19番目のカルテ 8話(最終回) 感想|まだ始まったばかり

 

 

ああ…赤池田中泯)が徳重(松本潤)と話したがらない理由は、

前回の冒頭の回想も関係していたんですね…。

 

文章の流れ的に感想ではカットしましたが、講義中に誰も話を聞いてくれなくて、

「お〜い…!聞いてるか」と助けを求めたくなるほど

寂しそうにしていた赤池の姿が、頭から離れずにいたんですよね。

前回見ていた時、なんでみんな彼の話に興味がないの?と不思議だったけれども、

私は総合診療科のお仕事をドラマを通して見てきたからそう感じるのであって、

当時医療業界志望の学生からしたら、

あまりにも現実味のない話だと軽く受け流されてしまっていたのかもしれない。

見向きもされない。自分の行為が未来に繋がっているのかどうか分からない。

赤池は、先の見えない不安や孤独と常に戦い続けて、

そんな中で難病にかかって、諦めの境地に至ったんだと思います…。

 

赤池を診察するシーンでの、松本潤さんと田中泯さんによる数分間の対峙は、

リアルタイムで物凄く贅沢で貴重なものを見ている気持ちにさせられました。

田中泯さんの演技はもう言わずもがなで、存在感で圧倒させて

独自の世界観へと引き込もうとされるんですけど、

それに対して松本潤さんはその世界観に呑み込まれる訳でも、負けじと攻め返す訳でもなく、

全てを受け止めようとされているんです。

今思えば、本作での松本さんは"受けの芝居"に徹していたような気がします。

バックで静かに流れている、カン…カン…と秒針が動くような劇伴が

また緊迫感のある空間を生み出していました。

あのシーンは、最終回の中で実に見応えがありました。

 

赤池じゃないけれども、

「先生、総合診療科は、ようやく始まったばかりじゃないですか。」という徳重の言葉には

私も一気に涙腺に来てしまって…

だって、今までの内容を見ていればその通りなんです。

魚虎病院は、少しずつ変わりつつある。最終回でもそれは証明されていました。

例えば、院長戦で対立し合っていた北野(生瀬勝久)と東郷(池田成志)は

相手の意見を尊重して仲直りの出来るしっかりした大人で、

魚虎を支えたいという共通意志のもと、次のアクションを起こす。

これから臓器を切られるのに、頼もしい医者たちに囲まれウキウキしていた徳重の表情。

仕事の会話や何気ない会話で賑やかになった休憩室。

最初は休憩中に仕事の話を持ち込む事を嫌がっていた大須岡崎体育)が、

まぁたまには良いかと思えるようになって。

康二郎(新田真剣佑)は賑やかな声に、居心地の良ささえ感じているようでした。

 

いろんな人の集う休憩室のシーンを見てふと思うのは…

この中に鹿山(清水尋也)がいないのが寂しいという事。

前回含めて患者を全員再登場させて、群像劇風に様々な医者の出番を作って…となると、

そこに鹿山も含めて"完全"な状態の最終回を作り上げたかったのに

事情があって"完全"ではなくなってしまった、

本当はその状態で視聴者にお届けしたかったのに

変更せざるを得なかった制作陣の悔しさは、どうしても想像してしまいました。

でも、出演カットによる編集の違和感は全くなかったです。

なかった…という事は、報道されてから短い期間で

視聴者に少しでも事情をお察しさせないよう、自然な繋ぎを徹底的に心がけた

制作陣のお陰とも言える訳で。

"最善"の形で最後まで作品を届けて下さり、ありがとうございました。

 

劇中の描写を借りるとするなら…撒いた種から、長い時間をかけて芽が出始める。

そんな「『物事の始まり』の過程」を見届けたドラマだったように思います。

また、総合診療科の大きな窓から漏れる眩しくも柔らかい光、

窓から吹くそよ風が本作の雰囲気にぴったりで。

患者が総合診療科に来た事による安堵感や、

医者同士の輪が徐々に広がる事で生まれる可能性、医者の根本にある優しさ…

全部まとめて、様々な想いを抱えてそこにいる人を

そっと照らしてくれている所も好きでした。

 

膨大な数のドラマの中から、感想を書きたいリストとして本作を選び、

感想を最後まで書く事が出来て本当に良かったです。

そして、日曜劇場で本作が見られたのは、嬉しかったですね。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

 

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