前回の感想で、三浦(仲野温)が石神(高島礼子)と共通している…
なんて事をサラッと書いたけれども、
今回こうして2人をじっくり見ていると、やっぱり似ていますね。
三浦は、かつて日常的に一緒にいた柳田(小林虎之介)が
いつの間にか別の世界に行ってしまって寂しいが故に、どうにかしてまた"あの頃"に戻したいし、
石神は、指導していた部下が自分の元から去ってしまった過去もあり、
また同じ事を繰り返したくない、相澤(中村蒼)は絶対逃すまいと
躍起になっているように映るのです。
本作のサブタイトルも、小説が原作だからか洒落ていて惹かれるものが多く、
いつも楽しみにしているものの1つなのですが、
今回は「メテオライトの憂鬱」と表記されていました。
メテオライトとは?と早速気になって調べてみたら、隕石という意味。
4話の冒頭の藤竹(窪田正孝)のモノローグでも隕石について触れていました。↓
天体の衝突は、時に様々な生物の絶滅の原因になる。
しかし同時に、新しい別の何かの始まりでもある。
そう考えると、藤竹にとっての隕石は石神だし、柳田にとっての隕石は三浦だよな…
としみじみ思わされます。
でも、「憂鬱」が何を指しているのかは、前半の時点ではまだ読めませんでした。
三浦が佳純(伊東蒼)とアンジェラ(ガウ)に接近してきた事で、
また以前の自暴自棄になっていた頃の自分に引き摺り戻されてしまいそうな
恐怖を感じていたのかもしれません。
柳田は休みを十分に取らず、早く実験を成功させたいと焦り始めるのです。
以前の自分だったら全く視野に入れていなかった「大学」「研究者」の道も見えてきて、
好きな事を頑張り続けていたら新たな可能性が広がったのが嬉しい…というのはもちろん。
夢中でやれる事が見つかって今はとっても充実感を覚えているし、
これからも向学心が伸びる手応えを感じているからこそ、
手放したくないと思ったんですよね…。
しかし、その変わりたいという強い気持ちが、
三浦が仲間を部室に連れてきて荒らされた事を機に空回りし、
ちょっとのミスをしたアンジェラを責めるわ、長嶺(イッセー尾形)に殴り掛かろうとするわ、
終いには佳純がその光景を見て過呼吸になるわで、雰囲気は最悪の状態に。
皮肉にも、柳田が科学部にとっての隕石になってしまったのです。
科学部が空中分解し出す様子も見ていてしんどかったですが、
藤竹に出会って科学に触れて、出来る事が増えた喜びを語った上で、
「変に夢見ちまった」「バカみてぇ」と、ここまで夢中になって取り組んできた自分を
なかった事にするかのような言葉をぽつりぽつりとこぼす姿はさらにしんどかったです。
部長になるまで成長して、目をキラキラさせながら一番積極的に取り組んでいたのは彼なのに…。
藤竹に本音を語るシーンでハッとしました。
「メテオライトの憂鬱」とは、挫折を味わい苦しみ嘆く柳田の事を指していたんだなって。
柳田には実験もそうですし、研究者になりたいという志も諦めて欲しくないと
思っちゃうんですけど、長嶺の言い分も頷けるものはあるんですよね。だから辛いんです。
「身の丈に合わない事をしようとする人間には、世間は厳しい」
「自分たちと同じレールを歩いて来なかった人間が
足元までのし上がってくると、蹴落としにかかる」
「夢に向かって必死になればなるほど、それが敗れた時の傷は深いだろう」
時々、余計なお世話な事も言うけれど、自分がもう相手とは縁を切ったと思っていても、
向こうはそう思っていないから会いに行こうとするのだ…といった発言も確かに…なんです。
酸いも甘いも、長い人生を送ってきた長嶺が言うからこそ、1つ1つの言葉が響きます。
今までいた環境から離れて、新たな挑戦をする事がどれだけハードルが高いか。
SNSでの誹謗中傷が嫉妬から来ているとは聞きますが、
身近な所でも嫉妬は起きているのだというのが今回を見てよく分かります…。
佐久間(木村文乃)が言っていて思い出しましたが、
よくよく考えてみれば、藤竹は教師としては新人なんですよね。
そんな彼が柳田をどうやって引き止めるのか。次回はそこが見所になりそうです。
長嶺の言う通り、辛い運命は避けられないのかもしれないけれど…
でもやっぱり、学ぶ楽しさをようやく味わい始め、
実験を通して学習面でも性格面でも見違えるほど成長した彼の努力は
無駄になって欲しくありません。
原作付きで、「定時制高校が賞をとるまでの物語」だと事前に発表されているのが救いですね。
次回で好転に向かうって信じてます!
↓前回の感想はこちら↓