最終回の郁子(和久井映見)、一際素敵だったなぁ…。
嫌な夢を見るほど、大切な人が無事かどうか不安でたまらない様子の
最初は「もし残された自分を憐れんで泣いているのなら、みっともないからやめてね」
「不必要に悪い事ばかり考えて泣いているのなら、
お国のために戦う2人に失礼だからやめてね」と少し厳かな感じで注意するんだけれども、
最後に「でも、心が疲れて泣いてしまうのなら、いくらでも泣いて良いのよ?」と
言い終わった時には、いつもの包容力たっぷりの優しい声に戻っているんです。
この一連の台詞で、郁子の強さも、頼もしさも、愛情深さも垣間見える
和久井映見さんの緩急ある声の演技に泣かされました…。
和久井さんは私が認識してから、主人公たちの支柱的な立ち位置を
よく演じられている印象が強かったんですけど、
今回の役でそのポジションを確固たるものにしていた気がします。
大福を食べながら顔を寄せ合う3人の姿は、何だか三姉妹のようで可愛らしく。
今思えば、なつ美・芙美子・郁子の組み合わせってバランスが良いんですよね。
自分の感情に正直で、初々しさが残るなつ美と、
いつもクールに済ませているけど、実は心に秘めているものがある芙美子、
そして、2人を見守る優しさの中に、"海軍の妻"としての威厳を感じさせる郁子。
彼女たちのやりとりは、いつ見ても魅力的でした。
いや、魅力的なのは…もう登場人物全員にも言えますね。
家族全員集合のシーンでハッと気づいたんですけど、ここまで本作を楽しく見られたのって、
登場人物の描き分けが1人ずつしっかりなされていた所もあったんじゃないかと思います。
何と言うか…1クールのドラマなのに朝ドラか!ってくらい、
家族だけでも、なつ美の両親、長女、次女、四女、双子、
それぞれのキャラが伝わってくるのです。
人数が多いから、名称の通り主要人物を前面に押し出して、脇役は控えめに描いても
作品として見られそうな気がするんですが、
画面上では見えない脇役の夫婦関係や家族関係、四姉妹による会話シーンも描く事で、
「ドラマ(原作)のために設定された人物」ではなく
「その時代を生きた人」に映り、物語に立体感を生んでいました。
戸塚純貴さん、竹財輝之助さん、野間口徹さんもたった1〜数回のご出演でしたが、
個性的なキャラクターで記憶に残りやすかったですね。
でもって、脇役をあまりに個性的に描き過ぎると
主人公の存在感が霞んでしまうパターンもあるんですが、本作はそこの匙加減も絶妙で。
極め付けは、なつ美・瀧昌夫婦と芙美子・深見(小関裕太)カップルの対比の仕方です。
なつ美と瀧昌を描く事で、芙美子と深見のエピソードがスパイスに変わるし、
逆に芙美子と深見が大人の余裕漂わせるビターな2人だったからこそ、
なつ美と瀧昌のピュアで初心な2人が引き立った。
改めて書きますが、6話の尾行エピソードは、2組の明確な違いと同時に
なつ美と瀧昌の恋の進展も感じられて、特に面白かったです。
考察要素を取り入れたドラマ、復讐系ドロドロドラマ、
あれこれ盛り込み過ぎてテーマを見失うドラマが散見され、話題を呼ぶ中で、
ラブコメディという万人受けしやすい要素を絡めながらも
"普通の日常"を紡いだ物語が、SNSでの評判やTVerのお気に入り登録数から見て
多くの視聴者に刺さった事が、ドラマ好きとして本当に嬉しかったですし、
本作がヒットするなら、良質なドラマが作られる可能性はまだまだあるなと思えました。
そしてこれは、個人的な話にはなりますが…最終回なので書いておきたい。
主題歌を最後まで大切にして下さって、ありがとうございました。
場面と歌詞のリンクのさせ方、出演者による振り付け動画、
最終回では登場人物と合わせた歌詞のリップシンク映像まで、隅々に愛を感じました。
初回放送後すぐ配信されて、反応はどうかなとソワソワしていたんですけど、
いざ蓋を開けてみたらたくさん聞かれていて、広まっていって。
それはもちろん、ドラマの質の高さあってこそで、
プライム帯初主題歌が本作で心の底から良かったです。
おっと、もうこれ以上は書かんでおこう(笑)
もうね…全てひっくるめて、大好きです。
本作で初めて認識した本田響矢さんは、回を重ねるごとにブレイクしそうな予感を
ひしひしと感じさせましたが、
個人的には、ふゆ子役の小川彩さんのフレッシュながらも品のある雰囲気も好きで、
浜辺美波さんを彷彿とさせて、他のドラマでもお見かけしたいと思えました。
時間が経ち過ぎないうちに、SPでもFOD限定配信でも良いので"続き"が見たいです。
原作がどこまで描かれているのか分かりませんが、芙美子と深見の結納も見たいですし、
何年後かの設定にして、なつ美と瀧昌の元に生まれた子供が
どっち似なのかも知りたいですね(←ちなみに、最終回に収めなかった事は満足してます)。
でも、戦時下の話は見たくない…(泣)
↓前回の感想はこちら↓
↓今までの感想はこちら(実は書いておりました)↓