リアルの見せ方も、ファンタジーの見せ方も
どちらも"ちょうど良い"所に収まった最終回だったなぁ…と思います。
恵那(長澤まさみ)が逮捕させて欲しいと言っていた本城(永山瑛太)が
本当に逮捕されたのかどうかも不明であれば、
正一(鈴木亮平)が政界に入った事で、彼の活躍が恵那にとっては
"希望"か"災い"になるのかどうかも濁されたままですし。
大門(山路和弘)も残念ながら、
マスコミに追われ続ける日々を送っているだけで、失脚はしていない。
そして…恵那の切ったカードが、何か世界や内閣に変革をもたらした訳でもない。
本作の大元となっている松本(片岡正二郎)の冤罪は無事に晴れたものの…
確かに、随所にモヤモヤが残る内容ではありました。
ただ…「暗闇の中に刺した一筋の光(=目の前の人間)を信じてみる」という
たった1つの答えが出た事に、今まで積み重なっていた心のつっかえが
スッととれたような、そんな救いを感じさせました。
決してハッピーエンドではないんですけどね。
でも、初回からずっと「飲み込みたくなくても飲み込まれてしまう」事からくる
人間の弱さとか、脆さとか、巨悪の得体の知れなさとかが、
恵那と拓朗(眞栄田郷敦)の表裏一体の関係性や食べ物を通して描かれ続けたからこそ、
彼女がその答えを導き出せたという成長に、響くものがあったんだと思います。
最終回にして最も"王道ガッツリ"な牛丼(しかも大盛り)を2人が食べていて、
「何とかなる」とポジティブ思考になっていたのも、
フライデーボンボンからの異動や冤罪事件の調査を経て
また一段とたくましくなれた心境を感じさせて、グッときましたね。
そして、村井(岡部たかし)が店にやってきてからの、2人のとびっきりの笑顔。
立ち位置は違えど、3人はこれからも「一筋の光を信じる」事を大切にしながら
日々を過ごしていくんでしょう…。
それは、EDでは暗闇で1人で食べていたケーキを
ようやく一緒に共有出来たさくら(三浦透子)と松本にも言える事ですし。
もしかしたら…拓朗と目が合った際に、
顔の動きから「頑張れよ」と託してくれていたようにも見えた
正一にも言える事なのかもしれません。
マスコミ陣の中でも、大門に対して一際攻めの姿勢を見せた記者・佐々岡(池津祥子)は、
視聴者にとっての"光"とも捉えられますしね。
先ほど「ハッピーエンドではない」とは書いたけれども、
誰かを、何かを信じてみようかな…と思える、そんな着地点になっていた気がします。
個人的には、本作は見るのに一番気力のいる作品で、
正直、時々小難しく感じる部分もあったりはしたんですが、
最後まで見て良かった作品である事には間違いありません。
月曜10時台に引っ越ししてからの第1作目「アバランチ」以来、
久々に"カンテレドラマらしさ"を堪能出来ました。
次回作もこの調子で(まぁ、あのスタッフなので大丈夫でしょうけど)
挑戦的な仕上がりになってくれれば…と思います。
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