2023年夏ドラマ-ハヤブサ消防団一覧

ハヤブサ消防団 9話(最終回) 感想|思う所はありつつ…緊張感たっぷりの最終回

 

 

最終回なので、本音を言ってしまうと…

ミステリー作品で最後まで満足させるのって、中々難しいんだろうなぁという感想が

先に出てきてしまったかな?

何だか、全体的に尺が足りてませんでしたよね。

もちろん、興味を惹かせる演出を得意とする本作だから、

今回も作り込みの高さが伺える部分はあったけれども…

個人的にはそれと同時に、はてなマークが浮かび上がる部分もいくつかありました。

良かった所は後述するとして、まずは、そこを1つずつ書き出していこうと思います。

 

私が最初に気になったのは…前回のラストシーンから、今回のアバンまでの繋げ方です。

前回、江西(麿赤兒)が「ハヤブサへようこそ」と、

まるでハヤブサを侵食しているアビゲイル騎士団の信者たちを

迎え入れるかのような衝撃発言をして、消防団の面々の背筋を凍りつかせた後、

大群の中をモーセ十戒のごとく掻き分けて現れる太郎(中村倫也)…で

終わったじゃないですか。

ここまで盛り上げてきたとなると、当然、冒頭で何が描かれるのか注目したくなる訳です。

しかし、その次には、寺の中で江西が団員たちに事情を語り出すシーンに切り替わって、

寺の前にゾロゾロと集まっていた信者たちはあっさりと引き返していくのを見て…

正直、あれ?と思えてしまったんですよね。

私としては、あの状態のまま、信者たちに危害を加えられる恐れも孕みながらも

太郎が江西にどんな言葉を投げかけ、信者たちとどう対抗していくのかが描かれる事を

期待していたので、この前後の流れには消化不良感が残ると言いますか。

あの場から生まれるヒリヒリした雰囲気をもっと味わってみたかったです。

 

「あっさり」関連で言えば…もう1つは、

信者たちが彩(川口春奈)の防災無線で語ったアビゲイル騎士団の真相を

すんなり受け入れたかのような描写も気になりましたね。

百歩譲って、彩が洗脳から解けたのは分かるんです。

だって、好意を抱いていた太郎から直接説得されて、

聖母と崇められてきた展子(小林涼子)の過去を知ってから出会った

"幻"の、言わば本来の展子に背中を押されて、考えを改めたのだと解釈出来るから。

だけど…彩だって最初は「侮辱です」と言って聞き入れなかったのに、

かつて12人殺された事件があっても残るほど信仰していた人たちが

放送を聴いただけで信者を辞めるっていうのは…ちょっと出来過ぎなのかなぁと。

それに、信者が宗教から抜け出せる可能性は低いと聞くので、

あれだけ無意識にのめり込んでしまう宗教の恐ろしさを描いたのなら、

彩の発言を聞いて、執念深く探し回る人が出てきた方がまだ自然だったのかもしれません。

 

まぁ、その1人となったのが真鍋(古川雄大)なんですけどね…(苦笑)

いや〜…ライフルで太郎を撃つシーン、怖さのベクトルが今までと違い過ぎて

一瞬困惑してしまいましたよ。

えっ…そんなの持ってたの?撃てるの??っていう。

あまりに唐突だったもので、終盤辺りに駆け足感を強く覚えてしまったのが残念。

最終回では展子や映子(村岡希美)の過去に焦点が当たっていましたが、

それでもまだアビゲイル騎士団の全貌を掴み切れず…って感じだったので、

中間管理職であろう真鍋や杉森(浜田信也)が入信したきっかけも見てみたかったですね。

 

あと気になったのは…太郎のアルバムになぜ展子の写真が挟まれていたのかが

明かされなかった事と(割と一番の謎!)、

前半で描かれていた、太郎が幼少期にハヤブサで過ごしていた頃の記憶がなかった件が

関係していなかった事くらいかな?

 

では、「?」と感じた部分への感想はここまでにしておいて…

今度はそろそろ、良かった所について書いてみようと思います。

 

まず、何と言っても、ミステリー作品の最終回でありがちな

「ばっかり」の描写・演出をやらなかった所です。

「ばっかり」が何かと言えば…例えば、説明台詞や独白、回想などが挙げられます。

ミステリー作品の場合だと、最終回は全ての謎を回収する"答え合わせ"回となり、

必然的に言葉や映像を通して説明する事が増えて、

結果、画面が単調になってしまいがちなんですが、

本作は、作家である太郎の設定も活かしながら

終始緊張感を漂わせた内容に仕上がっていたと思います。

 

