2024年09月一覧

Shrink-精神科医ヨワイ- 2話 感想|想ってくれる人が近くにいるという幸せ

 

 

※2話(9/7放送分)の感想です。

最新話までに間に合わなかった…大変お待たせいたしました(汗)

 

双極症は、名前は何となく聞いた事あるな〜くらいの認識で、

どんな症状なのかまでは分からず。

そんな私が最後まで視聴してみて思ったのは、

とても不安定な病気なのだな…という事でした。

 

自分がどこかおかしくなっているとは頭の奥底で分かってはいるけれども、

どうしても感情が優先されてしまう。

双極症の事を説明され、本にペンで線を引くなどして受け入れているつもりでも、

自分と周りにいる患者は違う世界にいる人間だと信じて止まない気持ちも同居している。

時間が経ってようやく状態が落ち着き、退院して社会復帰に向けて

次のステージへと進めたと思ったら、施設で出会った人がラーメンを褒めてくれたのを機に

また張り切り出し、コントロールが出来なくなってしまう。

 

早くラーメンを作りたい。こんな所で立ち止まっている訳にはいかない。

という想いが常にある玄(松浦慎一郎)。

その根底にあるのは、恐らく、小さい頃から2人暮らしだった妹・楓(土村芳)を

父親代わり、母親代わりで支えてきた背景があるからで、

俺がしっかりしなきゃという責任感と、周りを気遣える面倒見の良さが

家でも外でも長年染み付いちゃっているんですよね…。

だから、俺は大丈夫だからみんな邪魔しないでくれよ!と怒る気持ちも理解出来ましたし、

同時に、焦れば焦るほど心が壊れてしまいそうで、見ながら胸が苦しくなりました。

世間的には、その病気にかかったら大変・治すのは困難だと知られている糖尿病と同じで

共存し続ける病と言われたらね…

もしこの症状が再び悪化したら、今回みたいにまた仕事に支障をきたしてしまうのか…

また迷惑かける事になるのか…って思い詰めたくなりますよね。

 

まだ1歩目にも満たない、始まりの始まりの段階でラストを迎えましたが、

この人たちがいればきっと大丈夫だな…と

未来を想像出来る終わり方になっていてホッとしました。

仙川(小林薫)との繋がりがなかったら、解雇通告を受けた時に感情が一気に込み上げて

自殺行為に走っていた可能性だってあったかもしれない。

躁状態鬱状態の混合状態に入ったら…と弱井(中村倫也)が話していたのを思い出して、

あのシーンは本当にソワソワしていたんですよ。

そして、楓はパンダみたいな、優しさで出来ている旦那と結婚。

お兄ちゃんの事が本当に好きで、尊敬していたのだというのが分かって

ジーンともさせられるのでした。

 

今回は前回とは違い、1人の患者に関わる人数が多く、

新しい登場人物が次々と出てきたために、シリアスな雰囲気がより増しています。

それだけ、この病気の難しさを痛感させられる内容に仕上がっていました。

また、双極症がどのような症状なのか、どう向き合って行けば良いのかを

丁寧に描いていく作風には大変好感が持て、

原作を読まれた制作陣が、この病気について視聴者にも知って欲しいという熱意と意思が

ビシバシ伝わってもきました。

一方で、前回と今回で共通していたのは、「誰かに頼ってみるのも大切」だという教え。

症状は違えど、1人で抱え込んだら体に毒なんですね…。

自己主張があまり得意ではない、周りについ配慮しがちな人が

決して少なくない現代社会だからこそ、放送される価値のある作品だとも思います。

 

適役な役者さんも多かったですね。

調べたら、過去に視聴していた作品にも

何作か出演されていたようですが…(基本、中々顔が覚えられない人間なもので…(汗))、

本作でしっかり認知した松浦慎一郎さんは、

最初は近寄りがたいように見えて、実は妹に一途で情に厚い、

ラーメン屋ではバリバリ働いているという漢気溢れる玄にぴったりでしたし。

小林薫さんは…やっぱり、師匠役でキャスティングされるのに

とても説得力のある役者さんですよね。

道場に玄が訪ねても、その場から離れず座って待っているワンカットなんかはとても絵になって、

座っているだけなのに味わい深さがある…大御所俳優は凄いなぁと改めて思わされるのでした。

 

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新宿野戦病院 10話 感想|もう経験したくないはずなのに、歴史は繰り返されていく。

 

 

