良いもの、見たなぁ…
とても心が満たされてるわ。今。
弘章(小木博明)の件。
ここは正直、前回のラストで引っ張った割に約5分で解決…という
若干サッパリとまとめた気がしなくもないものの、
幸恵(松下由樹)さんにとっては、この日をまた思い出す時が来るほどの思い出に。
事のきっかけが何であれ、自分のやった行為に自覚がないのも別として、
そこに込められた「誠意」と真っ直ぐな「言葉」が欲しかったんですよね。きっと。
また一段と芯の強い女性へと変わった幸恵さんが、
胸にグサッとくる直球な言葉を投げかける形で。
そして理人(中川大志)は、以前に「自分で動くしかない」と言われた事がバネとなり、
なんでも良いからと勢いで抱きしめる形で、
不安で心がボロボロ状態の也映子(波瑠)を救いに行く。
もうあの頃の「緩いかもしれないけど良いもの」以上の関係になっていると
十分に伝わります。
そもそも、学生時代からの親友でもない限り、あそこまで立場の違う相手に
しっかり向き合ってくれる事って滅多にないと思うから。
本作が始まってからは とにかくバイオリンの音が酷くて、
ドラマとして考えたら、最終回までにはまるで別人のように
上手くなっているんだろうなぁと想像もしていたけれど、
完璧!とまでは行かなかった。逆にそこが良かったです。
也映子「大人のバイオリン教室はみんな大人なので、
何者になるわけでもない私たちの演奏は、大して上手くはない」
度々この台詞から始まる也映子のナレーションに、
理人と幸恵さん、そして真於(桜井ユキ)との出会いがあった事で、
1つの結論が出ました。
「でも、大人になってから、何かが出来るようになるって、素敵だ。」
「人は誰かに優しくなるとか、やっぱり家族が大事だって思えるとか、
人を本気で好きになるとか。」
「前は上手くできなかった事が何度も練習する事で、ちょっとずつ、
でも気がつけば出来るようになっている。それは素晴らしい事だ。」
「だけど本当は、別に出来るようにならなくたって全然良くて、
ただ思ってさえいれば良いんだ。」
「私たちはいつでも、いくつでも、前に進める」
そして、1年が経って、也映子と理人が物件探しをしている時に、
こんな会話のやりとりが。
也映子「私たち、意外とバイオリン続けてるよなーって。」
理人 「好きだからでしょ。好きだから続くんでしょ、何事も。」
理人の言葉が、まるで一段落前の上記の也映子の言葉に対する
「好きという気持ちがあれば、何度だって前に進めるんだよ」という答えに
なっているように感じさせられ、
上手い流れを考えるなぁとも感動さえしてしまったのは、気のせいでしょうか…。
バイオリンが「好き」だから。
バイオリンで出会った3人が「好き」だから。
恋人として理人の事が「好き」だから。
この先、画面では見られない物語の延長線上で、
嬉しい事と同じくらいキツい事が待っていたとしても、
本当に会えなくなってしまったとしても、
也映子達ならきっと大丈夫だろうなぁと思えます。
視聴前は、恋愛もの?で、なんで波瑠さんと中川大志さんに、
松下由樹さんの組み合わせ?と少し驚きでしたが…
最後まで見てみて、幸恵役には明るさとチャーミングさもある
松下さんしかいないでしょ!と思えるくらいには、
時に視聴者代表にもなり、時にビシッと決め…で、偉大な存在へとなっていました。
「演技」「脚本に書かれた台詞」を飛び越えた会話劇も、
感情がそのまま溢れ出ているかのような也映子の告白シーンも凄く良かったです。
波瑠さんは本作で、かなりイメージが変わりました。
あくまでも恋愛を重きにする訳ではなく、
新たな環境で出会う人々、充実した日々を送る相手が羨ましい事から始まる嫉妬、
ヤキモチ、刺激、理想と現実の差に打ちのめされる姿…
「誰もが経験するであろう出来事の中に、恋愛へと繋がる道もある"かもしれない"」
というささやかな絡め方が大好きでした。
見終わった後、自分もこれから何かが出来るかもしれない。
私にとって本作は、そんな心のビタミン的ドラマ。
そう思えるドラマとの出会いがあるって、幸せだよなぁ…。
↓前回の感想はこちら↓
↓今までの感想はこちら↓