2022年秋ドラマ-silent一覧

silent 10話 感想|好きでいればいるほど辛い

 

 

※今回の感想を執筆するのに4時間程度かかったくらいには(遅筆過ぎる!^^;)

文章がめちゃめちゃ長いです。

そして、絶賛ばかりの感想ではございません。

良い所だけをご覧になりたい方は、こちら をクリックして下さいませm(_ _)m

 

初めにおことわりさせていただくと…本作は今期の作品群の中では

ずば抜けて"愛しい"作品です。

そして、これはただの個人的な見解でしかないので、

読者の皆様にとってはどうでも良い事かもしれませんが、

現段階では、初回から変わらず本作を「名作入り」にするつもりでいますし、

今年見てきたドラマにおいて、唯一の名作だとも思っています。

しかし…それを踏まえた上で、今回の内容を見て感じた

「こうすれば良かったのかも?」を先に書いておきたいと思います。

 

個人的には…今回で再び紬(川口春奈)と想(目黒蓮)の関係性にフォーカスを当てていた

内容になっていた所に、ちょっとした"今更感"は覚えてしまったのです。

もう少し言い換えると…「振り出しに戻った」が近いんでしょうか。

というのも、今回の1話前、つまり6〜9話とここ最近は

奈々(夏帆)と想をきっかけに、奈々と正輝(風間俊介)、

律子(篠原涼子)と想、律子と華(石川恋)、そして佐倉家と、

どちらかと言うと「紬と想の2人を見守る」側にいる登場人物を

1人ずつ掘り下げる話が続いていて、

各々の関係性を通して、全ての人々に共通する

恋愛を超えた"普遍的な愛"が描かれてきたんですよね。

私としては、この構成が「最終章へとバトンを渡す」には惜しかったのかなぁと思っていて。

"普遍的な愛"が数話描かれてから

1〜4話で取り扱われた"2人の恋愛"に本題がまた戻って、

しかもその話をたった2話でまとめようとしている。

2人の仲を育み、繋ぎ止めてきたのは"音楽"という存在で、

付き合っていると言われてもおかしくないくらい仲が進展しているように見えて、

2人でいる時間が多ければ多いほど「声が聞けない」事実をふと思い知らされては

辛い気持ちが募っていくはずなのに…

"現実"を目の当たりにし、その辛さを最終回前で吐露するのも

展開としては遅いんじゃないか?という感じは否めませんでした。

 

今までの話も「音のない世界」で生じる"壁"を軸に、

分かりたくても、その人の事をもっと知りたいと思っても

完全には通じ合えないし、伝わり切らなかったが故にすれ違いも起こってしまうという

言葉を交わす事の難しさを描いた"意味のある"内容になっていたので、

構成自体を特に否定するつもりはありません。

それに、今までのそういった描写の積み重ねがあったからこそ、

今回の、萌(桜田ひより)が紬に感謝の言葉を言うくだりや、奈々からの手紙、

時間が経って大人になった今だからこそ分かち合えた奈々と正輝の所に

湊斗(鈴鹿央士)がやってきて、「なんで別れたの!」なんて本音で話せるくだりに、

前回の佐倉家とはまた違ったそれぞれの"雪解け"を感じさせて、

「言葉を交わす事は難しいけれども、

どう向き合っていくかで"可能性"は少しでも残っているかもしれない」という点で

救われた心地にもなれましたしね。

 

そこで、思うのは…前回の歌詞カードのエピソードを

今回の後に持ってきても良かったのかな?って。

そして、今回の内容はせめて、9話で描いた方が

先ほど書いた「振り出しに戻った」印象もまだ薄れたのかもしれません。

紬と想の関係性も、5話で湊斗とのけじめを描き、6〜7話で奈々と向き合う姿を描いた上で

「正式に付き合い始めた」設定にしておいて…

付き合い出してから徐々に「もう"あの頃"のように好きな音楽を共有出来ない」

「もう好きな人の声が聞けない」事をお互い感じるようになって、

徐々に衝突が起きる変化を描いていって…。

う〜ん、その後の流れはどうすれば正解だったのかが更に分からなくなってくるので、

ただの思いつきで書いた文章として

軽く受け流して欲しいんですが…(汗)(ツッコミポイントも当然出てくるだろうし…)

紬と会わなくなってしまった想が、ある日律子から

「元気にしてる?」「って心配されるの嫌なのは分かってるけど、

想が元気でいてくれたら、お母さんは嬉しいから」というたった二言のLINEが来て。

それで思い立った想が帰省して、あのやり取りがあって、

萌と華と3人でCDを広げては歌詞カードをめくった時に、

「声が聞けない」現状は残念ながらもう変わる事はないけれども、それをゆっくり受け入れつつ、

「あの時の温もりも、思い出も、2人の間で培われた愛も全て失われた訳ではなくて、

今も"違った形"で確かに心の中で存在し続けている」事に気づいてから

紬の元に戻って、2人で腹を割って話し合う…

そんな流れでもアリだったのかと思います。

 

まぁ、こうして書いた事も、私が想と同じ経験をしていない以上は

安易な言葉にはなってしまうんですけどね。

でも…「もしも今回の内容を"今更感"を覚えさせないように描くならどうするか?」を

考えてみた次第です。

 

ああ…1つの事を書くのに、あまりにも文章が長くなってしまった…(汗)

要点を絞りきれない所は私の悪い癖ですね…。

という事で、気になった部分に触れるのはここで終わりにして、

今度はグッときた部分について簡潔に書いていこうと思います。

 

今回は、初回からずっと見てきた視聴者なら唸らずにはいられない、

たくさんの"リフレイン"がなされた回でもありました。

 

特筆すべき内容として…1つ目にハッとさせられたのは、

ポニーテールにしていた紬の髪を触ってはからかうシーン。

5話の時に湊斗が紬に教えていた「想のタイプの髪型」がポニーテールでしたし、

高校時代も同じ髪型をしていましたよね。

いたずらっ子っぽい表情を浮かべながら、何度も何度も触る想に対して

「ちょっとやめて!w ねぇ〜」って笑いながら注意する紬の2人の姿を見ると、

高校時代でも、たま〜にこうやってふざけ合っていた時が

あったのだろうな…というのが想像出来ます。

でも、だからこそ、"あの頃"とは同じにはならない残酷な現実を

ひしひしと感じてしまうんですよね。

一連の微笑ましいやり取りの後で、「や・め・て!」の次の言葉が

何を言っているのかが分からない苦しみが、無音の演出にして視聴者に共感させる形で

想目線で描かれていったのが、とにかく切ない気持ちにさせられました…。

 