「歌舞伎町ウイルス」かぁ…中々ニクいネーミングですね。

キャバクラや風俗店が立ち並んで、トー横にホームレスにパパ活に外国人に…と

雑多な人間が集って、実際に犯罪も多いからこそ

物騒で近づきたくないという偏見の目で見られがちな街ですもんね。

最初の感染者がたまたまそこでホストをやっていたのを良い事に、

誰かが上記の通称をつけ始め、拡散されていく。

感染源はアメリカですし、ヨウコ(小池栄子)の言う通り、

その患者はアメリカから帰ってきた後はそのまま隔離病棟にいるのに。

「自分は関係ないから」「自分は"そっち側"の人間じゃないから」と蔑視しているから

そんな名前がつけられるし、広まっていくんですよね。

皮肉にも、歌舞伎町が舞台である事が活きたネーミングと展開だな…と思ってしまいました。

 

内容自体は、フィクションとノンフィクションの境界線があやふやな作りで、

まるで追体験をしている気分にもなりました。

あまりにもリアルなもんですから、思い出して苦しいだけなのになんでこの話を…と

嘆く視聴者がいても決しておかしくはないし、否定するつもりもないんですけど、

宮藤官九郎さんが描きたいのはきっと、

「コロナ禍で『もう二度とあんな経験したくない』と学んだはずなのに、

歴史は繰り返されていく」なんだろうと考えています。

聖まごころ病院の面々を見てみても、マスクを直用したがらない人もいれば、

食事中というマスクを外さざるを得ない状況にもかかわらず

パーテーションを頼りに大声で喋る人もいるし、

聞き取りづらいのか、そのパーテーションをずらす人もいる。

「コロナで"良かった"」と言われるほど強力な感染力を持つウイルスが流行っているのに…です。

時間が経てば、人々の多くは経験を学びに変えず、"昔の事"として忘れ去ってしまう。

慣れって恐ろしいなと、ヒヤヒヤしながら見ておりました。

私も今年の2月にコロナにかかったので…改めて引き締まる想いでした。

 

「人間の言う事は聞かないのに、ウイルスの言う事は聞くのかよ!」と怒りを露わにする

南(橋本愛)の発言もグサッと刺さりましたね。

あれだけ尽くして働いていた日々が無駄だったと言われているかのようで、

一気に虚しさを覚えてしまう。彼女の気持ちには共感出来ます。

Not Aloneだけでなく、警察官、ボランティア、介護士などなど…

歌舞伎町で働く人は同じ感情を抱えているのかもしれません。

けれども、病気になったら、命の危機に晒されていると感じたら

人間は皆平等になるのもまた事実であって。

南にとってはやるせないけれども…果たして、歌舞伎町を離れてしまうんでしょうか。

 

内容が内容だけに、さすがにいつもよりもシリアスな雰囲気にはなっていましたが、

「ありがとう、変態。良い患者です!」とか「そんなのビズリーチじゃん!」とか、

クスッと笑える台詞も健在な所は、やっぱりクドカン作品らしいです。

特にビズリーチに関しては、芸人さんのツッコミくらい切れ味が鋭かったですね(笑)

"抜け"の部分が散りばめられているので、話も重苦しくなり過ぎずに見られます。

 

宮藤官九郎さんも、コロナ禍初期に感染されていたご経験者です。

そんな方だからこそ、視聴者に言いたい・伝えたい言葉はたくさんあると思います。

最終回でどのような答えが出されるのか…見守っていきたいです。

 

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Shrink-精神科医ヨワイ- 1話 感想|心を和らげてくれる病院との出会い

 

 

中村倫也さん主演で、ハートフルな医療ドラマっぽい…?

そんなぼんやりとした認識で、事前情報はほとんど入れていなかったんですが、

今日はいつもの土曜ドラマ2本がお休みだったのでこちらを視聴してみる事にしました。

※8/31当時、記事は書きかけでした。

 

手堅い仕上がりになるだろうとは思っていましたが…

う〜んやっぱり、中村倫也さんの持つ優しく穏やかな声が、

弱井先生という人物と、本作の雰囲気と上手く調和しています。

世間からは「カメレオン俳優」と称されている俳優さんではありますが、

個人的には、優しい役を演じられている方が断然好きで。

「凪のお暇」のゴンさんとか、「珈琲いかがでしょう」の青山とか…

ごく普通の街並みの中にポツンとある、ちょっとだけ非日常的な、

癒しを与えてくれる空間に佇む役が中村さんの代名詞だと思っているくらいなので。

弱井の、フランスパンがそのまま入った袋を持ち歩いているという

海外じゃなきゃあんまり見かけないような姿も何だかしっくりきてしまいました。

 

