2024年秋ドラマ-宙わたる教室一覧

宙わたる教室 3話 感想|みんなの想いを乗せて走ったオポチュニティ

 

 

うーん…取り扱うものがものだっただけに、今回は一際重い回でした。

佳純(伊東蒼)の気持ち、真耶(菊地姫奈)の気持ち、

佐久間(木村文乃)の気持ち…頭の中でぐるぐる考えながら見ておりました。

 

保健室で久しぶりに会った佳純に「うちら同類でしょ?」と言った真耶。

一気に距離を縮めてくるので、佐久間が注意したように、

たとえ家庭環境などで心身ともに同じ傷を抱えていたとしても

今は1人だけでいたい人、仲間を探して辛いのは自分だけじゃないと思いたい人、

それぞれに自分なりのペースがある訳で、

きっと、佳純もどうやって接したら良いのか動揺していた所もあったかもしれません。

でも、真耶の気持ちも分かるんです。

学校にも家庭にも居場所がなく、心にぽっかりと穴を空けたまま毎日を過ごしていたのが、

ある日偶然、佳純に会えた。

自分は孤独じゃなかった。自分の苦しみを分かち合える人に出会えて

嬉しくてたまらなかっただろうなとも思います。

ただ、共依存になるんじゃないかという恐れも感じて、複雑ではあったんですよね。

 

藤竹(窪田正孝)の誘いで物理準備室に入ろうと決めたものの、

知らない人の声が聞こえて、入り口の窓がすりガラスなだけに中も見えなくて

自分が入っていいんだろうかという不安で押し潰されそうになる所に

アンジェラ(ガウ)が話しかけてくれて、第二のハブが出来そうで良かったと思うと同時に、

後ろで見ていた真耶の反応に胸がキュッとなりました。

みんな種類は違えど思いやりのある人たちばかりなので、

佳純に新たなハブが出来そうな予感がする。それは喜ばしい事なんです。

けれども…このまま2人の距離が遠くなってしまったら

真耶は自暴自棄になるだろうし(だからオーバードーズしてしまったんですし)、

真耶について行ったとしても、共倒れの道を辿っていくだけ。

だから、どちらも最善の道とは言い切れない…

やっぱりここは大人が手を差し伸べて欲しい…とも思うんですけど、

重要な物事を任された大人だって、いつも正しい選択が出せる訳ではないんですよね。

 

真耶を突き放したとも取れる佐久間(木村文乃)の発言は確かにキツく聞こえたんですが、

そうした理由を話す時に声がだんだん低くなっていったり、

「自分を救おうとする人間しか、私は手助け出来ない」と言った時には目が泳いでいたり、

後で思い詰めた表情を見せたり…強気な言動とは裏腹に、後ろ向きな姿が多かったのです。

厳しく接した後も、本当にこれで良かったんだろうかという葛藤が見えた。

だから、私は彼女を責められませんでした。彼女は多分…とっても不器用な人なんだなって。

佳純が見つかってハグしにいったシーンだって、

佳純が無事で良かったという安心の気持ちももちろん入っているんだろうけれども、

また同じ過ちを繰り返さなくて良かった…という安堵も含まれていたんだろうとも思います。

 

2人のハグシーンは一瞬、オポチュニティとスタッフの間にある特別な関係性を思わせて

感情が込み上げてくるようでした。

藤竹の話によると、運用期間3ヶ月の予定だったオポチュニティが15年も持ったのは、

想定外の幸運が重なった事もあるけれども、

オポチュニティが出来るだけ長く旅を続けられるように

スタッフがあらゆる努力を重ねたから…らしいです。(その話も泣けたなぁ…。)

佳純も佐久間もまだまだ足りない部分はあるけれども、何か問題にぶつかるたびに

自分の歩幅でゆっくり克服していけたら良いですよね。

そしていつか、真耶もフォローしてあげて欲しい。

それぞれの未来を願いたくなる、そんなシーンでした。

 