そして2つ目は、踏切の向こう側にいる湊斗が「想!」とLINEで呼びかけて、

それに対して想が嬉しそうに振り返るくだり。

想の笑顔に、湊斗もつられて笑みを浮かべる様子を見て、

3話の終盤で回想として描かれた、湊斗のワンコのような笑顔…

あのカットを彷彿とさせた視聴者も少なくないはず。

あの時のような表情をまた見られた事が、私も嬉しくてしょうがなかったです。

と同時に、友達同士だったら今回のようにいつでも"あの頃"に戻れるのに、

肝心の恋人同士になると中々戻れないのは…

「音のない世界」で生きながら、それだけ「大切な人とこれからの永い人生を共にする事」

「大切な人の人生も背負う事」に対するハードルは高いという事なのだ…という"差"も

暗喩的に表現されていたように思います。

 

3話関連で言えばもう1つ、踏切も象徴的に描かれていましたよね。

私は当時の感想でこう書いていて…

・紬と遮断棒を同時に映したカットは、

今まで築き上げてきた紬と湊斗の関係性と、

"青春を共にした同級生"という、輝かしい思い出のまま時が止まっていた3人の関係性が

変わっていってしまうのを示すサインになっていて。

・鳴り響く音は、湊斗が今まで蓋をしてきた感情が

どっと溢れ出してしまうのを示すサインになっているのかもしれない。

当時は湊斗視点で踏切が絡められていたのが、今回ではそれが想に置き換わっていたのと。

加えて、いつの回だったか、「佐倉くん!」と元気に呼ぶ紬の声に、

イヤホンを外して返事をした想のシーンが、

実は音楽を聴いていた"フリ"だったのが今回の終盤で明かされて、

彼女が呼んでくれる自分の名前と、彼女の声がとても大好きで、

聞きたくて聞きたくて堪らなかった…といった2つの"段階"を作ってから、

ラストの「声が聞きたい」に落とし込んだのには、

なんて胸を抉る展開を作るんだ…と慄きましたね。

 

前々から書いていた事ですが、生方美久さんの脚本は、

とにかく、回想や過去エピソードを現在と鮮やかにリンクさせながら

視聴者に感情移入させる技に長けているんですよね。

冒頭では素人ながら、引っかかった所をつらつらと書いてしまったものの、

私はこの巧みさが好きで、惹かれて、最後まで応援して見続けてきたのです。

 

あ…ちなみに、SNSでザワついている例の番組はまだ見ておりません。

好評よりもモヤモヤしている意見の方が散見される辺り、

作り手の意図=情報が作品の感想・印象にも影響を及ぼしやすい私としては、

本作を完走してから見た方が自分のためだと判断しましたので…

(それがリタイアの決め手となった作品も過去にあったので…)

最終回を前にして「なんだ…」と考えをガラッと変えてしまう恐れがあると思うと、怖いのです。

"好き"は"好き"のままでいたい…という事で、

どんな答えを導き出すのか、明日じっくりと見守っていきたいと思います。

…感想は、またその日中には投稿出来ないかもしれませんが…(汗)

 

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silent 9話 感想|なんて温かい雪解けか…

 

 

感想が溜まっている上に、投稿も遅過ぎるので、

すみません、(もはや雑感に近い)超簡単感想で失礼します…(汗)

 

たくさんの笑顔が見られた、多幸感溢れる回でした。

実家から戻ってきてからは、心なしか、

想(目黒蓮)が無邪気な笑顔を見せる頻度が多くなった気がしましたし、

律子(篠原涼子)に関しては、今まではたった一瞬の動作の間や表情から

世間に縛られているような窮屈さを感じさせていた分、

やっと心から笑えた様子を見てホッとさせられてしまいました。

 

律子の手話は、周りよりも声が気持ち大きめなんですよね。

単語1つ1つをハキハキと、かつ感情を込めて話していた辺りに、

想と話したくて仕方なかったんだろうなぁ…という彼女自身の想いも伺えます。

 

2階から聞こえる"うるさい"音が、「胸がゾワッとした」から「微笑ましい」思い出に。

部屋中に散らばったたくさんのCDが「感情をぶつける先」ではなく、

3人の思い入れが深く刻まれた「温もり」に。

そして、駅まで送ってくれた律子への言葉は「お母さん、ごめんね」から「ありがと」に。

過去の辛かったエピソードが、どれも良い方向に塗り替えられていく。

 

手話を筆頭に、面と向き合っての会話シーンを描く際は、極力劇伴を抑えて

2人のやり取りをじっくり魅せていくという本作のスタイルには

毎度好感を持っていたのですが、今回はより一層、その"良さ"も光っていましたね。

いつものピアノ調の劇伴の入りがね…もう秀逸で。

雪が積もっている所に日差しが入り込んで

じわじわと溶け出していくような、そんな雪解けを感じさせました。

 

ある意味"最後の砦"的存在だった母親とも打ち解けて、

残る2話は、果たして紬(川口春奈)と想が「ずっと」一緒にいられる事になるのかどうか…

を描くって所でしょうか。

劇中でも言及されていた通り、チェーン店の正社員に転勤は付き物なので、

恋愛を描く上では定番の「遠距離恋愛の危機」展開はあっても、

どうかハッピーエンドで落ち着いて欲しいですね。

 

最後に、えっと…こんなにざっくりとした感想で終わってしまって

本当に申し訳ないんですけど、

こうなってしまったのも、冒頭の理由の他に、

実は既に10話を視聴済みで(この感想記事を投稿したのは12/19)、

今回の内容も踏まえてちょっと思う部分がありまして。

今回が素敵な話だったのは事実だけれども、

先の話を見たとなると、印象も変わってきてしまったんですよね。

次回の感想で「どう感じたか?」を正直に描いてみるつもりでいます…。

 

 

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silent 8話 感想|ただ一緒にいたいだけ

 

 

学生時代の奈々(夏帆)が眩しい。

「ありがとうございます」といつも自筆で返す姿は健気で、

会うたびあんなに純粋な笑顔を向けられたら、

そりゃあ正輝(風間俊介)も惚れるに決まってるよなぁ…と。

なのに、正輝に恋をして、距離が縮まっていってからはその笑顔も消えてしまった。

前々回での、レジュメに想(目黒蓮)と2人で書き込みながら会話するくだり、

そして前回で「話し相手が欲しかった」と想に本音をぶつけていたシーンが描かれていた分、

1人でどこか孤独な想いを抱えて過ごしている所に、相手が心を開いて近づいてきてくれた喜びは

奈々からしたらこんな感じだったのだろうな…というのが

今回の過去エピソードを通して直に伝わってくるようで、

最後のお別れには余計に悲しい気持ちにさせられてしまいました。

 

