2023年夏ドラマ-シッコウ!!一覧

シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 9話(最終回) 感想|いつか執行官になる日を夢見て

 

 

これまで関わってきた債務者の回想を挿入しながらの…

「私、執行官になって、もっと人間を知りたいんです。」

元々犬が好きで、犬と関わる仕事がしたくて上京してきたひかり(伊藤沙莉)から

この言葉が出てくるのも面白かったですが、

同時に、この展開のための全体構成だったんだろうな…と思いました。

 

物語の前半は、視聴者にはあまり馴染みのない執行官の仕事を説明・紹介するために

どうしても小原(織田裕二)の描写を増やす必要があり、

一方で、主人公であるひかりの存在感が薄めになってしまっていました。

ですが、彼を前面に出し、世間からの評価に耐え、

いかに苦悩や葛藤を抱えながら仕事に取り組んできたかをコツコツと描き続けた事で、

「執行官とは何ぞや?」というのもしっかり形づくってきたのも確かで。

今回はそんな今までの描写の積み重ねが活かされていて、

小原をあえて一歩後ろに引かせた状態で仕事を描くだけでなく、

執行補助者として関わってきた彼女の気持ちも序盤に描いた事で、

集大成らしく、主人公の成長が直に伝わる内容に仕上がっていた気がします。

 

ひかりは以前、人に同情しやすい、少し不思議ちゃんの性格に描かれていたので、

最初はあんな状態だった彼女がここまで頼もしい存在になるなんて…

という意外性を持たせようとして、今回の見せ方になったのかもしれませんし。

執行官のお仕事がどういうものかを視聴者に理解してもらうには、

この構成が最も実現しやすかったのかもしれません。

前半の方は時々、解決方法に腑に落ちない回もあったものの、

"連続ドラマ"である事を踏まえれば、ユーモアもありつつ、かなり緻密に計算された作品でした。

…最終回で唯一惜しかったのと言えば、「こども六法」が出てこなかった事くらいかな?

 

私自身も、ひかりの言う「泥棒」ではないですが、

本作を見る前と全話見た後とでは、執行官に親しみやすさを覚えるほどには

イメージがガラッと変わりましたし、

執行の仕事も「こんな仕事もあるのか〜」と新鮮に感じる事も多く、

最後まで楽しませていただきました。

 

そして思うのは、脚本家・大森美香さんの紡ぐ作品が改めて好きだな…と。

等身大な部分、優れている部分、逆に、完璧になりきれない部分といった

人の様々な一面を引き出すキャラクター造形に長けているからこそ、

ひかりも、小原も、おじさんずも、愛しい人物に映ったんだと思います。

特に、執行関係者みんなで一列になって歩くシーンなんかは、

繊細さや苦しみを悟られないように、自信を持って強く立ち向かおうとする

人間味が感じられて毎回好きでした。

そして、織田裕二さんが可愛らしいと思えたのは初めてでした(笑)

コミカルなお姿がしばらく見られないとなると、寂しいですねぇ…。

 

事務員になったひかりが夢見るのは、

おじさんずとお揃いのベージュのコートをまとった執行官の自分の姿…

そう遠くない未来の話をした所で、物語は幕を閉じる。

いや、何度でも書きますが、ドラマインターバル期で放送されるSPドラマでも良いので

ぜひぜひ"続き"を見たいです!

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 8話 感想|18歳で成人になったとは言えど…

 

 

三者目線で見ているから、今回の杏奈(幸澤沙良)の行動は

いや、その歳でそんな簡単に騙され過ぎ!とか、もう少し怪しまないと!とかって

ツッコみたくもなるんですが。

でも、去年4月から成人年齢が18歳に引き下がった背景を考えると、

これが逆にリアルなんでしょうねぇ…。

 

