2021年春ドラマ-今ここにある危機とぼくの好感度について一覧

今ここにある危機とぼくの好感度について 5話(最終回) 感想|世の中を単純にするのは愛

 

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途中から感想を書きそびれてしまってましたが、最後まで面白かったです。

 

4、5話で描かれた「サハライエカ」のモデルが何なのかは

ここでわざわざ書かなくても十分に分かるでしょう。

本作の放送は元々、去年の秋クールの予定でしたが、

当時よりも今の時期の方が某政府の動きとリンクし過ぎていて恐ろしい…。

過去に勤めた経験があるのか?実際に政府に関わっていた人を取材したのか?と思うくらい、

トップの隠蔽工作の実態をまざまざと見せられている気がしました。

 

人の命まで犠牲にしても、次世代博を強行するために

あらゆる事実を隠蔽しようとする須田(國村隼)のやり方には絶句した分、

勢力・忖度を押しのけて、自分の正義を貫こうと決意した三好(松重豊)の姿には

爽快感が残ります。

初回の頃はとにかく保守的でしかなかった真(松坂桃李)も含めて、

悪の組織に飲み込まれそうになる登場人物が「"正しい"とは何か?」を模索する事で

最終的には形勢逆転し、核心を突くと、今まで大きな存在に見えていた理事達が

案外小者だったのが分かるまでの一連の流れは、まるで日曜劇場の勧善懲悪モノを見ているよう。

 

で、何が一番潔かったかって、

「好感度なんて真実を分かってる人からだけ上がれば良い」とまとめてみせた所。

自分の身を守るためにはやっぱり好感度が大事…でも

好感度を捨てて自分らしくなれ!…と言っている訳でもない。

三好の例で言えば、私達は彼の弱さとか自信のなさとか、真の支えが励みになっているだとか

そういう裏側を知っているから、留任するのも納得のいく結果だけど、

大学側の不祥事による謝罪会見、しかもそう間が空かないうちに

別の案件でも問題を起こしている総長の姿"だけ"を知っている一般人からしたら

「なんで!?」って思うかもしれない。

それは須田も一緒で、今までヒール役の印象でしか彼を捉えていなかったけれど、

別の視点から見てみたらしっかり

「大学の未来を考えた上で行動していた」のが分かる日が来るのかもしれない。

 

人の見方なんて様々だ。自分が応援したいと思う者を応援し続ければ良い。

正義を貫いていけば、たとえそれが少数派だったとしても、

ついてくる人はついてくる。

真にはみのり(鈴木杏)がいて、三好には真がいた。

愛は好感度よりも強い…は壮大な勘違いに過ぎないけど、

この複雑に入り組んだ世の中を少し単純にしてくれるのは愛だという着地点に

不思議と心が軽くなった心地がしました。

 

みのりがまさかここまでキーパーソンになるとは予想していなかったし。

初回から描かれてきた 現実に心折れてはまた回復する真の成長はもちろん、

3話で三好の覚醒も、「一番残酷なのは善人の沈黙」という言葉も、

そして自力ではどうしようも出来ない脅威も、

諸々の要素が全て最終回に向けての集大成だったと思うと、何だか感慨深い。

 

全5話という短さで終わってしまったものの、

橋(歩道)の中央を自転車で渡る真のラストカットは、

彼のこれからの生き様を示しているようで安心させられましたね。

普通だったらどちらか片方に寄るんだけれど、あえて真ん中を通らせたのは

「世の中を単純にするのが愛だと分かると、周りの物事を俯瞰的に見られるようになる」

=中立的な立場でいられる という意味が込められているのかも?と勝手に想像してみたり。

 

理事達は悪役でも、皆個性的でそれぞれに憎めない所があって、

なぜだか愛らしく見えてきちゃう方々ばかりでした。

悪に徹さず、キャッチーさを程よく出したからこそ、

「主人公が強くなるRPG×エンターテインメント」作品として

最後まで面白く見られた気がします。

RPGと言えば、OPで流れる劇伴も「ドラクエ」のような趣が。

流れる度に高揚感がみなぎりましたね。

 

 

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今ここにある危機とぼくの好感度について 2話 感想|傍観者と失恋はある意味似てる

 

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いや〜〜リアルですな…。

いくら告発したって、ストライキをして賛同者を集めたりしたって

結局は上の圧力に押し潰されて終わるんですよね。

で、その現場に全く関わっていない者からしたら、当時は衝撃的だった出来事も、

そのうち時間が経てば「今年あったニュース」の1つとしてコンパクトにまとめられて、

あ〜そう言えばそんな事もあったね〜…という軽い認識で終わる。

世の中って大体そんなもん。

 