でも、正輝が周りに手話を広めてサークルを立ち上げようとした事と、

前回で奈々が想に友達を紹介してあげた事って、似てる気がするんですよね。

あの時の奈々にとっては、正輝がそばにいて欲しかっただけで、

あの時の想にとっては、奈々がそばにいて欲しかっただけ。

しかし、本人には中々上手く届かない。

奈々は正輝との"すれ違い"で「思いやりを重ねすぎると偽善に変わる」を

経験していたはずなのに、時間が経てば、結局自分も同じようにしてしまう。

相手を大切にしたいという想いを自分なりの形で伝えたい…

それはろう者とか、聴者とか中途失聴者とか関係なく、

全ての人物に当てはまる事なんだろう…と考えさせられます。

 

現在の紬(川口春奈)と想の関係性は、奈々と正輝にとって

「両想いになっていたであろう未来=ifの世界」なのかもしれないと思わせた前半から、

後半は、紬が母・和泉(森口瑤子)と関わって"気づき"を得るまでの話が描かれていきました。

紬と想の件もあるので、今回のエピソードは大分盛り沢山ではあるんですけど、

どれも「ただ一緒にいたいだけ」を共通項にしていて、

前半は「紬と想」と「奈々と正輝」、後半は「紬と想」と「母親の存在」と

段階を踏みながら二者の関係を照らし合わせるように描いていっているので、

散漫した感覚を覚えないんですよね。

 

後半のエピソードで特に心に刺さったのは

「言葉じゃ伝えきれないからさ、物に託すの」と言う母の言葉でした。

この言葉を聞いた時、何だか視界がぱあっと開けたような、

ちょっとだけ希望が持てるような気分になれたのです。

そして、同時に思ったのは、前々回と前回と今回で"三部作構成"になっているなぁ…という事。

 

それぞれ境遇が違えば分かり合えない所も出てきて、

終いには理解しようとするのを諦めてしまう

人と人が繋がる事の「難しさ」を描いたのが前々回なら。

相手の気持ちを分かりたい、気持ちを共有したいという想いが

相手を少しずつ変えて和解出来たという「可能性」を描いたのが前回。

で…今回は、不器用が故に自分の気持ちを上手く伝えられない事に

もどかしさを感じているのなら、

物と一緒に言葉を贈ってあげたらきっと伝わるかもしれないし、

それはどんな人でも喜んでくれるかもしれないよ?という、

こうあれたら良いよね…な「理想形」が描かれる。

今回の後半のエピソードが、前々回と前回にとっての"最適解"みたいなもので、

きちっとピリオドを付ける構成になっているように思えました。

 

青羽家にあるのも、佐倉家にあるのも、

恐らく萌(桜田ひより)が買ってきて想と食べているのも、種類は違えどみんなプリン。

律子(篠原涼子)が洗濯物を畳んでLINEを送った時、

想はちょうど洗濯機に服を入れている最中で、

和泉も紬が帰省している時には一緒に洗濯物を畳んでいた。

「プリン」と「洗濯」で共通点を作る事で、

「ろう者も聴者も中途失聴者も、みんな"今"を生きる1人の人間」

「大切な人を想う気持ちは同じ」が暗喩的に表現されている所も良かったです。

本作が描こうとしているのはきっと、

"恋愛"を超越した"普遍的な愛"なのだろうな…というのがこれらの描写からも感じ取れます。

 

奈々と正輝の方も、仲直り出来そうでホッとしました。

同じ方が演じているのに、8年という月日を感じさせるほど

大人びた佇まいになっているのが、流石役者さんだなぁと思わされますね。

別れてからも手話教室を開いて続けてきた正輝の意志の強さが、

何よりもの答えになっている事でしょう。

 

次回は、紬の言葉で背中を押された想が

いよいよ実家に帰省してからの話が描かれるみたいです。

予告を見ると、どうやら2人の軋轢に本格的に踏み込むようでドキドキしますね…。

 

 

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silent 7話 感想|紬の真っ直ぐさが2人をつなぐ

 

 

今回は「想が声を出さない理由」と「想と奈々の関係性」にじっくり向き合う、

1つのターニングポイントを迎えるお話になっていました。

そして、核心へと迫る中、紬(川口春奈)は2人を取り持つ存在として描かれました。

 

紬はどこまでも真っ直ぐな人でしたねぇ…。

奈々(夏帆)に事前に用意してきた手話を伝えるシーンは、

世間の評判だと「身勝手」と思う方が多くいたらしいんですが、

私は特に嫌な気分にはなりませんでしたね。

奈々は想をずっと好きでいたけれども、想からしたら"彼女"ではないし、付き合ってもいない。

それは、「佐倉くん」と呼んでいる辺り、まだ正式な関係にはなれていない紬も同じで。

だから、この曖昧な状態が続いている以上は、どこかでケジメをつける必要があった…

そう思っています。

手話は下手くそと言われながらも…いや、下手だったからこそ?

紬が時折感情を顔に出しながら伝える姿には嘘がなくて、

ああ、本当に感謝しているんだなぁ…っていうのが奈々目線で伝わってきて

ちょっと涙してしまいましたし。

想ではなく紬が行動に出ようとしたのも、

想が「聴者とろう者と中途失聴者は違う」と言われたのを知った所から始まって、

奈々なら全て分かってくれるであろう想の早い手話が、自分では分からない時がある→

8年間何もしてあげられなかった自分の代わりに、長年受け止めてくれていた奈々に

想本人が伝えづらい感謝の気持ちを伝えたくなったし、誤解を解きたくなった…と

段階を踏むようにして動機が描かれていたので、

今回のは"らしい"判断だったし、ああなるのも自然だった気がします。

 

あとは…演者によっては、偉そう…ってなりそうな役柄を、

川口春奈さんが演じられたというのが大きかったですかね。

以前、本作の裏側に迫る記事で、川口春奈さんを起用した理由として、確か

「女性の共感を得やすい」「女性のリアルな部分を演じても嫌われにくいだろう」って

書かれていたのを読んでいて。

川口さんの純粋さと等身大さが最も活きたシーンにもなっていたと思います。

 