18歳なら、親の同意がなくてもクレジットカードが作れるし、借金だって出来るようになる。

つまり、大学生という若さでも、1人でやれる事が増えてくる。

杏奈は杏奈なりに、小さい頃から長年育ててくれた母親に

苦労をかけさせてしまったという負い目を感じている訳で、

既に30万円が返されなくて事態が大きくなっているのが分かっていても、

自分がバイトでガンガン稼げば、いつか失った分を取り返せるかもしれない、

もう"成人=大人"だからこそ、何かあっても母親を頼らずに

自分でなんとかしなきゃと言い聞かせていた部分があったんだと思います。

 

ただ…成人になったとは言えど、まだ社会に出ていない中での"なりたて"ですし、

親世代からしたら子供なのには変わりないんですよね。

ある意味「子供」なのは、法律を勉強し始めたばかりのひかり(伊藤沙莉)もそうで。

今回は、未熟さが残る杏奈に重ねるようにひかりの活躍を描き、

その対角線上にいる、杏奈の母親や小原(織田裕二)といった

人生経験豊富な人物の安心感と頼もしさも描いた事で、

大人になっても誰かに頼って良い、助けを求めたって良い…

そんな含蓄のある内容に仕上がっていた気がします。

 

シングルペアレントや実家暮らしの設定となると、

親が過保護で子供にポンとお金を渡したり、面倒臭い親に仕立ててクレームを言って

執行官たちを振り回したり…ってなりがちだと思うんですけど、

そういったベタな方向には持って行かず、

SNSでも簡単に金銭のやり取りが出来る現状も交えながら、

ちゃんと「成人になりきれていない人に潜む危うさ」

話を絞っていたのも見やすかったですし。

このタイミングで「こども六法」という書物を登場させてきた所も、

今回のテーマを表しているようでニヤリ。

また、「あの件ってどうなった?」が曖昧なままの結末も多い中、

投資詐欺をした先輩の前に警察が訪ねてくる描写を入れてきたのには清々しさがあり、

痒い所に手が届く感覚が残りました。

 

今回のゲストの幸澤沙良さんは、

某オーディション番組のグランプリの方だというのは存じ上げておりましたが、

演技をお見かけするのは本作が初めて。(その番組も帯ドラマも見ていなかったので)

どことなく幸薄系で、純白のオーラをまとわれていて…

何の悪意もないまま債務者となってしまった大学生としては

説得力を感じさせるキャスティングでしたね。

 

次回はもう最終回ですか…早いですねぇ。

いつか執行官になりたいです!と宣言した辺り、続編を作る気は満々ですね。

で、来週描かれる、栗橋(中島健人)の知り合いの子供連れ去り事件に関しては…

もしかして、"あの騒動"をモデルにしていたりするんでしょうか?

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 7話 感想|一面だけ見て人を判断してはいけないよ…という教訓

 

 

※8/22投稿の感想を読んで下さった方ならご存知かもしれませんが…

体調はまだ万全な状態とは言い切れないので、大事をとって

本日も簡単感想とさせていただきますm(_ _)m

 

私が数年いろんなドラマを見てきた中で、記憶に残り続けている台詞の1つに

「世の中は良い人と悪い人の2種類いる訳ではなく、

みんなちょっとずつ良い人で、ちょっとずつ悪い人なんだ」という台詞があるのですが、

今回はそれを思い起こさせるようなお話でした。

 

本作は今までにも、小原(織田裕二)を通して、

散々な扱いや批判を受けたとしても、仕事を全うするために

常に中立の立場を貫かねばならない苦悩が幾度となく描かれてきた訳ですが、

メッセージ性は今回が最も際立っていた気がします。

人間は案外多面的だから、先入観を挟まず、いろんな角度から"その人"を見るべき。

例えば…土山(波岡一喜)もイメージ通りの取り立て屋かと思いきや、

期日内に返済される予定の借金が返済されないので、債務者と同じく気の毒な立場ではあるし。

上野原(板谷由夏)も犬を単なる金稼ぎのアイテムとは見ておらず、

根底には犬を愛する心を持っていて、

その点では由比(ファーストサマーウイカ)と共通していたりする。

あとは…年齢差があるから恋愛には発展しないだろうと分かりつつも、

ついついそんな妄想をしてしまった小原の可愛らしい一面もですかね?(笑)

