2025年夏ドラマ-19番目のカルテ一覧

19番目のカルテ 8話(最終回) 感想|まだ始まったばかり

 

 

ああ…赤池田中泯)が徳重(松本潤)と話したがらない理由は、

前回の冒頭の回想も関係していたんですね…。

 

文章の流れ的に感想ではカットしましたが、講義中に誰も話を聞いてくれなくて、

「お〜い…!聞いてるか」と助けを求めたくなるほど

寂しそうにしていた赤池の姿が、頭から離れずにいたんですよね。

前回見ていた時、なんでみんな彼の話に興味がないの?と不思議だったけれども、

私は総合診療科のお仕事をドラマを通して見てきたからそう感じるのであって、

当時医療業界志望の学生からしたら、

あまりにも現実味のない話だと軽く受け流されてしまっていたのかもしれない。

見向きもされない。自分の行為が未来に繋がっているのかどうか分からない。

赤池は、先の見えない不安や孤独と常に戦い続けて、

そんな中で難病にかかって、諦めの境地に至ったんだと思います…。

 

赤池を診察するシーンでの、松本潤さんと田中泯さんによる数分間の対峙は、

リアルタイムで物凄く贅沢で貴重なものを見ている気持ちにさせられました。

田中泯さんの演技はもう言わずもがなで、存在感で圧倒させて

独自の世界観へと引き込もうとされるんですけど、

それに対して松本潤さんはその世界観に呑み込まれる訳でも、負けじと攻め返す訳でもなく、

全てを受け止めようとされているんです。

今思えば、本作での松本さんは"受けの芝居"に徹していたような気がします。

バックで静かに流れている、カン…カン…と秒針が動くような劇伴が

また緊迫感のある空間を生み出していました。

あのシーンは、最終回の中で実に見応えがありました。

 

赤池じゃないけれども、

「先生、総合診療科は、ようやく始まったばかりじゃないですか。」という徳重の言葉には

私も一気に涙腺に来てしまって…

だって、今までの内容を見ていればその通りなんです。

魚虎病院は、少しずつ変わりつつある。最終回でもそれは証明されていました。

例えば、院長戦で対立し合っていた北野(生瀬勝久)と東郷(池田成志)は

相手の意見を尊重して仲直りの出来るしっかりした大人で、

魚虎を支えたいという共通意志のもと、次のアクションを起こす。

これから臓器を切られるのに、頼もしい医者たちに囲まれウキウキしていた徳重の表情。

仕事の会話や何気ない会話で賑やかになった休憩室。

最初は休憩中に仕事の話を持ち込む事を嫌がっていた大須岡崎体育)が、

まぁたまには良いかと思えるようになって。

康二郎(新田真剣佑)は賑やかな声に、居心地の良ささえ感じているようでした。

 

いろんな人の集う休憩室のシーンを見てふと思うのは…

この中に鹿山(清水尋也)がいないのが寂しいという事。

前回含めて患者を全員再登場させて、群像劇風に様々な医者の出番を作って…となると、

そこに鹿山も含めて"完全"な状態の最終回を作り上げたかったのに

事情があって"完全"ではなくなってしまった、

本当はその状態で視聴者にお届けしたかったのに

変更せざるを得なかった制作陣の悔しさは、どうしても想像してしまいました。

でも、出演カットによる編集の違和感は全くなかったです。

なかった…という事は、報道されてから短い期間で

視聴者に少しでも事情をお察しさせないよう、自然な繋ぎを徹底的に心がけた

制作陣のお陰とも言える訳で。

"最善"の形で最後まで作品を届けて下さり、ありがとうございました。

 

劇中の描写を借りるとするなら…撒いた種から、長い時間をかけて芽が出始める。

そんな「『物事の始まり』の過程」を見届けたドラマだったように思います。

また、総合診療科の大きな窓から漏れる眩しくも柔らかい光、

窓から吹くそよ風が本作の雰囲気にぴったりで。

患者が総合診療科に来た事による安堵感や、

医者同士の輪が徐々に広がる事で生まれる可能性、医者の根本にある優しさ…

全部まとめて、様々な想いを抱えてそこにいる人を

そっと照らしてくれている所も好きでした。

 

膨大な数のドラマの中から、感想を書きたいリストとして本作を選び、

感想を最後まで書く事が出来て本当に良かったです。

そして、日曜劇場で本作が見られたのは、嬉しかったですね。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

↓今までの感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 7話 感想|話数が少ないのだけが惜しい!

