2023年冬ドラマ-6秒間の軌跡一覧

6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱 3話 感想|父とひかり、案外似てるのかも?

 

 

はぁ…毎回思っているし、多分今後も書くかもしれませんけど、

3人での会話劇が本当〜に面白過ぎる!(笑)

「どんな偶然で裸見られるかも分かんないし」いやどんな偶然!?wwとか、

見えても聞こえてもいないはずなのに

会話が成立しちゃう航(橋爪功)やひかり(本田翼)とか、

3分に1回?のペースでツボに嵌まるシーンがやって来るので、

そこだけでも肩の力を抜いて楽しめます。

やっぱり、現在81歳と大ベテランの橋爪功さんが中心にいるのが大きいんでしょうね。

 

ベテランの役者さんって良い意味で「演じない」んですよね。

これだけだと語弊を招くので、もう少し具体的に書くとすると…

今まで様々な作品で、様々な個性を持った役を演じて場数を踏んできたからこそ

生まれる"余裕"や"達観"みたいなものがあって、

「上手く演じよう」という力んだ感じではなく(役に憑依した演技ももちろん好きです)、

演じられているのか素なのか区別がつかなくなるくらいの演技で

根太い存在感を残すと言いますか。

橋爪さんもその内の1人で、橋爪さんの自然体な演技を受けて、

高橋一生さんも本田翼さんも伸び伸びと演じられているのが画面上から伝わってくるんです。

だから見ていて楽しいんだろうし、

新コーナーでスタッフの笑い声も聞こえたりして(笑)

現場の雰囲気もきっと和気藹々としているんだろうなぁ…とすら思えてきます。

 

毒づく本田翼さんも良いですね。

ひかりに振り回される星太郎(高橋一生)の図も面白いんですけど、彼女の吐く毒は、

前回の「記憶に残るのは、誰とどんな気持ちで見たかどうか?」も含めて、

ハッとさせられる的確さが魅力的です。

で、今回刺さった言葉は…

「即答出来ないっていう事は、適当に理由をつけてダメって言ってるようなもんですよ」

これには私もギクリ!と(苦笑)

でも彼女の言動はいつも正直で、そこが、何かとグルグル考えては

目の前の向き合わなければならない事を避けてきた星太郎にとっては、

背中を押された気持ちにさせられるんでしょう。

 

また、航もひかりと、自分の考えをポロっと吐き出す所は共通している気もします。

特に似ているなって思ったのは…

「5年後にはお前、絶対パソコンで打ち上げしてんだよ?

お前がやれるんだったらさ、今辞めたって3年後辞めたって5年後辞めたって同じだろ?

だからお前…とっとと辞めんだよ!」

この言葉が上記の言葉と重なりました。

父の死を受けてからのひかりとの出会いは運命のようなもので、

父の存在と過去の思い出を感じながら、

その父の面影を残すひかりの言葉に感化されて

星太郎は少しずつ前向きさを取り戻していくんですね。

 

作ったご飯を日常的に、何気なくテーブルに置いている時に、

ちょうど目に入った新聞がきっかけで

今まで溜めていた新聞をゴミに出し始めるといった終盤の一連の流れは、

まずは"小さな一歩"からコツコツと…という星太郎の心境を思わせて印象的なシーンでした。

やっとこさお客さんが依頼してくれて、

航にツッコまれつつ「うるせぇよ」と返した時の表情が

内心嬉しそうだったのもほっこりさせられました。

 

会話劇で気軽に楽しめる部分もあるけれど、

内容の本質を読んでいくと、何だか考えさせられたり、

ちょっとした心のビタミンにもなったりして。

回を重ねるごとに、本作への好感度が上昇し続けております。

現時点では、深夜ドラマの中で一番好きな作品かもしれません。

(だから、感想投稿が放送時から1週間ズレたとしても、書きたい!と思える訳で…。)

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 


6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱 2話 感想|"モノ"より"コト"の方が記憶に残る…は真理

 

 

いろんなドラマを見ていると、

「あの役は良かったけど、この役は何だか固いかな…」とか、

「この役者さんとこの役者さんで役を逆にした方が、しっくり来たんじゃないか?」とか

思う事もたまにある分。

魅力的に映る役っていうのはやっぱり、

役者さんと脚本家・演出家の相性の良さが大きいんだろうな…と

改めて気づかされる回でした。

 

否定的な声もあるようですが、私は本作での本田翼さんは好きなんですよね。

演じられている「水森ひかり」という人物の展開次第で、

本田翼さんもここまで良さが引き出されるのかと思いました。

例えば…前回では、多くを語らないキャラとして徹底して描く事で、

「掴み所のない女性」という第一印象を与えていましたが。

今回では、もしかしたら、星太郎(高橋一生)との2人での会話が増えたから

必然的に…な部分もあるんでしょうが、

ひかり自身の喜怒哀楽の"感情"や"本音"を含んだ台詞運びになっていたために、

前回とはガラッと印象を変え、彼女がミステリアスな存在である事を

より際立たせていた気がしました。

で…最後に、母親疑惑もほんのり匂わせて、次回へと繋げる。

どんな人で、どんな結末へと向かっていくのか…先が見たくなるような仕掛けも

さり気なく作り込んでいるのも上手いです。

 