 

まぁ何にせよ、一見本筋と無縁そうな保護犬カフェでのくだりや

おじさんズによるコミカルなやり取りも絡めながら、

1つの結論へと無理なく持っていく展開には安心感を覚えます。

また、真面目で堅い描写になりがちな執行官のパートに対して、

遊び心をふんだんに取り入れた演出で柔らかさを加える事で

物語にメリハリを生ませていて、そこも見ていて純粋に楽しいのです。

 

そして…なるほどそういう見せ方か!と思わされたのは、

警察を登場させる意味を明確にしてきた所。

適材適所ってやつでしょうか。

執行官はどちらの味方もせず、案件を落着させる事に尽くす代わりに、

警察が公務執行妨害に繋がる悪事を働かないかどうかを見極める。

なぜ彼らが現場に駆り出されてきたかが、バトルも含めてすんなり入ってきましたし、

お陰で、執行官が中立の立場である事も強調されていたと思います。

 

もし本作がテレビ朝日お馴染みの刑事モノだったら

シリーズ化も間違いなしなんでしょうけど…

あくまでもひかり(伊藤沙莉)の成長がベースで、案件自体は幅広くはないので…

あとはキャストのスケジュールを考慮すると、中々難しいのかな。

良いドラマほど時間が早く感じるもので、もし通常の話数通り全9話だとして、

残り2話で終わるとしたらちょっと寂しいですね。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 6話 感想|みんなどこかで苦労している

 

 

胸の痛いお話でしたねぇ。

今回は珍しく債務者側に落ち度がないパターンだったんですが、

もし息子が勝手に抵当に入れていなかったら

あの部屋で孫の成長を見守りながらまだまだ暮らせたと思うと…

何だか居た堪れなかったです。

 

でも、長窪(笠松将)の言葉にもありましたけど、

苦しい顔をしているのはみんな同じなんですよね。

夫婦はやっとの想いで買えた物件で、子供も授かったから、

これから家族を築いていくためにもやっぱり手放す訳にはいかないし。

執行関係者たちも、前回「(プライベートを詮索するのは)執行官の仕事ではない」

みたいな事を言っていたように、常に心を鬼にしないとやっていけない。

みんな、それぞれに生活がある訳で。

息子以外は誰も悪くないし、むしろ佐久山家も被害者の立場だからこそ、

引き渡しの交渉のシーンはヒリヒリした感覚で見続けておりました。

 

確かに、真面目に生きてきた者が損する世の中にはなりつつあります。

でも、悲しい事ばかりじゃないよ…と示してくれる結末には救われましたね。

真面目に生きてきたという誇りや、孫を親身になって育ててきた思いやりは

長年培っていけば人柄や暮らしに必ず現れるし、誰かにもきっと伝わる。

そして、困っている誰かの支えにもなれる。

大家さんのちょっとしたシーンも活かされていて、

仕事先を紹介してもらえて、新たな生活の糧を得る…

そんな明るい兆しが見えるオチが用意されていたのも良かったです。

前回とはまた違った、苦渋を味わう大人たちへの"労い"が描かれた内容だったと思います。

 

今回また初めて知る事の出来た競売物件については、

安易に手を出すもんじゃないというのがよ〜く分かりました。

佐久山(でんでん)はたまたま巻き込まれただけですが、

もし申し出をすんなり受け入れてくれない人と相手をするとなると、

執行官の元に何度も出向いてやり取りをするわ、追加費用を払うわ、

引き渡し時に対面して気まずい想いをしなきゃならないわで

精神的にしんどくなる頻度が多そうです。

 

強いて言うなら、長窪と母親のエピソードは、残念ながらそこまで必要性を感じず…。

ひかり(伊藤沙莉)から語られた事も含めて、

それぞれの苦労を描くためのエピソードだったのかもしれませんが、

途中にあった自分の家庭環境を打ち明けるシーンだけでも十分に成立出来た気はしますね。

大体、入信しているくらいだから、芝居を打ってまで説得しても

何も響かないんじゃないんでしょうか。

っていうか…今回で解決しそうにないのは気のせいですかね?