で、想の気持ちが奈々に届くシーンの他に、

個人的に嬉し泣き(一部は切な泣き?)してしまったのは、

好きな人の心の中に"大切な人との時間"が刻まれているのが、想や紬から感じられた事。

 

まず想に関しては…奈々が、自分だけが憧れていた夢を想も同じように見てくれていて、

さらには、自分では想像出来なかった声を、想の夢の中では出していたと知れて

何よりもの救いになった事でしょう。

前回では「絶対叶う事のない夢」として描かれていた分、

たとえ夢ではあっても想いは通じ合っていたと分かった途端、

心揺さぶられるものがありました。

 

そして、今度は紬について。

終盤で紬が話していた「声、好きだったけど。それは本当だけど。」…

この後付けしていくような言い回しだったせいか、

湊斗(鈴鹿央士)の声で再生されたんですよね。

これが脚本家が意図して描いた台詞なのかどうかは分かりませんが、

このたった一言を聞いただけで、別れてはしまったものの、言い回しが移ってしまうほど

彼女の中では湊斗の存在が大きな支柱になっていたし、

1人心をすり減らす生活を送っていた彼女を救い出してくれたのが

彼であるという事実はこれからも揺らぐ事はないんだろうな…なんて、

馴れ初めや付き合っていた頃の記憶がぶわっと蘇ってきて。

ちょっぴり切なくもあり、8年間という長い思い出を

今でも無意識に、心に大切にしまってくれている事に、

嬉しさを噛み締めたくもなるシーンでした。

 

奈々が憧れていた夢、図書館での可愛らしいエピソード、

そして、衝撃だった「プレゼントを使い回された気持ち」…

奈々と想の間に入ったヒビを治していく過程や、

奈々の気持ちの変化、前向きになっていく様を、

前回の要素を取り入れながら、前回と今回で対になるようにして

表現していった手法も素晴らしかったです。

特に、図書館で子供にシーッってされたエピソードが刺さりましたね。

手話での会話が盛り上がって、思わず笑いが吹き出てしまったのが

子供にとっては「喋っている」と捉えられた事が、

奈々の「声で喋っている」夢を叶えられたようにも思えて、こちらも微笑んでしまいました。

 

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silent 6話 感想|手にしたくても叶わない夢

 

 

「プレゼントを使いまわされた気持ち」

はぁ……この言葉を聞いた時のショックの大きさたるや………。

前回の感想でも書きましたけど、やっぱり、王道のラブストーリーに見せているようで

王道ではないなぁとつくづく思わされます。

 

ラブストーリーは大抵は「2人の物語」なんですよね。

基本的に、主人公か相手目線の2通りで話を広げていくから、

その間に入ってくるライバルや元恋人は、俗に言う"当て馬"で不憫に描かれるか、

あるいは2人の"恋の障がい"として、視聴者が見ていて不快感を覚えるようにに

描かれたりする時もある。

でも、本作の奈々(夏帆)の場合は、完全に後者の立ち位置にいるのに

ちっとも嫌味に思わない。

…むしろ、今回は奈々の方に同情して、想(目黒蓮)はなんて罪な男なんだと

思ったくらいです(笑)

想の手話の主成分は奈々で出来ている事が判明してしまいましたからね。

恋は人を良い方向にも悪い方向にも変える…というのが痛いほど示されていて、

想との出会いを共通項に、紬(川口春奈)は当時のような真っ直ぐさが戻っていく一方で、

奈々はどんどん自分を苦しめていく対比は

見ていてとても辛い気持ちにさせられました…。

 

で、今回、その辛さに拍車をかけていたのは「カテゴライズ」だった気がするんです。

序盤では、想に「それは、聴者もろう者も同じ」「あなたも同じ」と励ます

奈々の姿が描かれましたが、

これが後々の内容において意味をもたらすシーンになっていました。

まぁ…2話の感想でも書いた通り、本作がよく取り入れる"前フリ"ってやつです。

 

上手い言葉が見つかりませんが、今回の構成は「落として上げて落とす」みたいなもので。

想を深く知らない同級生が、想が「耳の聴こえない人」だからと

わざと大声で話しかけてきたり、

警察が「耳につけているのはイヤホン」だという固定観念で接してきたり、

カウンセラーの人が彼を"悩みを抱える1人の人間"として平等に接しずに

「この人にはこんな風に接してあげれば大丈夫だろう」と決めつけてアドバイスしてきたりと…

最初は完全に"聴者側"にいる人々と想の関わりが描かれてからの

奈々との出会いだったので、想と同様、彼女の言葉によって

ちょっとした救いや希望を感じた視聴者も多くいた事でしょう。

しかし…そんな「こうであって欲しい」という"理想"は、

その次の奈々の思いやったつもりの行為で、一気に打ち砕かれてしまいます。

「想自身」ではなく「耳の聴こえない想」ばかり気にしている律子(篠原涼子)や、

あの子に"聴こえない"想くんの気持ちは分からないと断定づける現在の奈々の言動も含めて。

聴者やろう者、家族関係なく、

全ての人々が無意識に相手をどこかのジャンルにカテゴライズしては、

その狭い範囲でしか相手を見ていない…という現実と同時に、

"カテゴライズされる側"の苦悩や孤独も並行して描いていたのが、

今回の余韻に繋がったのではないかと思います。

 

奈々の夢も切ないものでしたね…。

あの青いハンドバッグはきっと、

彼女が本当に手に入れたかった"聴覚"でもあったんでしょうね。

手話をするからいつもリュック姿だけど、ハンドバッグを持てば片手で手を繋げる…

そんな憧れを抱いていた。

奈々の友達・江上役を演じる那須映里さんの呟きによると、

ろう者でも実際にハンドバッグを使ったり、手を繋いだりする事はあり、

「片手手話」もあるそうなのですが。

これまでも有線のイヤホンや、何気なく流れていたお笑い番組、前回の100均のヘアピンなど、

登場人物のその時の心境や関係性を象徴するかのような"アイコン"が添えられていたように、

今回もハンドバッグを取り入れたある種の「分かりやすさ」が、

感情移入させるには最も効果的なエピソードになっていました。

 

強いて言うなら、紬が想の事を「好きな言葉をくれる人」と

正輝(風間俊介)に言っていた辺り、

彼女はもう彼を恋人として受け入れているのだろうと考えると…

別れを告げた側ならともかく、吹っ切れるにはあまりにも早いので、

もう少し湊斗(鈴鹿央士)を引きずるような描写があっても良かったとは思いますが。

でも、本作の"当て馬"になりそうなポジションや、嫌な人物になりそうなポジションを

あえてそう描かずに、それぞれの心情を1人ずつ汲み取っていく作風はとても好みです。

 

