廃業の危機を迎えた老舗メーカーが、新たな知恵を借りて経営再建を目指し、
大手ライバル企業もあっと言わせるまでの成長を描く…というお話。
もうこの時点で鉄板のストーリーですよね。
「日曜劇場」枠の過去作品には、
かつて「小さな巨人」や「ブラックペアン」「ドラゴン桜」など、
原作実写化なのに"池井戸作品"のガワを借りた結果
失敗してしまった作品が何作もあったので、
本作もどうせ、"いつもの"スタッフではないにしても
顔芸ドアップ!夕陽が沈む映像!野次馬演出!仰々しい劇伴!に寄せた、
型に嵌った盛り上げ方になってしまうんじゃないか…と危惧しながらの視聴となりましたが、
いやはや、シンプルに面白かったです。
何と言っても、森田(岡部大)のキャラと、大間々昂さんの作る劇伴が良い味を出しています。
まず彼について書くとするなら…
コントローラーを手にとってゲームしたり、筆が乗る勢いで何か付箋に書いたりする
那由他(山﨑賢人)を見つめる時の表情が、
「キラキラ」の四文字がすぐさま浮かんでくるほど輝いていて、まるで少年みたい。
見ているこっちまで気持ちが乗り移ってしまいました。
劇中で「おもちゃなんてなくても困らない。でもあったらワクワクする」
といった台詞がありましたが、那由他を奮起させる、ピュアな心の持ち主である
森田の存在がそれを体現してくれているようでしたし、
何なら、本作の象徴にもなっていたような気がします。
そして、劇伴。…終盤にかけての畳み掛け方が特に素晴らしかったです。
那由他が再びゲームにやる気を見出したシーン、
興津(オダギリジョー)に正々堂々と勝負を申し出るシーンでかかった
「♪どーん どーん どーん(伝わるかしら…)」な劇伴がちょっと大河ドラマちっくだったのが、
王道ならではの良さを生み出しているんですよねぇ。
「俺が天下を取ってやる!」と今にも宣言しそうで、頼もしい。
"ビジネス""下剋上"を扱ったこの手のドラマは、
主人公がいかに頼り甲斐があって信頼出来る人かを
初回で明確に提示する事が重要だと思っているので、
その点では、劇伴の良さも相まって、成功していたんじゃないでしょうか。
ただ、褒めるべき所だけでなく、辻褄合わせ的に若干引っかかる所があったのも事実。
海(岸井ゆきの)の設定が原因かなぁと。
おもちゃが好きで社員として父の会社に勤めているものの、
保守的思考な上司たちとは違い、将来のためにも新しい風の導入を視野に入れている…という
立ち位置だったら、繁雄(風間杜夫)の意向に急に賛同したのにも
あまり違和感を覚えなかったかもしれませんが。
あるトラウマのせいでおもちゃが嫌いになった、
堅実な印象の銀行員という立場から…では、予定調和には見えてしまいました。
あとは…"日曜劇場らしさ"の調整次第で、新鮮味がある作品になるか、
「またか」と言われる作品になるか?ですよね。
初回こそ、融資の取引、特許権の侵害、突然の災害(多分嫌がらせ説)と、
日曜劇場ならではのパーツが組み合わさっていました。
しかし、とりあえずは若いキャストのお陰で、既視感を払拭してくれたので、
次回以降にも期待してみたいです。
最後に、キャスト変更についてですが…
比べるような言い方で悪いですが、
興津役はオダギリジョーさんがぴったりだったと思っています。
「六本木クラス」の流れだとどうしてもイメージが被りますし、
IT会社の社長なら、オダギリジョーさんの方が年齢的にもしっくり来るんじゃないかと。
それに、もし元々の役者さんだったら、
頑固そうなおじさん vs 頑固そう(に見える)おじさん で
画が似通ってしまっていたかもしれませんしねぇ…。
良く言えば"王道"、逆を言えば"マンネリ"だと評される「日曜劇場」という名のブランドを
変えていくためには、まずはボスからキャストを一新しないといけなかったのに、
今までなぜもっと早くやってこなかったのか、疑問ではありますね(苦笑)
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