作りたい女と食べたい女 6・7話 感想|居心地の良さを感じる正体は…

 

 

6話

 

「食べたい」気持ちを家族に理解してもらえなかった

春日さん(西野恵未)の過去に付随して、

「作りたい」好奇心が「家庭的で凄い」の色眼鏡で見られてしまう

野本さん(比嘉愛未)の苦しみも描かれた、

2人の根本にある"生きづらさ"に焦点を当てた回になっていました。

 

春日さんが今では同じものをいっぱい食べる件については、1話の感想でも触れたように、

きっと家で食べている方が自分らしくいられて楽なんだろうな…とは思っていましたが、

家庭内での料理の盛り付けで格差をつけられてしまう事がきっかけだったんですね。

「男性はこう、女性はこうであるべき」みたいな、一昔前の価値観の押し付けを

結婚観とか仕事観に絡めながら表した作品は

たまにお見かけする事はあっても、それを「盛り付け」で…っていうのは珍しい。

でも、男兄弟がいる家庭なら、あるあるなのではないでしょうか。

 

春日さんの家庭ほど厳格ではないものの、

兄がいる私も、一番量が多い順から少ない順に兄>私>母 で

量を変えられた経験は学生時代にしてきたので、

彼女のモヤっとした気持ちにも少し共感は出来るんですよね。

(父は休日しか家に帰ってこないので、2人か3人での食卓が多かったのです。)

兄は運動部でバリバリ体を動かしていて、

運動していない私が兄と同じくらいの量を食べたら太るから

母が調整してくれているのだとは分かってはいても…

それでも、いつもお兄ちゃんばっかりいっぱい食べられて良いな〜って

当時は羨ましがっておりました。

「これまでの分を取り返すように食べていた」といった春日さんの発言にもあるように、

元々男兄弟の中で育ってきた女性が1人暮らしをしたら、

自分の好きなように食べられる事に嬉しさと幸せを感じられるんだろうな…とも思います。

 

そんな春日さんの背景がじっくり描かれたためか、

はらこ飯の量が野本さんよりも気持ち多くなっているのが一目で分かる

2人分の食事が並ぶカットには、「食べたい」気持ちを尊重してくれる存在に出会えた

彼女自身の喜びが反映されているようで、思わずほっこりさせられてしまいました。

なんて事ない演出なんですけどね。

でも、シンプルに物事を見せようとするからこそ、

真っ直ぐ伝わってくるものもあるんですよねぇ。

 

7話

 

へぇ………なるほど………

事前情報を入れずに、このまま「需要と供給が相互で一致している2人」が

友達や恋人関係といった既存の枠に収まらない

新しい形のパートナーを築き上げていくまでを描く

物語になるのだと思いながら見ていたので、

同性愛を盛り込んできたのにはかなりびっくりしましたね。

 

でも、そうなってくると…野本さんが自分がレズビアンだと気づくまでの心情変化も、

急過ぎるんではないかな?って気がしなくもないんですよね。

認めるまでは行かなくても、「自分って周りとは違うのかな…?」という違和感は

小さい頃で抱えていて、10代になってから初めて自覚するケースが多い…

個人的にはそんなイメージがあります。

原作だと恐らくもう少し踏み込んで描かれてはいるんでしょうけど、

"気づき"を得る過程で、野本さんの幼少期に一切言及がされていなかったのが

疑問に感じた原因なのかもしれません。

現代社会に潜む問題に斬り込む力と、調査力の高さに定評のあるNHKドラマだからこそ、

そこにもっと丁寧さがあっても良かったかも?と思えてしまいました。

 

これ…次週からどんな内容になっていくんでしょうね。

「女性同士の恋愛」がメインにならなければ良いのですが。

せっかく、居場所が出来た2人に癒されてきたので…

最後までその方向性で貫き通して行って欲しいです。

 

 

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作りたい女と食べたい女 4・5話 感想|好奇心がちょっとずつ増える日々

 

 

4話

 

春日さん(西野恵未)といると本当に素の自分でいられるんだろうな〜…っていうのが

野本さん(比嘉愛未)の様子から伝わってきますね。

何か珍しいものを見かけるたび「ねぇねぇ!」って感じで

反応する所なんかは、子供みたいに無邪気で可愛いです(笑)

 