奈々の今後はもちろん、正輝と奈々の関係はやっぱり元恋人同士なの?という所も気になります。

どんな展開へと向かっていくのか…次回にも期待します。

 

 

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silent 5話 感想|2人の思い出だった"ぽわぽわ"

 

 

「うれしかった」

今回、一番涙腺に訴えかけてくる言葉はこれでした…。

ああ、良かったなぁ…想(目黒蓮)。そんな風に思ってくれてた(くれた)んだなぁって。

 

前回のフットサルシーン、良い感じの雰囲気ではあったものの、

本人は心から楽しめているのだろうかと

ずっとそわそわしながら見ていたんですよね。正直。

デフサッカーも考えていて、それでもその道も諦めてしまった想が

(「買った」という言及がされなかった辺り)まだ当時の運動着を持っていたんだから、

きっと、心のどこかでまた"前みたいな"サッカーがしたい…と思っていた部分はあったにせよ。

でも、交友関係をぱったり切った状態で3年ぶりに会うとなると、

自分のせいで上手くチームが回らないんじゃないか…

誰かとぶつかって怪我させてしまうんじゃないか…という不安は付き物な気がするんです。

実際見ていても、相手のペースで誘導されたり、集団に紛れ込んだりしている時に、

何が何だか分からず困惑しているような表情を見せていましたからね。

 

今回は贅沢に、紬(川口春奈)と湊斗(鈴鹿央士)がお互い前を向くまでの経緯に

1時間まるまる割いてきた訳ですが。

同時に、「2人が別れたのは自分のせい」「納得行かない」とモヤモヤしていた想が、

古賀(山崎樹範)との関わりによって、1人でゆっくり考え直して、

この再会にも意味があるのだと受け入れるまでの時間でもあったのかな…

と思える内容になっていました。

 

従来の恋愛モノだったら、一度別れて元恋人の関係になってからのエピソードって

あまり重点的に描かれないイメージがある分、

紬と湊斗にまつわるエピソードを存分に詰め込む構成だったのも、何だか新鮮でしたね。

男同志の友情をガッツリ絡めてきたり、

「話すならLINEで良い」と思っていた想が、紬に対して「顔見て話したい」と

直接会って伝えるようになった根底に、親友の湊斗の存在がいると分からせたり…

本作って、王道のラブストーリーに見せておいて、その定型を徐々に崩しに行っている

作品でもある気がするんです。

 

2人とも一緒にいて"ぽわぽわ"を実感していて、

当時の思い出をあれだけ大事にしてくれているんだったら、

別に別れなくても…と思う気持ちもなくはないです。

でも、それって、8年間の2人を隅々まで知らない

三者の立場だからこその考えなんですよね…結局は。

好きな関係性だったから別れないで欲しかった…という気持ちと相反して、

今別れるのが2人のためで、これ以上湊斗の優しさを傷つけないためにも

必然だったのかもしれない…という気持ちも同居しているというか。

想との付き合いが"恋"なら、湊斗との付き合いは"愛"で、

恋愛ならではのときめきは特になかったのかもしれないけど、

幸せで溢れていて、かけがえのない時間で、「好き」なのは間違いなかったよ…と

伝えてくれているかのような紬のあの電話での告白は実に誠実で、

ピリオドを打つには相応しい、

2人の決意にも納得出来る落とし込みになっていたのも良かったです。

 

で…これはちょっとした情報なのですが、

朝ごはんを食べながら紬が止めた曲は、スピッツの「みなと」という曲でした。

その曲の一部には、こんな歌詞があります。

「船に乗るわけじゃなく だけど僕は港にいる」

「君ともう一度会うために作った歌さ 今日も歌う 錆びた港で」

元々は、お互いが別々の道を歩み、最初は振り切ったつもりでいたものの、

どうしても大切な人との日常ばかり求めてしまう…という

未練を歌った曲だと捉えていたんですが、それがもう…湊斗の心境と重なるんですよね。

港で例えるとするなら、彼はいつだって紬と想の"見送り人"だった。

高校時代では紬を後押しするし、手話教室も勧めるし、

そして、2人が手話で楽しそうに話しているのを見て、勝手に別れを切り出しちゃうし。

大切な人を優先して、自分の事は後回しにしがちな性格だった。

だから今回も、紬と想が再び両想いになれるよう"受け渡し"をして、

船へと乗って旅立っていく2人を、見えなくなるまで見届けた…そんな風に思えました。

後者の歌詞は、紬と培った思い出を彼女もずっと忘れないでいて欲しいと願う他に、

同じベッドで目を向かい合わせながら寝ていた紬とのやり取りが

しばらく幻影となって引きずりそうな"湊斗の今後"とも重なりますしね。

 

今回の内容のためにこの曲を用意して、

湊斗という名前はこの曲が由来だったんじゃないかって。

本作だけでなく、もちろんどの作品も

1つ1つこだわりを持って作られているのは理解していますけど、

制作者側の意図がはっきりしているのが伺えると、

やっぱり、物語や登場人物の奥行きも広がってくるものですよね。

 

想が好きな髪型だと教えてもらったポニーテールをやってみたものの、

結局戻してしまった紬の一連の流れも、

やってみたからと言って、もう気軽に報告出来るような関係ではなくなったんだよな…という

友達同士の関係に戻ろうと頑張っている彼女の考えが覗き見えたようで、印象的でした。

 

とにかく、爽やかな余韻の残る、丁寧な"第1章の締め"回だったと思います。

次回からは第2章に突入ですね。

今回はあえて奈々(夏帆)の出番をなくしたのも、

想と再び付き合い始めてから襲ってくる現実っぽさを感じさせます。

正輝(風間俊介)の件も、光(板垣李光人)の件も、

律子(篠原涼子)の件も、萌(桜田ひより)の件も…

そしてようやく登場した想の姉・華(石川恋)の件も、まだまだ山積み。

それぞれの登場人物が2人の新たな恋にどう絡んでくるのか、楽しみです。

 

 

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silent 4話 感想|「分かり合えない」が出した答え

 

 