特に目が離せなかったのは、序盤の方の

さんかくで行われた太郎と杉森による、"対峙"を表すカメラワークです。

最初に太郎が話している時は、話し手⇆聞き手側で交互にカメラを切り替えて

対等である事を示していたのに、

杉森が話し出し「強い絆で結ばれたハヤブサ消防団が、彼を救えましたか?」と

核心をつく発言をしてからは、

その時の太郎の反応を伺うような、覗き込むようなカメラワークになるんですね。

 

で、後ろから、前から、正面から…と、杉森だけ他方向から映す事で

杉森が優勢になりつつあるのを強調しているんですが、

それに対して太郎が話を返すと、太郎をいきなり正面で映すようになって、

次は目と目の応酬が始まって、中々引けを取らない彼の鋭さ・強さを表現しているんです。

(この説明で伝わるかな…?)

太郎は杉森の並々ならぬオーラにも対抗出来るのか?

どちらが言い負かせられるのか?

2人で繰り広げられる言論バトルにドキドキハラハラさせられっぱなしでした。

 

そして、「作家である太郎の設定も活かしながら」と書いたのは、

彩に江西や映子の証言をまとめた脚本を差し出したシーンについて。

太郎は探偵ではなく、あくまでもミステリー作家なので、

脚本を通して事件解決へと導く流れにしたのは適切な手法だったと思います。

終盤のシーンにしても…

さっきは真鍋がライフルを所持している件にツッコミは入れたけれども(笑)

ハッピーエンドかと思いきやバッドエンドになってしまうのかと、

最後まで結末が読めない展開を楽しむ事が出来ました。

 

したがって、ミステリー作品に元々期待していなかった私からすると…

惜しい部分もあるけれども、全話を踏まえてみれば

謎めいた世界観に引き込まれるように見てしまったって所でしょうか。

新感覚でもありましたよね。

ミステリーとなると、洋館!密室!大勢キャストによる遺産相続!ある日突然容疑者に!?と

わりかし非現実な設定から来るものが多いイメージなんですけど、

本作の場合は、高齢化社会が加速する限界集落に潜む危険性や、

宗教に入信してしまう者の心理に、カルト宗教団体の実態、

人間が人間らしく生きられる場所は田舎にもあるのだ…というメッセージ性など、

ごく現実的で、自分自身考えさせられてしまうような要素がふんだんに盛り込まれていて、

その不思議さが、次回も見てみたい気持ちにさせてくれました。

 

初回の感想でも書きましたが、ミステリーなのに

おじさんたちによるわちゃわちゃシーンがあったのもかなり新鮮で。

省吾(岡部たかし)は悲しかったですが…もう見られなくなると思うと寂しいですね。

本作に出演された役者さん方がもっともっと好きになる作品でもありました。

中村倫也さんの、ふとドキッとさせられるような視線の鋭さとか、

今回初めて認知した浜田信也さんの

あの空気を掌握する目力はしばらく頭にこびりつきそう…とか、

役者さんの新たな収穫も得られて、総じて面白かったです。

 

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ハヤブサ消防団 8話 感想|アビゲイルによる侵食、本格始動。

 

 

冒頭の10分間から、力の入りようが半端ないですね。

当時の事件で信者12人が殺された理由に、ハヤブサの大半を領地にする目的に、

彩(川口春奈)に託した使命に…と、

まさか、アビゲイル騎士団の計画の全貌を最初からほとんど明らかにしてしまうなんて!

最終回まで勿体ぶりそうな内容を冒頭で持ってきた辺りに潔さを感じさせるとともに、

"最終章の始まり"を実感させられます。

 

そして、視聴者が最も疑問に思っているであろう「どうしてハヤブサなんですか?」

という彩の質問に対して、

杉森(浜田信也)が返した答え「ハヤブサでなければならないんです」で

タイトルバックが流れ出す…。

謎を強調した事で、今後の展開に注目が集まり、

物語にぐいっと引き込まれてしまう訳で…中々用意周到な構成と演出だったと思います。

 

新たな情報を混ぜつつ、今までの内容を再構築しながら

「彩は何者なのか?」を軸とした話が繰り広げられている間に、

ハヤブサ地区は信者でどんどん溢れ返っていきます。

踏切にも、通りにも、畑作業にも大勢の人。

高齢社会や過疎化が進んでいた集落だけに、新しくやってきた人々が周囲に歓迎され、

その地域にすっと馴染んでいく様は実にリアルなんですよね。

だからこそ、怖さが増して…

特に「さんかく」で店内を囲うようにして集まった信者を引きで映し出したシーンなんかは、

団員たちの結束や勘介(満島真之介)の抵抗も無力に思えてしまうほどの

アビゲイル騎士団の勢いが伝わってきて、ゾッとさせられました。

 

