どんな終わり方になるのか、最後まで読めない面白さがありました。
ラストシーンで、祐子(安達祐実)がUターンをしてどこに向かったのかは
明確に描かれませんでしたが、その曖昧さも含めて秀逸な最終回でした。
赤信号で止まっている間、どの道を進もうか葛藤する祐子の様子を見て、
初回の台詞も信号が絡んでいた事を思い出しました。
祐子が犯罪行為に手を染めるきっかけとなったのは、
橋本(工藤遥)との以下の会話だったのです。※個人的につけているメモから抜粋
橋本「めっちゃ急いでる時に、車1台も通ってないのに、
青信号になるまで歩道渡るの待ちます?」
祐子「ああ、それは…」
橋本「結局、バレなきゃ良いんですよ」
祐子や義光(青木崇高)だけでなく、ソラ(森田想)や長田(萩原護)、
そしてボス・悦子(清水美砂)など、闇バイトや犯罪に加担している人のほとんどは、
ぱっと見、犯罪とは縁のなさそうなごく普通の人ばかり。
そう考えると…本作は、生きていると誰しもが経験した事があるであろう
「ちょっとくらいズルしたって良いよね」という出来心が招いた惨劇を
終始描き続けた作品だったと思います。
登場人物が"ぱっと見普通"に描かれているからこそ、
視聴者の想像に委ねるようなラストシーンも、意味のあるものになっていた気がします。
祐子があの後、警察署に自首しにいったのか、
池で遺体が上がってきたか確認してから、
改めて純一(味元耀大)に全てを打ち明けるために一旦帰宅したのか、
それとも、誰も知らない場所へと逃げていったのかは分かりません。
それは、「もしあなたが祐子ならどうしますか?」という視聴者への問いかけでもありました。
ちなみに…祐子目線で見るならば、彼女は自首しに行っただろうなと信じております。
信号が赤から青になっても車を止めたままで、視線が少し下に向いていたのが
ゆっくり上がってきた所で再び赤。
声が震えており、再び青になった所で意を決したようにUターンをした後…赤信号に切り替わる。
「赤信号=自分の犯罪行為にストップをかける」という意味で、
あれが彼女の出した答えに見えました。
このシーンの安達祐実さんの表情には、とんでもなく痺れましたねぇ…。
不安定さと、それを乗り越えた力強さと、美しさと…様々な感情を滲ませる
演技をじっくり見られただけでも、最後まで見続けてきた甲斐があったと思わされました。
贅沢な数秒間でした。
本作のもう1つの見所だと思っている駆け引きのシーンも、
祐子vs悦子、野崎(愛希れいか)vs坂本(木原勝利)、野崎vs悦子と3パターンあり、
かなり満足感を覚えました。
1つ目は…あんな人がボスなの?と思わずソラに確認してしまうほどの
どこにでもいそうなおばちゃんなんですが、
祐子と対話していくうちに徐々に本性を現してくるのです。
静かなトーンで、ややチャーミングさも持ち合わせた声で話しかけてくるんですが、
まるで祐子の心を見透かしているかのような言葉の連続だったのが不気味でした。
で、2つ目と3つ目は…「何言ってんの?組織なんてどこもそんなもんでしょ?」
「エンドレス…それはこちらも同じです。追いかけ続けるだけですから。」
誰が相手でも怯まず正論をぶつける野崎が、本当に頼もしくて。
以前の回では泣き落とし作戦も何なく取り入れていて、
さて、今度はどう答えて相手の攻撃を交わすんだろうか?と期待していたんですよね。
奥島(野添義弘)が闇バイトの関係者を車でしぶとく探すワンカットも、
昭和の叩き上げ刑事みたいで渋かっこ良かった…というのも書き残しておきます。
今思えば、役者さんと役の親和性の高さも抜群でしたよね。本作って。
何となく分かる部分もありつつも、
なんでそんな方向に行っちゃうんだ!とハラハラしながら見ていたので、
「楽しい」よりも「苦しい」が先にくる作品ではあったんですけど(笑)
ただ毎回、最初か最後にかかるメインテーマが実にダンジョンっぽくて、
どんどん深みにハマってしまう祐子たちの状況とリンクしていて、
どんな展開が待ち受けているのかと、早く先が見たい衝動にいつも駆られていたのは確かです。
完走した今は、やっと解放された…という安堵の気持ちが強いですw
海外ドラマの手法を参考にして新たに立ち上げられた
「WDRプロジェクト」第1弾の作品でしたが、ドラマを発展させていく上で、
好調なスタートを切れたのではないでしょうか。
PS. 土曜日のドラマだからというのを言い訳にして、
結局、最後まで1週間遅れの投稿となってしまいましたが…(汗)
果たして、本作の感想にお気づきになった読者様はどれくらいいらっしゃるのか。
1話分でも読んで下さっていた方は、本当にありがとうございますm(_ _)m
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