想(目黒蓮)と話せて、想の声を久しぶりに聞けて

「全然変わんないね」と言う湊斗(鈴鹿央士)を見て、

前回の萌(桜田ひより)のこの言葉がすぐさま頭に過ぎりました。

「今まで何があったかも知らないで、久しぶりに再会して」

「自分はその間、湊斗くんと呑気に楽しくヘラヘラ…」

これは本来、想と再会したのを機に手話を覚え始めた

紬(川口春奈)への嫌味で言った言葉ではありますが、

実は「呑気に楽しくヘラヘラ」は彼にかかっていたんじゃないかって…。

今回は、変わってないと思い込みたい湊斗が

想との間にある壁を徐々に広げていってしまう、いたたまれないお話でした。

 

湊斗って、本当に純真無垢な性格なんだろうなぁってつくづく思わされるんですよね。

ラインでやり取りしている時の彼の、目を輝かせた表情を見ていると、

高校の帰り道で想の名前を呼んで、やっと振り向いてもらえた時の

あのワンコのような笑顔と重なってしまうんです。

だから「湊斗も変わんないね」と返されたんだろうなって。

…でも、3年という月日が経って、耳の件もある以上、「全く変わらない」なんて事はない。

話すのが楽しくてしょうがなくて、1人でキッチンに向かっても喋り続けてしまった際に、

あえて数秒間だけ無音にし、

"何も聞こえない空間"をずっと過ごしている想視点の話を視聴者に共有した事で、

両者の気持ちにどれだけズレが生じているかを示すシーンには

グサッと来てしまいました…。

 

それからも、「考え過ぎだった」「変わってなくて良かった」「みんな元に戻れる」と

いろんな人にポジティブな事ばかり言う湊斗。

フットサルで集まると知って、大丈夫かと心がザワザワしていた頃に、

正輝(風間俊介)が核心を突く言葉を手話で放ってきます。

「どうしたって僕は聞こえるので、ろう者同士みたいに…分かり合えないです」

彼は本作の登場人物の中でも、人生を知り尽くしているかのように

一歩引いて周りを見る立場にいる唯一の人物だと捉えているので、

ああ、これが後々の"答え"になってしまうんだろうな…というのも察せられました。

 

しかしまぁ…まさか、自ら別れを告げる展開になるとまでは思いもしませんでしたね。

ハイライトをつけたキラキラした目が、別れようと決心した時には、

下を向いているのもあって黒目がちの目になってしまっていた辺りに、

自分がどれだけ相手の想いを深く知ろうとしなかったか、

どれだけ表面的に物事を見ていたか…という湊斗の自責の念が伝わってきて

余計に切なかったです。

でも、それ以上に切なかったのが、2人が楽しそうに手話をしているのを見て、

やっぱり自分は…と勝手に決断してしまった事ですよね。

初回では正輝に向かって「(手話は)出来れば覚えたくない」と言い、

2話では想が耳が聞こえないのを知っていてもなお普通に話し、

で…今回もキッチンでつい喋り続けてしまう。

とにかく、あの時のまま…"普通"がいつまでも続いて欲しい気持ちにブレがなかった。

 

青春してきた高校時代の同級生という同じスタートに立っていたはずなのに、

2人はもう自分とは違うフィールドにいる。

2人とも大好きな恋人・大好きな親友だったから、

そこに自分が介入する事で関係を打ち壊したくはない。

そんな不変を願う彼だからこその決断だったんでしょう。

でも…その思いやった"つもり"の行為が、結果的に想に

「自分が来たから2人の恋人関係を壊してしまった」と思わせ、傷つける事になってしまった。

正輝の言っていた「分かり合えないです」は、最後のここに皮肉としてかかってきた訳です…。

なんて恐ろしい積み重ねの描写をしてくるのだと、改めて見入った1時間でした…。

 

視聴者は、想がまだ紬に未練がある事も既に知っているので、

それに全く気づこうともしない湊斗に焦ったさを感じてしまうんですよね。

ちょっとした"心のすれ違い"が常に描かれているのが、

TVerのお気に入り登録の増加やタイムシフト再生1位にも繋がる理由なのかな?とも思います。

例えば、前回で紬の「好きじゃない」という文字をはっきり目にした

想のシーンが描かれたからこそ、今回の湊斗の「任せとけ」もじわじわ効いてくるというか…。

1つ1つの心情変化の蓄積が、登場人物への感情移入度を高くさせているような気がするんです。

 

主題歌の「伝えたい 伝わらない その不条理が今」のシンクロ具合も凄かったですね。

そして、光(板垣李光人)の様子を見る限りは、湊斗にずっと片想いしていて、

結局、紬との恋を応援する事にした…という線もありそうです。

自分よりも相手を最優先する湊斗に、何だかイラッとしているようにも見えましたからね。

あとはやっぱり…正輝と奈々(夏帆)が元恋人同士だった可能性も?

いずれにせよ、3人がバラバラになってからの次回が気になります…。

 

 

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silent 3話 感想|感情の蓋を開いた湊斗が切ない…

 

 

本作の演出は、ストレートに魅せに行く所から、さり気ない工夫が施されている所まで

こだわり抜いて作られているなぁ…という印象を毎回持つのですが、

その中でも1つ特筆しておきたいのが、本作のタイトル「silent」× 騒音という

相反する2つの要素を組み合わせたタイトルバック。

1話は、ザーザー降りの雨で起こされる紬(川口春奈)のシーンが。

2話は、耳に違和感を覚えるようになった想(目黒蓮)が、

律子(篠原涼子)にずっと耳鳴りがしている事を訴えるシーンが。

そして…今回は、踏切のサイレンが鳴ってから、遮断棒が降り始めるシーンが

タイトルバックとして使われました。

 

しかし、どれも「うるさい」から連想される音が

使われているのが共通点ではあるんですが、

今回に関してはそれだけではなく、何か"ターニングポイント"の意味も

含まれているんじゃないか…って気がしたんですよね。

踏切だけを映すなら分かるものの、紬の進む道を遮断棒で遮るようなカットだったから。

 

湊斗(鈴鹿央士)と紬の馴れ初めを描いた冒頭の回想から

前回のラストへとシームレスに繋がっていたのを察するに。

紬と遮断棒を同時に映したカットは、

今まで築き上げてきた紬と湊斗の関係性と、

"青春を共にした同級生"という、輝かしい思い出のまま時が止まっていた3人の関係性が

変わっていってしまうのを示すサインになっていて。

鳴り響く音は、湊斗が今まで蓋をしてきた感情が

どっと溢れ出してしまうのを示すサインになっているのかもしれない。

そんな風に想像してしまった訳です。

なので…切ない気持ちで見ていた1話、2話とは違い、

今回は「何か」が起こりそうな、ザワザワした気持ちで見始める事となりました。

 