かぼちゃのプリンも美味しそうでしたねぇ…。

メロンの果肉をくり抜いたメロンクリームソーダとか、

さつまいもをまるごと使ったスイートポテトとか、

素材をそのまま活かした食べ物を見ると、ワクワクしてくるものなんですよ。

だから、今回はいつも以上に視覚でも楽しめました。

 

そして…プリンを作れないかと思いついたのは春日さんの方ですけど、

ジャンボなかぼちゃは春日さんらしくて、

それをプリンにアレンジする所は野本さんらしいというか。

何だか、2人らしさが合体したスイーツだなぁ…と思えて、

この2人が出会っていなかったら生まれなかった化学反応に

微笑ましくなれる回でもありましたね。

 

5話

 

24日に忘年会は…家族持ち&彼女持ちじゃない人が思いつく発想ですな(笑)

25日もある訳じゃん?ならズラしてくれない?って…

じゃあそっちがズラしてくれ!!ってツッコんじゃいましたよ。

まぁ、それはもう置いとくとして。

 

今回は5話で、ちょうど折り返し地点という事で、

職場や家族など、野本さんの人間関係に踏み込み始める話になっていました。

そのためか、春日さんと一緒にいる場面も少なくて、ちょっとだけ物足りない。

一口二口で気持ち良い食べっぷりを見せる春日さんも、

彼女の食べ姿を見るのに夢中になってしまう野本さんも

どっちもずっと見ていたいくらいには好きなので、

やっぱり15分×10話は短過ぎる…せめて1クールは欲しい…と思えちゃいましたね。

 

野本さんと母との電話のくだり、心配しているのは分かっているつもりでも、

あの年頃だと「恋の方はどうなの?」が先行しちゃうのもあるあるですね。

毎年毎年、クリスマスや年末の時期になると必ず話題に上る「誰と過ごすのか」案件。

なぁんだ…と母に言われてしまった時に、

店内の壁を背景にぽつんといる野本さんを映す映像で

彼女の潜在的な"モヤモヤ"を表しているのが印象に残っていた分、

春日さんも予定がないと分かって、

心から楽しいと思える相手と一緒に過ごせる喜びを噛み締めるラストで

こちらも救われた気分になれました。

 

でも、10年親と会っていないとなると…

そのうち春日さんの過去も掘り下げられるんでしょうねぇ。

 

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silent 9話 感想|なんて温かい雪解けか…

 

 

感想が溜まっている上に、投稿も遅過ぎるので、

すみません、(もはや雑感に近い)超簡単感想で失礼します…(汗)

 

たくさんの笑顔が見られた、多幸感溢れる回でした。

実家から戻ってきてからは、心なしか、

想(目黒蓮)が無邪気な笑顔を見せる頻度が多くなった気がしましたし、

律子(篠原涼子)に関しては、今まではたった一瞬の動作の間や表情から

世間に縛られているような窮屈さを感じさせていた分、

やっと心から笑えた様子を見てホッとさせられてしまいました。

 

律子の手話は、周りよりも声が気持ち大きめなんですよね。

単語1つ1つをハキハキと、かつ感情を込めて話していた辺りに、

想と話したくて仕方なかったんだろうなぁ…という彼女自身の想いも伺えます。

 

2階から聞こえる"うるさい"音が、「胸がゾワッとした」から「微笑ましい」思い出に。

部屋中に散らばったたくさんのCDが「感情をぶつける先」ではなく、

3人の思い入れが深く刻まれた「温もり」に。

そして、駅まで送ってくれた律子への言葉は「お母さん、ごめんね」から「ありがと」に。

過去の辛かったエピソードが、どれも良い方向に塗り替えられていく。

 

手話を筆頭に、面と向き合っての会話シーンを描く際は、極力劇伴を抑えて

2人のやり取りをじっくり魅せていくという本作のスタイルには

毎度好感を持っていたのですが、今回はより一層、その"良さ"も光っていましたね。

いつものピアノ調の劇伴の入りがね…もう秀逸で。

雪が積もっている所に日差しが入り込んで

じわじわと溶け出していくような、そんな雪解けを感じさせました。

 

ある意味"最後の砦"的存在だった母親とも打ち解けて、

残る2話は、果たして紬(川口春奈)と想が「ずっと」一緒にいられる事になるのかどうか…

を描くって所でしょうか。

劇中でも言及されていた通り、チェーン店の正社員に転勤は付き物なので、

恋愛を描く上では定番の「遠距離恋愛の危機」展開はあっても、

どうかハッピーエンドで落ち着いて欲しいですね。

 