ゾッと…と言えばもう1つ、中山田(山本耕史)の背後に映子(村岡希美)が現れた件も

「ほん怖」並みにホラーでしたけど、

あれはあれで、中山田の反応が面白くて(笑)唯一の癒されエピソードでしたね。

 

で、ちょっとしてやられた感を覚えたのは、和尚・江西(麿赤兒)による巧みなミスリード

麿赤兒さんがキャスティングされているので、何かありそうだとは以前から思いつつも、

前々回で大活躍を見せた事で、もう疑惑は薄らいでいたんですよ。

でも実際は、幼い展子(小林涼子)を保護していた過去があった。

前々回のエピソードがあるのとないのとでは、今回の離壇が増加している理由に

気づかなかった(フリをしていた)江西の様子も、見え方が違っていただろうし、

ラストの衝撃度も大きく変わっていたんじゃないでしょうか。

 

次回で最終回ですが…数年前から構想を練っていた計画を実行するアビゲイルに対して、

果たして、消防団の面々が太刀打ち出来るのかどうかは気になりますね。

満足度の高い本作の事なので、

納得いく形で終わってくれるだろうという期待の方が強いんですが、

正直、拡大放送もせずにまとまるのか?という不安も少しあります。

 

彩が普段から紫のものをまとっていないのは、「使命=仕事」と捉えているだけで、

実はどこかでアビゲイルから抜け出すタイミングを伺っているからなのか?

池井戸潤さんの原作なだけに、最後にどんでん返しで魅せる可能性も高いです。

ただ、どんでん返しはどんでん返しでも、太郎が時々紫の服を着ている事と、

すぐにハヤブサへの移住を決めたり、彩にまんまと騙されたりなどで

あまり慎重な性格ではない事から、

彩との幸せを選んで入信を決めるバッドエンドにはなりませんように。

いや、ないとは思いたいけれども、100%信用し切れないんですよ…w

 

 

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ハヤブサ消防団 7話 感想|東京旅行が夢のよう…(泣)

 

 

太郎(中村倫也)によるカメラ目線での独白シーン、再び。

カメラ目線と言えば、彩(川口春奈)の正体が明かされた4話でも取り入れられていたので、

この演出が今回もあるって事は、また衝撃を受ける話になるんだろうなぁ…と

少し期待しながら見ていましたが、

まさしく「えっ!?」と言いたくなるような真相でした。

 

自宅で放火が起こった時、犯人の乗っていた軽トラから

咳き込むような音が聞こえたと語る太郎。

犯人が誰かを視聴者に提示する際の見せ方が、映像作品ならではの味わいも感じさせつつ、

良い意味でニクいな〜と思わされました。

 

まず、ミステリーでは定番であろう「主人公に一番近い人物が実は裏の顔を持っている説」

にほぼ該当する勘介(満島真之介)の検証から始まるんですね。

結果的に彼が犯人ではない事が伝えられて、1人候補から外れたのを示した上で、

それ以降は洋輔(梶原善)→郁夫(橋本じゅん)→賢作(生瀬勝久)→省吾(岡部たかし)と

順番に検証する様子が描かれるんですが、

勘介の場合とは違い、この人は白なのか?黒なのか?が分からないまま

続々と画面が切り替わっていくんです。

その切り替わるタイミングも、エンジンがかかる音はあえて消した状態で

鍵を回すカットで何度も終わるっていうのがまた…

この中に犯人がいる緊迫感と同時に、こんなに楽しくて癒される消防団の中から

犯人が出て欲しくないというヒヤヒヤした感情に拍車をかけていた気がします。

 

私は考察が苦手なのはもちろん、純粋に真相を楽しみたかったので

深く考え過ぎない程度に本作を見ているんですが、

犯人があの人だと事前に特定していた視聴者も一定数いたのかもしれませんね。

そう言えばベンジンってよく知らないな…と思い立って後で調べてみて、

それから団員の普段の役職を公式サイトの相関図でチェックしてみて、

あぁそういう事か〜とようやく腑に落ちました。

 

何が恐ろしいかって、太郎も触れていた通り、

犯人だとバレても平然としている所なんですよね。

あの手のシーンって大抵は、「ただの憶測だろ!証拠はあるのか?」などと

感情的な態度をとったり、本性を見せたりするのがお馴染みだと思うんですが、

あっけらかんとし過ぎていて逆に怖いんです。

そして、その怖さの正体が分かりかけたのは、

犯人が東京に暮らしていた過去を語り出した時から。

どうやらIT革命を機に東京に憧れを抱くようになって、

若い頃に半年間上京して働いてみたは良いものの、

この街に潰されそうになる感覚を覚えるほどの挫折を経験したらしいんですが…

話を聞いていて思い浮かべたのは、彩の制作会社時代のエピソードで。

その後、「ありがたく俺らのエネルギーにさせてもらわんとな…」と

突拍子もない話をし始めた事で、

もしかして彼もアビゲイル騎士団の信者なのでは!?という確信に変わりました。

 

