野木さんに高校生の危うさを描かせたらピカイチだ。
男子高校生がスケベな事にうつつを抜かしたり、
悪ふざけしたりする人ばかりではない事はそうだけれど、
ある程度知識が備わっているのを上手いように利用し、
彼らが道理から外れたレールへと導かれる原因となるのが大人達だというのも
よく理解している脚本だ。
「日本語の表現は柔らかくて美しい。だけど重大な問題までオブラートに包んでしまう」
「ネットに情報が広まったせいで、本来受ける以上の社会的制裁を受けている」
野木さんが日頃からニュースを見て感じているふつふつとした怒りを、
成川(鈴鹿央士)達の反抗心に満ちた行動に乗せて、
桔梗(麻生久美子)の的確で現実を突いてくる言葉に乗せて、
伊吹(綾野剛)のがむしゃらで無鉄砲な走りに乗せて、
時に「若者代表」として上司達に対抗する形で自己を確立させようとする
九重(岡田健史)の心情に乗せて…
「私はこれだけ伝えたい事があるんだ!だから聞いて欲しい!」と言わんばかりに
淀みなく訴えかけるような疾走感を感じさせられました。
そして残念な事に、その状況下で最後に笑うのは
未成年を陥れた大人というのもまた事実。
ネットで顔が晒されて、学校や名前が特定されて叩かれて、
最悪の場合自殺する可能性も孕んでいて、
いつか学校全体に被害が及ぼされる結果になる事をまるで自覚していない。
「何かのスイッチで道を間違える」と言っていたけれど、
恐らく校長を始めとした大人達は、何かをきっかけに
既に取り返しのつかない段階にまで来てしまったのかもしれません…。
目に見える物だけが注目を呼んで、根本的な要素となった所に何のお咎めもないのは憎い。
けれども、成川達の成れの果てがもしも校長達だったと考えると、
本当に人を精神的にも(肉体的にも)苦しめる立場になる前に少しでも立ち直れて、
まだ"救い"はあって良かった…とも思います。
(成川だけは徐々に闇落ちしていきそうなんだけれども…。)
前回の感想では「アンナチュラル」5話の内容と重なる部分があると書きましたが、
今回は高校生が警察や教師に挑戦状を叩きつける点で7話のいじめ回と重なって。
そこの刑事2人も出てきたのも相まって、
本作はその作品のアナザーストーリーでもあるのではないかと想像してしまいますね。
そうなってくると気になるのは、やはり最終章へのたたみかけ方…
不審者役を演じさせたら最早安定感がありそうな岡崎体育さんをまさかの前振りに持って行って、
菅田将暉さんを登場させる贅沢なキャスティングよ(笑)
菅田さんは尾上寛之さんみたいに全ての鍵を握る人物となるのか?
ドーナツEP=ホルマリンなのか??
…まぁ、3話の時点で怪しげな要素が出ちゃっているので、
もっと衝撃の展開が待っているのでしょうが。
個人的には、成川と同じくネックウォーマーの位置を上げる仕草をした
謎の女(黒川智花)の存在も気になります。
姉弟…なのかしら。
コンビのやり取りも今回くらいが丁度見やすいですね。
フフッと笑える箇所が増えましたし、
嫌味ったらしさ満々でギスギスした空気もほぼなくなりました。
"あいつ"の良さを買っているという志摩さん。
やっぱり2人の間にどこか心の開きが出てくると、コンビものは楽しくなりますねぇ。
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