良い意味で、フジテレビの深夜枠で作られてそうなドラマでした。
しかし、最後の怒涛の回収の仕方はクドカンらしいと言いますか。
練馬の刃の声がやけにAIっぽい機械めいた感じだったのも、
坂根(柄本時生)に似た声で電話をかけてきたのも
全部マイルスの仕業だったって事で…良いんですよね?
ノンストップで次々と話が繰り広げられていくから
理解が追いついていない所がいっぱいあるだろうなぁ(笑)
真相が分かった状態で、空いている時にまた見返したいです!
ずっと声だけで実際の顔がずっと見えないシーンが続いたので
これはAIスピーカーが原因だろうというのは途中から察しましたし、
AIを通して何を描きたいのかも予想出来るものではありましたが、
コメディかと思ったらホラーだったり、ホラーかと思ったらコメディだったり…と
境界線があやふやで、それに終始翻弄され続ける楽しさは感じられました。
この世で一番怖いものは「過信」。
インターホンを押されても誰が来たか確認しない。ガスも照明も自力でつけない。
何もかも機械だよりの主人公。
「AIがあれば大丈夫」と思い込んでいたから、自分の危機管理を全くして来なかった。
そんな人の最期はどうなってしまうかお分かりでしょう…
だから、アナログもデジタルもバランス良くとりながら生活して行こうね…というのを
皮肉めいた作風に仕上がっていたと思います。
しかしまぁ、これの何が一番凄いって、
脚本家の宮藤官九郎さんがコロナ禍を受けて執筆されたものではなく、
去年くらいから既に考えて温めていたものだったっという所。
AIと人間の話なんだけど、「コロナ」というフィルターで見ると、
自然とウーバーイーツや宅配ばかり頼んで
誰かと話す機会を失っている人の末路の話にも見えてきてしまう不思議。
やっぱり本当に凄い方は、無意識にでも先見の明が備わっているんでしょうねぇ。
人気脚本家さんの恐ろしさをまた思い知らされた作品でもありました。