ラストで犯人が笑顔になった時に流れた主題歌の歌詞は

「♪命日もバースデーもないんだから」。

宗教について言及はなかったものの、少なからず、

俺の人生もうちょっと何かあるはず…と考えていた彼に与えたのが、

ハヤブサアビゲイル騎士団が乗っ取るきっかけ作りという"使命"だったんでしょうね。

で、使命を果たした今、団員たちに口を滑らしそうになった所を、

やけに後を追いかけるような感じで店を出て行ったお客さんに消されたと…。

なんで個室じゃなかったのかは監視員をつけさせるためで、

誰も声をかけるだけで追いかけず、立ち上がろうともしなかったのは

終盤のためだと思えば、それはそれで納得(笑)

 

東京駅、はとバス(なのかな?)での観光、東京タワー、

レインボーブリッジ、スカイツリー…と「東京=キラキラした大都会」を象徴する

観光スポットではしゃぐ団員たちの様子を描いて"夢"を見せてから、

郁夫に「なんで東京なんか来たんや!」と言わせる形で"現実"を突きつける。

このジェットコースターの展開が、今まで微笑ましく見ていた消防団のパートが

一気に絶望・どん底へと変わり果てる状況と重なって、余計にしんどかったですね。

太郎がハヤブサに帰ろうと決断するんだけれども、帰ってきたらもう時既に遅しで…

おじさま俳優の多さに慣れていた分、若者たちでごった返す異様さったらなかったです。

 

とにかく、犯人が明かされた事で、話が大きく動き出しました。

あとは、残っているパズルのピースがどうやってはめられていくのか?

無事にはめられるのか?の2点だけ。

先ほども書いたように、結末までの過程をただひたすら見守っていこうと思います。

 

 

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ハヤブサ消防団 6話 感想|放火犯の正体が明かされ…ない!!!

 

 

いや〜〜!そういう終わり方か〜〜〜!!

予告映像で触れておいて、サブタイトルを「放火犯の正体」にしておいて、

視聴者には明かさないまま引っ張るとは〜〜〜〜!!!

 

…でもね、はぁ〜凄い話を見させていただいた…っていう満足感でいっぱいなんですよ。

この手の引き延ばしをやられると

普段だったらモヤモヤする感情が沸いてしまうもんなんですけど、

本作に関しては全くそれがないんです。

 

さて、内容に触れるとして…

折り返し地点となる5話(前回)で、全貌とまでは行かないものの、

どことなく不審な印象が漂っていた彩(川口春奈)の過去にガッツリ尺を割いて

アビゲイル騎士団も放火事件に関係しているのでは?と視聴者に思わせた所で、

今回は、今まで保留状態だった放火魔の犯人を突き止めるまでの話が描かれました。

1つの疑惑からもう1つの疑惑へ…と移行する形をとっているので、

ラストまで見てしまえば、確かに話は進んでいないように見えますし、

結局彩って何者なの?あの写真は一体?など、残された謎もまだまだ山積みです。

しかし、全体構成を踏まえると、"ミステリー"としては一気に加速してきた印象で、

個人的にはあっという間に見終えました。

 

なぜそう感じたのかは、4話まではどちらかと言うと

消防団員によるわちゃわちゃパートと謎解きパートで二極化していて、

役者さんの演技や演出を楽しむ傾向に近い内容だったのが、

前回からは、彩の過去、犯人…と焦点を絞った内容が連続していたのももちろんなんですが。

おさらいがてらに以前の話題を掘り起こしたり、

回想を流しつつ「あの時実は…」な追加情報も加えたりして

過去のエピソードを多めに取り入れながら展開していった事が、

いよいよ大詰めを迎えようとしている緊迫感に繋がったのではないかと思います。

 

そして、太郎(中村倫也)のミステリー小説家という設定もより活かされていました。

推理する様子が随所で描かれていたお陰で、彼の洞察力の高さが改めて伺えましたし、

何より、改題前のタイトルは週刊誌に掲載されていただけで、

そのシーンを真剣に見ていないと改題された事には気づきにくい…というトリックは

まさしく小説家らしくて面白かったです。

 

