2024年09月一覧

Shrink-精神科医ヨワイ- 3話(最終回) 感想|知ってるのと知らないのでは見え方が違う

 

 

1話のパニック症も、2話の双極症も事前に名前は知っていたけれども、

今回のパーソナリティ症は初耳。

これは…知っているのと知らないのとでは、彼女への印象も相当違うでしょう。

怒らせると厄介で、面倒臭い子で済まされてそうですが、きちんとした病名があったんですね。

知識の浅い私には、すごく勉強になった回でした。

 

彼氏の優(細田佳央太)のリスカも、両親の共依存にも驚きましたが、

それだけ、誰もがパーソナリティ症にも、共依存の関係にもなりやすいって事なんですよね。

まぁ、そんな事を言ってしまったら、他の病気だってなる可能性は秘めているんですけど。

でも…この病に関しては「こういう性格だから」で自他共に納得しちゃって、

精神疾患だとは自覚しづらい。

1話で「日本は隠れ精神疾患大国」という言葉もありましたが、

パーソナリティ症を抱えた患者も、中々多いのではないかと思います。

 

私も…風花(白石聖)の言動を見ながら、自分の学生時代を思い出しておりました。

リスカまでは行かなかったけれども、私も昔は、友達にべったりくっつくタイプだったなぁって。

部活で仲良くなった子が自分を嫌いだと分かった(そう言わせるほど怒らせちゃった)時には

ショックを受けて、それ以降、人とどう関わっていけば良いのか分からず部活内で孤立して、

結果、退部…なんて過去もありましたし、

大学に入ってからは、自分が一番仲良いと思っている高校の友達が

大学で新しく出来た友達と遊ぶ頻度が増えた事に対してやきもちを妬いて、

1人、部屋で怒ったり、泣いて落ち込んだりもしてました。

だから、自分に優しく接してくれる相手が救世主のように思えて、手放したくないっていう

風花の気持ちも、手にとるように共感出来たかな。

今思えば、当時の私も…だったのかも?なんて考えちゃいます。

 

パーソナリティ症と診断され、「変わりたい」と思って以降、

何に怒りを感じるのか、その時々どんな気持ちになっているのかを冷静に分析して、

改善策を見つければすぐに実行出来る風花の吸収力の速さは凄まじい。

病気としっかり向き合わなければ、自分を責めるばかりで良さに気づけなかったでしょうし、

弱井(中村倫也)を筆頭に、様々な人との関わりも大きく作用していると思います。

あの施設も、通い続けていたら自己肯定感が間違いなく上がる。

やっぱり…人と話してみて、何かを共有するって大事なんだと、

本作にはつくづく学ばされます。

 

ただ…1つ、心残りもありまして。

母・昌子(中島ひろ子)の今後は大丈夫なのかと心配にもなりました。

風花が実家に帰ってきた時、風花の後ろにあった鳥が2羽向かい合って並んでいる絵が描かれた

大皿が妙に印象に残ったんですね。

両親は今でもあの関係で、今後も互いの方向が変わる事はないんだろうなと…。

きっと、ドラマでたまに見かける「昭和の頑固親父」も

キャラクターにして消化されがちだけど、

現実世界では、パーソナリティ症が絡んでいた人もいるのかもしれない。

歳を重ねれば重ねるほどプライドが増して、病院に行くなんて発想にもならなそう。

風花が1人前になってから、娘の紹介でひだまりクリニックへ

診察を受けにいく未来がいつかあったら良いけど…どうでしょう…?

風花の前向きさには嬉しい反面、複雑な気持ちにもなりました。

 

実際はこんなに上手く行かない事ばかりでしょうし、ファンタジーとか絵空事とか、

そういった意見も多かったと思います(それも、決して否定はしません)。

でも、「もしかして自分も…?」と今不安を抱えている人や家族にとっては、

治らない訳じゃないんだと安心して、少しでも希望に繋がるでしょうし、

全視聴者にとっては学びにもなる。

そういう意味ではやっぱり、前回の感想と同じような事を言いますが、

放送する意義はあったな…と。

演出家は「きのう何食べた?」「大豆田とわ子と三人の元夫」の中江和仁さんでしたが、

全体的に漂う淡く穏やかな雰囲気も好みでした。

配役も毎回手堅く、「この役はこの役者だからこそ」といった感じで、

そんな方が集っているからこそ…患者とその家族、支えとなる相手を演じるのも

相当エネルギーがいるんだとも思わされました。

 

弱井の身の上話や彼女との事は、結局謎のまま終了。

ドラマを数年見てきた経験上、大きな病院で働いていたけど、

病院の方針と自分の考えに齟齬を感じて独立したのかな…とか、

彼女が当時抱えていた心の病に気づけなかった後悔があったのかな…とか、

やんわり想像はつきますが、弱井の過去はやっぱり本人や関係者の口から知りたいですね。

 

先ほど書いた役者さんの件もあって、またすぐに、今度は1クールで…は難しいでしょうけれど。

またこのような形で、インターバル期に3話程度を不定期で放送…でも良いので、

続きの話が見たいです。

 

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新宿野戦病院 11話(最終回) 感想|ペヤングの美味さは世界共通?