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 5話 感想|初めて感謝された日

 

 

これまで触れなかったものの、執行官という職業や"苦労"を描く以上、

どうしても小原(織田裕二)の方が主人公に見えてしまう事が

前々から気になってはいたんですけど…

今回はちゃんと、ひかり(伊藤沙莉)が主人公のお話になっていましたね。

 

いつにも増して、執行官に関する豆知識が多く盛り込まれていたのが効いていて。

上野原(板谷由夏)に大好きなペットの仕事を勧められながらも、

執行補佐官としては日々新鮮な出来事ばかりで、

執行官の仕事にいつしか興味を持ち始めている…

ひかりのそんな葛藤が丁寧に描写されていましたし。

それに、「今の仕事に誇りを持っている自分」「やり甲斐を感じている自分」をベースに、

小原や栗橋(中島健人)を始め、登場人物たちが皆

彼女が大きな決断をするまでのキーパーソン的存在に描かれた事が、

「主人公・ひかり」を際立たせる要因にもなっていたんじゃないかと思います。

 

また、内容自体は…今回のテーマは"矜持"でしたね。

執行補佐官としての矜持を持つようになったひかりのエピソードの他に、

借金取りと言われようが、世間から報われなかろうが、

債務者にリスタートしてもらうために仕事を全うする執行官たちと、

売り上げに繋がりやすい口コミ評価と、患者との信頼関係の構築・維持に苛まれながらも

「長年この地域に尽くしている」と自負している開業医の、

2つのエピソードが用意されていました。

 

ここはさすがのベテラン脚本家といった所か、

ひかりと開業医であれば、どちらの選択肢を取れば良いのか悩み続ける姿が…

小原と開業医であれば、意思さえ貫き通せば、年齢関係なくいつだって変われる…と、

それぞれで共通点を持たせながら話を展開していっていたのが上手いなぁと思わされました。

高齢が故に、弱った足腰をコルセットで補強して何とか生きている犬も、

今の健吉(峰雷太)と重なるようで良いアクセントでしたし。

矜持と矜持がぶつかり合った結果、小原の言葉が響いて

感謝の手紙を残すまでになる…というオチも、人情劇としてよく仕上がっていました。

認められるまでに様々な想いを抱えてきた事を背中で語る織田裕二さん…

最近の作品の中でハマり役と言っても過言ではないでしょう。

 

最終的に、マリンちゃん含めた家族の今後もしっかり描いてくれて安心。

まだまだこれからといった所ですが、1枚の写真が撮られるまでの"あの頃"を見ていたら、

この家族ならきっと大丈夫だろう…と確信出来るラストも珍しいです。

内容も、登場人物の描き方も、物語の落とし所も、最も優れた回だったと思います。

 

 

最後に、本作とは全く関係のない事なので、ここに書くべきではないとは思いつつ、

どうしても書きたくなったので…今日の「18/40」の感想をば。

瞳子の母への説得エピソード、結婚の事でもう話を広げないのは良かったけれども、

すぐ退散となると、今回で盛り込む必要はあまり感じられないかなぁ…とか、

祐馬(鈴鹿央士)の背景描写も、別に今回の内容とは関係ないよなぁ…とか、

前回の子供っぽい大学生たちの件は結局どうなったん…とか、

いろいろと気になる部分はあったものの、

こちらも有栖(福原遥)が"お母さん"になるまでの葛藤が丁寧に描かれていたと思います。

 

以前までは、18歳にしてはあまりにも未熟過ぎる言動が多かったので

共感出来ずにいたんですが、未熟は未熟でも、今回のように

「自分の居場所がなくなってしまう不安や焦り」

「まだお母さんになる覚悟が足りていないという"気づき"」が

様々な人との交流を通して描かれていれば、全然見られますね。

彼女の内に秘めた繊細さが、映像から、演技から伝わってくるようでした。

 