「まじかぁ〜」ってヘラヘラ笑いながらネットニュースを見る三谷(岩井勇気)の様子が、

私達と重なり過ぎていて笑うしかなかったです。

こういう傍観者、いるいる。

自分は関係ないからと場外で好き勝手言っている人達。

そして、もう1つのタイプの傍観者は、先導者の思惑に乗っかる形で意思を放棄して、

後々冷静になってから自分の過ちを反省する人達。

 

でも、さらに面白いのは、これって真(松坂桃李)とみのり(鈴木杏)の

「実りそうで実らなかった恋愛」とも通ずるものがあるんじゃないかな〜…って。

それが何かって言ったら、"保身"だと思ってます。

 

今回の件で、もしかしたらこの人といた方が幸せになれるんじゃないか、

まだ未練が残っているんじゃないかって気づいたはずなのに、

2人とも率直な気持ちを打ち明ける事を拒んだ。

寄りを戻せるチャンスはあったかもしれないのに、

今後襲いかかってくるであろう様々なトラブルを恐れて、アクションを起こす事自体を諦めた。

真には既に別の彼女がいて、みのりは新たな道を進んで…

お互いもう住む世界が違うというのを察したから…なんでしょうね。

みのりの「だめ…」が、一瞬でも揺らぎかけた感情が見え隠れしているようで切なかったです。

 

隠蔽のリアルはもちろん、

世界は案外、"保身"だらけで出来ているんだろうなぁ…と痛感する話でした。

真の背負う試練は大きいですね。

ブラックコメディでもあり、やっぱり、彼の成長物語でもありますね…。

 

 

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今ここにある危機とぼくの好感度について 1話 感想|からっぽ広報マンのサバイバル物語

 

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タイトルからして哲学的な方向に寄りそうな感じがしていましたが、

思ったよりもコメディコメディしてましたね。

それも…宣伝文句通り、本当にブラックな笑い。

 

アナウンサーなのに「いやいや」「うわ〜」しか言えない所はフィクションでも、

何も考えを持たないと世の中の情勢に飲み込まれてしまう真(松坂桃李)の姿は、

事前の調べもせず安易にガセツイをリツイートしては騙されたり、

批判を恐れて自分から意見を発信する事を諦めてしまったりするSNS社会の構図に近くて、

笑える部分もあるけど、同時に真理を突き過ぎていてグサッと来ます。

とある大学をモデルにしたという噂もあるらしいんですが、

この場の全員が願ってるのは、早くこの時間が終わる事=学校集会の校長先生の話?

魅惑に打ち勝つんだよ!強い心を持て!=精神論を訴えがちなブラック企業

どうしてもミスだったという事にしたい=大手企業の地位を維持するための隠蔽工作

などなど、いろんな皮肉が込められていそうな気がしました。

 

この手の冴えない役を容姿端麗な方が演じるとどうしても顔面の強さが先行してしまって、

イマイチ説得力の持てないまま終わるパターンもありがちなんですが、

松坂桃李さんはしっかり馴染んでるのが凄い。全然イケメンに見えません(笑)←褒めてますw

腑抜けた表情だったり、「う〜〜〜〜ん」の伸ばしの長さから醸し出る

呑気な性格の現れだったり、

でもってピンチな状況なのを察すると露骨に焦った素振りを見せたり…

とことん真が薄っぺらい人間なのが伝わってきて、妙に魅力的。

桃李さんがこんなにコメディ演技が出来る事を初めて知りましたねぇ…。

来週に始まる某入れ替わりドラマも楽しみになってきました。

 

「世界がもっと単純だったら良いのに」と語る真の心境にはとても共感して。

現代社会を映し出す作風らしく、○と×だけで判断出来ない世間の闇に呑まれる事になるのか、

はたまたフィクションの世界らしく、経験を積んだ彼が最終的には

○×つけやすい世界を切り開いていく事になるのか。

まだどうなるかは分かりませんが、とりあえず、彼の成長を見守る面白さもありそうです。

 

松重豊さん、國村隼さん、渡辺いっけいさんなど

重鎮の面々から「バイプレイヤーズの番外編か!?」と思えるくらい

豪華で威厳のある俳優陣が揃っているのも、

彼が上手く利用されてしまう理由としてかなり説得力ありますね(笑)

職務を失わない程度に、頑張れ!

 

 

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