犯人候補とされている消防団員の見せ方にしても、

聞き込みのシーンや真鍋(古川雄大)の張り込みのシーンで笑わせて油断させてからの。

改題の件で違和感を覚えた太郎が見た消防団の集合写真で、

笑顔で写る団員に対して暗い劇伴で不穏さを醸し出してからの。

平和な劇伴を流しながら和尚・江西(麿赤兒)が言った

「まるでハヤブサが1つの家族のように、何気ない毎日を過ごしています」で

一旦緊張を緩和させてからの。

アイコンタクトと主題歌で、一瞬にして誰も信じられなくなる恐怖を与えて…で

高低差が激しくて、惹きつけられてしまいました。

主題歌と本作の相性は良いなぁとは今までも思っていましたが、

今回はおどろおどろしさが強調されて、ドンピシャでしたね。

 

太郎は犯人の目星がついたようですが、

次回予告を見る限りは、団員たちが東京を観光する様子と、

その後で円卓で太郎が話を切り出すシーンが描かれていた事から、

少なからず、中盤まではお預けを食らう可能性は高そうです。

逆に言えばクイズ形式のように、太郎は誰が犯人だと思ったのかを

団員たちの言動や仕草を見ながら視聴者が考察する楽しみ方も出来るのかも?

ワクワクもんです。

 

 

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ハヤブサ消防団 5話 感想|太郎、騙されてまっせ!

 

 

ドラマ撮影の様子とか、中山田(山本耕史)との情報共有とか、

太郎(中村倫也)と勘介(満島真之介)が話しているのを

意味深な表情で見つめる賢作(生瀬勝久)とか、

いろんなシーンが随所に散りばめられてはいましたが…

それらはあくまでもアビゲイル騎士団に関連したものなので。

大まかに言ってしまえば、今回は彩(川口春奈)の過去がガッツリ描かれたお話でしたね。

 

彼女にまつわる回想が挿入された頻度は計4回で、これだけ多いとなると

肝心の放火事件の真相が放置されていて中弛みしがちな印象を覚えそうなんですが、

"魅せる演出"がてんこ盛りだったお陰で

最後まで惹きつけられるように見てしまってました。

 

まず、さり気ない工夫だなぁ…と思わされたのは、彩の服装のチョイスです。

今回、妙な偏りを感じたんですよね。

と言うのも…回想で日々着ていた彩の服の色は、仕事が充実していて、

初めての脚本執筆も順調に進みつつある時は赤。

上司に手柄を奪われ、ゴーストライターとして都合良く利用されている時は黒。

そして、いざ動画制作に取り掛かり、周囲に認められて正式に信者となってからは白の

3つに分かれているように見えたのです。

色合いにも多少の違いはありましたが(濃いピンク、淡いベージュなど)、

情熱や活発さをイメージさせる赤→絶望をイメージさせる黒→清純をイメージさせる白 で

記号化する事で、彩の心情変化を表しているのが面白かったですね。

 

現在パートだと淡い色の服を着ている分、赤や黒の濃さが目立って、

再び回想が始まったというのも分かりやすいですし。

劇中劇で、赤いチャイナ服を着た女優がネガティブな発言をして自ら首を切る姿を

どん底に追いやられた彼女と重ねるかのような見せ方も、中々凝っていました。

 

次に書き残しておきたいのは…アビゲイル騎士団の象徴でもある「輪」を

連想させるモチーフ・演出が随所に取り入れられていた所。

いつにもなく、やたらと輪を強調していましたよね。

太郎が映り込んだ丸い鏡…彩の瞳に映る輪っか状の電気…コーヒーカップ

教本を読んで思考を巡らせている時の、頭上を中心にぐるっと回転するカメラワーク…

円状のホールや客席(多分、丸く見えるように撮っている?)…

この異質感の連続が、かえって彩の不気味さを浮き上がらせていたと思います。

 

不気味さと言えば…もう1つ、本作は第三者視点の映像が特徴的ですが、

太郎と彩の様子をキツネのぬいぐるみが覗き見るかのようなカットも印象に残りました。

これ…恐らく、自分が騙されている感覚を覚える

「キツネに化かされる」意味合いも含まれているんでしょう。

今回彩が話した内容は半分は真実でも、

退団して免許を取ってからハヤブサに移り住んだ云々は、多分嘘。

一度入信したら洗脳を中々解けないのが宗教ってもんですし、

ラストのガンギマリの目がね…もう、太郎を騙す気満々でしたよね(笑)

 

ここまで演出について褒めまくりましたが、

5話というタイミングで彩の過去に焦点を当ててきたのも

全体構成としては良く出来ていると思います。

後半戦に向けてのターニングポイントとなる回なので、

彼女や宗教団体の存在が、放火事件にも繋がってくるのでは?

