
相手に触れると心の声が聞こえる能力を得た文太(大泉洋)が
嬉しそうに次々いろんな人に触れていったら、次第に心の闇も聞こえるようになった。
初回はそこの、現実社会の生きづらさを仄めかす"明"と"暗"の切り替えが
記憶に残り続けていたのですが、
今回はさらに、その切り替え具合が加速していった内容に仕上がっていました。
本当、最後まで容赦なかったですね…。
今回のミッションは、画家・千田守が目的地に着くのを阻止する事。
たまたまお休みだった四季(宮﨑あおい)に手伝ってもらい、
桜介(ディーン・フジオカ)、円寂(高畑淳子)、半蔵(宇野祥平)とともに
四季の車に乗って、ドタバタ&パニックになりながらも
千田を追跡し続ける様は、まるでロードムービーの趣。
今回で一気に、謎のヴェールに包まれていた円寂と半蔵の能力も判明した訳ですが、
個々の能力が分かり、阻止作戦を決行するにあたっての個々の性格が掴めるようになると、
些細な描写でも物語に彩りが増します。
適度なタイミングで挿入される桜介の「花咲かせとく?」のオチが癖になりつつ、
キャラクターの描き分けも相まって、
おじさん&おばさん(&四季)のはしゃぎっぷりを楽しんだのが前半でした。
しかし、その時点でも贋作売買疑惑を漂わせてはいたものの、
文太が千田の背中に触れて「最後の晩餐か…犯罪者になる前の。」という声が聞こえた途端
ふっと切なさが押し寄せてきて…。
生きて行くにはお金がかかる。芸術だけを考えてはいられない。
画家がどれだけ魂を削ろうが関係なく、贋作でも美術館に飾られてさえいれば
人はその絵を芸術作品だと、名画だと評価してしまう酷な現実を知っている。
ここの千田自身の胸中を吐露する台詞は、
社会派作品を得意とする野木節がひしひしと伝わってきて。
半分に剥けた黒たまごを見つめる様子も、
直後にオーバーラップさせてくるロープウェイの車輪の映像も、
このまま画商の元に向かいながらもまだ葛藤がある
(どっちが白で、どっちが黒か(つまり自分のためになるのは…)を決められずにいる)
彼の状況を表しているようにも思えて、
果たして、ミッション成功までどう転がっていくのかが気になりました。
結果的に、自分の描きたいものを見つけて、犯罪への加担ルートはなくなって、
一応芸術分野にいる身としては、絶望を感じたまま闇に染まる事なく終わって良かったと
安堵していた所だったんですけど…
「画家として一生を終える」ってそういう意味だったのかぁ…と。
野木作品であそこまでバッドエンドなのも珍しい気がしましたね。
文太があえて唆したのも、あんな最期を迎える事になったのも、
「世界を救う」って、困っている人を助けて世界中をハッピーにさせる
スーパーヒーローのようなものじゃないんですねぇ…。
まぁ、"ちょっとだけ"だから、そんな訳にも行かないのか。
ミッションを重点的に描いてきたストーリーで、
社員個々の能力も、人生で失敗を経験した者同士である事も、四季の事情も、
目の前の人を救うのが「世界を救う」きっかけになる事も…
ぼんやりしていたものがほとんど明瞭になった今回。
世界を救う=ハッピーエンドとは限らないと示したのも含めて、
今回からが本番って感じがします。
最後に、もう1つ書き残しておきたい事を。
半蔵が鳩に「ポップコーンが良い?」と言ってから、
鳩の鳴き声がポッコーン…ポップコーン…にだんだん聞こえてきたのも
面白ポイントでした(笑)
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