 

 

今期のTBSドラマは、9月13日から「世界陸上」が始まるためか、

どのプライム枠も最終回の日程が早いです。

火10と金10の初回放送日がそれぞれ7/1、7/4とやけに早かったのもそのためで、

火10は既に放送終了しています(金10は今週終了予定)。

本作の場合は7/13にスタートし、翌週に休みを挟んだので話数はどうなるかと思いましたが、

本作も例に漏れずで、全8話という短い話数で終わるんですね。

 

上記の事情があり、通常よりも話数を短縮したしわ寄せが来ているのか…

今回の内容は、エピソードを詰め込んだ感がありましたね。

夏休みで診療所にやってきた徳重(松本潤)と赤池田中泯)による、

ちょっとした違和感を漂わせながらのひと時の日常パートと、

初めてメインで手術を行う事になる若手外科医・戸田(羽谷勝太)率いる

魚虎病院の医者たちが患者に寄り添うお仕事パートを同時並行…。

超好意的に解釈すれば共通点はないとは言えないんですが、

やはり繋がりを感じにくい内容が交互に展開されていく構成になっていたので、

見ながらやや集中力は欠けてしまいました。

 

あともう1つ疑問だったのは、最終回前の段階で

戸田をメインにしたエピソードを持ってきた事。

私が忘れているだけだったらすみませんが、今まで目立った出番があった記憶がなくて…

滝野(小芝風花)たちとの絡みも見てないような?誰だったっけな?状態に(汗)

(↑出演者のファンの方、ごめんなさい…^^;)

だからか、よく知らないサブキャラクターが

このタイミングで中心に描かれている事に、唐突感を覚えましたね。

まぁ、ここ数話での医者たちの関わりを見ていれば、

きっと彼とも交流する機会があったのだと捉えられなくもないですが…

滝野や康二郎(新田真剣佑)、先輩の茶屋坂(ファーストサマーウイカ)などと

絡んでいる様子がある程度描かれた上での今回なら、

一歩成長しようとしている彼への応援の気持ちも増した気がします。

 

しかし、ここまで惜しい点を書いてきたものの、

徳重不在の魚虎病院パート自体は、今まで本作を見てきた醍醐味を感じられたというか、

良いなぁ…と思える所が節々で見受けられたのも事実です。

例えば、患者・小田井(マギー)1人に対して、滝野・戸田・茶屋坂・康二郎の

複数の医者が診察をするシーン。

医者と1対1の診察を想像して来ている患者の立場で考えたら

えっこんなに!?とびっくりするかもしれませんが、

人の命にメスを入れる重大さを理解した上で真摯に向き合う康二郎がいて、

患者目線に立って本音で共感してくれる茶屋坂がいて、

旅行の話で患者の不安をほぐした滝野が戸田にバトンパスをし、

バトンを受け取った戸田が、最後まで責任持って手術しますという誠実な姿勢を見せる。

そしてみんなで、患者に微笑んだりしっかり目を見たりしながら、安心感を与える。

 

この一連の流れ、「ここは私に任せて!」という医者同士の思いやりが見えれば、

個々が自分なりの考えを伝える事で、患者の恐怖を取り除いてあげたいとする

頼もしさも感じて、素敵な連携プレーだと思えました。

と同時に、赤池の下で教わった徳重が魚虎にもたらしたものは大きく、

徳重の考える医療のあり方ってこういう形なのかもしれない…とも考えさせられました。

 

「月並みな言葉ですが…あなたは1人ではない。そういう事だと思います。」

これは、初めて執刀する事への不安と緊張が拭えない戸田に対して

康二郎が言った言葉ではありますが、

先ほどのプロフェッショナル溢れる連携プレーもそうですし、

先輩医者たちによる戸田のサポートの様子を見た上だとスッと心に響きます。

…同期の飲み会で鹿山(清水尋也)が

「誰も、俺たちの話なんて聞いてくれないと思ってたけど、

自分たちから話せば変わる事もあんのかもな。」と言っていたのも印象的。

徳重と関わった医者が、他の医者や総合診療科と

積極的にコミュニケーションをとるようになる変化は、

回を重ねるごとに感じられましたから…。

(今更書くけれども、前回関わった医者が、次回のOPで登場してくる映像も好き。)

