仲間と団員の描き方が、見ていて気持ちの良い作品ですね。
今回のメインはフルート奏者・蒼(坂東龍汰)で、「玉響」の中では一番若手になる訳ですが、
"今時の若者"を際立たせようとして、
自分の才能がこのオケで活かせないから、やり甲斐を見出せず辞めたがっているとか、
才能を自負するがあまりに周りの人たちを見下す態度をとるだとか、
そういったスカした性格に描くのではなく。
あくまでも生活費と親との関係性に悩んでいるだけで、
もっと演奏が上手くなりたい向上心はある…という
夢を追おうと直向きな青年っぽく描かれている所に好感が持てます。
それに加えて、団員たちが基本協力的なのも見やすいです。
プロとして遅刻は厳禁だと、注意するべき所はしっかり注意しながらも、
相手の考えには尊重し、嫌々言わず全力でサポートする。
騒動や揉め事を挟まず、登場人物の"再起"を
第三者目線でも見守れるような内容になっているので、変なストレスを感じさせません。
あとは…何気に良く出来ているのは、主人公や妹・奏音(恒松祐里)、団員たちの
メインエピソードへの絡ませ方でしょうか。
最近のドラマは、1本のドラマに対しての登場人物が多い気がして、
それ故に、本筋はもちろん、脇役のエピソードもあっちこっち盛り込んだ結果
全体がとっ散らかって映ってしまう事もあるんですが。
本作の場合は適材適所で、この場面にはこの人を…という感じで。
単純に主人公が周りを牽引して解決!ではなく、メインとなる人物を引き立たせるように
出番を作っている匙加減も上手いのかなと。
おまけに、"動き"を描きながらも、各々のキャラクターをさり気なく立たせている。
ライバル側が本領発揮していないのと、
薄暗かったり、影が下から当たっていたりする演出もあって、
本宮(津田健次郎)の悪役っぷりが
今後強調されていかないかという不安要素はまだ少しだけあるものの、
この作りであれば、普通に楽しめるのかもしれません。
そんな中で…唯一気になったのは、初音(門脇麦)の描写ですかね。
蒼に焦点が当たった内容になっているっていうのもありますが、
今回の彼女はほとんど朝陽(田中圭)のパシリに描かれていたので、
蒼の心情に自分の心情を重ねた終盤のシーンは、
主人公の見せ場としては、ちょっと下地作りが弱く感じたのも事実です。
「私が玉響に入ったきっかけは、蒼くんのフルートだったから」と言わせ、
応募者の「生まれて初めて、やりたい事が見つかりました」という
メッセージを見せる流れならば、
やっぱり演奏シーン・練習シーンはもう少し欲しかったですし。
そこで、最初は慣れないながらも、徐々に楽しさや生き甲斐を見出す初音の様子を描いた方が、
彼女が蒼を必要とするのにもより説得力が持てた気がします。
まぁ、本当にそれだけで、全体的には悪くない印象です。
前回ではなぜか後半キャラ変?した朝陽も、
今回ではツンツンデレ…な感じで一貫して描かれていたのも良かったです。
あの悪魔の微笑みは最高でした(笑)
まだまだ様子見状態で、次回も見てみます。
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