予想が的中と言った所か…強烈さを連想させるタイトルの割には地味な内容でしたね。
地味だけどしっかり作られていて良い…じゃなくて、そのままの意味で、本当に地味なんです。
そう感じた原因は、終始淡々とした演出にもありますが、
主人公の魅せ方と描写が一番大きいでしょう。
初回での行動をざっとまとめると…
裁判で勝つためなら潜入捜査だってするし、1人で自殺現場に行って検証するし、
被害者が勤めていた会社の同僚を尾行して接近もするし、
ハッキングの才能のある協力者・城野(中川翼)の力も借りる、
あらゆる手段を駆使する弁護士のようなんですね。
ここまでなら、ドラマで定番の設定だと思います。
定番なら定番の良さがあり、主人公の自由奔放さを強調して初めて、
振り回される者との対比の面白さが生まれるはずなんですけど…
本作の場合は、亮子が口数が少ないから、基本「彼女だけが知っている」状態になり、
誰にも狙いを明かさず、何でもかんでも1人(と時々城野と2人)で完結させちゃう所が
問題なのではないかという気がしました。
で、その振り回される側の描写も弱くて、
個人的には、杉浦(ジェシー)も、洋輔(宇野祥平)・由紀子(音月桂)のパラリーガル夫婦も、
所長の大草(YOU)も、み〜んな平凡なキャラに映ってしまいました。
亮子自身がみんなを巻き込もうとせず、
「1人の方が動きやすい」という考えでいるからなんですよね(汗)
辛うじて、杉浦は彼女にパシらされるなどして、
役割は設けられていたと言えるでしょうが…それでも全然薄い。
ぶっちゃけ、亮子と秘書が所属する個人法律事務所という設定でも成立するのでは?
と思えるくらい、どの人も存在の必要性が感じられないのが残念です。
(※役者さんの演技は関係なく、単に、人物描写が惜しいという事です。一応補足)
どうせワンマンな主人公にするんだったら、もっと振り切って描いて欲しくて、
図太さとかわがままさとかがプラスされたら
どことなく漂う薄味な感じも払拭されると思うんですが…。
他の面々に関しては、回を重ねるごとに個性が見えてくる事を期待するしかなさそうです。
と言っても、人物紹介が必須となる初回の時点であの描写なので、可能性は低そうですが。
本当はこう言いたくはなかったですが、あれこれ書いたものの、
結局は「『アンチヒーロー』を見てしまったからなぁ…」に尽きるんですよねぇ。
主人公の事をちょっと変わり者だとも書きましたが、
主人公自体もこれまで見てきたドラマの既視感が詰まっていて、そこまで惹かれないんです。
趣里さんの、子猫のように気まぐれに変わる表情の演技は見所だとは思うんですけどね。
内容自体も、放送開始から約35分くらいの法廷シーンで
ようやく亮子が本領発揮するという感じで、話の流れにもたつきを覚えてしまいました。
上司がセクハラ上司だったのも、亮子がSNSを印象操作していたのも、
銀髪の男性が亮子の影の相棒でハッカーだったのも、
「実はこの人こそがモンスターでした」という苦味残るラストも…
鈍感な私でも何年かドラマを見ていると、「ああ、こうなんだろうなぁ」
「やっぱりそうなるよね」っていうのが分かっちゃうもんなんですよね。悲しいかな(泣)
あ、ただ、カウンセラー役の美波さんは、今後覚えておきたい女優さんでしたね。
wikipediaで軽く調べてみたら、フランス人と日本人のハーフという事で納得。
西洋絵画からそのまま飛び出してきたかのような佇まいで、
感情を排除した冷たい視線にはゾッとさせられました。
次回も一応様子見しますが…感想は初回のみとさせていただきます。