 

 

ワクチンの陰謀論、緊急宣言事態解除後のお祭り騒ぎ、ホテルでの療養生活に医療逼迫…

未来の話だけれど到底そうは思えないエピソードが続く中で、

感染者と同じくらい医者の助けを必要としている人がいるにもかかわらず

先送りにされてしまう話も描く。

これも、宮藤官九郎さんがコロナ禍で常々感じていた事だったのかもしれませんね。

"過去のもの"になり、時を経て忘れ去られてしまう事に対する怖さと、

もしまたパンデミックが起きた時には、どうか少しでも変わっていて欲しいという僅かな願い。

前回と最終回は、そんな複雑な感情が入り混じった内容に仕上がっていました。

 

後半のヨウコ(小池栄子)が陽性になってからの展開はやや駆け足な気がしてしまって、

「無免許で数々の患者を治療」という、いつか向き合わなければならない問題を

抱えていたからこそ、もっと尺が欲しかったかな?とは思ったんですけど、

ヨウコが逮捕される際に、いつもの「ここは新宿歌舞伎町〜」から始まる

享(仲野太賀)のナレーションを重ねながら、様々な国籍の外国人やトー横キッズが駆け寄ってくるシーンには

考えさせられるものがありました。

日本の医師免許を取らずに医療行為したのは法律上ダメな事で、雑な治療だけれども、

享の言う通り、なぜアメリカの医師免許では認められないのか?という謎は残るし、

彼女がいなかったら救えなかった命はたくさんあった。

だから、今までの行為が「正しい」のか「悪い」のか、はっきりと境界線は分けられない。

涙を誘おうと意図して下手に走馬灯のように回想を流すよりも、

彼女と彼らだけにしか見えない強固な関係性を感じて、グッときてしまいました。

最後の手錠で拘束された腕を上げる所も、ザ・ヒロインって感じで頼もしくてね…

全力でやり切った!だから、後はよろしくな!なんて、

まごころのみんなにバトンを託してくれているように思えて、清々しさが残るシーンでした。

 

南(橋本愛)がバラしていた件については、彼女の出番がずーっとなかったので

そうかなぁとは思っていましたが、動機はとても今時で、繊細なものでした。

「怖いのはウイルスよりも人間の心」本当にそうだと思います。

コロナ禍もSNSによる誹謗中傷が多かったと記憶しております。

パンデミックが起こって、制限が課せられて家に留まる日々が続けばストレスは当然溜まる。

でも、発散出来る場所が他にないから、

ほとんどの人は手軽に使えるSNSで考えを吐き出しがちになる訳で…

そうなるといろんな人の考えに触れる訳で、嫉妬したり、比較して落ち込んだりで

ネガティブな感情が膨らみやすいんですよねぇ。

そんな彼女も最終的には、聖まごころ病院内のカウンセラーとして、新たな居場所を見つける。

「まごころ」という名前がつくのにも説得力が増して、ちょうど良い所に落ち着きましたね。

 

今期の医療ドラマの中では、何だかんだで(!?)

本作が最も医療ドラマらしい仕上がりだったと思ってます。

日曜の方は続編だし、枠のカラー的にエンターテインメントに走る事は分かっていましたが、

月曜の方は王道路線かと思いきや、個人的な事情と理不尽てんこ盛りでしたからね(苦笑)

現代社会ならではの出来事を通して、強さ、弱さ、がむしゃらさ、ポンコツさ…

いろんな感情を見せながら、目の前の患者に等身大で向き合っていくヨウコたちの姿は

良い意味で生々しく、人間臭さが詰まっていてとても魅力的なキャラクターに映りました。

白木(高畑淳子)の名前いじりも毎回の楽しみにw

当初こそ、クドカン脚本と、ほぼ関わりのなかったフジテレビの演出家の組み合わせで

相性は大丈夫なんだろうか?という心配を勝手にしておりましたが、

最終的には、どちらかがどちらかの作風に合わせるんじゃなく、

お互いが良い塩梅を見つけて歩み寄っていく…そんな作品になったのではないかと思います。

 

