2023年夏ドラマ-家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった一覧

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 3話 感想|七実にとって今の人生は…

 

 

「パパなんか死んでまえ」と言ってしまったあの日が頭から離れられず、

今も深い深い罪悪感から抜け出せずにいる七実河合優実)。

何か口に出すと「前のママが消えてしまう前に何とかせんと」

「また昔みたいに戻れるよう頑張らな」という、焦りから来る言葉ばかり。

 

周りの人たちは、母に尽くす七実を「立派」「ほんまにええ子」と褒め称えるけれど、

本人はそう言われるたび、いつもどう返して良いのか複雑な表情を見せる。

彼女にとって"今の人生"は贖罪の人生であり、今度は母まで悲しませないようにと、

父との失った時間・幸せを他のものに代えてでも

必死に取り戻そうとして生きているのが伝わってきます。

 

親孝行自体は、親にとっては嬉しいものなんですが…

七実の事情を知っているひとみ(坂井真紀)からしたら、自分(=七実)の人生なのに

自分のために生きていないように思えて、心が痛む部分もあるんじゃないかなぁ。

家での工事で作業員が来ており、七実が大学に向かうシーンで

「でも大学も楽しんで来なさい」と言っていた時の表情が、少し悲しそうに映りました。

 

ただ、ママを幸せにしなきゃという七実の気持ちにも共感出来まして。

と言うのも…これは個人的な話ですが、私の母からは、祖母が元気に過ごしていたのに

ある日突然家の中で足を滑らせて、今から考えたらとても早い年齢で亡くなってしまったので

「もっと親孝行すれば良かった」とは聞かされていましたし、

父の場合は、あまり帰省出来ていなかったために、久々に祖母のお見舞いに行ったら

顔を忘れられていたという苦い経験があったからなんですよね。

両親どちらも、後悔は抱えている。

私自身も七実ほどではないものの、たらればの将来になってしまわないように

お祝い出来る時にちゃんとお祝いしたり、

どこか一緒に行ったりして親を喜ばせようとは心掛けているので…

悔いを少しでも作らないように生きる彼女を、同じ娘目線で見守りたくなってしまうのです。

いや、でもな…やっぱり、今の七実を見ていると苦しい。

少しでも自由になって、幸せになって欲しい…とも思います。

 

車椅子でも大丈夫なのかと不安視されていた沖縄旅行については、

さすが観光業が主要産業になっているからか、

バリアフリー化がかなり進んでいるのには驚き。

特に、グラスボートに気後れしていたひとみを、周りのお客さんが何の気取りもなく

運んでくれている所なんかは、考えさせられるものがありました。

従業員じゃなくて、まさかの遊びに来ていた家族持ちのお客さんなんですよ。

物事を楽しめるかどうかは本人の気持ちだけでなく、周りがどうやって接しようとするかも

重要なんだな…と、勉強にもなったエピソードでした。

 

そして最後には、冒頭のシーンで、昔はそんなにええもんか?と持論を唱えていた

芳子(美保純)の真意が明らかに。

「変わらんでええ。昔もええ。今もええ。

一生懸命食べて、一生懸命生きてればそれでええ。」かぁ……。

長い時代を生きてきた人の言葉は重みが違います。

本作の舞台は2015年なので、そこから逆算すると…多分、60代なんでしょうか?

回想で一瞬映ったのは、さつまいもが入った茶碗だったかも。

戦争が終わり、しばらく貧困の生活を送っていた中で、

主食がさつまいもだったとしてもご飯を食べられる事に幸せを感じていたあの頃を考えると、

今では自分の足で大阪に戻れたり、仲間とワイワイ出来たり、

食べたいものをたくさん買って好きな時間に楽しんだり…

自分らしく過ごせる選択肢が増えて、それが嬉しくてしょうがないんだろうなと、

ちんすこうを噛み締めるように食べる彼女の姿を見て、ふと、想像してしまいました。

 

ああ、今回も充実した話だったなぁ…。

時折シュールな小ネタを挟み込んで来るんですけど、

描いている内容はとても濃密なんですよね。

 

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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 2話 感想|ママが生きたいって思えるようにしたい

 

 

ヒュウィゴー!とかバキューンとか、病気や障がいなどを扱っている作品では

到底聞く事もないであろう効果音が聞こえてくるという…(笑)