という興味が湧きやすくなります。

で、過去ばかりを描いて来たので…逆に、

まだ回収されていない展子(小林涼子)の件、映子(村岡希美)との意味深なラストシーン、

そして真鍋(古川雄大)との関係性…といった不審な点が徐々に思い出されて、

それが早く次を見たい気持ちにさせると言いますか。

とにかく、ここまでの巧みな情報の小出しも含めて、

真相解明のためにしっかり準備を整えて来たのは確かです。

 

いや〜ますます面白くなってきましたね。

宗教の描写も、よくある"形なき教祖様"の崇拝や

怪しげな大振りのネックレスとかではなく、ぱっと見は、若者たちが起業したかのような

開放的なオフィスでやり取りされていく…っていうのにはゾワっとさせられました。

彩の「自分を認めてもらえる居場所が欲しい」心境も共感出来るだけに、

心が弱った人が宗教に片足突っ込むのって、きっとこんな感じなのかもしれませんねぇ。

普段なら、まさか〜なんて思うけれども、私も彼女と同じような状態になったら

ちょっと確信は持てないかもです…(怖)

 

 

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ハヤブサ消防団 4話 感想|時間遡り演出で二度びっくり

 

 

ネットニュースwikipediaによると…

初回の平均世帯視聴率は10.5%、2話は9.4%、

そして、1週分空けて放送された前回(3話)は7.5%だったそうです。

当然ながら、初回は世間の注目度は高く、

2話以降は「視聴継続を決めた人」「とりあえず様子見する人」が見るため、

初回から2話、2話から3話と回を重ねるごとに

視聴率が徐々に落ち始める事自体は何ら珍しくはないのですが、

本作の場合は、3話でガクンと落ちています。

 

やはり、"完全連続型"のドラマであるにもかかわらず、1週お休みを挟んだのが…

挟まざるを得なかったとしても、まだ放送が始まったばかりの2話で…っていうのが

大きく響いた結果だと思います。

編成の組み方次第で、連続モノならではの醍醐味や

物語への吸引力がいかに削がれてしまうのか?が改めて分かりました。

私としては、今期TOP3に入るほど本作を好意的に見ているだけに、

つくづく勿体ない事をしたなぁとは思うんですが…

まぁでも、前回で再び興味を取り戻したお陰か、今回は面白く感じられましたね。

 

今回はミステリーには欠かせない、トリックの魅せ方の上手さが光った回でした。

特筆すべきは、時間遡り演出を"あえて"取り入れてきた事です。

過去に飛ばさず、現在のパートをそのまま進めていっても

別に支障はなかったと言えばなかったでしょうし、

彩(川口春奈)が何者なのか?についても、

映子(村岡希美)と一緒にいた前回のラストシーンを含めて

既に怪しさを漂わせてはいたのですが。

冒頭で、宗教を彷彿とさせる意味深な映像と、

彩と一夜を過ごしたと明かす太郎(中村倫也)のモノローグを提示してきた時に感じていた

「えっどういう事?」というザワつきを

終盤で別の意味に変える手法をとってきたのには、思わず唸らされました。

 

どうりで、言動に時々違和感を覚えた訳だ…

それじゃあ動画制作も経験しているって言うわな…と、

まるで、パズルのピースがカチッとはまったようでした(笑)

宗教団体についても、小さな集落で代々伝わる習わし程度のものだと思っていたので、

ここにもビックリ。

 

また、彩と2人で蛍の光に見惚れるシーンで、

マムシにビビりましたが、よく考えたら蛍も虫でした」と太郎が言っていましたが、

これもささやかな"匂わせ"になっていたんですねぇ。

「蛍=綺麗なもの」という先入観はどことなく、

彩に一目惚れしてしまって以降、全く疑おうとしなかった太郎の心境と重なりますし。

そう言えば虫が苦手だったんだった…とふと気づくくだりは、

彼女の正体を知った途端、一気に不気味な存在に感じてしまう点と

「我に返る」で共通しています。

中々洒落た掛け合わせだったと思います。

 

彩が宗教団体「アビゲイル騎士団」の信者だと分かった所で、

次回は彩の過去とその団体の実態を深掘りしていく内容になりそうですね。

ここまでは正直、疑惑に疑惑を上乗せする展開続きで大きな進展はないし、

事件とはあまり関係のない消防団のお仕事パートの描写も多いので、

普段だったら「引き延ばし」「早く事件の方を進めて欲しい」とツッコミがちなのですが…

個性の強いバイプレイヤーズたちによる掛け合いと

役者さんを引き立てる脚本と演出のお陰で、

脱線している箇所も楽しく見られちゃったりしております。

 

今回で言えば…池井戸作品だからか、途中で「日曜劇場」ちっくな勧善懲悪が

盛り込まれていたのにはクスッとさせられましたが。

中でも、ツチノコ捕獲イベントのシーンで、

後ろでぴょんぴょんしている勘介(満島真之介)と省吾(岡部たかし)には癒されました(笑)

 

 

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ハヤブサ消防団 3話 感想|お休みを挟んだタイミングが勿体ない…!