最後に、えっと…こんなにざっくりとした感想で終わってしまって

本当に申し訳ないんですけど、

こうなってしまったのも、冒頭の理由の他に、

実は既に10話を視聴済みで(この感想記事を投稿したのは12/19)、

今回の内容も踏まえてちょっと思う部分がありまして。

今回が素敵な話だったのは事実だけれども、

先の話を見たとなると、印象も変わってきてしまったんですよね。

次回の感想で「どう感じたか?」を正直に描いてみるつもりでいます…。

 

 

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ザ・トラベルナース 8話(最終回) 感想|本当にトラベルしちゃった。

 

 

初回ぶりの静(中井貴一)の広島弁を聞いた時、

そうそうこれこれ!って嬉しくなっちゃいましたよ。

当初は広島弁と「必殺仕事人」的なお仕置きが

毎回の"お約束"になると思っていたんですよねぇ…。

なのに…まぁ、2話と4話に関しては違う気持ち良さがあったし、

意表を突く面白さもあったけれど、

回を重ねるごとに「ナースとして真っ当な仕事をする」事での痛快さは薄まってしまった上に、

登場人物が豪華キャストだったためか、

歩(岡田将生)との愉快なやり取りも減ってしまって。

おまけに、前回の感想でも書いた通り、太郎(泉澤祐希)の調子っこいい所は

変わらないのを筆頭に、異風の2人がやってきても病院全体の意識改革が見られる様子もなく。

何だか、いろんな意味で不完全燃焼で終わった感は否めませんでしたね。

 

今回を見ていて特に気になったのは、

静の「契約終了までナースでありたい」という考えについて。

(もし悪化したら)その時はその時って言って…礼(荒木飛羽)の例を挙げていましたが、

彼の場合は「周りに自分の病気が周知されている状態で」それでも彼の想いを汲みたくて

実行に移した事であって、静の場合は、歩と部長、院長とその側近の人たち以外には

病気の事を隠し通しているんですよね。

そこも違うし、ましてや静は人の命を預かる立場。

気持ちは分かるし、注射や手術には関わっていないと言及されてはいたものの、

いつものように仕事をしていたら、もし容態が急変した時に運んでいた運搬機器を誤操作したり、

手が滑ったりして患者に危害を加えてしまう可能性もある訳で。

それらを十分に考慮せずに「その時はその時」で済ませちゃうのは、

流石にちょっと無責任なんじゃないかとは思えてしまいましたね…。

 

働かせるにしても、せめて、書類のファイリングやカルテの入力といった

事務のお手伝いをさせた方が、まだモヤっとしなかったのかもしれません。

っていうか…これまでストライキや医者との共同作業回、新人成長記も描きながら

歩と静"以外"の登場人物にも1人ずつスポットライトを当てた作風にしたのなら、

最初からみんなに打ち明ける展開にしてしまった方が良かったんじゃないでしょうか。

打ち明けた事で一歩引くようになった彼が、残りのナースたちの仕事ぶりを見て

「もう私がいなくても大丈夫ですね」と安心して去る…

この話も描いてこそ本作"らしい"集大成と言えるのではないか?と考えています。

 

まぁでも、元々嘘がキーワードとなっていた本作が、嘘で匂わせて終わり…という

ラストシーンになっていたのは、純粋にクスッとさせられました。

静の秘密も、ずっと気になっていた歩と静の出会いも分かった事ですし、

もし続編をやるんだとしたら、今度は2人のやり取りで楽しませる方向に行って欲しいですね。

出演者のスケジュールと予算を考えたら…

連ドラよりも、お正月SPといった定期的な放送の方がしっくり来るのかな?

(別にお正月だけにこだわらないですけど、過去作の件もあるので何となく。)

脚本家さん繋がりで、大門先生とコラボさせてもアリかもしれません。

 

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自転車屋さんの高橋くん 4・5話 感想|遼平くん、パン子を頼むぞ!

