2020年秋ドラマ-姉ちゃんの恋人一覧

姉ちゃんの恋人 9話(最終回) 感想|2021年もつづけ、幸せ。

 

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大団円の最終回。

今期のドラマの最終回はこのご時世を反映させているのか、

どのジャンルでもハッピーエンドになる事が多いですねぇ。

しかし、どんなに優しい世界でも、どんなにファンタジーでも…

こんなにも人の幸せを願いたくなるのは、本作が一番だったと思っています。

 

「生きるって事は、幸せってやつに片想いし続ける事なのかもしれないね」

和輝(高橋海人)のこの語りが、本作が描く世界観は勿論、

現実を生きている私たちの心情を表しているようで刺さる。

幸せが欲しくて欲しくて堪らない人々が、

目の前にある小さな幸せを見つけて積み重ねていったら

やがて大きなものになって私たちの元に訪れてくるかもしれない…

これを伝えたかったのだと思うと、数々の幸せムードも納得で。

(それにしても…臼井(スミマサノリ)の"捨てられた椅子"のくだりにも

しっかりオチが用意されていたのは意外でしたな(笑))

 

「あったかもしれなかった」「まだ続いていたかもしれなかった」

私たちがコロナ禍でその幸せを理不尽に奪われたように、

桃子(有村架純)は家族を事故で失い、吉岡(林遣都)は元恋人に傷つけられた"過去"を背負った。

 

後者の方が理不尽という言葉では済まされないほど辛い想いをしている訳で、

並べて書くものではないとは思います。

けれども、みんなそれぞれに悩みや不安を抱えていて、大きな壁も立ちはだかって、

それでも前を向いて生きて行く…といった登場人物の描写は

日常生活や人生にもリンクする部分が多々あり。

リンクするだけでなく、1年後のクリスマスの世界、

赤裸々に想いを伝えて共有し合う関係性を通して

「こんな世界になれたら良いよね」という

"そう遠くはない未来"=プチファンタジーの要素も加わった事が、

今あるべくして生まれた作品だったと感じる最大の理由だと考えています。

 

本作の脚本家が、温かい気持ちになれるファンタジーを得意とする

岡田惠和さんで良かったです。そして、この時期に出会えて良かったです。

良い人ばかりの優しい世界だからこそ、その分悲劇が際立ってしまうのだけれども、

それがなければただの空想で終わって印象も薄くなってしまいますから。

 

フィクションではあるものの、その世界で生きる人々と一緒に

2021年が幸せ溢れる一年になりますようにと願いたくなる最終回。

みんなで、いつか来るかもしれない大きな幸せを夢見て、前に進もう。

 

「とある小さな惑星の物語」を覗いている感覚にさせるような

地球のモチーフがOP映像や劇中に使用されている所、

そして、"惑星"絡みで、毎回絶妙なタイミングで流れるMr.Childrenの主題歌も。

どこかキュートで、ロマンチックで、切なくて…

見ているだけでいろんな感情が込み上げてくる、大好きな作品でした。

 

 

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姉ちゃんの恋人 8話 感想|"世間とはこういうもの"を見せつける終盤

 

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元カノ・香里(小林涼子)との対面シーンは、約10分で終わり。

次回予告の事を考えると、あっさりと言えばあっさり。

でも…過去を掘り返して男女同士のゴタゴタを描く訳でもなく

あえて早い段階で解決させたお陰で、

今回は"過去を乗り越えて強くなった吉岡(林遣都)"を描くのだというテーマが

説明台詞なしで伝わってきました。

 