 

 

う〜ん…初期設定の紹介が終わって、物語が動き出した2話のタイミングで

1週お休みを挟んだのがデカいかなぁ…と思います。

と言うのも、今回の話が通常通りに描かれていたら、没入感も高まって

あちこちで膨らんでいく謎にワクワク出来たかもしれませんが、

休み明けとなると、風呂敷を広げただけで話があまり進んでいない印象の方が

強く残ってしまったんですよね。

ああそっか、そう言えばまだこの段階だった…なんて。

 

いや、決して内容に不満がある訳じゃないんです。

振り返りの描写だって、冒頭で約2分弱も使って、

「不審火」「山原浩喜」「怪しい男」などの気になるワードとともに

今までの話をおさらいしていく方法をとっていたのには、

空いた時間を取り戻そうという丁寧さが感じられましたし。

前回で私が指摘した、クスッと笑える要素多めの消防団パートも

今回は"ガス抜き"に徹していて、

その分、些細な違和感や不気味なシーンを増やす事で

コミカルとシリアスが丁度良い塩梅に仕上がって、

ミステリーとして純粋に見やすくなりました。

ただ単に、3話分放送した上でお休みだったら良かったのにな…ってだけなんです。

前回よりも今回の方が、早く次を見たい気持ちにさせるラストにもなっていましたしね。

 

まぁそれも、先週は平日のゴールデン帯から世界水泳の放送があったので

仕方ないと言えば仕方ないんですが。

でも、他にお休みする事となった「火9」と「水9(未視聴)」は基本1話完結モノでも、

本作の場合は完全に"連続モノ"なので…編成は大事になってくると思います。

例えば、スケジュールの都合上、どうしても2話しか事前に放送出来ないのなら、

せめて別日か当日20時から1時間設けて、「1・2話のダイジェスト版+3話の見所紹介」を

制作してみてもアリだったのかもしれません。

調べてみたら、どうやら8/5の14時30分から

1〜3話のダイジェストはやるみたいなんですけど…ちょっと遅いんですよね。

 

今回は大分あまのじゃく&編成についての感想ばっかりになってしまって

申し訳ありませんが(汗)

放送再開した事で、徐々に勢いが感じられたらな…と願っております。

あと、話はあまり進んでいないとは書いたものの、内容を見ていると…

放火事件の真相は恐らく、愛人が故に疎外される事となった母の子孫(?)による

復讐って所で落ち着くのかどうか?(だから、作品として世に出す事にこだわるのか?)

そこにも注目しながら見てみるつもりです。

 

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ハヤブサ消防団 2話 感想|掛け持ちが増えていく主人公

 

 

消防操法大会の練習に、灯明係に、寺当番に、田舎を舞台にした作品の脚本家に、

そして移住前からの連載の執筆に…と、とにかくお仕事を抱えている太郎(中村倫也)。

立て続けに舞い込んでくるお仕事の描写が、都会から田舎に越してきた事で

今までだったら経験しなかったであろう出来事や、

田舎ならではの洗礼に振り回されている彼の心境を表しているようで良いですね。

 

でもこのお陰で、隼地区について聞き込み調査をする場面が増え、

主人公の存在感も、ミステリ作家という設定も

初回よりも活かされた話になっていた気がします。

誰かとやり取りをしている中で、密かに推理をする意味深な主人公のアップも含めて

しっかり"ミステリー"に見えました。

 

しかし、"ミステリー"として、どう見たら良いのか判断に悩む所もあるんですよね。

それは消防団のパートです。

初回の時は、彼らの楽しげで親しみやすい雰囲気が

今まで見てきたミステリー作品ではあまり描かれなかった分、

意外性が強くて惹かれるように見てしまった訳ですが、

今回の内容だとコミカルな描写も結構多いのです。でも、どことなく怪しい感じだし…。

 

例えば、「それは触れたらあかんで。面倒臭なるで。」と勘介(満島真之介)が忠告していた

郁夫(橋本じゅん)と賢作(生瀬勝久)の関係性は、

放火事件にも繋がる訳ありな過去が後々明かされたりするのかな…?と思いきや、

実際は、ああ、そんな事だったんだ!?とツッコみたくなるような

ぶっ飛んだ真相でしたし。(おじさま俳優による学生コスプレは楽しく見ましたけどねw)

大会の本番でポンプの水圧が急に強くなったのも、

太郎を陥れるために誰かが仕込んだのかと勘繰ってしまいました。

 