前半は"予感"で済んでいたのが、約32分を過ぎた辺りで一気に"確信"へと変わります。

紬が湊斗を今では「湊斗」と呼び捨てしていると知った事。

「好きじゃない」そうはっきり言われてしまった=その文字を目にしてしまった事。

未練を断ち切るためだと分かっていても、辛いものがありました…。

そして、追い打ちをかけるような「嫉妬してイライラしている方が、

友達の病気を受け入れるよりもずっと楽だった」と告白する湊斗のラストシーン。

傷ついた女主人公を慰めたり、過ちを起こしそうな所を止めてくれたり…

友情は友情でも、そういった女性同士での友情をサブエピソードとして描くドラマを

何作も見てきただけに、男性同士というのはかなり新鮮で

(あっても同性愛のラブコメ…ただの偏見ですが)、

やはり湊斗を、ただの恋愛の添え物的立ち位置にする気はないのだと思い知らされましたね。

 

昔と今で線引きして割り切ろうとして、前向きな自分を演じ続けた紬。

耳の事で別れを告げた自分をまだ悔しく思っていて、未練が残り続けているであろう想。

紬と想が再会しているのを目の当たりにして、徐々に不安を覗かせていく湊斗。

ここまで3人の様子を見てきた限りだと、きっとこういう人となりなんだろう…

というのは何となく気づけてきて、だからこそ、温度差の違いにやきもきして。

その心境のぶつかり合いが大きな"ズレ"を生んでいく様は、

本当に見ていていたたまれなかったです。

 

で…今後はちょっと余談を挟んで。

これはほんの興味から後で調べてみた情報なのですが、

名前に「ちゃん」「くん」を付ける手話は一応、

名前の後に左手の人差し指を右の方へ向ける…という形で表せるそうなんです。

それを知った上で見返してみた所、

想の妹・萌(桜田ひより)はその手話を「湊斗+くん」って感じで使っていましたが、

紬はあくまでも現状は「手話を使って話がしたい」を最優先しているからなのか

想と湊斗のどちらも呼び捨ての表現になっていました。

想も、彼女がそこまでは習っていないと分かっていたんでしょうね。

初見の時点でも、動作を見れば何となくのニュアンスで掴めてしまうのが手話なら、

ダイレクトに伝わる分、気を遣わないと聞き手側の解釈が

異なってしまいがちなのが文字だな…と思いながら見ていましたが、

手話事情を知ってからだと、

彼がなぜショックを受けたのか?もより鮮明に見えてきたのが面白かったです。

ドラマの楽しみ方の1つでもありますね。

 

あんなに明るくてキラキラした人だったのに、想に別れを告げられてからは

自分をすり減らす日々を送っていたのかも…という空白の時間が伺える紬の"あの後"も。

想がわざと知らんぷりして振り返ったら、ワンコのような笑顔を見せてきた湊斗の

2人のやり取りが、今では残酷なものとして帰ってきたのも。

何気なく点けていたお笑い番組が、逆にさみしさを引き立てていたのも。

印象的なシーンは他にもたくさんあるんですが、

全部拾っていったらとっ散らかった感想になりそうなのでね…(苦笑)

それくらい、1秒1秒を見逃したくないと思わせる作品です。

 

 

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silent 2話 感想|止まっていた秒針が少しずつ動き始める…

 

 

何とか整理したものの、いろいろ書きたい事があり過ぎて、感想が長くなってしまったw

ごちゃっとしているかもしれませんが…。

 

いやぁ、なんて繊細な脚本なんだろう…。

湊斗(鈴鹿央士)が想(目黒蓮)の耳が聞こえない件を秘密にしていたと分かっても、

怒鳴ったりはしないし。

想があの時突然別れを告げた理由を「なんで?」と責めるように

大声を上げて泣いたりもしない。

全体に流れる空気は、基本、静か。

登場人物を感情的にすればドラマチックで見映えが良くなる上に、

展開も描きやすくなるだろうに、

それをあえて取っ払って、2人の間で行われる日常的な"会話""やり取り"だけで、

些細なすれ違いや少しピリッとした雰囲気、距離が縮まっていく様…

各々の関係で生まれる心情変化を描こうという、

中々チャレンジングな事をされているなぁ…と思います。

役者さんへある程度信頼を寄せていないと、今回の内容は完成しなかったかもしれない…とも。

 

本作、音に配慮しているのがひたすら伝わってくるんですよね。

例えば、水道の水を流しっぱなしにしていた想の母・律子(篠原涼子)に対して、

なぜ想はわざわざ水を止める行為に出たのか?という、水を使っての暗喩的な表現とか。

"覚悟"を決めた時、聞こえていたブランコの音が一瞬無音になるとか。

あとは、2人の会話に集中させるために、普段聞こえているはずの周りのガヤガヤした話し声を

ほとんどかき消す処理を施すだとか。

…特に3つ目が、物語を魅せるのには欠かせない演出になっていて、

静かな空間にする事で、その中で挿入される劇伴や

ぽつりぽつりと語りかける小説風の台詞回しが、凄く意味のあるものに感じられるんです。

 

その演出で個人的にグッときたのは、

紬(川口春奈)の何気ない独り言が全て音声アプリで拾われちゃって、

その文章を見て想がやっと笑った時に、

初回の冒頭で雪を見ていたシーンで流れていた"あの劇伴"がかかり始めた所。

高校時代と変わらない、ふわりと優しくて、

でもどこか泣き出しそうな笑顔を見せてくれた想の表情も相まって、

ここからまた、わだかまりがなくなろうとしている…

そんな安堵感を感じさせて、ついつい涙してしまいました…。

 

そして、前回の見返しと、今回の内容を見て、

なぜこんなにも心が揺さぶられるのか?の理由がなんとなく見えてきた気がします。

ラストで盛り上げるための"前フリ"の肉付けの仕方が上手いんじゃないかと。

 

初回では、

・音楽が好きで、教室でも外でもいつもイヤホンをつけて聴いていた想

・名前を呼びたくなるほど、想の声が好きだった

・しんしんと降り積もる雪を見ている最中に、紬にとびっきり元気な声で話しかけられて

「うるさい」と笑いながらツッコんだ

この3つの要素が、高校時代のエピソードでじっくり、かつ印象的に描かれた上で、

最後ではそれらが「もう戻ってこない」と言われているかのような、

全てを打ち返すかのような展開になっていて、ショックを残したまま終わりました。

 

