もう予告の作りの時点で滲み出ていましたが…
さらにキャッチーな音楽や「シャララン♪」などのSEを頻繁に挿入しているとなると、
まず思い出すのが「義母と娘のブルース」ですよねぇ。たまに「JIN -仁-」とも重なります。
期待以上とまでは行かなかった原因はそこにあり、
いろんな作品との既視感を覚えて、本作の物語に集中出来なかったから…なのでしょう。
「義母むす」はそもそも、主人公が変わり者である事が分かりやすいキャラクターだったから
法螺貝のSEがハマっていた訳ですが、
本作の内容は、2人が入れ替わるまではごく普通の刑事ドラマの流れと同じ。
青と赤を鮮やかに映し、幻想的な映像美を取り入れて
事件そのものを猟奇的に見せている割には、
コミカルな劇伴やSEを挿入して雰囲気を崩そうとしたり、
目のカットでなぜかSFちっくな演出にしてみたり…と、
世界観の生み出し方に統一感がないのが気になりました。
そして、本作の見所は「入れ替わり」と「役者の演技」なのですから、
"入れ替わるまで"の過程を順序を追って描くのは引っ張り過ぎ。
高橋一生さんのサイコパスを匂わせる演技のお陰で何とか興味深く見られましたが、
本題に入るまでが長くて、若干退屈しましたかねぇ…。
冒頭で"入れ替わってしまった2人"…例えば、漫画的なあらすじの後に、
月が反転して2人が階段から転げ落ちている〜「入れ替わっている!?」と驚くまでの流れを
導入して、そこから"なぜ2人はこうなってしまったのか"を解き明かしていく構成にしてみたら
"掴み"としては良かった気がします。
そんな感じで、入れ替わるまでの展開にそこまで引きつけられはしなかったものの、
元々期待していたその後の2人の演技には
「次回も見てみたい!」という気持ちにはさせられたので、
「義母むす」のように、回を重ねるごとに化けるパターンかなぁ…と踏んでおります。
彩子(綾瀬はるか)になった日高の悪魔の微笑みに惚れかけた八巻(溝端淳平)が
禁断の恋に落ちるとか、実は陸(柄本佑)がサイコパスになるのかもしれないとか。
入れ替わってからの"先"の話が読めない分、いろいろ広げてくれそう。
そして、彩子と日高(高橋一生)の状況を見る限り、
ストレートに「天国=恵まれている」「地獄=入れ替わってしまった2人」という訳でもなさそうで、
森下脚本ですから、そのうち「天国と地獄」と名付けた"理由"が痛いほど分かる
展開がやってくるのかもしれませんね。
事前情報通りだった初回。次回以降に期待してみたいです。