 

診療所パートの方は…というか、夕陽が照らされる浜辺で2人で語るシーンは、

田中泯さんがダンスを踊るように語られる演技&撮り方なのもあって、

芸術作品を見ている感覚にもなりましたね。

で、最後に徳重が病名を言っているのを見ると…

正直、やっぱりあと2話くらいあれば

徳重の診察がもっと見られたのかな?とは思っちゃいます。

最終回は2時間拡大でもないから、本当に短い…!

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 6話 感想|終末期患者と向き合う

 

 

以前から「なんでも治せるお医者さん」を目指すと言っていた滝野(小芝風花)。

入職式での希望に満ち溢れた彼女の姿から、

終末期医療に移る患者・半田辰(石橋蓮司)のシーンへと切り替わる流れを見て…

ああ、これは今回泣かせにかかるつもりだと、冒頭の時点で覚悟しました。

 

まだフレッシュさの残る若い医者が終末期の患者と向き合うという

成長物語の醍醐味であろうお話に、患者役を演じる役者さんの熱演。

過剰なお涙頂戴の演出さえなければ、

正直、感動する事はほぼ確定と言っても良い組み合わせなんですね。

なので私自身も、2人で辰の作った家や町の思い出を共有して"マブ"になれたり、

シャルウィダンス?と辰が手を差し伸べてから滝野と踊ったり、

そういったエピソードの積み重ねがあった上で最期を看取るラストには

確かに泣けてしまったのですが…

いや、鉄板の内容だけに、「泣けた」「感動した」で終わる訳には行かないぞ?と

逆張りしてしまう自分もいまして。

果たして今回の内容が、総合診療科が舞台のドラマで取り上げるべき内容だったのかは

少し疑問にも思いました。

 

「本当に終末期の患者には、これからはないのかね?

これからがどんなに短くても、最後の瞬間まで人生は続く。それに、私たちは付き添う。」

という赤池田中泯)の発言を聞けば、

今回の仕事も総合診療科の範疇だとギリギリ捉える事も出来るんですけどね。

ただ、若い女性が終末期の患者を…というお話自体は、冬クールの某研修医ドラマでも、

去年のドラマでも見ているので、どうしても既視感が先行してしまったのかもしれません。

 

個人的には、辰の病状が悪化していく様ももちろん辛いし悲しかったんですが、

同時に、おじいちゃんの体がもう元気ではなくなっていて、

もうすぐお別れしなければならない事を嫌でも実感させられる日々を過ごしてきたであろう

孫(男の子)の精神状態が心配で…。

(↑ゲームをしている最中でも、不安気な顔して瞬きが多かったので…)

兄弟同士のいざこざは描かれていたものの、

辰の死に直面する患者家族に寄り添う描写が少ないのも気になりました。

先ほど「既視感」「総合診療科が舞台のドラマで取り上げるべき内容だったのか」

と書いたのも、ここのちょっとした違和感が原因なのでしょう。

恐らく、患者家族と向き合う内容は2話で既に描かれているので、

今回は家族の心情を深掘りするというよりかは、

「終末期」というテーマで違う角度から描いたんだと思いますが…。

でも、今までの患者の"その後"が、日常生活に溶け込むように

さり気なく触れられているのを見れば、きっと辰が亡くなった後も

定期的に訪問か連絡はしているのかなと。そうポジティブには考えられます。

 

赤池のノートが、終末期医療のページだけ白紙なのは何だか意味深でしたね。

赤池自身も年齢を重ね、"現実"を目の当たりにしている段階なのでしょうか…。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 5話 感想|松潤、素敵な役だなぁ…としみじみ。

 

 