感想を数話書いてそのままフェードアウトかな…と思うくらい、途中までは本作にノれなかったんですが、

5話からエンジンがかかったように感じて、そこから面白くなる可能性を信じて、最後まで書き続けて良かったです。

(そして、最終回の感想をやっと完成させられました。毎度毎度遅くて、申し訳ありません。)

やっぱりクドカン作品は、私にとってはじわじわハマっていくタイプなんだな…(笑)

 

 

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Shrink-精神科医ヨワイ- 2話 感想|想ってくれる人が近くにいるという幸せ

 

 

※2話(9/7放送分)の感想です。

最新話までに間に合わなかった…大変お待たせいたしました(汗)

 

双極症は、名前は何となく聞いた事あるな〜くらいの認識で、

どんな症状なのかまでは分からず。

そんな私が最後まで視聴してみて思ったのは、

とても不安定な病気なのだな…という事でした。

 

自分がどこかおかしくなっているとは頭の奥底で分かってはいるけれども、

どうしても感情が優先されてしまう。

双極症の事を説明され、本にペンで線を引くなどして受け入れているつもりでも、

自分と周りにいる患者は違う世界にいる人間だと信じて止まない気持ちも同居している。

時間が経ってようやく状態が落ち着き、退院して社会復帰に向けて

次のステージへと進めたと思ったら、施設で出会った人がラーメンを褒めてくれたのを機に

また張り切り出し、コントロールが出来なくなってしまう。

 

早くラーメンを作りたい。こんな所で立ち止まっている訳にはいかない。

という想いが常にある玄(松浦慎一郎)。

その根底にあるのは、恐らく、小さい頃から2人暮らしだった妹・楓(土村芳)を

父親代わり、母親代わりで支えてきた背景があるからで、

俺がしっかりしなきゃという責任感と、周りを気遣える面倒見の良さが

家でも外でも長年染み付いちゃっているんですよね…。

だから、俺は大丈夫だからみんな邪魔しないでくれよ!と怒る気持ちも理解出来ましたし、

同時に、焦れば焦るほど心が壊れてしまいそうで、見ながら胸が苦しくなりました。

世間的には、その病気にかかったら大変・治すのは困難だと知られている糖尿病と同じで

共存し続ける病と言われたらね…

もしこの症状が再び悪化したら、今回みたいにまた仕事に支障をきたしてしまうのか…

また迷惑かける事になるのか…って思い詰めたくなりますよね。

 

まだ1歩目にも満たない、始まりの始まりの段階でラストを迎えましたが、

この人たちがいればきっと大丈夫だな…と

未来を想像出来る終わり方になっていてホッとしました。

仙川(小林薫)との繋がりがなかったら、解雇通告を受けた時に感情が一気に込み上げて

自殺行為に走っていた可能性だってあったかもしれない。

躁状態鬱状態の混合状態に入ったら…と弱井(中村倫也)が話していたのを思い出して、

あのシーンは本当にソワソワしていたんですよ。

そして、楓はパンダみたいな、優しさで出来ている旦那と結婚。

お兄ちゃんの事が本当に好きで、尊敬していたのだというのが分かって

ジーンともさせられるのでした。

 

今回は前回とは違い、1人の患者に関わる人数が多く、

新しい登場人物が次々と出てきたために、シリアスな雰囲気がより増しています。

それだけ、この病気の難しさを痛感させられる内容に仕上がっていました。

また、双極症がどのような症状なのか、どう向き合って行けば良いのかを

丁寧に描いていく作風には大変好感が持て、

原作を読まれた制作陣が、この病気について視聴者にも知って欲しいという熱意と意思が

ビシバシ伝わってもきました。

一方で、前回と今回で共通していたのは、「誰かに頼ってみるのも大切」だという教え。

症状は違えど、1人で抱え込んだら体に毒なんですね…。

自己主張があまり得意ではない、周りについ配慮しがちな人が

決して少なくない現代社会だからこそ、放送される価値のある作品だとも思います。

 

適役な役者さんも多かったですね。

調べたら、過去に視聴していた作品にも

何作か出演されていたようですが…(基本、中々顔が覚えられない人間なもので…(汗))、

本作でしっかり認知した松浦慎一郎さんは、

最初は近寄りがたいように見えて、実は妹に一途で情に厚い、

ラーメン屋ではバリバリ働いているという漢気溢れる玄にぴったりでしたし。

小林薫さんは…やっぱり、師匠役でキャスティングされるのに

とても説得力のある役者さんですよね。

道場に玄が訪ねても、その場から離れず座って待っているワンカットなんかはとても絵になって、

座っているだけなのに味わい深さがある…大御所俳優は凄いなぁと改めて思わされるのでした。

 

