうとしたら、

何年か前に潰れてしまっていた…というのを思い出してしまいました。

他にも、同じ場所でお店がコロコロ変わっているという話も知人から聞きますね。

物価が高くて流行に敏感な東京で生き残って行くって、試練の連続みたいなもんなのでしょう…。

 

内容とあまり関係ないのでそこまでにしておいて。

「面影」の演出…洒落ていました。

アメリカ人が日本を占領化していた時代や、

若い頃に妻(富田靖子)とよく遊びに来ていた銀座など、

過去と現在の違いを対比するなら回想を時折混ぜる形でも出来そうなものを、

哲也の台詞=思い出語りで淡々と済ませて

「今と向き合う」物語である本作の世界観に引き込ませる作りになっていたのはもちろん。

若者もいて人混みの多いビルや外資店ばかりの"駅近"の街並みと、

年齢層の高めな人がゆったり歩いていて、店やずらっと並んだ小看板に

古風な名残があるのを感じさせる"奥銀座"の街並みを映す形で

時代の変化を見せたのも良かったですし。

小冊子の存在を知らない若い女性店員、今繋がりのある常連客に真摯な対応をする店員など

時代の変遷を物語る人物が配置されていたのも良かったです。

 

終盤のラジオトークも、自身の経験を活かして

新たなリスナーの投稿に喝を入れるよりかは、

前回での返信投稿だったり、フリートークでの体験談だったりと、

リスナーに対してアフターフォローしていくオチの方が好みですね。

トキコも同じで、人間的に成長しているんだなぁ…と実感出来ます。

 

 

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生きるとか死ぬとか父親とか 2話 感想|淡々とした中で湧き出るトキコの感情…

 

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本作の物語は淡々と展開されていき、実にサバっとしています。

劇中でトキコ(吉田羊)が両親の話を聞き出すように、

登場人物を自身と重ねて共感して見るよりかは、

誰かの出来事や思い出話を人伝で聞いている感覚を覚えます。それが良い。

 

叔母(松金よう子)が旅立っていった時のシーンや、

葬儀場での副葬品に関して感情をぶつける哲也(國村隼)のシーンは

演出や演技でドラマチックに作って視聴者の涙を誘う事も出来たはずですが、

これもあえて淡々と映す。

そうすると、叔母さんは子供のようにはしゃいで楽しそうで、

普段は出来ないオシャレまで出来て

相当最高な日を過ごせたんだろうなぁ…っていうのが伝わるし、

「こんな小さいもので!」って怒りたくもなる哲也の気持ちも分かるし、

逆に葬儀屋の立場からしたら、理不尽さを訴えてくる大人に

今までたくさん出会ってきたんだろうなぁ…というのも察せられる。

台詞の量も間も程良い。

哲也のシーンの場合は、引きの映像で映したのが"他者視点"っぽさがあって

余計にそう思えたのかも。

限定づけた一方的な見せ方じゃなくて、日常・経験を普通に描いている分、

登場人物がこの時どう感じているのかを想像出来る楽しさがありますね。

 

個人的に一番気になったのは、散々言うだけ言って

口紅を棺に入れて去っていった哲也の姿をずっと見るトキコの表情。

その後挿入された回想からするに、

叔母の事をそれだけ大切に思っていてくれていたんだ…と捉えられそうですが、

それと同時に、女性と遊んでいて、母が亡くなったのを知った時は

今と同じように熱心に向き合ってくれたのかな…という

モヤっとした疑問が現れてきたようにも思えました。

 

そして、「あの時」のシーンが現状とシンクロさせる形で

意図的に挟み込まれるのも気になりますねぇ。

松岡茉優さんの役は20代のトキコ…何となく似てます。

今でこそ丸くなって大人になれている親子ですが、

トキコから見た父親への感情に触れているとなると、

回を重ねていくうちにぶつかり合う展開がやってくるんじゃないかと

既にドキドキしております…。

 

 

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生きるとか死ぬとか父親とか 1話 感想|異彩を放つ赤い一輪の花

 

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CMが明けてからのファミレスでの親子の会話…

トキコ(吉田羊)のモノローグが入るまで、吉田羊さんと國村隼さんのお2人が

"役を演じている"って事を忘れるくらいだったなぁ。

思い出話に花を咲かせて、相槌入れて、あははは笑って、本当に仲が良さそうで。

それと同時に、こんなに楽しそうに見えるのに

なんで同居は失敗してしまうんだろう?と不思議に思いながら見ていった初回でした。

 

で、その原因は、終盤に畳み掛けるように明かされます…

洗練されて純真な白いカラーとは真逆の、毒々しい鮮やかさを放つ赤い花が

仏壇に供えられている所に、得体の知れない違和感が襲ってくる。

ああ、そうか、"女"がいるんだな…と。

小洒落ていて朗らかで、年を重ねるごとに丸みを帯びた感じで、

だけどただの"素敵なおじさん"ではない過去を秘めているキャラクターが

國村さんにしっくり来過ぎる。

 

数々の女性からの信頼を集めているトキコも、

結婚観や人生観を、両親を通して日々考えながら過ごしていて、

その想いを常に言葉として発しているが故に人気ラジオパーソナリティになったのであり、

彼女も一人の悩める女性なんだというのが伝わりました。

感情的になった時に映った、夜空をバックにした東京タワーが

仏壇に供えられた赤い花と重なって見えたのは…多分意図的な演出ですよね。

奥さんの想いは放置され、苦しんで亡くなっていったのかどうかはまだ定かではないけれど、

娘として、父を心から許せないっていうのはなんか分かる気がします。

(実際、うちの母も部分的には同じ境遇を抱えていて、小さい頃の父への想いとか

そういう話は聞かされた事があったので…) 

 

雰囲気はNHKの土9(土曜ドラマ)のような趣。

心をじんわり溶かしてくれそうな高橋優さんのOPテーマも、ED映像も良いですね。

ED映像の方は最初はセピア調でも、回を重ねて父とのわだかまりがなくなっていく毎に

彩りを取り戻していく…なんて変化もあるんでしょうか。

深夜ドラマで放送するにはもったいない作りで、これは次回以降も楽しみ。

 

 

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