間を飛ばされた勿体なさはあったものの…

出産シーンも思いの外、ガッツリ見せてもらえたのも意外でした。

今日の火曜ドラマはどちらも充実した内容だったなぁ…って事で、

こちらに感想を書き残した次第です。(次からは雑感集に書いてね…)

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 4話 感想|だったらもうちょっと同情出来るように…

 

 

ほぉ〜…女性執行官って、今年の4月に採用されるまで1人もいなかったんですね。

これはかなり初耳。

と同時に、だからか〜と納得している自分もいます。

 

この「だからか〜」は以前、執行官と犬の関係性、そして犬を扱う必要性が

明かされた時にも感じた事でした。

今回で言えば、執行関係者のキャストでひかり(伊藤沙莉)だけが紅一点の状態になっていたり、

「おっさんパラダイス」というワードを出したりしながら、今までいろんな形で

執行官の世界に若い女性が飛び込んでくる"違和感"を強調してきた訳ですが、

見ていくうちに「なんでこんなに、おじさんばっかりなんだろう…?」という

視聴者の漠然とした疑問に触れる話になっていたのです。

からくりが上手いなぁと思います。

有益な情報をすぐ明かすのではなく、

視聴者に良い意味でモヤモヤを覚えさせた段階で明かす事でスッキリさせる手法は、

ちょっとした謎解きっぽさもあるんですよね。

 

前期の知的財産と言い、本作の執行官と言い、

ドラマではあまり描かれる事のない職業を題材とした作品の何に期待しているかって、

業界の裏事情にどこまで踏み込んで、どこまで"エンタメ"に昇華出来るのか?

という所にあるんですが、今回は主に前者の方でその良さを味わえた気がします。

 

ただ、勿体ないと感じたのは、債務者・佳菜江(さとうほなみ)の描写で…。

彼女は、夫が育児を放棄していたが故に、育児ノイローゼになりかけ離婚し、

シングルマザーとして娘2人を育てながらも

借金に手を出してしまう人物として描かれていました。

先ほどの女性執行官がいない(いなかった)件はただの豆知識で済ませず、

「まだまだ男女平等になり切れていない現実の中で、女性が抱える"生きづらさ"」で

メインエピソードとも繋がりを持たせていたのは良かったのですが、

だからこそ、もっと同情出来るようなキャラにして欲しかったなぁ…

と思えてなりませんでしたね。

 

頼れる人が周りにいない。気軽にお金が借りられる世の中になっている。

普通の暮らしをしている人でも、ふとした事で債務者になる可能性は十分に秘めている。

それは分かるんですけど…恐らく、最初にひかりと小原(織田裕二)で訪問したシーンで、

悲観的な劇伴を流しつつ、泣き落としにかかろうとしたからなんだと思います。

他にも、借金をしては踏み倒す原因を元夫や子供のせいにしたり、

つけているネックレスや指輪がそれなりに高そうに見えたり、

佳菜江の言動がほとんど嘘だったり(だからか、終盤での本音もイマイチ信じられない…)、

「小原の好みの顔」だったり…何と言うか、"魔性の女"に描き過ぎでした。

 

泣きそうな表情を見せるのであれば、

例えば、2人が去った後で抑えていた感情が緩み始める…とした方が、

二面性を感じさせて、視聴者も彼女の訳ありな過去を知ろうとする気になったかもしれませんね。

あとは、お仕事をみんなより早めに切り上げてのお迎えや、仕事と子育ての両立などで

シングルマザーが苦労している日常シーンも盛り込むとか。

ガツンと言ってくれる人物もいなかったのでねぇ…

テーマの見せ方が上手かったのは確かですが、

正直、今までの中で一番と言っても良いほど、不完全燃焼で終わった回でもありましたね。

 

前回に引き続き、メインエピソードに犬が絡んでこないので、

ひかり本人がとうとう「どうも。犬は関係ないんですけど…。」と言及してきましたね。

そこはメタ発言っぽくて、クスッとさせられましたが(笑)

次回は上野原(板谷由夏)が再登場するだけに、再び犬が絡むお話になりそうです。

物語も後半戦に突入…そろそろ、結末含めて心から満足出来る回が欲しい所です。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 3話 感想|ここまでが第一章。良いタイミング!