まさか、ただのモブキャラだと思っていた先生が物語にガッツリ絡んでくるとは。

七実と環(福地桃子)に頼られるようになってからは

服装も動きも分かりやすく変わったのと言い、

英語の補修エピソードはシュールの極みで、いちいちクスッと笑えました。

 

しかし、笑い所が押さえられた話ばかりでは、上記の設定を扱う意義が感じられない

軽〜いドラマになってしまうので、母と娘にとって「辛かったあの頃」は丁寧に描きます。

数年後にひとみ(坂井真紀)が軽やかに車椅子を動かす様子は前回で描かれているので、

そういう"未来"があると思うと少し安心して見られはするんですが、

やっぱり…辛いものは辛いんですよね。

だって、今まで普通に歩いて過ごしていたのが

ある日病気がきっかけで下半身不随になって、

もう二度と歩けない、今後一生車椅子の生活を強いられるんですから。

絶望以外の何者でもないでしょう。

「頭と心がはっきりしてるから、自分がもう終わった事がはっきり分かるんです」と

ひとみが言っていたのを入り口でたまたま聞いてしまった

七実のカメラワークもグサッときてねぇ…(泣)

その時の顔をあえて映さず、下半身だけを映した事で

七実のショックがよりダイレクトに伝わってきて、

こんなん出来たで!と言いながら見せるつもりだったバルーンアートを持つ手が下がってきて…

ああ…足を何歩も動かしながらゆっくり去っていった辺り、

聞かなかった事にしてその場を去ろうとしていたのかな…などと想像しながら見てしまいました。

 

その後は、七実はたまたま見た大道芸人の芸をきっかけに

ニューヨークで大道芸人になる事を目指し、海外を渡るために必要な英語を猛勉強。

ひとみはリハビリを重ねていきます。

2人の変化とアクションを起こす様を見ていると、

本当、「人生は山あり谷あり」だなぁ…と思わされるんですよね。

まさにそのことわざが映像化されていると言いますか。

今回の内容の順序を辿るなら…

夢を叶えるために本気で英語を勉強している七実に触発されて、

人生を諦めかけていたひとみも再びリハビリを頑張るようになり、

数ヶ月が経って七実が環と英会話出来るだけの実力がついてきたら、

ひとみも車椅子の乗り降りが自力で出来るようになる。

お互いで切磋琢磨しながら1つの壁を乗り越えられたと思ったら…

今度はまた別の壁にぶち当たるんですね。

 

七実は英語力は身についたものの、本当に自分に足りなかったものは社交性だと、

積極的にニューヨークの大道芸人と連絡先を交換しに行く環を見ながら気づきます。

楽しみにしていた母とのお出かけも、

つい周りに「すみません」「ごめんなさい」と言いながら道を渡ってしまうし、

ひとみもひとみで、娘に気を遣わせてしまい罪悪感を覚えつつ、

まるで自分が"悪い者"扱いされているようでモヤモヤを抱えていました。

 

どちらも悪気はなく、大切な人を想っての言動だっただけに、

2人の気持ちが徐々にすれ違っていく様には苦しい気持ちにさせられました。

でも、本音を話し合った末、七実が「ママが生きたいって思えるようにしたいねん」と言い、

大学で福祉を学ぶという新たな夢が出来てからは、少しだけ希望の光が見えた気がします。

 

話の流れを長々と書いてしまいましたが(苦笑)

それだけ、2人の心境の変化がじっくり描かれていて。

数年後のあの姿に至るまでに、2人にどんな紆余曲折があったのか?が

視聴者が自然と共感・応援したくなるように、物語が紡がれていたと思います。

 

日常描写も結構好きなんですよねぇ…私。

今回で言えば、七実と草太(吉田葵)が母のいる病院まで電車に乗るくだりとか、

最後の合格祝いの食卓シーンとか。

草太は意外と…と言うと失礼かもしれませんが、

マイペースのようでお姉ちゃんよりもしっかり者ですよね。

障がい者だから」誰かに頼りっぱなしとは限らない。

 

苦しい中にも小さな喜びや成長はあるし、みんなで嬉しい出来事を共有したい時もある。

家族との日常って良いな…と、しみじみ思わされる作品です。

 

 

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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 1話 感想|可哀想なのか、普通なのか。

 

 

