日テレ系列の「news every.」や「news zero」でも取り上げられた
実話をベースにした作品…という事前情報を知った上での視聴だったのですが、
個人的には、途中まではちょっと半信半疑の気持ちで見ちゃってました。
うーん…何と言うか、本作を"1本の木"として捉えるとするなら、
葉っぱも枝もある程度ついていて、幹も倒れそうにないくらいには太く育った
ぱっと見は立派な木には見えるんだけれども、
細部をよくよく観察すると、虫に食われた葉っぱや枯れた枝が点在している…みたいな感じ。
つまり、全体を通して見てみればそれなりに楽しめる内容にはなっているものの、
所々で過程がやや唐突に思えたり、どことなく端折られた部分が見受けられたりして、
1つでもそういう気になる所があるとスルー出来ない私としては、
物語の流れは詰めが甘かったのかな?という印象を受けました。
例えば…「同じ港での運命の出会い」「子持ちのシングルマザー同士」にピンときて、
さらに機転の効かせた接客を見た時点で
あの人気になるな〜くらいの興味を抱くくらいならまだ分かるんですが、
会って間もない上に、仕事の腕前もどの程度のものか掴めていないのに、
いきなり将来をかけた漁業の立て直しを持ちかけるのは
いくら何でも"ドラマ的に"出来過ぎていないか?とか。
説明台詞で済ませるのに賛同はしないけれど、序盤に出てきた杉浦(梅沢富美男)と
主人公サイドの関係性の紹介が、徐々に何となく察せられるまでは不足気味だったりだとか。
あとは、統括(伊沢弘)に見せていた資料は企画書なんだろうとは思えても、
訴求力やお魚ボックスを提案する事でのビジョンがイマイチ伝わってこないから、
その後の押印の流れが「〇〇が許可したなら自分も許可するかな…」という
まさしく本編でも描かれていた"同調圧力の世界"を生きる役員さん頼みになっているように
見えてしまっている…とか。
私の理解力のなさや、気にし過ぎな部分があるにしても、
初回を見てとりあえず引っかかったのはそんな所です。
ただ、果敢な者が躊躇せず飛び込む事を意味する「ファーストペンギン」を使って
何を描きたいのか?という意思がはっきり見える内容ではありました。
その点では、初回の"掴み"としては概ね成功していたと思います。
特に良かったのは、一番に飛び込んだ勇気を賞賛するスタンスではなく、
主人公の行為を、周りからしたらバカだと笑う人もいる…という現代社会の縮図も、
ファーストペンギンの説明も含めて冷静に、かと言って真面目になり過ぎないように
事業にポップに絡められていた所。
主人公を上げるでもないし、ドタバタっぷりを描く訳でもない。
ベテランならではの仕事観を持った上司だってちゃんといる。←ここ大事
「何かしたい!!」という衝動のままに動き始めた和佳(奈緒)が、
理想と現実の違いに当たって砕けながらも、1つの事業を完成させていく…という
お仕事成長ドラマだと思って見てみたら、今後面白くなっていくのかもしれません。
主人公の感情を代弁したかのような歌詞から始まる主題歌と
演技による盛り上げ方も上手かったですねぇ。
正直、途中までは「24時間テレビ」内のSPドラマでやりそうな内容だな〜と
ふんわり思っていたんですが、ラストシーンで「お?」ってなりました。
あれだけ早口で長台詞なのに、方言の抑揚のつけ方も滑舌もしっかりされているから小気味好い。
そう言えば、ドラマ初主演なんですよねぇ。
奈緒さんの大躍進っぷりを楽しむ意味でも、もう少し見てみたいかも…と思わされましたね。