 

 

4話「パン子、遼平に電話をする」

 

劇中でも言われていましたが、

朋子(内田理央)、確実に遼平(鈴木伸之)の影響を受けて行ってますねぇ…。

分かりやすいのがちょっと可愛い(笑)

まぁでも、貴美子(長井短)が職場を離れてしまうのを日に日に実感し、

「1人で何とかしなくちゃ!」という引き締まった気持ちがあっての

あの無意識の言動だったんでしょうねぇ。

 

遼平を「輩」呼ばわりする山本(瀬口黎弥)のシーンが描かれた分、

同じ第一印象でも、「イケメンじゃん」が先行する貴美子の優しさが沁みます。

前回の感想でも書きましたが、やっぱり、周りに囚われない

自分の考えをしっかり持っている所は、遼平と似ていますね。

そして、共通点と言えば…

朋子と後輩の河村(寺本莉緒)も、ちゃっかりしている者同士っぽい。

ギリギリであろうが遅刻しそうであろうが、朋子には朝食が欠かせない代わりに、

河村はメイクが欠かせない。

(おまけに、有給をとれる裏技を後輩の方が知っている辺り、世渡りは上手そう(笑))

登場人物にそんな人間臭さが含まれている方が、共感度が増して、魅力的に見えるのです。

 

朋子と聡子(濱田マリ)の親子関係の描写も、中々リアル。

2人とももう上手くいっていなくて気まずい状態にあるし、

たもつを飼うのは元々乗り気ではなかったんなら、

わざわざ報告せずに自分で看取って終わり…なんて事も出来たはずですが。

電話してきたって事は少なからず、娘が大事にしていたんだから伝えなくちゃ

という想いはある訳で。

その気持ちや行為から、娘との関係の修復は難しいと分かっていながらも、

でも修復を諦めきれていない…

そんな葛藤が覗き見えるのが、もどかしい気持ちにさせられるんですよね。

 

5話「パン子、居場所を見つける」

 

同じく好んで見ている「silent」にも当てはまる事ですが、

本作って、主人公だけでなく脇役も丁寧に描いてくれる所が好きなんですよねぇ…。

今に至るまでにどんな辛い想いをしてきたのか?どんな葛藤を抱えているのか?を

回想で時間をかけて見せているから、日常的に行われる会話だけでも、

登場人物のその場その場の心情や

画面上では描かれていない想いまで伝わってくるというのか。

原作があるとは言え、役者さんの演技も含め、繊細に作られている作品だと思います。

 

今回は、たもつとのお別れが描かれました。

たもつが当時の朋子にとっては唯一の心の拠り所になっていて、唯一心を許している存在で…

嬉しそうにはしゃいだり、本音をこぼしたりしながら一緒に過ごしてきたエピソードが

冒頭で明かされたお陰で、たもつにプリンをあげるシーンには

思わずもらい泣きをしてしまいました…。

 

下手したら本当に疎遠になっていたであろう朋子と聡子を、

たもつが繋ぎ止めていてくれたんですね。

最後まで毛並みが綺麗でした。15歳まで健康体でいられたのも、中々ない事でしょう。

犬種はグレートピレニーズだそうで、大型犬な上に、あんなに白くて長い毛なら

手入れもかなり大変かもしれないのに、

朋子が帰ってくるいつ何時でも健康で清潔な状態を保ち続けていた辺りに、

親子の関係の修復は難しいと分かりきっていても「朋子にとって大切な存在だから」

せめて元気でいさせてあげたい…という不器用な母なりの愛情が窺えました。

 

聡子の不器用な性格を、朋子と2人っきりでいる時に

あえて目を合わせないようにしながらも、ぽつりぽつりと自身の抱えていた想いを吐露する

という演技で魅せた濱田マリさんは流石でしたね。

たもつ役のわんこも、特にあのお見送りのシーン…

体が自然と前に動いて初めて吠えるくだりなんかは、かなりの名演技でした。

いつもは一緒にいるから吠える必要はなかったけど、

離れると分かったから「心からの叫び」をした…そういう事なんでしょう。

もし演技指導が入っていなかったんだとしたら(入っていたとしてもタイミングが凄いけど)

相当賢い犬なんだろうなぁと思います。

 

終盤のシーンの、送別会と誕生日会の会場が同じ!っていうイッツアスモールワールドな所は

いかにも漫画らしい展開ではあります(笑)

でも、セクハラ上司を注意しても無駄だと諦め、そそくさと逃げる女性社員たちに対して、

殺意をむき出しにしながら乱入してくる遼平の対比や、

彼のあまりの果敢ぶりに呆然としている構図には、物騒ではありつつも笑わされました。

このまま上司をやっつけてもらいたいもんですが、

朋子にとっては今回の件が恥ずかしくて、後の喧嘩へと発展してしまうんでしょうね。

 