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新宿野戦病院 10話 感想|もう経験したくないはずなのに、歴史は繰り返されていく。

 

 

「歌舞伎町ウイルス」かぁ…中々ニクいネーミングですね。

キャバクラや風俗店が立ち並んで、トー横にホームレスにパパ活に外国人に…と

雑多な人間が集って、実際に犯罪も多いからこそ

物騒で近づきたくないという偏見の目で見られがちな街ですもんね。

最初の感染者がたまたまそこでホストをやっていたのを良い事に、

誰かが上記の通称をつけ始め、拡散されていく。

感染源はアメリカですし、ヨウコ(小池栄子)の言う通り、

その患者はアメリカから帰ってきた後はそのまま隔離病棟にいるのに。

「自分は関係ないから」「自分は"そっち側"の人間じゃないから」と蔑視しているから

そんな名前がつけられるし、広まっていくんですよね。

皮肉にも、歌舞伎町が舞台である事が活きたネーミングと展開だな…と思ってしまいました。

 

内容自体は、フィクションとノンフィクションの境界線があやふやな作りで、

まるで追体験をしている気分にもなりました。

あまりにもリアルなもんですから、思い出して苦しいだけなのになんでこの話を…と

嘆く視聴者がいても決しておかしくはないし、否定するつもりもないんですけど、

宮藤官九郎さんが描きたいのはきっと、

「コロナ禍で『もう二度とあんな経験したくない』と学んだはずなのに、

歴史は繰り返されていく」なんだろうと考えています。

聖まごころ病院の面々を見てみても、マスクを直用したがらない人もいれば、

食事中というマスクを外さざるを得ない状況にもかかわらず

パーテーションを頼りに大声で喋る人もいるし、

聞き取りづらいのか、そのパーテーションをずらす人もいる。

「コロナで"良かった"」と言われるほど強力な感染力を持つウイルスが流行っているのに…です。

時間が経てば、人々の多くは経験を学びに変えず、"昔の事"として忘れ去ってしまう。

慣れって恐ろしいなと、ヒヤヒヤしながら見ておりました。

私も今年の2月にコロナにかかったので…改めて引き締まる想いでした。

 

「人間の言う事は聞かないのに、ウイルスの言う事は聞くのかよ!」と怒りを露わにする

南(橋本愛)の発言もグサッと刺さりましたね。

あれだけ尽くして働いていた日々が無駄だったと言われているかのようで、

一気に虚しさを覚えてしまう。彼女の気持ちには共感出来ます。

Not Aloneだけでなく、警察官、ボランティア、介護士などなど…

歌舞伎町で働く人は同じ感情を抱えているのかもしれません。

けれども、病気になったら、命の危機に晒されていると感じたら

人間は皆平等になるのもまた事実であって。

南にとってはやるせないけれども…果たして、歌舞伎町を離れてしまうんでしょうか。

 

内容が内容だけに、さすがにいつもよりもシリアスな雰囲気にはなっていましたが、

「ありがとう、変態。良い患者です!」とか「そんなのビズリーチじゃん!」とか、

クスッと笑える台詞も健在な所は、やっぱりクドカン作品らしいです。

特にビズリーチに関しては、芸人さんのツッコミくらい切れ味が鋭かったですね(笑)

"抜け"の部分が散りばめられているので、話も重苦しくなり過ぎずに見られます。

 

宮藤官九郎さんも、コロナ禍初期に感染されていたご経験者です。

そんな方だからこそ、視聴者に言いたい・伝えたい言葉はたくさんあると思います。

最終回でどのような答えが出されるのか…見守っていきたいです。

 

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Shrink-精神科医ヨワイ- 1話 感想|心を和らげてくれる病院との出会い

 

 

中村倫也さん主演で、ハートフルな医療ドラマっぽい…?