それは吉岡自身の表情にも現れていて。

「君が幸せでいてくれないと、俺が我慢し続けてきた事が無駄になってしまうから」

そう話す時の目や声がイキイキしていて、

ああ、この人はもう大丈夫だ…という安心感さえ覚えます。

連続型ドラマならではの醍醐味ってやつで、

影をまとっていてどことなく暗そうだった頃を見ていた視聴者からしたら、

彼が桃子(有村架純)と出会ってこれだけ変われたんだ!という変化を

手に取るように感じられるのがとても嬉しい。

「メリークリスマス」と言ってあげる桃子もそうだけれども。

一種の加害者ではあるけど被害者でもある香里と自分を重ねて

精一杯気の利かせた断ち切り方を考えた結果、あのような言葉になったのだろうと…

そんな2人の"愛の強さ"と"思いやり"も感じられる、印象的なシーンでした。

 

しかし、"過去を乗り越えて強くなった吉岡"に待ち受けるのは

克服だけではなく、試練もしかり…。

桃子がたまたま襲われていなかったから良かったけれども、

もし過去と同じ状況になってしまったら、幸せ全開モードだった分

またふとした殺意が芽生えてしまったのではないか…と考えると、いても立ってもいられない。

罪を償うべき者が償わずに、ふらふらとのさばって生きている人がいるのは確かに事実ですが、

それを「自分達で守るしかない」「でないと、不幸の落とし穴はそこらじゅうにある」

などと「我慢すれば乗り越えられる」みたいな方向で締めようとしているのは酷でもある。

(脚に当たったくらいで河川敷の高架下に連れていくなんて…

日頃の鬱憤でも溜まってたのか?と思ったり、

真っ昼間なのに通報する人は?桃子が大声で叫ぶとかは?と演出や時間帯に疑問に感じたりと、

流れが不自然だったのもあるんですけどね。)

我慢すれば大丈夫…ではなくて、誰もが糾弾出来る世の中であって欲しい。

まぁ、本作はあくまでも"大切な人がそばにいる事の心強さ"と"愛の強さ"を

描く作品なので、ちょっとお門違いではあるんですが…

不幸はこうして現実に起こっている訳ですから、

出来れば犯罪者はきちんと裁かれた上で、来週で真のハッピーエンドを見てみたいです。

 

あとは、悟史(藤木直人)の件ですね。

悟史や吉岡の事をちょこちょこ見てるなぁ…とは以前から思っていたけれど、

まさか警備員が彼の秘密を握るキーパーソンになっていたとは意外でした。

多分「社長!」って言っているんですよね。

次期社長にでもなるのかな?

 

 

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姉ちゃんの恋人 7話 感想|幸せと隣り合わせにある現実に直面…

 
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投げキッスのやり合い、布巾で涙を拭く貴子(和久井映見)に、頭ぐりぐりに…

本来だったら笑える所なはずなのに、不思議と心がじんわりと来てしまいました。

 

前回の観覧車の後だもの。笑い合ったり、嬉しそうな顔を見せる2人を見るたび、

貴子が「うん、良かったね…」と我が子の幸せを

しみじみ噛み締めたくなる気持ちが分かる。

いつも弟たちの前では元気で活発な"姉ちゃん"でいる桃子(有村架純)が

時間をかけながらも「助けて欲しい」と本音を吐き出すくらい、

本当に心から好きな人に出会えたのだというのも伝わる。

みんなが2人を受け入れてくれる。応援してくれる。

なんて優し過ぎる世界…もっと幸せムードに浸っていたい…

 

しかし、それが続いていけば続いていくほど、

心の片隅にある"ざわざわ"が静かに襲ってきます。

理由は、次回予告で元カノとばったり会う所を見てしまっているから。

幸せ続きの展開からするに、主題歌を途中で切って

不穏な印象を持たせて終わらせるのだろうとは分かっていたし、

基本的に予告でガッツリ見せた重要そうなシーンを最後まで引っ張る手法は、

視聴者を繋ぎ止めようとするために露骨に狙ってやっている感じがして

あまり好きではないのですが。

でも、本作の場合は「もう嫌な事が起きないで欲しい」と願いたくなる

人物描写の積み重ねがあるから、

それがいつどのタイミングで訪れてしまうのか、吉岡(林遣都)はどんな反応をするのか…

最後に持って行ったお陰で徐々に気が張り詰める感覚を覚えて、

いつも以上に"変化"に敏感になりながら見入っていた気がします。

 

