2025年09月一覧

19番目のカルテ 8話(最終回) 感想|まだ始まったばかり

 

 

ああ…赤池田中泯)が徳重(松本潤)と話したがらない理由は、

前回の冒頭の回想も関係していたんですね…。

 

文章の流れ的に感想ではカットしましたが、講義中に誰も話を聞いてくれなくて、

「お〜い…!聞いてるか」と助けを求めたくなるほど

寂しそうにしていた赤池の姿が、頭から離れずにいたんですよね。

前回見ていた時、なんでみんな彼の話に興味がないの?と不思議だったけれども、

私は総合診療科のお仕事をドラマを通して見てきたからそう感じるのであって、

当時医療業界志望の学生からしたら、

あまりにも現実味のない話だと軽く受け流されてしまっていたのかもしれない。

見向きもされない。自分の行為が未来に繋がっているのかどうか分からない。

赤池は、先の見えない不安や孤独と常に戦い続けて、

そんな中で難病にかかって、諦めの境地に至ったんだと思います…。

 

赤池を診察するシーンでの、松本潤さんと田中泯さんによる数分間の対峙は、

リアルタイムで物凄く贅沢で貴重なものを見ている気持ちにさせられました。

田中泯さんの演技はもう言わずもがなで、存在感で圧倒させて

独自の世界観へと引き込もうとされるんですけど、

それに対して松本潤さんはその世界観に呑み込まれる訳でも、負けじと攻め返す訳でもなく、

全てを受け止めようとされているんです。

今思えば、本作での松本さんは"受けの芝居"に徹していたような気がします。

バックで静かに流れている、カン…カン…と秒針が動くような劇伴が

また緊迫感のある空間を生み出していました。

あのシーンは、最終回の中で実に見応えがありました。

 

赤池じゃないけれども、

「先生、総合診療科は、ようやく始まったばかりじゃないですか。」という徳重の言葉には

私も一気に涙腺に来てしまって…

だって、今までの内容を見ていればその通りなんです。

魚虎病院は、少しずつ変わりつつある。最終回でもそれは証明されていました。

例えば、院長戦で対立し合っていた北野(生瀬勝久)と東郷(池田成志)は

相手の意見を尊重して仲直りの出来るしっかりした大人で、

魚虎を支えたいという共通意志のもと、次のアクションを起こす。

これから臓器を切られるのに、頼もしい医者たちに囲まれウキウキしていた徳重の表情。

仕事の会話や何気ない会話で賑やかになった休憩室。

最初は休憩中に仕事の話を持ち込む事を嫌がっていた大須岡崎体育)が、

まぁたまには良いかと思えるようになって。

康二郎(新田真剣佑)は賑やかな声に、居心地の良ささえ感じているようでした。

 

いろんな人の集う休憩室のシーンを見てふと思うのは…

この中に鹿山(清水尋也)がいないのが寂しいという事。

前回含めて患者を全員再登場させて、群像劇風に様々な医者の出番を作って…となると、

そこに鹿山も含めて"完全"な状態の最終回を作り上げたかったのに

事情があって"完全"ではなくなってしまった、

本当はその状態で視聴者にお届けしたかったのに

変更せざるを得なかった制作陣の悔しさは、どうしても想像してしまいました。

でも、出演カットによる編集の違和感は全くなかったです。

なかった…という事は、報道されてから短い期間で

視聴者に少しでも事情をお察しさせないよう、自然な繋ぎを徹底的に心がけた

制作陣のお陰とも言える訳で。

"最善"の形で最後まで作品を届けて下さり、ありがとうございました。

 

劇中の描写を借りるとするなら…撒いた種から、長い時間をかけて芽が出始める。

そんな「『物事の始まり』の過程」を見届けたドラマだったように思います。

また、総合診療科の大きな窓から漏れる眩しくも柔らかい光、

窓から吹くそよ風が本作の雰囲気にぴったりで。

患者が総合診療科に来た事による安堵感や、

医者同士の輪が徐々に広がる事で生まれる可能性、医者の根本にある優しさ…

全部まとめて、様々な想いを抱えてそこにいる人を

そっと照らしてくれている所も好きでした。

 

膨大な数のドラマの中から、感想を書きたいリストとして本作を選び、

感想を最後まで書く事が出来て本当に良かったです。

そして、日曜劇場で本作が見られたのは、嬉しかったですね。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

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19番目のカルテ 7話 感想|話数が少ないのだけが惜しい!