佳純は科学部に入部を決め、記録係を託される事に。

岳人(小林虎之介)は積極性に溢れていて部員をグイグイ引っ張ってくれますし、

アンジェラ(ガウ)は大気を安定させてくれる存在です。

2人が様々な事情で文字書きが苦手な代わりに、佳純が補ってくれる。

得意な部分も苦手な部分もお互いカバーし合える、中々素敵なチームなんじゃないでしょうか。

そこに次回から長嶺(イッセー尾形)が加入するようで、

どんな化学反応を見せてくれるのか楽しみです。

 

火星の空を見つめる3人のシーンで終わりなのも良かったですね。

見終わって気持ちよく眠れそうな余韻を残してくれました。

キラキラした目で見つめる3人のカットが今回のサムネイルにもなっていますが、

やっぱり、何かに夢中になれるものがあったり、

夢や目標に向かって一生懸命打ち込んだりする時の表情は美しい…というのを

このドラマは教えてくれます。

大人になってから…そんな経験をした事があったかな?

ちょっと羨ましくもなっちゃいますね。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


宙わたる教室 2話 感想|知識を活かして生まれたささやかな奇跡

 

 

2話は越川アンジェラ(ガウ)の回。

ペンケースを盗んだ疑惑をかけられるマリ(山﨑七海)の元に仲裁しに入ったり、

傷ついてそうなマリには親身になって母親の事まで気遣ったり、

喧嘩が起きそうなのを察知して止めたり、おまけに店も兼業していて…。

いつも周りをよく見ている人なだけに、

相手を優先し過ぎて、自分を犠牲にしてしまっていないかな?と

序盤のうちから気がかりだったんですけど、

なるほど…マリの中学時代の件が関係していたんですね。

 

自分はもう若くないからと、夢を諦めて退学しようとしていた彼女に

藤竹(窪田正孝)がかけた言葉は「夢に優劣はありませんよ」。

こういった、相手をハッとさせるような的確な言葉をかけてくれる存在が

身近にいると、本当に心強い。

〇〇オタクでその分野にしか興味がないという登場人物はよくいるけれど、

彼の場合、科学や物理と同じくらい人の心にも興味を持っていて、

感情の機微にすぐ気づける一面もあるのがとても魅力的です。

「大気を安定してくれる人」という表現も素敵だなぁと思いました。

終盤でアンジェラについて話す時、基本、目を合わせずやや下を向いて話しているのに、

その褒め言葉を言う時だけ一瞬溜めて、少し恥ずかしそうにチラッ…と目をやる所なんかは

素直じゃなくて可愛らしくてw

思わずニヤニヤしましたよ。

 

素直じゃなくて…で言えば、岳人(小林虎之介)のシーンも、鉄板ながらグッときました。

2人の事は勝手にやめろよと言いながら、自分は昼の時間をわざわざ使って

高校に乗り込んでくるという。なんつう情に熱い男だ!(笑泣)

…でも、彼がここまで行動を起こせたのも、前回、藤竹に背中を押された経験があるからで、

クラスメイトの背景を知って自分の苦しみと重なり、人のために動こうと思えた。

メイン回じゃなくなっても、いろんな人との関わりを通して

地道に成長していく描写が見られるのは群像劇ならではです。

 

最終的にペンケースを盗んだ犯人は分かったものの、

校長が上手く収めてくれるだろうという事で

そこはやんわり終了…ですが、個人的にはそれで良い。

あんなに意地悪してくる人は大体プライドが高くて、

無関係の人を責めていた自分が恥ずかしくなっても、謝りには行かないもんでしょう。

むしろ、マリももう彼女たちには会いたくないと思います。

最後になって漂白されて「ごめん…」と反省するラストを用意しなかったのも、

ドラマ臭くなくて好感が持てました。

 

そして、ラストの実験シーンは、ささやかな奇跡を目の当たりにしたようでちょっと感動。

確かに、アンジェラは言語の問題や環境の違いもあって、

他の生徒たちの学力にはまだ追いつかないのかもしれないけれど、

長年お店を経営してきて培った知識がある。

自分はもう…と諦めかけていた彼女の人生が肯定された瞬間だったし、

あれは3人だから成功出来た実験だった。

子供心を取り戻したかのようなアンジェラと岳人の無邪気さの後ろで、

微笑みながら見守る藤竹の構図で終わる。

喜ぶシーンなのに、2人がもし藤竹と出会っていなかったらと想像すると…

出会いの貴重さに何だか泣きそうになります。

 

「ヤンキーだから」「外人だから」と差別されて生きてきた人々が集う定時制高校だから

彼らの言動には時に危うさや脆さも感じさせるんですけど、

最後には、少し肌寒くなってきた体をじんわりさせてくれるような温かさが待っています。

秋にぴったりな作品な気がしています。

今期のドラマはそこそこ充実していますが、本作は上位に来るほど好きです(笑)

これは最終回まで感想を書く事、確定ですね…。

(遅くなっても最後まで投稿出来るように頑張ります!)