元カノが登場するくだり、2人に感情移入する意味合いで

なくて良いのに…とも思ってしまうんですけどね。

けれども、優しさに溢れたファンタジーだけじゃないのが岡田脚本。

今まではキャスト的に「ひよっこ」を思い出してしまっていましたが、

今回から次回の流れは「泣くな、はらちゃん」の世界観にも似ています。

あの作品も確か、幸せと隣り合わせにある現実を描いていたっけなぁ。

 

最後のシーンはてっきり、通りで偶然会って…だと思っていたので、

まさか、車に乗っててわざわざ降りてくるパターンだったとは。

腕組みするほど充実している様子なのだから、「あ、元気でやってるんだな…」

くらいで済ませれば良いものを…なぜ信号待ちの車を停めてまで会おうとするのか(泣)

まぁ、両者それぞれ悪夢を見るような目で相手を見ていましたし、

吉岡が別れを告げたり、ヨリを戻す羽目になったりする事はないとは思いますが。

あとは「付き合うと決めた覚悟」を描写するのみですね。

 

 

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姉ちゃんの恋人 6話 感想|正直過ぎる言葉に救われる時もある。

 

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前回の告白を受けて、相手にどう向き合って行けば良いか…を悩み続ける

2人の様子が描かれていただけに、今度は吉岡(林遣都)が勇気を出して返事をするのではなく

桃子(有村架純)が改めて告白する展開になるとは思いもしなかったなぁ。

どんな形であれ、前科があると分かればちょっと引いて

気まずい空気が流れたまま自然消滅になりそうなものだけれど、

それでも「こんなに好きになった人なのに」「諦めきれない」と感じる想いの方が強い所に

"主人公らしさ"が現れ出ているのか。

 

今まで色々なものを犠牲にして

弟たちを育てる事に全力を尽くしてきた桃子じゃなければ、

表向きな部分も潜在的な部分も吉岡から引き出せられなかったかもしれない。

そう考えると…初めて好きになった相手が吉岡で良かったとも思うし、

自分の事を想ってくれる相手が桃子で本当に良かったと、

あの温もり溢れる観覧車のシーンで心から微笑ましい気持ちになれました。

そして、「もっと…好きになっちゃいました」からの手繋ぎにキュンキュンが止まらないですよ。

目を赤くして言葉を選びながら話す姿を見たら

そりゃあ守ってあげたくなるし、好きにならざるを得ない。

この表現は変ですけどw 2人が両想いになった瞬間、外が夜景に映るほど

ロマンチックな雰囲気に酔いしれましたもん。

想いが通じ合う尊さってこういう事なのかと。

最後の"地球のペイント"がされている"修理して綺麗な状態の椅子"のカットも…

2人の"これから"と吉岡自身を表しているようで、中々秀逸な畳み掛け方でしたね。

 

今回は「飾らない正直な想いを語る姿」が

桃子と吉岡だけでなくどの登場人物にも当てはまっていた訳ですが、

そのさじ加減も上手いなぁと。

個人的には、正直"過ぎる"事が、描写によっては

視聴者に迂闊な印象を与えたり、不快感を与えたりという

マイナスポイントになりがちなイメージがあった分、

本作の場合は、その人をより人間味のある魅力的なキャラクターにさせる

アイテムとして消化出来ている所に新鮮味を感じまして。

台詞の妙ですよね。

前回の川上(光石研)の「これ以上背負わせるのは可哀想」もそうですけど、

「(付き合う事に賛成なのか反対かなのに対して)分かんねぇ。」

「だいたい俺、桃子に会って何をしようとしてるのかも分かんねぇ。」とか、

高田(藤木直人)の強い励ましの言葉とか、

桃子の「どうしたら良いか分からない気もするけど好き。うん………………好き。」

の「うん………」の間の考えている時間とか、

みゆき(奈緒)のあえての親代わり宣言とか。

台詞の1つ1つにその人なりの本音や考えが滲み出ているから、

桃子や吉岡がどんな人に支えられて、どんな風に壁を乗り越えてきたのかという過程が

手に取るように伝わって。

それでラストを感動的なものにさせたんだろうなぁと思っています。

 