それにしても…水木金と、先週は4本のドラマでプリンが出てくるという(笑)

(「作りたい女と食べたい女」「silent」「クロサギ」で本作。3作品とも後々感想投稿します

土曜日のおやつにととうとう買っちゃいましたよ。

スーパーにもある生クリーム入りプリン…久々に食べたら美味しかったです。←なんで報告?w

 

 

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拾われた男 9話 感想|家族の想いを「六甲おろし」に乗せて

 

 

なるほど…晴子(末成映薫)が再会を心待ちにするほど

武志(草彅剛)がおばあちゃん子だったのにも、ちゃんと理由があったんですね。

おばあちゃん世代だと同性愛を理解するのが難しい人が多そうな分、

晴子が視野の広い人だったのは珍しいです。

「自分が生きやすい人と生きやすい場所で生きてったらええ」

その言葉が当時小さかった武志を突き動かし、

アメリカで生活すると決めたきっかけになったのかもしれない。

そして、ビザが切れて不法滞在扱いになってしまった事は不本意ながらも、

きっと本人はそこに居心地の良さを感じていたのだろうなぁと…

そんな風に思わせるエピソードでした。

 

小さい頃の思い出は、松戸家にも根付いていて。

150キロの球を投げると言い出したインチキ父さんの話も、

タイガースの制服を着て、風船を飛ばしながら試合を見ていた

あの頃も記憶に残り続けていました。

時間が経てば経つほど、もうダメだ…と最初は思い込んでいたものが、

それでも「やり直してみたい」とアクションを試みた結果、

家族再生という名の"奇跡"が起こり始める…という展開を

壊れていたラジカセと絡める形で描いていったのも、中々洒落た見せ方でしたね。

何度やっても閉まらないカセットテープが、父親になりきれていなかった事から長年目をそらし続け、

意地を張り続けていた平造(風間杜夫)自身と重なっても見えました。

 

諭(仲野太賀)がマスクを被る野球選手を演じ、

武志はそんな彼に自分の想いを託すかのように窓から必死に見届け、

兄弟の意思が合致している裏では、夫婦が2人で「六甲おろし」を自然と歌い始める。

自分を見つめ直さなければ、家族と向き合おうとしなければ起きなかったであろう

数々の奇跡が線となって一気に繋がっていく流れには、思わず胸を打たれてしまいました…。

 

100マイルのくだりが意図的に引っ張られたのにはもどかしさがありましたが、

野球選手じゃない限りさすがに飛ばせないと思うので。

諭の直向きさを見てショーンが何かを感じ取る…という着地点になるんでしょう。

そして、ショーンも今回の事が、大人になって楽しく振り返れる"思い出話"に変わる。

 

最終回、果たしてどんな結末を迎えるのか気になりますね。

(9話時点での)諭の最新出演作「シン・ゴジラ」は調べてみたら2016年の作品との事で、

初回で有村架純さんが登場した「ひよっこ」は2017年の作品なので、

終盤では"その後"として、初回の内容を再び掘り起こしてくれるような展開も

あるんじゃないかとついつい期待してしまいます。

現朝ドラにも触れるかどうかは不明ですが、

諭の半生がテーマとなっている以上、少なからず、未来の話はちょっとでも描いてくれそう?

 

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silent 8話 感想|ただ一緒にいたいだけ

 

 

学生時代の奈々(夏帆)が眩しい。

「ありがとうございます」といつも自筆で返す姿は健気で、

会うたびあんなに純粋な笑顔を向けられたら、

そりゃあ正輝(風間俊介)も惚れるに決まってるよなぁ…と。

なのに、正輝に恋をして、距離が縮まっていってからはその笑顔も消えてしまった。

前々回での、レジュメに想(目黒蓮)と2人で書き込みながら会話するくだり、

そして前回で「話し相手が欲しかった」と想に本音をぶつけていたシーンが描かれていた分、

1人でどこか孤独な想いを抱えて過ごしている所に、相手が心を開いて近づいてきてくれた喜びは

奈々からしたらこんな感じだったのだろうな…というのが

今回の過去エピソードを通して直に伝わってくるようで、

最後のお別れには余計に悲しい気持ちにさせられてしまいました。

 