このドラマって本当、面白いんですよねぇ。

まだ広く知れ渡っていない総合診療科が新設される事で、

以前から魚虎総合病院で働いている医者たちとの

環境・制度の変化によるいがみ合いが始まってしまうかと思いきや、

お互いただ自分なりに、医者としてのプライドや仕事観を持って動いている

誠実な人物として描かれているし。

1人の患者の命を救うにあたって、総合診療科と他の科との対立展開はあれど、

主人公側を引き立たせるために相手側を悪役に見せるのではなく、

相手側の意見にも共感出来るような描写がされています。

 

で…今回の場合、茶屋坂(ファーストサマーウイカ)の

プライベート部分は謎のヴェールに包まれ、

弱みを一切見せないスーパーエリート医者っぷりは、

従来の医療ドラマなら、主人公の立ち位置にいそうだと思っちゃいました。

でも、「人を診る」徳重(松本潤)を前にすれば、優秀で完璧主義な彼女も

小さな傷を抱えた"1人の人間"にしてしまうんですね。

院長戦エピソードに関してはベタですが、基本的に本作を見るたび、

おっ、そう来るのかというちょっとした驚きがあるのです。

 

母・愛(朝加真由美)の手術を終えた後、へたり込んで壁に寄りかかり、

自分の手を見ながら、笑いの中に泣きも内包されているかのような複雑な笑い方をした彼女。

その笑い方は、母親による厳格な教育から自立し、

どんな患者も切る1人前の医者になれた事への誇りともとれれば、

自立したつもりなのに、母の教えから結局抜け出せない"縛り"にもとれました。

 

その後も、冷静さを保とうとしているものの、施設の申込書にサインをする際に

母親の言葉がフラッシュバックして、サインをする手が止まったり、

後輩指導の際にも、記憶喪失状態になった母を目の当たりにしたショックからか

ぺアンを落としてしまったり。

気づこうとしていないだけで相当追い詰められている彼女の心理をついた徳重の言葉は

「あなたは、お母様にとってたった1人の娘です。

ひとりにさせるのは心配。そう思っていませんか?」でした。

直後では不安・焦りからの自己防衛本能を意味する腕組みをしていましたが、

(母親を見捨てたりなんかしたら)怒られる…と本音を吐露した時の声は

少し子供時代に戻ったように聞こえて、ようやく、繊細な心を守るために

頑丈に、過剰なまでに覆っていた鎧をどかす事が出来たのかな…と思えました。

 

茶屋坂心という名前。

フルネームを聞いた時、「心」…素敵な名前だなぁと思ったんですけど、

母娘の関係性を示すエピソードを見てからだと、その名前に苦しめられた経験も

何度もしてきたんだろうとも想像出来るんですね。

きっと…これは妄想ですけど、いつも母親を怒らせて、迷惑をかけさせて、

「心」という名前なのになんで私はママにとっての"良い子"になれないんだろうと

自分を責め続けていたのかもしれない…なんて。

タバコを吸って、医者になって家を出て。

そんな母の意見に反する事ばっかりやってきた分、せめて今は親孝行をしなきゃと

後悔の念に引っ張られていたんだと思います。

 

でも、茶屋坂が過去のエピソードを話した後の徳重の言葉も、とてもハッとするもので。

「誰かのために、ここまで心を痛めるあなたは…とても、優しい人です。」

その後の彼女の「嫌いになりきれない」もそうですし、

母親の記憶が一瞬戻って、助けてくれてありがとうと感謝してくれているのを見て、

"縛り"にはなっていたけれど、同時に、「心」という名前にぴったりな、

彼女は彼女のペースで相手を思いやる人になれたんだと。

それが分かった途端、ああ、良いものを見た…という気分になりました。

 

今更ですが、松本潤さんは素敵な巡り合わせをしましたよね。

22歳で「花より男子」の道明寺司役、32歳で「99.9」の深山大翔役で

確かな存在感と人気を得た後、

41〜2歳になった今、本作の徳重晃役で新境地を開こうとしています。

(調べて記載して思いましたが、どれも◯2歳のタイミングなんですね…ラッキーナンバー?)