航(橋爪功)の出番に関しても…

前回は星太郎と航との会話劇がメインだったので、

多少の差は感じるのも無理はありません。

ですが、前回で感じた、シュールかつ少し温かみのある作風は

引き続き踏襲されていたのかな?と思います。

航を"ちょっかい役"的な立場に回したのが効いていて、

それがまた、出るタイミングが絶妙で(笑)

謎めいたひかりの掘り下げで異質な雰囲気を覚えてしまいそうなものを、

彼の存在感が内容に緩急を生んで、和らげていっていたのも良かったです。

 

「結局、記憶に残るのは、誰とどんな気持ちで見たとか、そういう事なんじゃないんですか?」

ひかりのこの言葉には、とても真理を突かれた感覚がありましたね…。

もちろん、"モノ"自体がよほど強烈だったのであれば、

全然覚えてないって事もないと思うんですが、

何かを思い出せば、その時、こんな大変な事があったっけかなぁ…とか、

あんな感情で見ていたかなぁ…とか、

そういった"出来事"の方が自然と浮かんで、それきっかけで話も広がるもんなんですよね。

 

ひかりが「記憶に残った出来事」として、

花火を見ながら鼻で笑うまでに至る過程を話していたのを受けて、

星太郎が初心に戻ってみよう…と決心する流れもスムーズでした。

前回の時点では、航の「すまん…」の理由を見つけるまでの、

感動を誘う物語になるのかと思って見ていた節もありましたが。

花火を通しての2人の心境・変化を描いてきた辺り、

ひょっとしたら、人間再生物語になっていくのかもしれませんね。

 

「僕らは奇跡でできている」や「モコミ」を描いてきた

橋部敦子さんならではの作品だなぁ…と、しみじみ思います。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱 1話 感想|2人の会話をずっと聞いていたい…

 

 

今期のドラマは、突然の死をきっかけに

人生を一からやり直す主人公の姿を描く「ブラッシュアップライフ」や、

事件を絡めながら、幽霊となった恋人の真相を追う「100万回 言えばよかった」、

そして、故人の"生きた証"に向き合う人物と

新しい命に向き合う人物の出会いを描く「星降る夜に」と、

「生と死」が題材となっている作品が多いですね。

本作も、もれなくその1つです。

 

毎期必ずと言っても良いほど生み出され続けている「刑事モノ」「医療モノ」ならともかく、

1クールでこれだけジャンルが被るのは珍しいです。

まぁ、そこはたまたまだったんでしょうが…

こうして「生と死」が絡んだ作品が近年で何作も出てくるという事は、

大震災から10年以上経って、その時にはもうコロナが猛威を奮っていて、

それだけ、いつまでも生きているとは限らない命の尊さや、死そのものに対して

身近に感じるようになったのが大きいのかもしれません。

 

時間を戻したくてももう戻せない。会いたくてももう会えない。

どの作品でも、アプローチは違えど、

今でも心の中で"傷"を抱えて生きている人に寄り添いたいという

作り手の想いが覗き見えます。

本作に関しても、現時点ではどんな物語になっていくかはまだ読めませんが、

航(橋爪功)が生前言い残した「すまん…」の真相次第では

心に訴えかけるものになる可能性を秘めています。

上記の作品群と密かに照らし合わせながら(あ…一部は脱落しそうですが(汗))、

その中で唯一30分枠である本作は、結末をどう描いて行くのか?

見守っていきたい気持ちにさせられました。

 

構成自体も、サクッと気軽に見やすい土曜深夜の時間帯にぴったりでした。

視聴者を引き込ませる"転調"の使い方が秀逸でしたね。

序盤は、まるで本当の親子かのような

高橋一生さんと橋爪功さんのナチュラルな演技はもちろん、

台詞の節々から両者の人柄や相手への想いが滲み出る会話劇で惹きつけつつ、

航の死をきっかけに、しばらく立ち直れそうにない星太郎(高橋一生)の"孤独"を

じっくり、シリアスに描いていくのかと思いきや…。

放送開始から中間辺りの段階で、航が幽霊となってひょろっと現れる

シュールなコメディへと切り替えて、飽きさせない作りになっていました。

30分ドラマならではの強みを活かした脚本になっていた気がします。

 

本田翼さんも、多くを語らない、どこか掴めないような

ミステリアスな役だとしっくり来ますね。

個人的には、台詞よりも雰囲気で魅せた方が光るタイプの女優さんだと思います。

もしかしたら、深夜帯だったので知名度は低いでしょうが、

2017年に放送された「わにとかげぎす」以来のハマり役になりそう…?

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