でも、正輝が周りに手話を広めてサークルを立ち上げようとした事と、

前回で奈々が想に友達を紹介してあげた事って、似てる気がするんですよね。

あの時の奈々にとっては、正輝がそばにいて欲しかっただけで、

あの時の想にとっては、奈々がそばにいて欲しかっただけ。

しかし、本人には中々上手く届かない。

奈々は正輝との"すれ違い"で「思いやりを重ねすぎると偽善に変わる」を

経験していたはずなのに、時間が経てば、結局自分も同じようにしてしまう。

相手を大切にしたいという想いを自分なりの形で伝えたい…

それはろう者とか、聴者とか中途失聴者とか関係なく、

全ての人物に当てはまる事なんだろう…と考えさせられます。

 

現在の紬(川口春奈)と想の関係性は、奈々と正輝にとって

「両想いになっていたであろう未来=ifの世界」なのかもしれないと思わせた前半から、

後半は、紬が母・和泉(森口瑤子)と関わって"気づき"を得るまでの話が描かれていきました。

紬と想の件もあるので、今回のエピソードは大分盛り沢山ではあるんですけど、

どれも「ただ一緒にいたいだけ」を共通項にしていて、

前半は「紬と想」と「奈々と正輝」、後半は「紬と想」と「母親の存在」と

段階を踏みながら二者の関係を照らし合わせるように描いていっているので、

散漫した感覚を覚えないんですよね。

 

後半のエピソードで特に心に刺さったのは

「言葉じゃ伝えきれないからさ、物に託すの」と言う母の言葉でした。

この言葉を聞いた時、何だか視界がぱあっと開けたような、

ちょっとだけ希望が持てるような気分になれたのです。

そして、同時に思ったのは、前々回と前回と今回で"三部作構成"になっているなぁ…という事。

 

それぞれ境遇が違えば分かり合えない所も出てきて、

終いには理解しようとするのを諦めてしまう

人と人が繋がる事の「難しさ」を描いたのが前々回なら。

相手の気持ちを分かりたい、気持ちを共有したいという想いが

相手を少しずつ変えて和解出来たという「可能性」を描いたのが前回。

で…今回は、不器用が故に自分の気持ちを上手く伝えられない事に

もどかしさを感じているのなら、

物と一緒に言葉を贈ってあげたらきっと伝わるかもしれないし、

それはどんな人でも喜んでくれるかもしれないよ?という、

こうあれたら良いよね…な「理想形」が描かれる。

今回の後半のエピソードが、前々回と前回にとっての"最適解"みたいなもので、

きちっとピリオドを付ける構成になっているように思えました。

 

青羽家にあるのも、佐倉家にあるのも、

恐らく萌(桜田ひより)が買ってきて想と食べているのも、種類は違えどみんなプリン。

律子(篠原涼子)が洗濯物を畳んでLINEを送った時、

想はちょうど洗濯機に服を入れている最中で、

和泉も紬が帰省している時には一緒に洗濯物を畳んでいた。

「プリン」と「洗濯」で共通点を作る事で、

「ろう者も聴者も中途失聴者も、みんな"今"を生きる1人の人間」

「大切な人を想う気持ちは同じ」が暗喩的に表現されている所も良かったです。

本作が描こうとしているのはきっと、

"恋愛"を超越した"普遍的な愛"なのだろうな…というのがこれらの描写からも感じ取れます。

 

奈々と正輝の方も、仲直り出来そうでホッとしました。

同じ方が演じているのに、8年という月日を感じさせるほど

大人びた佇まいになっているのが、流石役者さんだなぁと思わされますね。

別れてからも手話教室を開いて続けてきた正輝の意志の強さが、

何よりもの答えになっている事でしょう。

 

次回は、紬の言葉で背中を押された想が

いよいよ実家に帰省してからの話が描かれるみたいです。

予告を見ると、どうやら2人の軋轢に本格的に踏み込むようでドキドキしますね…。

 

 

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エルピスー希望、あるいは災いー 7話 感想|「自分は周りとは違う」という心理

 

 

3話の刑事・平川(安井順平)が再登場。

拓朗(眞栄田郷敦)に協力を申し出てくれたので、どういう風の吹き回し?と思ったら…

まぁ〜〜嫌味な男性に描かれていましたね。

組織が一度でも不正を起こせば崩れるという事も、

聞かない考えない話さないの思考停止の日々を送り続けていた事も自覚しつつ、

本人はあくまでも自己保身に走る。

おまけに、開き直って偉そうな態度をとる。

 