台詞の間の取り方、相手にそっと寄り添うかのような優しい話し方、

相手の深い部分まで見る眼差し…

どれをとっても、歳を重ねたからこその深みが滲み出ているんです。

 

終盤で発するこの言葉も良かったので、書き残しておきます。

「好きな人を見た時、胸は高まり、誰かに傷つけられたお時、瞳は潤む。

…あなたと私。その間に心は生まれると、僕は思っています。」

あいみょんさんの穏やかで温かみある主題歌の曲調とシンクロして、より沁みました。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 4話 感想|相手の話に耳を傾けるって、案外難しい。

 

 

赤池田中泯)や徳重(松本潤)に影響を受けて総合診療科に転科したものの、

患者に感情移入し過ぎるきらいがある滝野(小芝風花)。

一方、ミスをした時の対処法も機嫌の取り方もものにするほど

自分自身をよく知っているからこそ、

難しい事・出来ない事はすっぱり諦め要領良く生きようとする鹿山(清水尋也)。

そんな両極端な2人に「人を診る」が出来るのか気になって見ていましたが…

今回も徳重の存在感は確かに残していましたね。

 

「極端に強い面が表に出てる人ほど、その裏に隠された『何か』がある事は多い。

患者さんと向き合う時、一生懸命になればなるほど、

視野がせま〜く、ミクロなレンズで物事を捉えがちになる。」

この言葉がきっかけで、諦めかけていた2人が

まるで舵を切るように変化し、同じ方向を進み始める。

本当に魔法みたいでした。

手で表現する動作も、視野がいかに狭くなるかが目に見えて分かりやすかったです。

 

今回は今までと違い、若手メイン回ではありますが…

滝野と鹿山の医者としての苦悩を描いた上で、

徳重が上記のようなアドバイスを適度に投げかけてあげる立場に回る事で、

総合診療科の仕事や「人を診る」とは?が理解しやすいだけでなく、

テンポも生み出していた気がします。

 

夫婦に関しては個人的にはどっちもどっちで、

医者の目の前で「ラスボス」とか言っちゃう妻・早智(倉科カナ)は

自分の意見をガンガン押しつける所があるし(栄養面で努力してるのは分かるけど)、

夫・耕太(浜野謙太)は妻にもクライアントにも気を遣う八方美人で、

両親の現状を見ているにもかかわらずダブルランチ、しかし妻には怒って欲しくないから

1人で抱え込むという、なよっとした性格ではあるんですよね。

 

でも、夫婦がそうなってしまったのも、徳重の言う通り、

「病気になった時に、気持ちや考え方は揺れ動く」から。

しかし、結果的に離婚せずに済んだのは、

滝野と鹿山がお互いに相手の妻or夫に対するありのままの愛を聞き出す事が出来、

滝野がもう一押しをしてくれたから。

 

徳重からは、2人を静かに見守り、2人がつまづいている時には手を差し伸べてあげる

ささやかな頼もしさを感じさせましたが。

滝野は滝野で、何とかして患者夫婦の気持ちに寄り添いたいという真摯さが

彼女の良さだと思っていますし、

鹿山も普段からメモをとる習慣をつけていなければ、

患者のモヤモヤを可視化し、原因に辿り着くまでが中々難しかったかもしれません。

それぞれの良い所が束となり、患者夫婦の"病い"を治す事が出来た。

素敵なチームでしたね。

 

前回気になっていた堀田(津田健次郎)の現在も、少し触れてくれて嬉しかったです。

「最後まで堀田さんの隣にいると約束します」と言ったからには、

その責任を感じさせる描写がどこかには欲しかったんですよね…。

しかも驚いたのは、徳重がネットニュースで彼の記事を見て

頑張っている旨を言及していた所。

今回の見せ方で、患者が今どんな悩みを抱えているのかに耳を傾け、

治療に繋げる事だけが総合診療科の仕事ではないという、

今までの医療ドラマとは違う新しい作品を作るのだという制作陣の本気が伝わってきました。

今後も、今回のようなプチ情報で良いので、

今まで関わってきた患者の"その後"、見てみたいです。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 3話 感想|正しさは多種多様だからこそ、対話する。

 

 

