
序盤のシーンでの、車の傷とパイプの高さが違うと指摘されて図星な相手の手首を
強く握って睨みつける宇崎(間宮祥太朗)を見た時点で、おや?とは思いましたけど…
所々の言葉の発し方に、「ナンバMG5」の難破剛が
チラついてしまったのは気のせいでしょうか?(笑)
途中の「…新人だったら何なんだよ……」の時の佇まいも、
只者ではない感じがビンビン漂ってましたよ。
一度それがチラついてしまったら、
ターゲットを訴訟へと誘導するピース法律事務所はヤクザ集団に見えてしまうしw
雰囲気も…予告映像通りのクールでスタイリッシュな感じを想像していたら、
思っていたよりも荒っぽくて情熱的。
初回は、とりあえずそんな印象を覚えました。
でも、面白かったかと言われたらそうも答えられないんですよね。
何でしょう…全体的にチグハグな作りになっている気がするんです。
そう感じる理由としては、演出面や、登場人物の設定と立ち位置、
どちらも挙げられるのかもしれません。
まず演出面に関しては…ざっくり言えば、
装飾だけは気合が入って豪華だけど、中身は… と例えたら分かりやすいんでしょうか。
予告映像で何度も見たカーアクションも、4人一列に並んで裁判所に訪れるシーンも
「あ、これ予告映像で見たやつだ」の域を出ておらず。
時折挟まれる映像・演出だけ見ればめちゃくちゃ大胆で
カッコいい雰囲気を醸し出しているのに、
肝心の本筋=ターゲットの心に火をつけ、裁判に持ち込むまでの過程 の描写・展開の仕方は
至って淡白で、演出と内容が結びついていないように感じたのです。
「争いは、起こせばいい。」と言うのだから、
ターゲット・美咲(土屋太鳳)も最初は避けているものの、
そのうち訴訟する流れになるんだろう…と思いながら見てはいた…
いや、もしかしたらそう見ていたからなのかもしれませんが。
やっとの想いで決意した美咲の説得力もやや弱ければ、
そのすぐ後に、例の横一列を挟んでいきなり法廷のシーンに持っていってしまうのも
盛り上がりに欠ける気がしました。
今後も最終的には「訴訟をするつもりのなかった人が訴訟する」話にはなるんでしょうから、
宇崎や轟(仲村トオル)がもっとターゲットやその関係者に接近して
心理誘導を駆使したり、共感性の強い発言をして相手側を泳がせたり…といった
"テクニック"で魅せる描写を増やすだとか。
まぁこれはベタだとツッコまれそうですが、相手が訴訟をすると決意した際に、
轟が法廷で言っていた「かかった」…あるいは「付いた」の台詞からの、
「イグナイト(ignite)=火をつける」にちなんで、
あのメインテーマをバックに、赤いバラに火がつき始める…みたいな
本作の象徴とも言えるカットが挿入される"定番要素"が加えられていたら、
本編の荒っぽい雰囲気にも馴染むし、
後半に向けての盛り上がりも増すんじゃないかな?と思ってます。
で、登場人物の設定と立ち位置に関しては…
これは単純に、訴訟を起こし、勝訴する鍵を握っている轟を主人公にした方が、
彼(ら)の狙いにも興味を持ちやすくなるし、見やすくないですか?という事。
入ったばかりの新人弁護士が主人公だから、宇崎が率先して物語を作り出していくのは
主人公の魅せ方的には間違っていないと思うんですけど…
う〜ん…ピース法律事務所の面々が「焚き付ける」人たちなのに、
宇崎の身勝手な言動に振り回され、
宇崎を先頭に立たせて3人が補助に回ってしまっているように見える所に
疑問符が浮かんでくるんですよね。
逆に、あそこまで単独行動をして、父親関連で苦い過去がある彼を主人公にするならば、
法律事務所は「争いは起こせばいい」という一見ヤバい考えを持つ
事務所である必要もないと言いますか…。
轟が事務所の代表である事をそれとなく示すには、
先ほど書いた「心理誘導を〜」と似てきますが、勝訴するまでのシナリオを先に明かし、
みんなに共有して作戦会議するシーンを序盤のうちに描けば、
果たしてターゲットが罠にかかるのか焦らされるのか、
そういった楽しみ方も出来るのかもしれません。
証拠入手も随分あっさりだし、初めて見る証拠もあるし、検証のシーンはカットだし…
いつの間にかピース法律事務所の手のひらに転がっていたと思ったら、最後の最後に種明かし。
後半になって解説だらけになると、「あそこはそういう作戦だったのか!」よりも
「どうせ最後に教えてくれるんでしょ」という見方になって、面白味が半減しますね。
いくら何でも後出しじゃんけんが過ぎました。
今回で"形"が分かったので、次回からはワクワク出来ると良いのですが…。
これは本作への期待から、あえて「視聴リスト&期待度」の方には書きませんでしたが、
私が勝手に唱えている「春クールの金10は微妙説」(←電車と犯罪コーデと境界…(汗))
を打破する事を願ってます。