 

 

今回の債務者には、ちょっと同情してしまいたくなる…

というか、切ない気持ちにさせられましたね。

同じ「同情させる話」でも、1話の二川家はやり直せるチャンスはいくらでもあったのに

口だけで行動に移さなかったり、2話のEXTuberは自業自得案件なのに

急に繊細で寂しがり屋の人の印象を持たせてきたりで

疑問に感じる事が多かったのですが、

今回に関しては、重い運命を若い頃から背負わされてしまっているのが大きかったです。

 

本作では高橋光臣さんが演じられていて、

年齢的に恐らく30代後半〜40代前半で設定されていたと想定しますが、

高齢者が家賃滞納で部屋をゴミ屋敷化してしまうニュースはよく見聞きしますし、

実際に部屋に立ち入ってみたら、既に亡くなっていた…という話があってもおかしくありません。

だけど、矢上(高橋光臣)の場合は、ゴミ屋敷はゴミ屋敷でも

袋にまとめて縛った上で部屋に残していたし、飼っていた猫の毛並も綺麗に見えて。

その2点から、絶望は感じつつも、

少なからず、生きる事はまだ諦めてはいないのだろうとは察せられました。

重い運命を…に加えて、こういった"日常の片鱗"が描かれた事が、

今回の感情移入に繋がったんだと思います。

 

内容で言えば…今までとは違い、前半は工事費未払いによるパチンコ店への執行、

後半は公団住宅の賃料不払いによる部屋の明け渡しと動産執行の

二部構成になっていました。

2つのエピソードを用意する事で生まれる

ドラマあるあるの"関連性"が後に出て来るかと思いきや、

前半パートが尺埋め的な扱いで終わってしまったのは残念でしたし、

売上は順調でも工事費を支払おうとしない理由も明かされなかった(自転車操業?)ので

多少の消化不良感は残りましたが(汗)

ただ、全体を通して見れば、第一章として綺麗にまとまった話になっていた気がします。

 

1話で取り扱った家賃滞納を、3話という短いスパンで再び取り扱う事で、

最初は執行官に対して「泥棒」「犯罪者」という凝り固まったイメージを持っていたのが、

執行補助者として仕事に携わっていく上で「ざわざわする」気持ちが芽生えるようになった

ひかり(伊藤沙莉)の変化を描く。

そして、元々は犬が苦手な小原(織田裕二)の護衛のつもりで働いていたものの、

今回の仕事は犬とはあまり関係がなくなってきた所も、また"狙い"ではあるんでしょうね。

 

「執行官ならではの苦悩」を存分に提示してきた3話分。

ひかりは小原の考え方に刺激を受け、

「人生をリスタートをしてもらうための職業」だと前向きに捉える事が出来たし、

小原は執行官でありながら、案外私たちと同じ

繊細さを持ち合わせた人間なのだというのがよく分かりました。

来週はお休みを挟んでしまいますが、逆に良いタイミングだったと思います。

放送スケジュールを事前に把握した上でのプロットなのかも…という綿密さも感じさせますね。

お互いのキャラクターをはっきり描き分けた所での休止なので一区切り感が際立ちますし、

これから本当の意味での"コンビ"になっていくんじゃないかと、

そんな期待すら抱かせてくれた〆でした。

 

次回はゲストがゲストなのもあって、よりバラエティに富んだ話になりそうで楽しみです。

ところで…ここまで脇役的な立ち回りだった栗橋(中島健人)は、

今後ラブコメ要員にもなっていくんでしょうかね?

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 2話 感想|執行官に是非ともボーナスを!!

