
初回を放送したばっかりで、1週空いてしまった本作。
まだどんな雰囲気なのかが定着していないままの休止だったので、
登場人物が自ら想いや現状を語り、最後はカメラに向かって話しかけてくる演出には
あ、そう言えばそんな演出してたわ…と思い出しもしたものの、
初回を見てどこが良かったのかは、見返さなくとも頭の中で残り続けておりました。
そして、今回もそれをじっくり味わう事が出来ました。
未視聴のドラマもありますが、今期の作品群で、
この人の事が気になると思える主人公は2人いまして。
1人は明日放送の「僕達はまだその星の校則を知らない」の白鳥健治で、
自身の学校生活にトラウマを抱えながらも
ある出来事を機に生徒たちの心を知ろうと努めるようになる、
そんな繊細さと不器用さの中に成長が見える姿に
彼が変化する過程を見守ってみたいという興味を抱かせてくれるんですが。
もう1人は本作の徳重晃(松本潤)で、医療業界における自身の立場も、人と接するにも
常に俯瞰的視野を忘れない一本軸みたいなものが仕事ぶりから伝わってきて、
患者のどこを見ているのか、どんな言葉を投げかけるのかに注目したくなるのです。
何というか…少し間が空いた2話を見ても思ったのは、徳重の言葉選びが良いなって。
「あなたはまだ未成年。保護者の方には、あなたの健康状態を知る責任があります。」
「ヒーローの拓くんも、怪獣の拓くんも、全部合わせて岡崎拓なんだ。」
「次は、これからの話をしましょう。」
固く心を閉ざしていた患者にとって救いとなる言葉が何なのかが、どうして分かるのか。
それは決して、綺麗事でもビジネスでもなくて、
「町と会話」というほど普段から新しい物事を"知る"行動が好きで、
物事に対して深く考えを巡らすのが好きな性格が劇中で何度か描かれているから
説得力が感じられるのかもしれませんし。
間をとった柔らかな喋り方にも、患者の気持ちを理解したい、共感したいという想いが
含まれているのが分かるから、聞き入ってしまうのかもしれません。
冒頭で書いた「良かった所」が何なのかと言えば、もう1つはやっぱり
患者自身にしか見えない・周りの人には伝わらないその人だけの世界を表す演出で、
前回はそこに徳重が進んで入り込んでいたけれど、今回は拓(杉田雷麟)が見ている世界を
徳重も隣で一緒になって見てみる段階から始めるという変化をつけてきた所が、
「人を診る『総合診療科』の医師を描く物語」として徹底されているな…と
感心させられました。
対立関係が一番長引くんじゃないかと思っていた有松(木村佳乃)については、
2話で徳重や総合診療科の事を認めてくれるとは、ちょっと意外でしたね。
でも、彼女の変化も納得出来るものでした。
この手の改心って大体、途中を端折ったあまりに
いや、簡単に漂白され過ぎやろってツッコみたくなる事が多いんですけど、
完全に影響された訳ではなく、「アリかもな」と思える程度の変化に
収まっていたのがリアルだったなと。
それでいて、方法は違えど、目の前の患者を助けてあげたいという想いは同じ。
咲(黒川晏慈)のために長年間尽力してくれたのは確かで、
自分にはない視点を持つ徳重に託してみたくなったのでしょう。
少なからず、初回で書いていた懸念点は、今回のやりとりを見て少し払拭された感じです。
終盤、徳重が促した拓の「岡崎拓は、ここにいる」という意思表示の言葉が、
「有松しおりは、徳重先生を良い医者だと思った。」
「私は、滝野みずきだからなれるお医者さんになります!」と
あの場にいた有松や滝野(小芝風花)にも伝播していく様は、
また来週から仕事が始まる前日に見る話として気持ちが良かったですね。
そして、今回メインゲストの拓役・杉田雷麟さんの演技も目を引きました。
初めてお見かけしましたが、同じ口角を上げる表情作りでも
終盤ではふわっと朗らかな笑顔で、
"お兄ちゃん"であろうと無理をしなくなったんだと察せられるほど、違いが明確でした。
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