分かりやすく言い換えれば、消防団のパートを、

TBSで実写化される池井戸作品でよくある家庭パートと同様に

物語の"ガス抜き"として気軽に捉えれば良いのか、

それとも、放火事件の真相の手がかりとなる重要なパートとして

真剣に見ておいた方が良いのか?そこで少々戸惑っているって事。

役者さん方が役をイキイキと演じられているのは伝わってきますが、

この戸惑いを薄めるためにも、

ミステリー部分でぐいぐい引き込んでいって欲しいなぁ…と思うのでした。

 

とは言え、奇を衒ったり、露骨に煽ったりする演出や劇伴がないので

かなり好意的に見られております。

演出に関しては、冒頭で書いた太郎のアップの他にも、

引きの視点で主人公のいる場所にゆっくり接近していく、

まるで第三者が覗き込んでいるかのようなカメラワークが

随所に散りばめられているのが印象に残りますね。

劇伴も、この言い方が適切か分かりませんが…

基本ふわっとした滑らかな曲調なので、それが物語の没入感を高めてくれるのです。

 

考察するのが得意な視聴者も、そうでない視聴者も自然と謎解きをしたくなる、

そんな作品に仕上がっていると思います。

どうか、風呂敷を広げ過ぎて最後は駆け足…なんて事にならないよう願いつつ、

次回以降も期待して見ていきたいですね。

 

 

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ハヤブサ消防団 1話 感想|こりゃ面白い!夏にぴったりのドラマだわ。

 

 

ここ最近はミステリーには食傷気味になってしまっていた私。

本作も「もしかしたら良さげ…?」と思いつつ、強く期待はしておりませんでした。

と言うのも、犯人候補となる登場人物を露骨に怪しく見せたり、意味深な言葉を並べ立てたり、

思わせぶりなカットの連続だったり、不穏な空気を作るための展開が強引だったり…

次々と生まれていく同系統の作品のほとんどは

やたら不自然さを強調しがちだったので(特に日テレ)、

また"そのパターン"に陥ってしまうのではないか?と不安に感じていたからなんですよね。

 

しかし、いざ初回を視聴してみたら意外と…いや、かなり面白かったです。

確かに、上記に挙げたような定番は所々押さえてはいるんですけど、

全体的には新感覚ミステリーの印象を受けました。

何より、謎多き連続放火事件の真相に迫っていく物語のはずなのに、

住民たちの優しい人柄やアットホームな雰囲気を前面に押し出してきたのが意外だったのです。

親しみやすいキャラだとイメージづけるからこそ、

逆に奇妙な事件が相次ぐ集落の不気味さが際立つと言うか…。

のどかな田舎町のロケーションも効いているし、

不協和音じみた劇伴のかかるタイミングも抜群で、

不穏と温かみのアンバランスさが妙に癖になる内容でした。

 

そして、視聴者の多くが言及しているでしょうが、消火活動のシーンでの長回しの演出も

静かな緊迫感を生み出していて良かったですねぇ。

周囲を見回すカメラワークがね…まるで、現実離れした世界を

動揺しながら目の当たりにしていく主人公視点にも思えたんですけど、

実際の主人公はただ画面に映り込んでいるだけだったんです。

それがまた、どことな〜くゾワっとした感覚を覚えまして。

小さい頃の出来事とは言え、太郎(中村倫也)が何も覚えていないっていうのも不思議で、

もしかして催眠術で記憶を操作されている…?

実はカメラマン側も登場人物で、彼が無意識に閉じ込めていた"分身"として描かれたりして?

なんて、考察が苦手ながらもぼんやり想像してしまいました。

まぁ…さすがに後者は考え過ぎかしら。

 

キャストもみんな、犯人役を卒なくこなされる(こなされそう)な

方々ばかりなのも興味がそそられます。

というかむしろ…周りの顔圧が強めだからか、中村倫也さんの元々さっぱりした顔立ちが、

短髪なのも相まって余計にさっぱりして見えるような(笑)

 

太郎と一対一で関わった人は、彼の前から姿を消す法則でもあるのか…?とすら思える

強烈なラストもミステリーにおいては定番ではあるんですが、

話がどう転がっていくのか探り探りで見てきてからの衝撃展開なので緩急が凄まじく、

純粋に、早く次を見たい気持ちにさせられましたね。

 

実写化されるのは銀行!買収!ばかりの池井戸作品ではありますが…

そっち方面じゃないお話の方が楽しめるのかもしれません。

そして、昨日は「ばらかもん」が今期1位かも?なんて事を書きましたが、

本作の初回を見て、早速心が揺らいでおりますw

テレ朝のドラマでガッツリ掴まれたのも久しぶりですし、

「今日は〇〇だ♪」と思わず心が弾んでしまうドラマが何作かあるのも久しぶり。

今期は火・水・木曜が充実しそうです。

 

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