
ネルラ(松たか子)の事、鈴木家の事について「知る」「触れる」回でしたね。
まず、お仏壇に飾られていた2柱の位牌は、
6歳の時に海で亡くなったもう1人の弟・五守のものだと判明。
五守の死以降、残ったレオ(板垣李光人)をどんな事があっても守らなければならないと
家族間で誓い合ったという話を聞いて、だから、週1回の食事会やマンションなど
家族ぐるみでの付き合いが多いのかと腑に落ちたんですけど…
中でも印象が変わったのは、次に書くネルラにまつわるエピソードです。
歌と踊りが得意だった子供の頃。
宝塚にハマってからは自分磨きを始めた中学時代。
今度は絵に夢中になって芸大一発合格した話。
弟の死を機に大学を休むも、何とか説得して復学させた話。
あの事件が起きてから心を閉ざしてしまった時の話。
そして、幸太郎(阿部サダヲ)と出会ってから生き返りつつある現在。
温泉に行こうとする幸太郎を呼び止めて2人きりになり、
娘が今に至るまでのエピソードを丁寧に語って、
「(ネルラの変化に対して)そんな事は、考えられない事なんだ。君のお陰だ…。」と話す
父・寛(段田安則)の嬉しそうな表情を見ていたら、
ああ、本当に幸太郎を信じているんだな…というのが伝わってきますし。
父の愛情たっぷりな語りで聞くネルラのエピソードから想像するに、
前回では半信半疑だった彼女の告白も、頭を打って記憶が飛んだ話も
あながち嘘ではないんだろうなと、考えを改めたくもなるんですよね。
寛に感謝された上に今後を託され、鈴木家の密で強固な繋がりを知った幸太郎は
今自分が置かれている状況に酔いしれてしまったのか、
終盤では感情が先走り、ネルラが思い出した内容を弁護士の聞き取り調査のごとく
根掘り葉掘り追及した後、すれ違いから家を出て行ってしまう事に。
「…信用されてない弁護士ほど、みじめなものはないんだよ」「……弁護士なの?」
この2人のやりとりにもあったように、今の幸太郎は大切な人に恋しているんじゃなくて
恋に恋している状態になっているんじゃないかなって。
彼女自身を見るというよりかは、家族に大事にされ、壮絶な人生を送った人を
何としても守らなくちゃ!という使命感でいっぱいいっぱいなのかもしれません。
冒頭で言われていた「法律家の仕事」が、終盤で残念な形で返ってくるとはね…。
しかし、今回でようやく、本作の"芯"が見えてきた気がします。
サスペンスが好みの視聴者からしたら、
話が進まない!という感想が出てくる方も多いかと思われますが、
真相を知るのが視聴の第一目的ではない私にとっては、
コメディ部分でもサスペンス部分でも一貫して
夫婦のやりとりや互いが相手を想う姿が描かれていて、満足度は高めでした。
これは大雑把な例えですが、きっと、大人のラブストーリーなんですよね。
公式が「妻が抱える《大きな秘密》を知ったとき…
“僕は…彼女を愛し続けることができるのか?” 夫婦の愛を問うマリッジ・サスペンス」と
うたっている通り、どんな試練が訪れても"愛の力"で乗り越えられるのか?
そんな覚悟を問い、過程を見守り続ける作品なんじゃないかと思えてきました。
↓前回の感想はこちら↓