「みんなんち」を提案した蒼介(仲野太賀)が人懐っこいタイプだから成立する話だけど、
現実に置き換えてみたら…保護施設でもなければ保育士の資格もない、
見ず知らずの人の所に預けるのは勇気がいるよなぁ。
近隣だとしても信用出来ない。実家も頼れない。
周りに迷惑かけたくないから、
自分が大切にしたいモノは自分で守るという考えに至ってしまうのがイマドキなんですよね。
視聴リスト&期待度の記事を書いた時点では
「(同じくマギー脚本である)『向かいのバズる家族』を
発展させたような作品になりそう」と予想していたけれども、
いざ視聴してみたら「カンナさーん!」の雰囲気を足してその通りになり、
もしかしたら、俊平(重岡大毅)や礼(木村文乃)といったひとり親の
"助けられたくない"という意地っ張りな部分を描く根底には
情報社会があるんじゃないかと感じられました。
その勢力が拡大していけばしていくほど、比較対象の顕在化に陥りやすい。
自分よりも優れている人を見かければ「自分はなんてダメなんだ。もっと頑張らなきゃ」って
焦りが芽生え始めるし、
逆に劣っている人を見かければ「絶対こうならないようにしなくちゃ」と
その人を反面教師として捉えてしまう…。
で、結局そうやって自分に制限をかけ続けて、"ありのまま"を見失う。
本作の設定はファンタジーでも
「いつかこうなったら良いな」と理想を抱けるようなファンタジーで、
少しでもひとり親の心を解きほぐしてくれるきっかけを与える意味合いでは
メッセージ性の高い作品になるのかもしれません。
そして、火10でも日9でもなく、放送枠が金10って所も良いです。
全ての子育て世代が土日休みとは限らないけど、金曜日に放送する事で、
平日に仕事や子育てを兼業、専念して頑張ってきた人に対して
「お疲れ様」と労ってくれている感じがして、個人的には好印象でした。
歌番組ではキラキラとした笑顔を放っている重岡大毅さんが、
役者になるとアイドルオーラを消して普通に親米パパに見えるのも凄いし
(その"役に馴染める"演技が故に、悪役のイメージも付きやすかったりするんだけど(笑))、
仲野太賀さんは某ビールのCMよりかは、やっぱり前掛けとガーゼタオルの装いの
下町にいそうな活きの良いあんちゃんがしっくり来ます。
で、ひとり親の登場人物も、男女2人だけだと恋愛関係に発展して
途中から本題とはズレてしまいがちなものの、
もう1人出てくる事でその可能性を薄めているので、安心して見られそう。
唯一気になる部分を挙げるとするならば、演出や劇伴があざといくらいかなぁ…?
子役の泣き演技はあまりにもリアル過ぎて泣けちゃったんですが、
その後の屋上でのシーンは、劇伴の音量が大きいし、
キャッチボールさせたら感情が爆発して
だんだん出来なくなっていってしまうのは見え見えですし、
役者に声を上げて泣かせるし…で、全体的にお涙頂戴にする気満々なのが伝わってきて
出そうな涙が少し引っ込んじゃいました(苦笑)
そこらへんが改善されていったら…本当に心から好きな作品になる予感はしています。
TBSドラマの中では、最近は金10枠が一番安定して面白いですね。