 

 

最後がなぁ。最後が…エピソードの落とし所だけが惜しいんですよ〜!このドラマ。

執行官が関わる以上、相手はどうしたってクズで厄介な人物には描かれるんですけど…

だとしたら、まだ2話の段階ではあるものの、

必ずラストで相手に感情移入させる必要はあるのかな?って思ってしまうんですよね。

それまでの展開も、散々悪い部分を見せてきてから、

終盤で急に"幸せだったあの頃"みたいな回想を挟んで人情味を出そうとしているので、

ちょっと唐突感を覚えますし。

 

前回の二川家に関しては、何も対策を練らず頑なに家を出ようとしない点は

同情出来なくても、理不尽だと感じた理由には頷けたのでまだマシだったんですが、

今回の場合は自業自得の案件ですし、お調子者なキャラなんです。

だから、轟木(細田善彦)にはきっちり罰を与えて終わって欲しい

気持ちにさせられましたね…。

いや、本音を言えば、相手の出した条件に従うしかなかった執行官が、

彼からお金を全額支払われた事で、本当の意味での"落着"をする…というオチで

スッキリしたかったんですけど、現実世界ではドラマのように

そんなに簡単にはスカッと出来ないでしょうから、そこは受け入れるとして。

でも、せめて、自宅に押しかけてきた執行官たちを勝手に

生配信で映したくだりを"前フリ"にして、

最後はそれが原因で炎上し、しばらく謹慎せざるを得なくなる…って形で

回収してみても良かったんじゃないかという気がしました。

 

ただ、エピソードの落とし込み方が勿体なく感じるだけで、

本作の空気感も個々のキャラクターも既に好きになっております。

今回はひかり(伊藤沙莉)の描写がグレードアップしていましたね。

初回は、執行官について無知なひかりを「執行補助者」としてその世界に迎え入れるため、

どうしても「執行官の仕事は悪で、勝手に家に侵入されている相手はかわいそう」

という偏見を強調して描かなければならず、

それが、相手に落ち度があるから執行官が来ているのに、なんでそこまで庇うの…?

とモヤモヤさせる要因にはなってしまっていたんですが。

今回はそんな彼女の感情移入しやすい性格は控え目にして、

ひたすら「落着を実現させるための"仕事"」を淡々と描いていたお陰で

かなり見やすくなりました。

 

犬の登場についても、単純に、執行官というドラマでは物珍しい題材に

少しでも親しみやすさを感じてもらえるように…

という狙いで取り入れたのかと思いきや(すみません…)、

ちゃんと意味があった事が判明して、早々に言及していただけたのも良かったですし。

なぜひかりが執行補助者を任されたのかも、自然と腑に落ちる流れだったと思います。

 

そして…あ、これはもっと脂が乗りそうだと思えたのは、

ひかりによる、執行官たちの心の声の解説のくだり。

以前ナレーションもやられていたのもあって、面白かったです(笑)

コメディとして気軽に楽しめるのはもちろん、

執行官の抱えている苦悩が直に伝わってくるようで、

こういうアプローチの仕方もあるんだなぁと驚かされました。

 

2話にして、"楽しく学べる"エンターテインメントが確立されています。

あとは…何度も言いますが、内容の着地点だけ。

でも、夏ドラマはまだ始まったばかりなものの、今期の中では上位に来る作品だと思います。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 


シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 1話 感想|いろいろと程良いコメディ

 

 

「ポップで痛快なお仕事コメディー」という事で、

どんなタッチで描かれるのかと思いながら見てみましたが…

痛快だったかどうかは別として、

うん、これは、全ての面において程良い感じに仕上がっていましたね。

 

織田裕二さんと中島健人さんで脇を固める中で

伊藤沙莉さんが主演を張るという関係図に新鮮味が感じられるのはもちろん、

執行関係者の面々には名バイプレイヤーが集っていて、

1人1人が柔和かつ楽しげなキャラクターに描かれているので

役者さん方の掛け合いでもう惹かれてしまいます。

ここは、愛らしい人物を生み出すのが得意な、さすがの大森美香脚本といった所ですね。

あとは…やたら独特な喋り方をする探偵や

アメリカナイズドな弁護士で苦手意識を感じていた織田裕二さんの演技が

良い意味で"普通"だったお陰で、かなり見やすかったです(笑)