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


宙わたる教室 1話 感想|夜の学校だけど、キラキラ眩しい青春が見える。

 

 

生きづらさを抱える人に救いの手を差し伸べるドラマをNHKに作らせたら、

もはや安心・安定感がありますね。

全体的に落ち着いたトーンで物語が進み、視聴者が登場人物のその時の感情について

考えてしまいたくなる間(ま)はきちんと用意されていて、

一方で、優しくピュアな曲調の劇伴は、時が経って忘れかけていた

子供の頃のワクワクした気持ちを思い出させてくれるかのよう。

またしても、上質な作品になりそうです。

 

空はなぜ青いのか?という問いに対する解釈が人それぞれで、

みんなで囲んで検証してみる光景は特に、

かつて同局で放送されていた「ここは今から倫理です。」を彷彿とさせました。

もう記憶も鮮明ではありませんが、

最終回の主な内容が、教室で"授業"として設けたグループ対話で、

それぞれが自分なりの考えを発言して、徐々に話し合いに熱が帯びていく様を

時間をかけて見られた事が斬新だったのを覚えています。

主人公である教師・藤竹(窪田正孝)は基本淡々と、飄々としていて、

感情をあまり表に出さない所も何となく似ています。

なんでその作品名を挙げたのかというと…要は、本作も好みかもしれないって事なんですよね。

 

今回取り上げられた生徒は、ディスレクシアという、

読み書きに困難を感じる障がいを抱えた岳人(小林虎之介)。

前期視聴していた「ひだまりが聴こえる」でもそうだったんですが…

やっぱり、小林さんの感情の演技には胸を打たれるものがあるんです。

怒りや悲しみをぶつける時の真っ直ぐな目が、光が当たってより鋭さを増す目がとっても良い。

目の奥に常に輝きが見えるんですよね。

だから、本気で怒っていたら、こちらもしっかり受け止めようって気持ちになりますし、

本気で泣いていたら、一気に涙腺にきて泣きそうになってしまいます。

 

読み書きが苦手なのには理由(名前)があると知ったら、

自分のせいじゃないと分かって安心だろう、

病気を理解したらあとは一歩ずつ前進するのみだ…と前向きに捉える人もいるでしょうし、

三者である視聴者もポジティブになって応援したくなるけれども。

当本人はきっと、周りに追いつこうと、親に迷惑をかけないようにしようと

頑張ってきた努力だったり、不安や焦りと闘ってきたこれまでの"人生"が、

「障害」とサラッと言われた事で、

無駄だったと言われているかのようで辛かったのだと想像出来ます…。

「俺は…怠けてた訳じゃねぇ。努力が足りなかっただけだ。」と

自分を責める言葉が、苦しかったです。

 

空はなぜ青いのかの実験風景は、そう言えば、学校の実験の時間はいつも楽しかったよなぁ…と、

子供の頃を懐かしみながら見ておりました。

「数が苦」であり「科が苦」だった私からしたら、何かに対する純粋な興味や向上心が

そのまま"青春"に繋がっていく生徒たちが羨ましいですし、キラキラと眩しく映ります。

 

夜の時間帯で、落ちこぼれた人たちが集うという

負のイメージを持たれがちな定時制高校だけれども、この教室では明るい光が灯っている。

生徒たちにとって、藤竹と出会えた事は人生の宝になるだろうなと…

1人1人が悩みと向き合って、少しずつ変われた先の展開が楽しみになる初回でした。

最終回は泣いちゃうんだろうなぁ…。←もう最終回の話をしている人(笑)

 

 

↓次回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