でも、分かっちゃうんですよね…組織の中にいながら

「自分は周りとは違う」「自分は正しい」と思い込みたい心理って。

誰しも長い事生きていれば、

そうやって自分を正当化して逃れようとしてきた経験があるかもしれない。

そして…今回は第3章スタートとあって、別々の日常を送るようになった片方の

拓朗(眞栄田郷敦)視点で物語が展開されていった印象が強いのですが、

拓朗からしてみれば、50万円を要求して警察の実態と憶測ばかり語る平川と、

ワインを片手に社会の恐ろしさを語る母・陸子(筒井真理子)は

同じ「そっち側」の人間なんだろうな…とも思います。

今回はそんな、組織の流れに呑まれる事で生まれる人間の"ズルさ"みたいなものが、

複数の登場人物を絡めながら描かれた回だった気がします。

 

自分は能天気ではないと信じている恵那(長澤まさみ)も

ある意味「そっち側」の人間になりかけている状態で、

自分の意思が…というよりかは、社会が、環境がそうさせてしまっているんですよね。

でも、彼女が完全に能天気な人にはならず、

「甘ったれないで下さい」

「悪いけど、酔っ払いの泣き言を聞いてる暇なんて、私にはもうない」

という強い考えに至らせているのは、

間違いなく村井(岡部たかし)の存在がいるからであって。

職場を離れてもなお、度々登場してきては2人の背中を遠回しに押してくれる

村井の"ガソリン"的キャラには、唯一ホッとさせられるものがあるのです。

 

マジクソはマジクソでも…50万円に見合う価値は提示してくれた平川のUSBメモリーと

被害者遺族の会を通して、拓朗はどんどん情報を入手していく。

その情報を聞かされた恵那も、あの時会った謎の男が何者だったのかに気づき始める。

人間の心理をメインに描きつつ、冤罪事件も確実に真相へと一歩ずつ近づいていってます。

組織の実態を目の当たりにして、2人は無事に真相を突き止める事が出来るのか?という覚悟と

目に見えない大きな"不安"を、

拓朗の場合は、八頭尾山の風景を画面じゅうに収めながら、

彼がぽつんとその中にいるように対比をとる(引きで撮る)形で。

恵那の場合は、「あの頃から変われた自分」を物語る机に向かって

字を書いている彼女の様子を、徐々にカメラで近づけて撮る形で

表している演出も面白く視聴しました。

 

本作は真犯人が誰かを謎解きする事をゴールとしている作品ではないので、

本城(永山瑛太)がそのまま真犯人ではあるんでしょうね。

冤罪事件の調査を通しての2人の変化を、本当に地道に描いている作品だと思います。

 

 

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PICU 小児集中治療室 9話 感想|死は待つという事を知らない

 

 

帰宅して、自宅介護に本格的に取り組み始めるカットを見せてからの

南(大竹しのぶ)のナレ死…

最初はあっけないとは思ったけれども、でも、死は突然やって来るもので、

大切な人のために待つという事を知らないものなのだと考えれば、

その展開にしたのも納得行く気がしましたね。

 

また、南の病気については以前からずっと描かれてきたのもあって、

今回はタイトル通り「PICUで働く主人公」のエピソードはお預けして、

彼女を看取るまでで1話分まるまる使うんだろうなぁと覚悟していた部分もあったので。

自覚介護が始まって、数日後に死に際のベッドで南が武四郎(吉沢亮)に

最後のメッセージを贈るという、いかにも"ドラマらしい"感動を誘うような手法をとらず、

本作の舞台がPICUである事を忘れまいと、

母の死を経験しての武四郎の心の機微を見せる方向へと

話を徐々にシフトしていったのも、英断だったと思っています。

 

今回新しく搬送されてきた紀來(阿部久令亜)の「強い自分の"フリ"をしたい」という所が、

同じく親1人で育てられてきた武四郎と重なって見えました。

紀來にかけた言葉はきっと、早くに気づけなかった

彼自身に向けた言葉でもあったのかもしれません。

自分はもう大切な人を失ってしまったけど、

父も娘も生きている限り、彼女にはまだ希望が残っている。

退職願を出したのも、話してみてその現実に改めて直面させられたのが

きっかけではあったんでしょうけど…

後悔を上積みしていくかのような優里(新垣来泉)の

「なんで見捨てたの」「医者なら最後まで治してよ」で

ボディーブローを食らってしまった訳ですね。

 