で、今回は…

・想が何を話したかったのかを聞かずに、自分の気持ちを沢山話してしまった事に

後悔を覚えていた紬

・眩しいくらいに輝いた笑顔や声色で、まっすぐ目を見て話しかけてくる紬

・「好きな人がいる。別れたい」の真意

の3つ。

初回で、もう昔と今とでは違う世界にいるんだ…と視聴者に思わせたために、

序盤での高校時代のエピソードも"切ないもの"に見えてしまいます。

でも、まさかの全部回収。

初回では"絶望"、今回では"(小さな)希望"の意味で

逆転した内容になっていたお陰で、雪解けして、2人がまた以前のような関係に戻れたら…と

願いたくなるラストに仕上がっていたと思います。

 

2人の関係の変化を描くにあたって、

今までの出来事をきっちり時系列で描くのもアリではあるんですが、

1話内で 回想→現在 をコンパクトにまとめる構成だからこそ

読み取れるものもあるんですよね。

また比較しますが…大好きだった人が耳が聞こえない事が分かった初回。

過去の想いを告白し、ちょっぴり打ち解け合えた今回。

少しずつ進んでいっている事が分かるでしょう。

それはまるで、"あの頃"で止まっていた時計の秒針が、

再会を通して長い年月をかけて、1秒ずつ、1秒ずつ動き始めているみたい。

しかし同時に、その進歩こそが、

「好きだから(声が好きだと言ってくれる紬の笑顔を奪いたくないから)別れた」

想の未練がまだ拭い切れていないようにも捉えられます。

今度会ってよ!と言われて、動揺した表情を浮かべたのを見たら…お察しですよね。

 

主人公たちを囲む登場人物の、今後の動きも気になりますね。

恋愛には介入しない立場だと凡そ確定しているからか、

正輝(風間俊介)が登場するシーンはやはり"異質感"があって、身が引き締まりますし。

周囲に想の事情を話してしまう事でフラグが立てられていますし。

サッカー仲間の「障がいある奴の方行かないだろ」に対して

あえて紬が手話教室に通い始めた事を話す湊斗は、

"当て馬"の三文字で片付けるのは違う気がしますし。

律子の咽び泣きも、弟・光(板垣李光人)の怪訝そうな態度も

絶対何かあるんじゃないかと思えてしまいます。

登場人物が多い故、サブエピソードが増えて散漫しそうな可能性はなくはないものの、

2人の恋愛模様、三角関係にどう絡んでくるのか楽しみです。

 

…CMの入りに関しては、やっぱり相性が合わないなぁとは思いますが(笑)

でも、前回よりもぶつ切り感は減ったんじゃないでしょうか。

 

 

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silent 1話 感想|"あの頃"はもうない

 

 

結論から言ってしまうと、私は好きです。

ただ、好き嫌いが分かれる作品なんだろうなぁ…とも思います。

 

と言うのも、狙っているであろうターゲット層が20〜30代の女性…

もっと細分化するなら、20代後半からかな?

それくらい限定づけられている(ように感じる)作風なんですよね。

ターゲット層の中には、当時叶わなかったキラキラした恋愛に

憧れを抱く経験をした人もいれば、ケータイ小説を読んでいた人も多いかもしれない。

その道を通ってきた視聴者なら、脚本家・生方美久さんの紡ぐ小説寄りの独特な台詞回しも

叙情的なストーリー展開もノスタルジックに感じられるんでしょうけど、

一方で、こんなに密度を上げなくても…展開がノロくて退屈…と

受け取る視聴者もいるんだろうなぁと。

見方によって大きく評価が変わりそうな初回でありました。

 

個人的には、人気(ひとけ)のない小さな映画館で、夜の時間帯に

スクリーンでひっそり泣きながら見たい内容でしたね。

CMの入りが頻繁に行われていたのもあって、

ドラマサイズじゃ、この良さが十分に伝わらなさそうで勿体ない…と思えてしまうほどにはね。

 

高校生の頃の連絡手段は携帯電話だったのが、

大人になるとLINE電話が主流になって、LINEでのやり取りがほとんど。

音楽を聴くのはiPodに有線イヤホンだったのが、

今では無線で、片方のイヤホンを落とす事もしばしば。

今も昔もCDショップはあるけれど、CDが売れなくなってしまった時代に。

緑に囲まれたごくありふれた校舎の代わりに、

欲しいものは何でも手に入りそうな充実した街・渋谷が主な生活圏になっている。

 

想(目黒蓮)が何も知らない紬(川口春奈)の前であえて手話を使ったのもそうですが、

モチーフや場所を"過去と現在"で線引きして、意図的に映す事で、

「『大好きな音に包まれていた』あの頃はもう戻ってこない」

「時代の変遷と共に、2人の住む世界も変わってしまった」

切なさやもの悲しさを物語らせている辺り、

視聴者を引き込む"世界観づくり"は結構緻密に作られていて好印象。

 

脚本、演出、演者、劇伴…それぞれ、この先も良いクオリティを保てそうな予感。

しかし、それ以上に、本作が秀作になるか残念に終わるかどうかは、

意外と、手話が使える聴者・正輝(風間俊介)の存在が

鍵を握っているんじゃないかという気がしています。

若い役者さんが多い中で空気を引き締める立ち位置になっていたし、

演技からして、シリアスな方向へと寄せられていましたからね。

…まぁでも、初回を見た感じでは、障がい者は健気な性格で、

彼らを支えるために手話を使っている聴者は良い人だという、

どちらも思いやっている風の悪気のない考えを"偏見"だと

静かに切っていた描写が施されていたので、そこの心配もないのかもしれません。

 

先ほど名前を挙げた生方美久さんは、連続ドラマの脚本を初執筆。

プライム帯の割には、かなり作家性が尊重されていて、

脚本家にとって、ある程度自由に書ける環境になっているのも伝わってきます。

木曜劇場」枠は波はあるものの、

時々異端な作品を生み出すから好きだし、応援したくなるんですよねぇ…。

ここ最近の作品を羅列するなら、「刑事ゆがみ」「隣の家族は青く見える」

モンテ・クリスト伯」「アライブ」かな?(どれも名作入りにしているくらいには好き)

 

実はたま〜に「『刑事ゆがみ』の来年同時期の作品はこれかぁ…」「3年後はこれかぁ…」と

名作を基準に照らし合わせる事があるんですけど、

1つの節目となる5年後の作品が本作なのは、純粋に嬉しいです。

良質な作品だと良いなぁ…。いや、そうであって欲しいですね。

 

「言葉はまるで雪の結晶」の歌詞も衝撃的でした。

早く配信で聴きたいです…!

 

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