放送前から分かってはいたけれど…田中泯さん、やっぱり凄いなぁ。

ご登場するだけで、雰囲気がパッと華やかになりますね。

しかも今回演じる赤池という人物は、お茶目な一面を時折見せてくれるので、

大御所俳優なのに自由で大らかなギャップを感じさせつつ、

でも、ベテランが故に言葉1つ1つに温もりと説得力もあって、より魅力的に映るんです。

 

赤池が滝野(小芝風花)に言っていたのは「3つの柱」。

1つ目の柱はゲートキーパーで、問診から病態を特定・診断する。

2つ目の柱はファミリーメディスンで、地域と連携し、病院から出た後の患者の生活を考える。

3つ目の柱はコンダクターで、専門家の先生と連携して、患者の治療をする。

この3つが総合診療医のお仕事なんだそう。

 

徳重(松本潤)が外科との話し合いで悩んでいる際に現れているので、

都合の良いタイミングと言えばそうなんですけど。

まだ視聴者が定着化しきっていないであろう3話までの段階で

今までの回想を挿入し、見て分かりやすく編集した上で「3つの柱」を提示した事で、

総合診療医とは何なのかが、ストンと腑に落ちた気がします。

1話からの2話だと、そんなアプローチもあるんだ?と思う所もありましたからね。

 

で…3話はコンダクターを取り扱った内容。

今回は今回で、今までとはまた導入部分が異なり、

既に病名が判明し、治療方法も確定していて、

患者との対話よりかは、医者との対話をメインに話が繰り広げられていきます。

 

外科医・康二郎(新田真剣佑)の言葉を聞いていて意外だったのは、

彼自身の考えにもちゃんと共感出来た事なんですよね。

…いや、私が今まで見てきた医療ドラマで描かれる外科医って、

お金のためとか、院長の座を狙うためとか、

そういった悪の手に染まりがちな人物が多かったので、←凝り固まり過ぎ?(笑)

主人公と対等の"正義"があり、あくまでも患者のためを想って動いている

真摯な姿勢が見えた所に新鮮味を感じたのです。

それで言えば、父・東郷(池田成志)もキャラのクセの強さに引っ張られがちですが、

患者が少しでも健康で退院出来るようになって欲しい願いは同じで、

もしかしたら「典型的な悪役」ではないのかもしれません。

 

がんが悪化する前に早めに手術をした方が、

患者もその家族も、絶望感を覚える可能性は低くなる。

しかし、声に誇りがあり、生業にしてきた者が

「後遺症」「職場復帰出来ないかも」というネガティブなワードを聞いたら

中々一歩が踏み出せない…が、解決方法は手術しかない。

 

「表はニコニコしてるけど、内面はバチバチに燃えている」という言葉の通り、

徳重の佇まいからは、医者と患者が双方納得する道を歩むためなら

自分が折れる事はしないし、相手の話もきちんと聞いて尊重する

意志の強さがひしひしと伝わってきました。

康二郎との2人の対話は青い火花が散っているようで、

自分はこうやって患者を救いたいという感情は込めつつも、冷静さを失わない話し合いは

見ていて気持ちが良かったです。

 

徳重はひたすら相手の話に耳を傾け、

康二郎は「手術の腕には自信があります」と言ってみせる。

最終的にそれぞれの方法で、患者の不安を和らげる姿は

プロフェッショナルを感じさせました。

 

今回のゲストにもやっぱり触れておきたくて、

声で活躍の幅を広げてきた津田健次郎さんが演じられるからこそ、

ああ、どうか声が失われないで欲しい…と切実な想いで見てしまっていましたね。

もし現実でも…と考えてしまう瞬間があったくらいには(泣)

 

終盤を見る限り、声は出せるようですが、職場復帰出来るかまでは分からず。

"その後"がどうなったかは、医者は患者がまた病院に来ない限りは当然知る事はありません。

ですが、総合診療科の場合、徳重が堀田(津田健次郎)に

「どの道を選択されても、最後まで堀田さんの隣にいると約束します」とは言っていたので、

今までの患者も含めて"その後"の話もちょっと見てみたいんですよね。

内容はほぼ原作通りなのでしょうか。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 2話 感想|どんな姿も"自分"だから

 

 