紆余曲折を経て、ようやく付き合う事になった2人。

でも…残り話数にしても次回予告にしても、まだまだ平穏な日常は訪れなさそうで。

元カノ、いつかは来るだろうとは予想していたけど、早過ぎますって(泣)

本作は基本的に良い人ばかりなので…最後は改心して綺麗な形で別れられる事を願いたいです。

 

 

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姉ちゃんの恋人 5話 感想|交錯する4人の想い

 

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前回は吉岡(林遣都)の過去に心抉られ、

今回は複雑な心境を吐露する川上(光石研)と貴子(和久井映見)の様子に心抉られる…。

小さい頃から、桃子(有村架純)が一人で弟達を支えていくと決心した時から

ずっと見てきた訳だもんなぁ。

吉岡と2人でいる所を見て動揺して、自分の保護司としての仕事とか別れて欲しい訳じゃないとか

色々弁明はするんだけれども、

その中でも最後に出た「これ以上背負わせるのは可哀想で」という言葉が

彼自身の率直で切実な想いを物語っていた気がします。

 

貴子も貴子で、「別れて欲しい訳じゃない」「抱えきれなくなっただけ」なんて

柔らかい言葉をかけられても、素直に受け取る事は出来なかったでしょう…。

優しく振る舞いつつも、心の中ではどれほどの深い傷を負っていたか。

夜道で一人泣くシーン。

初回からどこか悲しみの表情を帯びているのは伝わってはきたものの、

あんなに感情を露わにする所は見た事がなかったので、

これが"やり場のない想い"なのか…という場面を目の当たりにしているようで

ただただ切ない気持ちにさせられました。

 

そんな2人の、違った形の"親から子への思いやり"が描かれた分、

終盤での吉岡が桃子に自身の過去を打ち明けるシーンが

物凄く活きたのではないかと思っています。

桃子が真相を一足先に知った事で、ああ、どうか今の関係が崩れないで欲しい…と

少しドキドキしながら願わずにはいられませんでした。

恋愛だからと言って安易にライバル=新キャラを登場させるのではなく、

「相手を好きになっていく過程」を地道に積み重ねていく心情描写がとにかく心地良い。

そして、「私、見ちゃったんだ」とも「私は信じてるから」とも何も言わずに、

吉岡の口から発せられる過去をただ静かに聞いてからの無言のハグ…

"姉ちゃん"とはこういう人の事を指すのかと、その包容力の大きさに

妙に納得させられるラストでした。

 

私が基本的にドラマを見る際は、特に恋愛モノにおいては

主人公に共感出来るかどうかを1つの例として挙げているんですが、

本作はそこを上手く表現されていますね。

今回の件で、桃子の事がもっと好きになってしまいましたわ。

それに、2人の心情を掘り下げるためにメインパートがシリアスになっている分、

脇役パートはコミカルにしてバランスをとった作りにしているのも良い感じです。

 

 

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姉ちゃんの恋人 4話 感想|吉岡くんの過去が想像以上に重かった…

 

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とうとう明かされた吉岡(林遣都)の過去。

これは…何て言ったら良いのか…………

まず言える事としては、彼に下される判決があまりにも厳し過ぎないか?と(泣)

 

男たちに襲われたという事実も、取り憑かれたかのように男たちを殴った時の

吉岡の姿が怖かったという記憶も

全てなかった事にしたい彼女の気持ちも確かに分かります。

でも…彼女のためにと必死で行った行為が勝手に"なかった事"にされた側の気持ちを

ちょっとでも考えたりしないのは…。

幸いにも殺人事件には至らなかったのに。

繁華街なんだから、誰か一人でも目撃者がいそうなものなのに。

吉岡の背負った十字架が重過ぎて…

恋愛に後ろめたさを感じてしまうのも無理はないと思いました。

 

