桑野(阿部寛)がまどか(吉田羊)の帰省を引き止めるシーン。
彼女に対して今までどう思っていたかとか、そういうのはまず別にして、
あそこに桑野にしかない魅力が全部詰まっていたと思えたわ…。
「東京一極集中」の話題を持ち出すのには笑わされ、
散々屁理屈を言った後で「あなたがいないと、つまらない」と
直球な言葉を投げかけるのには泣かされ、
で、最後は、相手との喧嘩の種をまいてしまういつもの不器用な桑野さんに戻る。
ここのシーンだけで感情が忙しく動かされたなぁ。
このまま良い感じにはならんでしょ…とは察していたけれど、
あまりにも素直な言葉だったもので、まどかと同じで「涙返して!」という
気持ちになってしまいました(笑)
法廷の話は、ただ夫が許せないから裁判を起こそうとか、
熟年離婚する年齢でヨリを戻すってそんな上手く行くか…?とか
ちょっとファンタジー寄りではありましたけどね。
桑野もやっぱり、今までで登場人物との関わりで「二人でもそんな悪くないかもな」
といった心境の変化を行動で見せる部分が特に見受けられなかったから、
一人用の家をまどかの言葉を受けて二人用に…としたのも、最終回だからって急過ぎる。
まぁ、でも、引き止めるシーンには心を持ってかれたし、
前作と同じ締め方をしたって事は、良い関係にはなって行くんでしょう…という事で。
もし結婚したとしたら、今度は何年持つかなぁ。
過程が過程だっただけに、「まだまだ結婚できない男」として
帰ってきそうな気がプンプンしますけどね。
総括するとするならば…笑い方とか片方の口角の上がり方とか、
13年経っても劣らず(むしろそれ以上に?)表情を使いこなせて。
それだけなら気持ち悪い人で終わるものを、見事に愛すべきキャラクターへと昇華させた
阿部寛さんの演技力のお陰で、十分に楽しめた作品だったと思います。
桑野さんを愛でるドラマ"としては"面白かった。
でも、前作を予習してから時間も経たずに見始めたのが原因なのか、
やっぱり「あれ?」と思う部分は多々あって、
まどか達3人が桑野に惹かれ、桑野もまた気にするようになる…という心理描写を、
桑野の独特なキャラクターづくりを重視したために粗く扱ってしまっている感じは
最後まで拭えないまま終わりました。
前作は「早坂先生しかいないでしょ!」と願ってたんですが、
本作はそこまで強い気持ちが生まれない…のがそのモヤッとさを表してますね。
まどかの性格や、隣人が越してくる設定、パグなど、
前作の要素をなぞって「ほら、懐かしいでしょ〜?」と喜ばせるつもりだったのでしょうが、
結果、キャラクターは薄まったし、
「人生100年時代」をベースに続編として新しさを出したいのか
同窓会的なノリで行きたいのか、中途半端だったのも残念。
事務所方面も、メンバーが多かったのか
英治(塚本高史)との師弟関係が薄まったように見えて、
仕事仲間達と一緒に桑野に茶々を入れる存在へと追いやられてしまったのも
勿体なかったのかなぁ?(こっちも、彼女とはいつまで持つか…)
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