初回を放送したばっかりで、1週空いてしまった本作。

まだどんな雰囲気なのかが定着していないままの休止だったので、

登場人物が自ら想いや現状を語り、最後はカメラに向かって話しかけてくる演出には

あ、そう言えばそんな演出してたわ…と思い出しもしたものの、

初回を見てどこが良かったのかは、見返さなくとも頭の中で残り続けておりました。

そして、今回もそれをじっくり味わう事が出来ました。

 

未視聴のドラマもありますが、今期の作品群で、

この人の事が気になると思える主人公は2人いまして。

1人は明日放送の「僕達はまだその星の校則を知らない」の白鳥健治で、

自身の学校生活にトラウマを抱えながらも

ある出来事を機に生徒たちの心を知ろうと努めるようになる、

そんな繊細さと不器用さの中に成長が見える姿に

彼が変化する過程を見守ってみたいという興味を抱かせてくれるんですが。

もう1人は本作の徳重晃(松本潤)で、医療業界における自身の立場も、人と接するにも

常に俯瞰的視野を忘れない一本軸みたいなものが仕事ぶりから伝わってきて、

患者のどこを見ているのか、どんな言葉を投げかけるのかに注目したくなるのです。

 

何というか…少し間が空いた2話を見ても思ったのは、徳重の言葉選びが良いなって。

「あなたはまだ未成年。保護者の方には、あなたの健康状態を知る責任があります。」

「ヒーローの拓くんも、怪獣の拓くんも、全部合わせて岡崎拓なんだ。」

「次は、これからの話をしましょう。」

固く心を閉ざしていた患者にとって救いとなる言葉が何なのかが、どうして分かるのか。

それは決して、綺麗事でもビジネスでもなくて、

「町と会話」というほど普段から新しい物事を"知る"行動が好きで、

物事に対して深く考えを巡らすのが好きな性格が劇中で何度か描かれているから

説得力が感じられるのかもしれませんし。

間をとった柔らかな喋り方にも、患者の気持ちを理解したい、共感したいという想いが

含まれているのが分かるから、聞き入ってしまうのかもしれません。

 

冒頭で書いた「良かった所」が何なのかと言えば、もう1つはやっぱり

患者自身にしか見えない・周りの人には伝わらないその人だけの世界を表す演出で、

前回はそこに徳重が進んで入り込んでいたけれど、今回は拓(杉田雷麟)が見ている世界を

徳重も隣で一緒になって見てみる段階から始めるという変化をつけてきた所が、

「人を診る『総合診療科』の医師を描く物語」として徹底されているな…と

感心させられました。

 

対立関係が一番長引くんじゃないかと思っていた有松(木村佳乃)については、

2話で徳重や総合診療科の事を認めてくれるとは、ちょっと意外でしたね。

でも、彼女の変化も納得出来るものでした。

この手の改心って大体、途中を端折ったあまりに

いや、簡単に漂白され過ぎやろってツッコみたくなる事が多いんですけど、

完全に影響された訳ではなく、「アリかもな」と思える程度の変化に

収まっていたのがリアルだったなと。

それでいて、方法は違えど、目の前の患者を助けてあげたいという想いは同じ。

咲(黒川晏慈)のために長年間尽力してくれたのは確かで、

自分にはない視点を持つ徳重に託してみたくなったのでしょう。

少なからず、初回で書いていた懸念点は、今回のやりとりを見て少し払拭された感じです。

 

終盤、徳重が促した拓の「岡崎拓は、ここにいる」という意思表示の言葉が、

「有松しおりは、徳重先生を良い医者だと思った。」

「私は、滝野みずきだからなれるお医者さんになります!」と

あの場にいた有松や滝野(小芝風花)にも伝播していく様は、

また来週から仕事が始まる前日に見る話として気持ちが良かったですね。

そして、今回メインゲストの拓役・杉田雷麟さんの演技も目を引きました。

初めてお見かけしましたが、同じ口角を上げる表情作りでも

終盤ではふわっと朗らかな笑顔で、

"お兄ちゃん"であろうと無理をしなくなったんだと察せられるほど、違いが明確でした。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ

 

 


19番目のカルテ 1話 感想|なんでも治せる医者なんていない

 

 

