戸松(葉山奨之)が何に対しても投げやりな人になってしまったきっかけを知って、
ああ…妙に心がザワついたのはそういう事か〜…と思いましたよ。
と言うのも、前の職場の労働環境が改善された旨の報告を受ける序盤のシーンが、
下に電車が通る橋で撮られていたからで。
自らの働きかけが実を結んだにもかかわらず、浮かばれない表情をしていたのと言い、
あの場所と言い、下手したら…と良からぬ方向に考えてしまっていたんですよね。
来栖(成田凌)の過去に関わる人物だけあって、逆恨みでは?
来栖は何も悪くないのに何でそんなに逆ギレするの??
と感じる視聴者も割といたかもしれませんが、
個人的には戸松に同情しながら見ておりました。
「あんたさえあそこにいなければ、真奈美は…」の後に迷いが生じて、
誰もいない棺の前で問いかけていたのが"答え"だった気がします。
逆恨みだって事にも、誰も悪くない事にも既に気づいていた。
結局、大切な人を守れなかった自分に腹が立っていた訳で…
あの時の後悔を払拭するために内部告発をしてみても、失った人は二度と帰ってこないし、
やり場のない気持ちをどこにぶつけたら良いのか分からなくなった結果、
他人に罪をなすりつける形で、物事の本質から目を背け続けて
今のような性格になったんじゃないかと察せられました。
目を背け続けていたのは来栖も同じで、
2人が向き合うよう背中を押す役割を千晴(小芝風花)が担っていた所には
連続ドラマならではの醍醐味が味わえましたね。
以前の感想でもさらっと触れましたが、息抜きパートとして描かれている
千晴と社員たち、キッチンカーの店員2人との会話が
何気に物語を動かす鍵になっているんです。
例えば、犬飼(藤原大祐)に「良い顔してますね」と言われたくだり。
そう言われた後に食べた杏仁豆腐で久しぶりに味覚を感じた千晴の様子は、
まさしく、自分自身と向き合ったお陰で
人生が少しずつ変わり始めた喜びを体現しているかのようで、
それから、私が良いと思うキャリアアドバイザーを今からやると宣言したのも、
戸松の自宅に押し掛けたのも、納得の行く流れになっていたと思います。
主人公の過去については、初期設定を固めて、現在での話をある程度進めた後に
まるまる1話分使って描く事でメリハリが生まれて、
視聴者に「いつもとは違う」という緊迫感を与えるものだと捉えているので、
やっぱり、3話分で小出しにしていくと話がダレ気味になるかな…感は否めませんが。
まぁでも…味覚障害になるまで心を擦り減らして働いていた初回の千晴のエピソードや、
3話での自分を偽り続けていた笹川のエピソードに加えて、
片足が不自由になり大きな挫折を味わったと語る来栖のエピソードも
今までで描かれたからこそ、
彼の「人は合わない仕事をしていると、肉体的にも精神的にも殺されるんです」
という言葉には重みを感じさせました。
そう考えると、台詞を魅せる意味では、適切な積み重ね方をしていたのかもしれません。
で、今回をもって来栖の過去は終わりかな?と思ったんですけど…
まだ何かあるんですね(苦笑)
原作もこんなに謎がてんこ盛りなんでしょうか。
恋愛要素も絡むようですし、2人の直向きな仕事ぶりを描くだけで
十分"ドラマ"になる気がするんですけどねぇ。
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