※2024/7/9に再放送された回を視聴。

去年BSプレミアムで放送されていて、評判が良さそうだったので

いつか総合でも見られたら良いな〜…と楽しみにしていた本作。

事前情報を入れていたのは、「ふてほど」より前に錦戸亮さんと河合優実さんが

共演されていた事くらいで、あとはどんな話になるのかも何も知らない状態で視聴しました。

 

だからか、家族を描きながらもちょっとシリアス寄りというか、

どこか切なさを感じさせる作品なのかと想像していた私からしたら、

登場人物もやりとりも劇伴も地味にシュールな作りだったのにはびっくりしちゃって(笑)

でも、終盤になって話が一気に深刻な方向になって、シュールだけではない事が判明。

ここからは闘病モノ?と思っていたら…

ラストに七実河合優実)からこんなモノローグが発せられたのです。

 

「家族の死 障害 不治の病…どれか一つでもあれば、どこぞの映画監督が泣かせてくれそうなもの。」

「それ全部、うちの家に起きてますけど?」

これ、痺れましたねぇ。達観した様子で淡々と語るのがまたグッと来たんですよ。

と同時に…劇中で度々入り乱れる形で挿入されていた回想が何を意味するのか、

パズルのピースがカチッとはまるかのように理解出来ました。

 

車椅子になった母、既に他界した父、ダウン症の弟。

周りからは可哀想だと思われる事でも、七実にとっては"普通"なんですよね。あくまでも。

人生を長く生きていると、全ての不幸が自分に降りかかっているんじゃないかと思うくらい

ツイていない時期がある。

けど…どんなに不幸な日々を送っていても全部が不幸という訳ではなく、

嬉しい時、楽しい時だって訪れるし、

逆に、心から嬉しい楽しいと感じられるのは

それまでの積み重なった不幸や苦悩を経験しているからで、

その苦い思い出はいつまでも忘れないでしょう。

 

岸本家だって同じで、例えば、出産した我が子がダウン症だと診断された時は

かなりショックだったでしょうけど、

通学班のメンバーと打ち解けられたり、お風呂のアヒルのおもちゃを掃除してくれたり、

1人でバスに乗って帰宅出来たり、現在(2014)ではおつかいで注文通りのものが買えたり…

「ママが無理だと思う事」は何でもやり遂げて、そのたび、ママを喜ばせてくれた。

人生は苦しい事ばかりではないし、決して幸せな事ばかりでもない。

回想の挿入の仕方には、この意図が含まれているんじゃないかな?という気がしました。

 

本作だけでなく、他のNHKドラマや朝ドラを見て思うのは…

重い題材を扱いながらも「お涙頂戴」として安く消費される事がないように、

かと言って、悲劇の要素を排除し過ぎて軽い仕上がりにならないように

細心の注意を払いながら作られているんですよね。

あまり比較はしたくないですし、他局にも良いドラマはありますが、

そこが、NHKドラマが一定数評価されている理由かなぁと思います。

本作の場合だったら、彼女の弟が障がい持ちだったと知ってから

露骨に態度を変えるのではなく、むしろ、真剣に付き合っているからこそ

弟の面倒を見る自信がない…として、

彼氏・旭(島村龍乃介)が誠実な人に映るように描かれていたり。

車椅子生活を余儀なくされ、涙を流していた母・ひとみ(坂井真紀)が

数年後、次の場面に切り替わった時には一転、

自ら車椅子を軽快に動かす様子が見られたり。

とにかく、日常で起こる"普通"の事は"普通"に描き、安易に感動を誘ったりはしない…

そんな作品にするという作り手の意思が伝わってくる初回になっていたと思います。

 

何となくカッコつけた書き方になってしまいましたが(笑)

単純に、岸本家の人生を覗き見してみたい…そう興味を湧かせてくれました。

主演の河合優実さんは先ほども書いた「不適切にもほどがある!」で認知しましたが、

河合さんの演技は、役を演じているのではなく、ただそこにいる人のように見えるんですよね。

まだ初回ではありますが、評判が良かったのも頷けます。次回も楽しみです。

 

※本放送は2023/5/14〜7/16。

当ブログでは、地上波・BS・CS・配信関係なく、世に初公開された日を基準にしているので、

本作の感想は「2023年夏ドラマ」のカテゴリーに入れさせていただきます。

 

↓次回の感想はこちら↓

 

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