 

 

今期のTBSドラマは、9月13日から「世界陸上」が始まるためか、

どのプライム枠も最終回の日程が早いです。

火10と金10の初回放送日がそれぞれ7/1、7/4とやけに早かったのもそのためで、

火10は既に放送終了しています(金10は今週終了予定)。

本作の場合は7/13にスタートし、翌週に休みを挟んだので話数はどうなるかと思いましたが、

本作も例に漏れずで、全8話という短い話数で終わるんですね。

 

上記の事情があり、通常よりも話数を短縮したしわ寄せが来ているのか…

今回の内容は、エピソードを詰め込んだ感がありましたね。

夏休みで診療所にやってきた徳重(松本潤)と赤池田中泯)による、

ちょっとした違和感を漂わせながらのひと時の日常パートと、

初めてメインで手術を行う事になる若手外科医・戸田(羽谷勝太)率いる

魚虎病院の医者たちが患者に寄り添うお仕事パートを同時並行…。

超好意的に解釈すれば共通点はないとは言えないんですが、

やはり繋がりを感じにくい内容が交互に展開されていく構成になっていたので、

見ながらやや集中力は欠けてしまいました。

 

あともう1つ疑問だったのは、最終回前の段階で

戸田をメインにしたエピソードを持ってきた事。

私が忘れているだけだったらすみませんが、今まで目立った出番があった記憶がなくて…

滝野(小芝風花)たちとの絡みも見てないような?誰だったっけな?状態に(汗)

(↑出演者のファンの方、ごめんなさい…^^;)

だからか、よく知らないサブキャラクターが

このタイミングで中心に描かれている事に、唐突感を覚えましたね。

まぁ、ここ数話での医者たちの関わりを見ていれば、

きっと彼とも交流する機会があったのだと捉えられなくもないですが…

滝野や康二郎(新田真剣佑)、先輩の茶屋坂(ファーストサマーウイカ)などと

絡んでいる様子がある程度描かれた上での今回なら、

一歩成長しようとしている彼への応援の気持ちも増した気がします。

 

しかし、ここまで惜しい点を書いてきたものの、

徳重不在の魚虎病院パート自体は、今まで本作を見てきた醍醐味を感じられたというか、

良いなぁ…と思える所が節々で見受けられたのも事実です。

例えば、患者・小田井(マギー)1人に対して、滝野・戸田・茶屋坂・康二郎の

複数の医者が診察をするシーン。

医者と1対1の診察を想像して来ている患者の立場で考えたら

えっこんなに!?とびっくりするかもしれませんが、

人の命にメスを入れる重大さを理解した上で真摯に向き合う康二郎がいて、

患者目線に立って本音で共感してくれる茶屋坂がいて、

旅行の話で患者の不安をほぐした滝野が戸田にバトンパスをし、

バトンを受け取った戸田が、最後まで責任持って手術しますという誠実な姿勢を見せる。

そしてみんなで、患者に微笑んだりしっかり目を見たりしながら、安心感を与える。

 

この一連の流れ、「ここは私に任せて!」という医者同士の思いやりが見えれば、

個々が自分なりの考えを伝える事で、患者の恐怖を取り除いてあげたいとする

頼もしさも感じて、素敵な連携プレーだと思えました。

と同時に、赤池の下で教わった徳重が魚虎にもたらしたものは大きく、

徳重の考える医療のあり方ってこういう形なのかもしれない…とも考えさせられました。

 

「月並みな言葉ですが…あなたは1人ではない。そういう事だと思います。」

これは、初めて執刀する事への不安と緊張が拭えない戸田に対して

康二郎が言った言葉ではありますが、

先ほどのプロフェッショナル溢れる連携プレーもそうですし、

先輩医者たちによる戸田のサポートの様子を見た上だとスッと心に響きます。

…同期の飲み会で鹿山(清水尋也)が

「誰も、俺たちの話なんて聞いてくれないと思ってたけど、

自分たちから話せば変わる事もあんのかもな。」と言っていたのも印象的。

徳重と関わった医者が、他の医者や総合診療科と

積極的にコミュニケーションをとるようになる変化は、

回を重ねるごとに感じられましたから…。

(今更書くけれども、前回関わった医者が、次回のOPで登場してくる映像も好き。)

 

診療所パートの方は…というか、夕陽が照らされる浜辺で2人で語るシーンは、

田中泯さんがダンスを踊るように語られる演技&撮り方なのもあって、

芸術作品を見ている感覚にもなりましたね。

で、最後に徳重が病名を言っているのを見ると…

正直、やっぱりあと2話くらいあれば

徳重の診察がもっと見られたのかな?とは思っちゃいます。

最終回は2時間拡大でもないから、本当に短い…!

 

 

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