2020年冬ドラマ-病室で念仏を唱えないでください一覧

病室で念仏を唱えないでください 10話(最終回) 感想|"原点回帰"な清々しい最終回

 

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「病室で念仏を唱えてください」という捻りを効かせつつ、

初回の冒頭のシーンを彷彿とさせるラストで締めた本作。

 

視聴前は、僧侶と医者を掛け持つ主人公の奇抜な設定で

コメディテイストになるのかと予想していましたが、

いざ最後まで見てみたら、中々どうして、医療ドラマとして"魅せる"部分と

コメディパートの塩梅が良い作品に仕上がっていたと思います。

時折挟み込まれるおりんの「チーン」という効果音や、海外フードフェスのくだり、

藍田(堀内健)の立ち位置など、

それらだけだったら「何となく見やすいドラマ」で終わってしまいそうなものを。

やり方は違えど「患者を助けたい」「人を救う事で自分も救われた」という想いは一緒の

松本(伊藤英明)と濱田(ムロツヨシ)の対比を、

憲次(泉谷しげる)や1話完結パートの患者との関わりを通して

じっくり描いていったのが大きいのでしょう。

 

医師も完璧なスーパードクターではなく、患者と同じ一人の人間であり、

常に"煩悩"と隣り合わせで生きているという事。

ドラマの中にはハッとさせられるような、素直で的確な言葉が刻まれていた事。

人の繋がりの価値、温かさを教えてくれた事。

ちょっと話は逸れますが、これらの点では今期の同じ医療ドラマである

「アライブ」とシンクロする部分が多々あり、

最終的にはどちらも、どの登場人物にも共感出来て愛おしくも感じられる、

お気に入りの作品となりました。

 

三浦大知さんの優しい歌声から始まる主題歌の入りも絶妙で、

本作の魅力を更に引き立てるものになっていたと思います。

また、目の前の患者を救う事に対して猪突猛進であり続けながらも、

その性格が故におっちょこちょいな一面も見せてしまう松本先生にお会いしたいです。

ほら…結局、海外フードフェスの食べ物も、最後まで食べられないままでしたし(笑)

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 9話 感想|自分自身をあきらめる

 

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濱田というキャラクターはムロさんの新境地であるとは思いつつ、

ダークヒーローの役を演じる事に、正直、少しの違和感を抱えていた本作。

しかし、今回は濱田を通して魅せる"変化"の演技で、かなり見る目が変わりました。

 

松本(伊藤英明)のいる所に革靴でまたいで入っていく、

"境界線"を思わせる印象的なカットから始まった砂場のシーン。

「入院している子供がどれだけ外で遊びたいか知ってる医者が、悲しくない訳ないんだよ」

次々と思いやる言葉をかけられた途端、徐々に感情…いや、本心を見せる姿は、

まるで、強い自分であろうと張り詰めていた糸がプツンと切れたかのよう。

 

松本と憲次(泉谷しげる)が楽しそうに話している様子をじっと見ていた濱田。

自分にも本音を話せる相手がいたら…という、どこか羨ましい気持ちがあったのでしょうね。

今まで、自分の技術と頭脳だけを信じ、夢を叶えるためならどんな事も犠牲にする

孤軍奮闘なキャラクターとして描かれてきました。

彼に「全力でサポートする!」と力強く言ってくれる相手はかつていただろうか?

自分以外を信じてみる事があっただろうか?

そんな風に考えながら見ていた分、念仏により手の震えが止まり、手術は無事成功して

患者の母に「助けられたのは僕の方です」と伝えるラストには、

思わず胸にくるものがありました…。

 

タイトル通り、俺の前で念仏を唱えるなと、いつもの嫌味ったらしい様子で言ってきた濱田ですが、

それも彼なりのご愛嬌ってやつで。

「ありがとさん」「はい、で〜きた。」ただの口癖でも、言い方次第で

松本にどれだけ救われたか…という感謝の気持ちが伝わる演じ分けが素晴らしい。

 

一方で、松本の方も、今までの話の中で一番「医者や患者にとっていなくてはならない存在」

になっていました。

主人公が説教臭いのは所謂"軽い"医療ドラマではよくある要素ですが、

本作の主人公は僧侶でもあるため、画面からうっとうしい雰囲気も感じさせず、

1つ1つの言葉が自然と耳に入っていきます。

濱田の腕をガッと掴む逞しい手。

泣いている濱田にあえて目を合わせず、一緒に黙々と砂遊びにとりかかる姿。

近くにいると心強いんだろうな…安心するんだろうな…と思わせるには

説得力のある演技で、こちらもますます魅力的に映りました。

 

ダメダメな患者を殴った辺りから(確か5話?)