同級生3人とすぐ会える環境にいるから…

可愛いやり取りをしている子供たちに救われているから…

そんなつもりで、仕事を騙し騙しでやってきた武四郎ですが。

やっぱり毎日、いろんな子供たちの命に向き合わければならない職業ですし、

みんなが最後は必ず元気になって退院していくとは限らないという事は

本人もよく分かっているはず。

 

何やら理不尽な交換条件を出されている植野(安田顕)の今後も気になる所。

植野同様、PICUを去ってしまいそうな2人の行方が

最終回前と最終回でどう描かれるのか…見届けます。

 

しかしこれ…タイトルのつけ方と、作品概要の紹介の仕方で

本当に損している作品なんですよねぇ。

エピソード自体は、命の尊さや人間の弱さを真っ正面から描いていて、

質の良い内容にまとまってはいるんです。

吉沢亮さんと安田顕さんの演技も含めて、

だから、最後まで好意的に見たいという気持ちは働くんですけど。

何度も言っている通り、最初から「理想のPICUが出来るまで」をうたわなければ…

脚本家の過去作品の「アライブ がん専門医のカルテ」みたいに、

主人公の成長記を絡めるような言葉をタイトルに持ってきて、

副題を「小児科医・志子田武四郎の〇〇」としていれば…と思わずにはいられないんです。

タイトルと作品概要は、どんな作品なのか?を視聴者に印象づけるための

名刺だと捉えているので。

勿体ない事したなぁ…と思っています。

 

 

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アトムの童 8話 感想|ゲーム開発の話を見たいだけなのに

 

 

いかんいかん、某ドラマの感想のサブタイトルにつけていた

「何の話だ?」をまたつけそうになってしまった…(苦笑)

それくらい、プロットに連続性が全くないと言っても良いでしょう。

 

当初は、倒産の危機に遭いそうなアトム玩具が、那由他(山﨑賢人)とタッグを組んで、

大手企業となった宿敵・SAGASもとい興津(オダギリジョー)をあっと言わせる

「ワクワクするような」ゲームを開発する…という話で進んでいたはずなんですけど。

最終章に突入した今では、ゲームの"ガワ"だけを借りた経済ドラマもどきの作りへと

すっかり変わり果ててしまっています。

ゲームの頃にはあまりやってこなかった解説が

株主総会に関するワードだと丁寧に施されていたのが、もう迷走している証拠です。

 

警察が出てくる事で無理やり窮地に追いやらせる終盤の構図も、

那由他と隼人(松下洸平)の対立構造も、興津のキャラ変も、

そもそも「宮沢ファミリーオフィス」の存在も、

正直、最終章で盛り上げるための"その場しのぎ"のネタにしか思えず…。

特に興津に関しては、「奪ったつもりはない」と言うのなら、

じゃあなぜ5話の買収のくだりで、してやったりと言わんばかりの憎たらしい表情を

見せてきたのかも疑問でしかないんですよね。

心情変化の描写にまともに尺を割かずに、いきなり年月を飛ばす形での

二段階の章立て構成にこだわったから、こんな違和感が生まれるんだと思います。

 

そして、新キャラの伊原(山崎努)の登場も後出しじゃんけんと言いますか。

アトムの童が制作したゲームに以前から興味を持っていて、

評価をしているという設定なのであれば、

6話のシリアスゲームの時に、本人が直接名刺を渡してくる形で

「君たちに投資したい」と言わせて登場させていれば、

まだ最終章への唐突感は薄まったのかもしれません。

 

私が今回の内容を見ていて唯一心が躍ったのは、

繁雄(風間杜夫)がSAGASの社員たちに

アトムの技術の活かし方を熱弁していたシーンくらいですかね…(泣)

あんなシーンをもっと見たかったですし、

むしろ、初回の時には見せてくれそうだと胸を膨らませていたんですけどね。

「最高のゲームを作る」という当初の軸は変えずに、

ゲームを制作していく過程を地道に描いていれば、

ゲームに疎い世代にも彼らの"熱意"が伝わって、分かってもらえたと思うんですが…

なんで強引に従来の「日曜劇場」の型に嵌めてしまったのか、勿体ない限りです。

(もう総括じみちゃってますけど…(汗))

 

 

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