彼の過去が明かされるエピソードの前に、

怖いもの知らずな和輝(高橋海人)がみゆき(奈緒)をリードしたり、

実は恋しちゃって!という日南子(小池栄子)の率直な理由にも

職場のみんなは泣いて笑ってフォローしてくれたり…といった

平和で愉快なエピソードが立て続けに流れていたのも、

今回ショックを受けた原因ではあるけれど…。

「愛情」「思いやり」「感謝」をはっきりと言葉にして伝えられる安達家と、

お互い本心は分かっているものの、自ら距離を遠ざけて遠慮がちになってしまう吉岡家の

"家族"の対比が何とも切ないんですよね。

同じ家族なのに、どうしてこんなにも違いが出てしまうんだろう…

ここまで辛い目に遭わせる必要はあったのだろうか…

考えれば考えるほど、吉岡と母・貴子(和久井映見)の今の関係性に

早く希望の光が見つかって欲しいと願いたくなる気持ちにさせられます。

 

そんな吉岡の過去、取り巻く環境が描かれた分、

桃子(有村架純)の言葉には今回もグッと来てしまいました。

「吉岡さんは私と付き合った方が良い!」

ああ、やっぱり、今の彼を救ってくれるのはこの人の存在なのだと。

"強さ"が彼の心を温かく照らしてくれるのだと。

ちょっとずつではあるけれど、桃子の存在に惹かれていく描写に

目頭が熱くなってしまうラストでした。

 

バーベキューデートも純粋に楽しんでくれているし、一歩前進している。

桃子と出会った事で影響を受けていく過程…その記録を閉じ込めたような、

まるで思い出のアルバムを1ページずつめくっているかのような吉岡の変化も

純粋に応援したくなりますね。

 

…過去の内容が内容だっただけに、

今回は完全に、彼目線の感想になってしまったなぁ。

 

 

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姉ちゃんの恋人 3話 感想|心に明かりが灯るということ

 

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桃子(有村架純)は無意識のうちに鼻歌を歌いながら料理をし、

日南子(小池栄子)は心の中で「好き♥」「好き♥」と気持ちを叫びまくり、

和輝(高橋海人)はみゆき(奈緒)が初恋相手だと打ち明け、

おまけにヒゲみたいに付いたコーヒーの泡をペロッと舐めてみせる。

温かい雰囲気に包まれながらも、ちょっと呑気で、ちょっと浮かれてて、ちょっと初々しい

三者三様の「誰かを好きになるという事」が描かれる中、

吉岡(林遣都)が過去の出来事を再び思い出し、苦しみ続ける展開になってから

一気に現実の世界に戻される感覚を覚えました。

そのギャップが、ラストを印象深いものにしてみせた気がします。

 

吉岡はどんな風に人を好きになるのか?どんな時に人の温もりを感じるのか?

彼の場合、傷ついた心を動かしてくれる"強引さ"が必要だったのだと

よく分かるシーンでした。

「4人でバーベキューをしますよ?」

「返事は、はい、わかりました、OKの三つの中から選んでちょ」

桃子からお花畑なLINEが届く。

最初は「俺の気持ち、何も知らないで!」とか思うかな?と

不安になりましたけど、そんな事はなく。

震えて怯えていた声に笑いが入り混じり、表情も徐々に微笑みに変わって行く様子に、

ああ…彼女の"強引さ"に癒され、救われたんだな…と。

吉岡の心に少しだけ明かりが灯った瞬間を見たようで、自然と涙してしまいました。

突然のキスにドキッ!でもなく、"好きな人の存在"にやきもきするでもなく、

(そういうベタな展開も楽しい部分はあるけれど)

こんなにも"人を好きになる過程"をじっくり、かつ素朴に見せてもらった作品、

かなり貴重だなぁと思っています。

 

