おじいちゃんが愛情込めて育てたリンゴで、母に作り方を教えて貰ったジャムで
何故人を殺したのか問い詰める苺(小芝風花)に対して、
「都会で呑気にリンゴを食べている人が、この田舎で作ってる人の気持ちなんて分かるはずがねえ」
と答える茜(志田未来)。
同情は出来ない。けど、犯行に加担した茜の動機はちょっと共感出来る部分がありました。
彼に手作りのジャムを送った。
しかし、当時喜んでくれていた彼はいつしか都会に染まってしまった。
ある日フェイスブックのアカウントを見たら、
知らない女性がクラッカーにジャムを乗せて食べる写真が投稿されていた。
故郷を捨てた彼よりも、彼の人柄と人生を奪った"何も知らない女"の方が憎いと思った。
疑惑が確信に変わった茜の言動は「女の敵は女」の本質を突いていて、
一気にゾワゾワっとした感覚に襲われるようでした。
けれども、何より一番可哀想なのはおじいちゃんで。
茜の想いも、おじいちゃんの想いも届かずで、とてもやり切れない。
そんな中で流れる宇多田ヒカルさんの主題歌は、沈んだ気持ちでいる人々の心に響くもので、
なぜあの曲を起用したのかも分かる気がしました。
誰かを操る事で自分の欲望を満たす黒幕…という点では
「シャーロック」のモリアーティと立ち位置が似ているマリア(小池栄子)。
それと同じように「マリアは一体誰なのか?」を視聴者に考察させる形で
1つの見所を作ってしまえば良いものの、あえて正体を最初から明かしているのを前提として
物語を進めていくのは、ミステリージャンルでは珍しいです。
事件描写に特別難解なトリックは効かせず、サクサク推理していく代わりに、
犯人側の心情描写…時々挟み込まれる苺と桃子(富田望生)のわちゃわちゃしたやり取りの
2つを見せていく作りが"本作らしさ"なのかもしれませんね。
また、「自分の料理を大切な人に食べてもらえない悔しさ」で茜とマリアが共鳴し合ったように、
今後はマリアの過去を小出しにしつつ、それを本筋に絡める展開にもなっていくのだと思います。
前回はコメディかシリアスかどっちで行くのかが掴みづらく、若干不安ではありましたが、
2話にして方向性が見えてきたのも良かったです。
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