ひたすら"誠実"な作品でした。
一時期は恋愛方面に傾きがちだったり、
初回の感想では「キャラが弱い」なんて事を書いてしまったりしていましたが、
最後まで見てみれば、凛々子(黒木華)を始めとした
傷を抱えながら生きるメンバーたちが、日々感じている"ざわざわ"の真相を追い、
そして自分の言葉で「届けたい人に届ける」までの成長物語として
1本のブレない軸が通っていた…そんな印象が残る仕上がりになっていたと思います。
最終回の内容自体は、解散間近のチームが再集結、連名、ボス=仁和(安藤政信)との決別と、
今の時期に相応しい卒業式を彷彿とさせる王道展開。
でも、初回からずっと見続けてきた者にしか分からない、"連続ドラマ"ならではの良さが
この1時間で存分に活かされていたので、ベタはベタでも感慨深いものがありました。
それは、前々から感じていた、凛々子の仁和への依存っぷりや、
当初はやる気のなかった一本(石井杏奈)がカンフルNEWSの仕事観を代弁する…
といったシーン・描写も挙げられますが、
個人的に最も見入ったのは、いつものマフラーを外して
依頼相手に「PVが伸びる」に対する想いをはっきり伝えてみせた所だと思っています。
黄実子(りょう)の言葉を借りるとするなら、
「あの子の感情にはいろんなものが渦巻いている。それを上手く表現出来ないだけ」が、
視聴者がずっと見てきた彼女ではあったんですが…
(時期的にとったと考えられるにしても)あのシーンを見て、
ああ…首にいっぱい巻きつけているマフラーが、
彼女の中々言葉に出来ない感情を埋(うず)める先だったのかもしれないな…と。
マフラーをとった事で、淀みなく、迷いなく、ありのままに言葉をぶつける。
首回りがスッキリしたというぱっと見の"視覚的"な変化を見ているだけでも清々しいけれども、
その時の凛々子の目は吸い込まれるように真っ直ぐで。
視覚でも、黒木華さんの"知りたがり"を体現する演技でも、
今までの集大成である"凛々子の成長"を真正面から描く締め方には実に好感が持てました。
以前の感想にも同じような事を書きましたが、
話の腰を折ってしまいがちな縦軸も、本作の場合は上手くいったケースで、
主人公の変化とリンクさせて地続きで物語を紡いでいった所も良かったです。
そして、ゴシップを扱うとなると、大体ゲスで癖の強い作風になり、
人の真相を暴いて面白がる所に重きを置いているイメージがあって、
そういう意味で「お腹いっぱい」であまり期待はしていなかったんですが…。
そのイメージを払拭する、全体的に漂う静かで少しミステリアスな雰囲気に落ち着いていた事、
その雰囲気の中で人物描写を丁寧に積み重ねていった事を考慮すると、
最近は(昔なら月9でやっていたはずの)ラブコメや胸キュンラブストーリーといった
大衆的なコンテンツが頻繁に放送されつつあった木10枠が"原点回帰"した…
つまり、久々に"木10らしい"じっくり味わう良さのある作品だったかな?という気もしています。
まだ最終回を迎えていない作品もあるものの、
現段階では有終の美と言っても良い幕引きとなりました。
次回作は題材的にテレ朝作品っぽいのですが(笑)
この調子で面白くなれば良いなぁ…と願っております。
(そして、今更過ぎる感想ですみませんm(_ _)m
もしも待っていてくださった方は、大変お待たせいたしました。
明日は日9の最終回の感想を上げる予定です。)
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