医療ドラマと言えば大抵は、天才スーパードクターが活躍する痛快劇か

医者の等身大な部分も描くヒューマンテイストの二手に分かれるイメージですが、

私としては後者の方が好き。

その上、脚本家は「コウノドリ」も執筆された事のある坪田文さん。

数週間前の某情報番組にご出演していた松本潤さんが

主人公の事を「オペをしない医者」とも仰っていたので、

恐らく好きな作品だろうなと思い、期待しておりました。

 

で、いざ蓋を開けてみたら…

いつも笑顔で何を考えているのか分からない主人公の言動を補足する看護師の存在に、

正義感が強くて患者に感情移入しがちな若手ヒロインの存在に、

他の科とのいがみ合い、上層部による権力抗争など

医療ドラマならではのベタな設定は確かに所々で見受けられました。

しかし、個人的には「(好きそうな感じで)良かった」の方が大きく上回る初回でした。

 

どうして「良かった」という感想が出たのか?

それは後から振り返ってみたら…初期設定の紹介に走ってしまいやすい初回で、

何を控えめにし、何を前面に押し出すのかのバランスがきちんととれた

作りになっていたからなんだと思います。

具体的に言えば、本作ももれなく、病院を舞台にしているからか登場人物が多いんですけど、

「医者と患者の対話」を集中的に描いていたお陰で

本作がどんなドラマなのかも掴みやすかったですし、人物の多さも感じさせませんでした。

そこに、主人公が患者の心情に寄り添っている姿を表す演出と、

ゲスト俳優の演技が加わって…

体の痛みは酷くなるばかりなのに、いつまでも病名が分からない不安や、

病名が判明しないと会社を休めず終いには疑われる理不尽さ、

どこの病院で診てもらっても「異常はない」「ストレスが原因では?」と言われる

苦しみと戦い続け、やがて、どうせ分かってもらえない…と心を閉じてしまう、

そんな仲里依紗さんの繊細かつ真に迫る演技には胸が痛みましたし。

人には見えない、自分にしか分からない苦しみを抱えながら生きてきた

患者・黒岩百々(仲里依紗)の日常生活をじっくり描いてきたからこそ、

その彼女だけの世界に入り込んで、彼女の心の内を深く知ろうとする徳重(松本潤)の姿には、

彼女の今までの努力、人生を肯定してくれているかのような優しさを感じさせて

ホロっと来てしまいました。

「あなたの痛みは、本物です」と言われるのが、どんなに心強い事か。

後ろの大きな窓から入る穏やかな日光も含めて、素敵な雰囲気でしたね…。

 

そして、妙に印象に残っているのは、徳重が何度か

「なんでも治せる医者なんていない」「理想は理想。現実は現実。」と言っていた点。

利益重視ではなく、1人1人患者を診る病院が増えていく事を夢見る

主人公なのかと思ったら、案外冷静な思考は持ち合わせているんですよね。

「医者は探偵でも、エスパーでもありませんから」とも断言していましたし。

でも、百々に対して、痛みと向き合い、諦めないでくれたから

この診断に辿り着けたと感謝する様子や、

もう1人の患者・横吹(六平直政)が助かったのも

滝野(小芝風花)が普段の様子や仕事、家庭事情もしっかり見てくれていたからだと

捉えていた事で、彼がそう考えているのも何となくピンと来たと言いますか。

赤ひげ先生のようにはなれないけど、自分がこうして人を診る事が出来るのは

周りの人たちとの出会いや助けがあってこそ…なのかもしれませんね。

 

唯一気になる所としては、やはり先ほども書いた

他の科とのいがみ合い、上層部による権力抗争でしょうか。

そんなの気にしていたら…と文句を言っているシーンもありましたが、

医療業界は人手不足で、治療で手一杯だからこそ、

中々手が回らない細かい部分は総合診療科に任せた方が

双方連携が取れやすくなって良いんじゃないかと思えてしまうんですけども。

この辺りの描写は、今後悪目立ちしない事を願うしかないですね。

 

来週は選挙でお休みだそうで。

2話まで放送してからならまだしも、初回を放送した後で1週間飛ぶとは、

タイミングが悪かったですねぇ…。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ランキングに参加しております。
ポチッと押していただけると嬉しいです♪

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