クリスマスツリーを見に行った吉岡の母・貴子(和久井映見)も

桃子の"強引さ"に救われた一人。

彼女の考えていたツリーのコンセプトが母親の心にも響いたなんて、最高じゃんね。

ある意味、運命の出会いを物語っているようなものですもん♪

 

吉岡の過去は結局明かされないままでしたが…

「もう良いんじゃない?」と母に言われた辺り、何やら恋愛が絡んでいるのかもしれません。

でも、今はそばには桃子がいる。

 

インスタ映えしそうな派手な飾りはないけれど、

ほのかに輝くオーナメントに、根強くしっかりと光るオレンジの明かり…

"ささやかな幸せ"を映し出すクリスマスツリーのように

2人の未来も素敵なものに変わって行けたら良いですよね。そんな最後が見たいな。

 

 

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姉ちゃんの恋人 2話 感想|幸せを見出しながら生きる人々の話だと思えば…

 

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冒頭の和輝(高橋海人)のモノローグが効いたよなぁ。

「楽しそうに働く人が好きだ。」

「辛い仕事でも楽しみを見つける事が出来る人は、

生きるという長くて地味な仕事でも見出せる人だから。そう言ってたよね、姉ちゃん。」

この台詞のお陰で、本作をどういうスタンスで見て行けば良いのかが

前回よりもグッと掴まれたような気がしました。

ああ、多分これは、ホームセンターを舞台に、

「陰」を抱えながらも日常のどこかに「幸せ」を見出しながら前を歩んでいく人々を、

温かく、時に微笑ましくなりながら見守り続ける話なのだと。

そう考えれば、優しくフォローし合う職場の描写は勿論、

桃子(有村架純)と吉岡(林遣都)に付けられた設定も、

"崩し"パートとなる市原(小池栄子)の恋の話を時折挟み込んで

2人のシリアスな部分と対比をとる構成になっているのも納得が行く感じがします。

 

桃子が両親を失ったエピソードは、想像以上に辛いものでした。

てっきり家族揃ってドライブしている最中に事故ったのかと思っていたけれど、

まさか目の前で轢かれる姿を見てしまっていたとは…。

これは、事故のニュースでわざわざ弟がチャンネルを替えてくれたり、

トラックに乗って震えたりしてしまうのも無理ないですよねぇ。

(車のエンジン音聞いただけでトラウマになりそう…

でも自転車通勤は平気なんだ?とはちょっと思ったけど。)

しかし、そこにささやかながらも寄り添ってくれたのは、吉岡の存在。

桃子の過去を知れば知るほど、2人で見た妄想に切ない気持ちにさせられます。

妄想世界の中で乗る車が赤いワゴンって所がね…

鮮やかな色合いで、コンパクトで可愛らしいフォルムになっているから、

道路を渡ると絵本に出てくる魔法のアイテムのように映えてしまって…

その画が余計に「こうなったら良かったのに」という"叶いそうにない未来"を物語っていて

悲しくなるんですよ(泣)

あの事故がなければ、今頃免許をとって家族とお出かけ出来ていただろうに…。

 

公式が煽ってきた「肝っ玉姉ちゃん」も、

本人自体が元からそういう気質があるという訳ではなく、

可愛い弟達からの愛や上司の心配りがあって

初めて強くなれる…という意味合いで「肝っ玉姉ちゃん」なのだとよく分かりました。

桃子の過去話を聞いたエピソードがあっただけに、

姉ちゃんが帰ってくるまでトマト鍋を食べるのを待っていたみんなの温かさが沁みます。

弟は姉を、姉は家族を、母は息子を、息子も母を…お互いがお互いを思いやる姿が美しい。

 

一方で、吉岡の過去は次回明かされるそうで。

終盤で急に展開が進んだけど、まさか某ドラマみたいに妄想予告ではないよね ←ぉぃ

桃子の両親を轢いた前科持ちだと思っていたんですけど、

それならトラックを運転したりしないよなぁ…と。

でも右手は震えている。母・貴子(和久井映見)を庇うために誰かを殴ったとか?