初回のゲストは、これまた「珈琲〜」で共演されていた夏帆さん。

夏帆さんは私の中では、ドラマを見ているとどこにでもいる…

という認識でいる女優さんです。

つまり、ドラマに映画に引っ張りだこと言い換えられるのですが、

出演経験が多いのも頷ける演技でした。

息遣いの荒さがリアルなものですから、見ている側も心が苦しくなりましたし、

特に観覧車のシーンなんかは、思わず口をイーってさせながら見てしまってました…。

 

雪村(夏帆)の背景描写も説明臭くなく、

視聴者が自身の経験と重ねながら自然と共感出来るように描かれており。

ある程度大きな会社に勤めているから、育児で残業出来ないからこその

仕事で周りに迷惑をかけたくないプレッシャー…

噂好きのママ友、息子が楽しそうに話す友達家族のエピソード、元夫と義母など、

比較されて(して)しまいがちな環境にいる事で生まれる不安や焦りが

手にとるように伝わってきて、それが最終的に見応えに繋がったのではないかという気がします。

 

途中まであまりにも苦しい展開だったから…

義母・文世(余貴美子)には実は精神科に通いたいくらい辛い時期があったと

判明したラストには、私もホッとさせられましたね。

息子のダメさを自認している人だったのも意外でね(笑)

そんな正直な人から、雪村自ら勇気を出して助けを求める前に

「いつでも遠慮せず言ってちょうだい」と声をかけてくれたら

彼女の心は大分軽くなるだろう…と喜ばしく感じたのでした。

 

1人の患者のリハビリに医者と看護師が付き添ってあげられる病院は

現実世界には中々ないでしょうし。

心療内科も混み合っていると聞いています。

劇中の有名クリニックほど事務的な対応と行かないまでも、

患者が多ければ多いほど1人にかける時間も少なくなって、管理も増えて、

だんだん余裕がなくなる所はあちこちにあるんだろうなと思います。

でも、「新宿ひだまりクリニック」の描かれ方・設定はあくまでも、

精神科はあなたが不安に思っているほどハードルの高い所ではない…

というメッセージ性が込められたものであり、

アメリカの話があったように、気負い過ぎずに立ち寄れる場所になって欲しい。

そんな願いから、あの街中にある一軒家みたいな、素朴な作りになったのかもしれません。

 

そして、最後にもう1つ特筆しておきたいのがサブタイトル。

今回は「パニック症」、次回は「双極症」です。

このサブタイトルの付け方がまた、私にとってはおおっと目を引くポイントでもありました。

最近では呼称を変えている病院もあるようですが、

一般的に呼ばれているのは「パニック障害」「双極性障害」なんですよね(個人的印象)。

しかし本作は「症」という表記に改めているのです。

実際に「双極症」と検索してみても、サジェストや検索結果の1ページ目には

「〜障害」が先に出てきますから、恐らく制作側が意図的に変えているのでしょう。

確かに、「障害」「障がい」と言ってしまうと、もう治るのはほぼ不可能で、

今後一生付き合って行かなければならないと捉えられそうな

重〜いネガティブなイメージが付き纏いやすいけれども、

「症」は「症状」だから、"治る"の基準は個人差があるにしても、

いつか治る日がくるかもしれないという希望は少しでも持ちやすい。

弱井が「パニック症の発作で死ぬ事はありません。

それを知る事で症状は和らいで行くはずです。」と言っているシーンがありましたが、

本作の方向性に合った、配慮の行き届いた表記だと思いました。

 

パニック症は真面目で自己肯定感が低い人がなりやすいものだと

思い込んでいた私からしたら、脳の誤作動が原因だというのは初耳でしたね。

最近では民放でも増えてきましたが、普段はあまり取り上げられない、目立たない部分を

じっくり掘り下げてくれる作品との出会いは、本当に貴重でありがたいです。

現在、火10の感想が追いついていない影響で

実質週1ペースでの投稿になってしまっているので、

本作の感想は残り2話も書く予定でいますが(あくまでも現時点での予定)。

次回は録画視聴をするので、宣言通り上げるとしても遅くはなります…(汗)

 

 

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