そんなぼんやりとした認識で、事前情報はほとんど入れていなかったんですが、

今日はいつもの土曜ドラマ2本がお休みだったのでこちらを視聴してみる事にしました。

※8/31当時、記事は書きかけでした。

 

手堅い仕上がりになるだろうとは思っていましたが…

う〜んやっぱり、中村倫也さんの持つ優しく穏やかな声が、

弱井先生という人物と、本作の雰囲気と上手く調和しています。

世間からは「カメレオン俳優」と称されている俳優さんではありますが、

個人的には、優しい役を演じられている方が断然好きで。

「凪のお暇」のゴンさんとか、「珈琲いかがでしょう」の青山とか…

ごく普通の街並みの中にポツンとある、ちょっとだけ非日常的な、

癒しを与えてくれる空間に佇む役が中村さんの代名詞だと思っているくらいなので。

弱井の、フランスパンがそのまま入った袋を持ち歩いているという

海外じゃなきゃあんまり見かけないような姿も何だかしっくりきてしまいました。

 

初回のゲストは、これまた「珈琲〜」で共演されていた夏帆さん。

夏帆さんは私の中では、ドラマを見ているとどこにでもいる…

という認識でいる女優さんです。

つまり、ドラマに映画に引っ張りだこと言い換えられるのですが、

出演経験が多いのも頷ける演技でした。

息遣いの荒さがリアルなものですから、見ている側も心が苦しくなりましたし、

特に観覧車のシーンなんかは、思わず口をイーってさせながら見てしまってました…。

 

雪村(夏帆)の背景描写も説明臭くなく、

視聴者が自身の経験と重ねながら自然と共感出来るように描かれており。

ある程度大きな会社に勤めているから、育児で残業出来ないからこその

仕事で周りに迷惑をかけたくないプレッシャー…

噂好きのママ友、息子が楽しそうに話す友達家族のエピソード、元夫と義母など、

比較されて(して)しまいがちな環境にいる事で生まれる不安や焦りが

手にとるように伝わってきて、それが最終的に見応えに繋がったのではないかという気がします。

 

途中まであまりにも苦しい展開だったから…

義母・文世(余貴美子)には実は精神科に通いたいくらい辛い時期があったと

判明したラストには、私もホッとさせられましたね。

息子のダメさを自認している人だったのも意外でね(笑)

そんな正直な人から、雪村自ら勇気を出して助けを求める前に

「いつでも遠慮せず言ってちょうだい」と声をかけてくれたら

彼女の心は大分軽くなるだろう…と喜ばしく感じたのでした。

 

1人の患者のリハビリに医者と看護師が付き添ってあげられる病院は

現実世界には中々ないでしょうし。

心療内科も混み合っていると聞いています。

劇中の有名クリニックほど事務的な対応と行かないまでも、

患者が多ければ多いほど1人にかける時間も少なくなって、管理も増えて、

だんだん余裕がなくなる所はあちこちにあるんだろうなと思います。

でも、「新宿ひだまりクリニック」の描かれ方・設定はあくまでも、

精神科はあなたが不安に思っているほどハードルの高い所ではない…

というメッセージ性が込められたものであり、

アメリカの話があったように、気負い過ぎずに立ち寄れる場所になって欲しい。

そんな願いから、あの街中にある一軒家みたいな、素朴な作りになったのかもしれません。

 

そして、最後にもう1つ特筆しておきたいのがサブタイトル。

今回は「パニック症」、次回は「双極症」です。

このサブタイトルの付け方がまた、私にとってはおおっと目を引くポイントでもありました。

最近では呼称を変えている病院もあるようですが、

一般的に呼ばれているのは「パニック障害」「双極性障害」なんですよね(個人的印象)。

しかし本作は「症」という表記に改めているのです。

実際に「双極症」と検索してみても、サジェストや検索結果の1ページ目には

「〜障害」が先に出てきますから、恐らく制作側が意図的に変えているのでしょう。

確かに、「障害」「障がい」と言ってしまうと、もう治るのはほぼ不可能で、

今後一生付き合って行かなければならないと捉えられそうな

重〜いネガティブなイメージが付き纏いやすいけれども、

「症」は「症状」だから、"治る"の基準は個人差があるにしても、

いつか治る日がくるかもしれないという希望は少しでも持ちやすい。

弱井が「パニック症の発作で死ぬ事はありません。

それを知る事で症状は和らいで行くはずです。」と言っているシーンがありましたが、

本作の方向性に合った、配慮の行き届いた表記だと思いました。

 

パニック症は真面目で自己肯定感が低い人がなりやすいものだと

思い込んでいた私からしたら、脳の誤作動が原因だというのは初耳でしたね。

最近では民放でも増えてきましたが、普段はあまり取り上げられない、目立たない部分を

じっくり掘り下げてくれる作品との出会いは、本当に貴重でありがたいです。

現在、火10の感想が追いついていない影響で

実質週1ペースでの投稿になってしまっているので、

本作の感想は残り2話も書く予定でいますが(あくまでも現時点での予定)。

次回は録画視聴をするので、宣言通り上げるとしても遅くはなります…(汗)

 

 

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