 

そして、中でも特筆しておきたいのは、劇伴について。

演出がどちらかと言うと誠実寄りで、パンチ力のある遊び心を取り入れない代わりに

軽やかで愉快な劇伴でバランスを取っているような気がして、

それが本作にしっくり来ていたんじゃないかなぁと思いました。

やっぱり司法機関でお堅い役職を取り扱った作品なので、

真面目に見せようとすると視聴者にとっつきにくさを与えてしまうし、

逆に親しみやすさを感じてもらおうとしてコメディに力を入れると、

かえって軽過ぎて、お仕事の描写が嘘っぽく映ってしまう訳で。

演出家の交代で今後多少変わってくるのかもしれませんが、

劇伴がコメディの引き立て役に徹する方向にしたのは正解だったと考えています。

個人的には…中盤辺りの、小原(織田裕二)が執行関係者を二川家にゾロゾロ連れ込んでくる

シーンでかかった渋めの劇伴がお気に入りでした。

 

そんな感じで、雰囲気は良し、役者さんも良し!な初回ではありましたが…

強いて言うならエピソードでしょうか。

ひかり(伊藤沙莉)が小原の仕事ぶりを見て

「犯罪者」「闇金」だと捉えてしまったのもそうですが。

彼が少し悲しそうに「それと…私はそんな偉い人じゃない」と嘆くシーンや

周りからの発言を思い返しては悩むシーンからして、

強制的に物事を行う立場だからこそ招きやすい"誤解・偏見の払拭"

本作の裏テーマになっていると思うんですね。

もし本当にその通りなんだとしたら…(それを前提として書きますが…)

視聴者側にいるひかりの気持ちに、もうちょっと寄り添えるような描写を

して欲しいかなぁとは思ってしまいました。

 

ひかりが同情しているのは、子供もいるのに、家を引き渡す事になってしまった二川家。

じゃあよっぽど酷い仕打ちを受けてきたのか…と言われたらそうでもなく。

確かに、真っ当に働いてきたはずなのに、理不尽な理由で仕事をクビになった事に

やり場のない怒りや悔しさを感じるのは分かるけれども、

期間内に次の家を探そうとする動きもなければ、

アルバイトをするなどしてお金を工面する様子もなく、

事情も明かされないままひたすら「ここから出ない!」と言い張って籠城するのは…

正直、これっぽっちも擁護出来る要素が見当たらなかったんですよね。

だから、なぜ彼女が、家賃を何ヶ月も滞納されて生活に困っている大家さん"も"ではなく、

二川家"だけ"に同情するのかがピンと来なかったのです。

 

執行官が関わる以上、相手は当然悪い事はしているので、

お節介なひかりを介入させるんだったら

なぜ彼女があそこまで庇おうとするのかにもっと説得力を持たせた話にして欲しいし、

そもそも、もう少し相手側のバックボーンを膨らませるのも

アリなんじゃないかという気がしました。

まぁそこは、初期設定の紹介が中心の初回だったから、次回以降に期待という事で…。

 

前述の通り惹かれる部分はありますし、大コケはしないとは踏んでいますが、

1話完結型エピソードや、取り扱うお仕事内容にネタ切れ感を覚えさせないか次第で、

良作になるか惜しい止まりになるかが決まりそうですね。

あのガッチリ揃えられたキャストですもん。

上手く行けばシリーズ化も視野には入れているでしょうし…。

(でも来年は伊藤沙莉さん主演の朝ドラが控えているので、せいぜいSPかな?)

 

まだ影の薄い栗橋(中島健人)の活躍がそのうち見られるのかどうかも含めて、

次回も応援しながら見ていきたいと思います。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