桃子の叔父で保護司でもある菊雄(光石研)と会わせなかったのも

絶対意味があると思うんですが、どうなんでしょう。

 

前回よりもホーム&ラブコメディらしからぬ「陰」が強くなってきた気がしますが、

コロナ禍を匂わせる発言がなかったお陰で、物語にすんなり入り込む事は出来ました。

そして、恐らく「地球」が本作の象徴なのでしょうね。

まるで「これはとある小さな惑星のお話…」とストーリーテラーが読み上げるかのような、

ファンタジーな世界観である事を引き立てるアイテムとして

一役買っている演出が良いです。

 

 

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姉ちゃんの恋人 1話 感想|ほっこりとした日常の中に宿る小さな陰

 

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さて、まず私の嗜好を書いてしまうと…

岡田惠和脚本の作品は基本的に好きです。

今まで見てきた作品の中には結末に「あれ?」と迷走を感じさせるものもありましたし、

本作の初回に関しても、桃子(有村架純)と吉岡(林遣都)の出会いを描いただけで

話が進んでいないと言ったらそれまでなんですけどね。

でも、家族がひたすら微笑ましくて、

一人一人に愛着が湧いてしまうようなキャラクター描写も。

現代版ファンタジーの根底にはほんの"陰"も滲ませている作風も。

登場人物が魅力的に映って、ほんわかで温かい風が流れる世界観が好きな私にとっては

本作も刺さる部分が多く、岡田作品はやっぱり良いなぁ…と思わされる初回でした。

個人的には、いつも無言でムスッとしてて、顔がちょっとブルドッグ(?)に見える

警備員(西川端)にちょっとハートを掴まれた感じです(笑)

 

ただ、1つ気になったのは「コロナ禍」の描写。

はっきり「コロナ」「ウイルス」とは口に出さないものの、

そう思わせる話題がホームセンターの面々から出ていたにもかかわらず、

居酒屋で普通に密の状態で集まったり、

弁当屋では特に衛生面が関係して来るのにマスクも着用せずベラベラ会話していたりと、

あってもなくても どちらでも成立してしまいかねない中途半端な扱い方が気になりました。

ぶっちゃけ、家族事情もまだ明らかにはなっていませんが、

桃子の頭の中では「両親の事故死」が今でも鮮明な記憶として残り続けているのであれば、

現実世界を絡めずに「辛い過去を乗り越えながら毎日を過ごしてきた肝っ玉姉ちゃん」

という設定にしても問題なさそうですし。

でも、劇中でどうしても入れておきたい題材で、コロナ禍における当時の出来事が

登場人物の心や価値観に大きく影響を与えているという所を前提にした上で

物語を進めたいのであれば、先ほど書いたマスク〜などの内容は必須でないにしても、

回想を小出しにしてそれとなく匂わせるだけで終わらず、

初回だからこそしっかりと向き合う描写をすべきだったのではないのでしょうか。

 

とはいえ、気になったのはそこだけで、

口が悪い&遠慮せずガンガン攻める&無意識に相手の気を惹かせるといった

好き嫌い分かれそうな要素が揃っているのに、嫌味ったらしさを全部

親しみやすい顔立ちと明るい演技で愛されキャラに変えてしまう

有村架純さんは流石でした。

Mr.Childrenの主題歌は今回も世界観に合っていて、

ほんわかな日常生活の中で愛が芽生え始める…という本作のテーマを

象徴した曲になっていたと思います。

 

吉岡と桃子の関係は、後々「加害者家族と被害者家族」である事が

明かされたりするのでしょうかね。

未成年だったとしたら、原付で両親が乗っていた車と衝突してしまったとか。

3年前に亡くなった父も、その件で精神的に追い詰められて退職を迫られ自殺…とか?

 

あまり"陰"が濃くなり過ぎない程度に。基本はラブ&ホームコメディで。

今後も期待しています。

 

 

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