バトンタッチ…いや、グラデーションの利かせ方が上手い作品でしたね。
第1夜と第2夜で時代設定や登場人物が違うのもあり、
今度はマホが先人の意思を受け継いで活躍を見せる…
そんな2つで独立した話になるのかと思いきや、
第1夜で描かれていた「冷えた台所で料理を作り、風邪を拗らせて亡くなった母」
「数字は嘘をつかない」が、終盤の台所対決のカタルシスに繋がる
構成になっていたのには、そう来たか!と驚かされました。
この手法は"伏線回収"とも例えられそうですが、
回想を盛り込むなどして、「どう、凄いでしょ?」みたいな
今まで様々なエピソードを用意してきた事を誇示するのではなく。
あくまでも視聴者が過去をゆっくり振り返りながら、脚本に隠された仕掛けを読み解いて
気づきを得ていく程度に留めて組み込まれている所が良いんですよねぇ。
あとは…グラデーション関連でもう1つ面白く感じられたのは、
「男社会の中で働く女主人公」の描き分け。
例えば第1夜では、まだまだ女性の社会進出に対して否定的な意見が多い中で、
唯一受け入れてくれる相手と二人三脚で実験を重ねる形で"第一歩"が描かれ、
第2夜では、複数の男性と仕事を共にする形で"前進"が描かれました。
これだけでも十分に良かったのですが、
恋愛要素に関しても、第2夜の場合、男女一緒にいるからといって
安易に本郷(成田凌)を恋愛関係に発展させる事がなかったのが、
個人的には好感が持てたのです。(お互い配偶者がいる…という設定も斬新。)
最初は孤立していた"働く女性"が、年月を重ねるにつれて、
直向きに仕事に取り掛かる1人の社会人として、やがて男性と平等に見られるようになる。
戦前・終戦直後で女性の置かれる状況に変化をつけた描写が、
ラストの未来の話に、豊かな食卓にするアイデアは無限大なのだ…という
温かな余韻を残していたんじゃないかと思います。
なんとなくの感覚で見始めた本作ですが、「数字を使って現場検証」で共通項を作りながら、
よくまとまっていた作品だったのではないでしょうか。
そして、第1夜、第2夜共に、ナイスキャスティングでもありました。
男社会の中で奮闘する女性の活躍を描く物語ならば、テレ朝ドラマの傾向も踏まえて、
某失敗しない女医を演じられたあの女優さんや、
今回奥さん役としてご出演された中村アンさんを主演に起用して
スカッと寄りの作風にも出来たのかもしれませんが、
あえて葵わかなさんと伊藤沙莉さんを…だったのにも親近感を覚えて、
身近な話として見られたのかな?という気がしています。
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