
予告映像の時点で、伸びやかでゆったりとした雰囲気や、
焼肉のシズル感強めでご飯が美味しそうな印象を持っていたんですが、
初回もその時のイメージに劣らず、期待通りの出来でした。
日常生活において悩みや葛藤を抱えている人物が、
食べ物を通して心が救われていく…みたいな作風は前期の「バニラな毎日」でも見ていたからか、
「ドラマ10」枠よりかは、どちらかというと「夜ドラ」っぽいのかも?
しかし、癒し系の雰囲気とは反対に、主人公・さとこ(桜井ユキ)の人生は
病気においても、人間関係においても、金銭面においても制限がつきもの。
少し冷たい風を感じたり、気分が落ち込んだりすると体調を崩しやすくなるという
一生付き合っていかなければならない病気にかかっており、
以前の会社でも、社員たちの陰湿かつ幼稚な言動により
徐々に心へのダメージが蓄積し、退職に至った。
一番心安らぐはずの実家も、母は娘の事はもう「友達」と言って隠しているし、
息子夫婦に部屋をあげたらしく居場所がない。
相手の1つ1つの言葉が、さとこが今も病気に苦しみながら生活しているのも
共感出来るくらいには、ちくちく…ちくちくと刺さって悲しかったです。
初回は、そんな彼女が薬膳と出会うまでのお話。
薬膳と聞くと、高麗人参とかナツメの実とか、
もっと専門的な食材を扱ったものだと思い込んでいたので、
そっか…確かに野菜やお肉、どれをとってもその食材にしかない栄養素が入っているもんな…
スーパーで買えるような身近な食材でも薬膳になるんだと、目から鱗でした。
安いカップ麺でしのぐ生活だった分(←スーパーやコンビニのプライベートブランドっぽい
パッケージだったのがまたリアル。そっちのカップ麺の方が安いので…。)、
司(宮沢氷魚)からおすそわけされた肉団子入りのスープを
声が漏れるほど幸せそうに食べている様子を見ると、こちらもつい微笑んじゃいます。
人が作ってくれる、ちゃんと具を感じる料理って美味しいんですよね…。
現在パートで働いているデザイン会社も、序盤のエピソードだけだと
隅っこの方で仕事しているし、さとこ側と向こう側で空気感が違うし、
定時になっても声がかからないので、
仲間外れにされちゃっていないかと少し心配の眼差しでしたが。
徐々に見ていくと、上司は上司で彼女の病気を理解しており、
自分なりに気遣ってくれていた事が分かったのでそこは安心しましたね。
過去の出来事や家族関係は辛いものでも。
伸びやかな曲調、団地のたくさんの緑に包まれながら、
さとこが、"今"を生きるさとこの近くにいる人々との関わりを通して
小さな幸せを見つけていけたら…と思える初回でした。
やっぱり、この枠のドラマが一番、クオリティが安定してますね。