百歩譲って、演出や映像が池井戸作品風味になるのは別に良い。
ただ、脚本が…原作を読まないで書いてる?と思えるくらい
内容のあちこちから頭の悪さが伺えるのが、何だか悲しくなってきます。
まさか、あんなに酷かった初回の方がまだマシに映るとは…。
ヤンキー撃退だって、スポ根だって、学園モノとしては王道の要素だから
それ自体を否定する訳ではありませんが、
本作は「バカとブスこそ東大へ行け」がコンセプトなんでしょ?
だったら、桜木メソッドを取り入れた授業はそっちのけで
仲間が加わるまでの過程をチンタラ描いて、
しかも、どうでもいい治療法の説明テロップや試合のシーンに力を入れてどうすんの?
東大を目指して勉強に励む生徒達の成長を実感する所に価値を見出す
「普通ではない学園モノ」だからこそ活きる作品なんじゃないの?
という話。
延長分合計40分使っても、まだ本題に触れようとしない
このだらしなさっぷりにはイライラします。
肝心の、後に東大を志望するであろう生徒達の描写にしたって、
それを決心するまでの説得力の持たせ方が弱過ぎますね。
水野(長澤まさみ)も言っていたように放火は犯罪。万引きは言い換えれば窃盗罪。
コーチに至っては選手を意図的に潰そうとしていたのに、
わざわざ証拠に残していた「未成年に手を出す」所は完全にスルーされて
何事もなかったかのように解決する楓(平手友梨奈)のオチも、学校組織の甘さも酷い。
少なからず、こんな犯罪&隠蔽だらけの学校から東大合格者が出るとは到底思えません。
学校内警察でも雇って意識改革させた方が、
"社会で生き残れるまともな人間"に変えるための一番の近道なのではないかと考えるレベルです。
ちなみに、前作は初回だけ見てみましたが、もうびっくりするほどテンポが良くて。
早々に生徒達が進路に触れて今後の不安を仄めかす描写があったお陰で、
桜木(阿部寛)が東大へ行くよう促すのも納得出来ましたし、
「社会は頭の良い奴らで作られている」「バカな奴らはそいつらに振り回されて損する」
「税金、年金、保険、みんな頭の良い奴がわざと分かりにくくして、
ろくに調べもしない頭の悪い奴から多くお金を搾り取る」
といった例え話には、勉強するのには意味があると思える点でとてもタメになりましたよ。
学生の時に見たかったな…って気持ちにもなりました。
なのに本作は…桜木が関わるのは学校内外でのイベントで、
基本的に「東大へ行け」の一点張りで。
なぜ生徒達の心を"桜木の言葉で"動かす事をしないんでしょう。
次回からようやく授業開始とのアナウンスがありましたが、
ここまで引っ張ってきた本作ですから、
授業をやるにも放送時間残り20分まで引き延ばし…とかあり得そうですね。
そして、落ちこぼれである事を示すために
生徒が犯罪を起こすくだりをやるのは構いませんが、
それだったら「一度でも世間から"犯罪者"のレッテルが貼られた奴は
絶望的な道しか歩めない」のを分からせてからやって欲しいです。
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