医者と僧侶の掛け持ちであるという設定が活きてきたような気がしますし、

仏教も上手く取り入れられるようになった印象の本作。

初回のごちゃごちゃした作りを思うと、見違えるほど面白い作品になりました。

最終回はポッと出の通り魔の話がまとまるのかどうか少し不安ですが、

期待して行きたいです。

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 8話 感想|両忘の自由か?命の奴隷か?

 

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今回のキーワードは「ペースメーカー」と「パンダ」。

複数の患者を巻き込むという最終章らしい壮大な展開だったので、

3人の患者のエピソードの詰め込み感は強くなり、結末もベタにまとめた印象はありましたが。

その分、松本(伊藤英明)と濱田(ムロツヨシ)の関係性は明確になり、

医者としての考え方の違い、それぞれの見せ場をドラマチックに魅せてくれた

満足感を覚えた回でした。

 

某ドラマを思い出させるシロクロのパンダをメタファーにし、

時に対立し、時に交錯し合う二人の関係。

どちらかが完全に"悪"という描かれ方ではない、境界線の曖昧さが良いですね。

 

濱田の性格もはっきり映し出されました。

「医者は金でも法でも正義でもない、命の奴隷だ」

これは"彼そのもの"を表す言葉なのでしょう。

彼がどんな考えを持って医者をやっているかが分かった所で、

最後の田沼(前田公輝)とのシーンは作品を盛り上げさせてくれるものになりましたし、

今回は「濱田回」と言っても過言ではありません。

 

しかし、一人の登場人物を前面に押し出すと

存在感が薄くなってしまいがちな主人公も、押さえる所はしっかり押さえる。

普通だったら「医者の仕事の範疇を超えてないか!?」とツッコむ

警察の指示を無視して子供のいる家に突撃するくだりも、命を人一倍重んじる僧侶と

兼業している人だから納得出来るのであって、

更に、主人公の魅力である「猪突猛進さ」「青臭さ」が強調された

エピソードになっていたと思います。

 

今回、そんな松本が唱えた言葉は「両忘」。

生と死。善と悪。二者択一の世界から逃れるという意味。

つまり、「自由」とも捉えられる訳で、

濱田の言う「奴隷」と対になっているとも考えられます。

 

何事にも縛られない自分らしい道を進む松本と、

ハートセンターを開設する為なら、目の前の命には絶対服従する濱田。

どちらが医者として相応しい行為なのか。

 

その問いに対する答えを出す上で、

意外にも"憲次(泉谷しげる)"という存在が重要になってくるのかもしれませんね。

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 7話 感想|醜態を晒さずに死ぬ…は不可能に近い

 

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昨日の「アライブ」の感想で、本作の先週の内容と重なる部分がある…と描きましたが、

今回は更にリンクしていました。

 

「私は私のまま死んで行きたい」「醜態を見せる事なく正しく死んで行きたい」と

自身のブログに記していた憲次(泉谷しげる)。

けれども、実際に考えると、延命措置をとったとしても

誰にも迷惑かけずに死ぬ事は不可能に近い。

将来のビジョンは自分で決めるし頼らない…と固く決意したとしても、

勘当していたり先立たれたりしていない限りは、家族の繋がりは切っても切れない。

 

だから、「迷惑をかける」と思わずに、自分の命は自分だけのものではないという事、

大切な人のために病と闘う生き方もまた価値のある事だと気づかせる行動に出る。

そんな松本(伊藤英明)が影響を受けたのは、前田(戸田菜穂)の存在。

 

前田は、憲次とは「延命措置をとらない」共通点がある一方で、

「娘に憎まれ口を叩かれながら死にたい」、死に際にあえて家族に会いたいという

真逆の考えを持っていた。

結果、彼女は安堵の表情を浮かべて、娘にネイルもしてもらって旅立っていった…。

前回に引き続き、患者のエピソードが物語上で必ず無くてはならないものになっていて、

そのエピソードを通して、松本のある意味"お節介"なキャラクターが

前面に押し出された作りになっていたのが良かったです。

 

一方で、松本と濱田(ムロツヨシ)の考え方の違いも、ここに来て明確になりましたね。

「生死」という言葉に敏感な松本と、「ラッキー」という言葉に敏感な濱田。

 

最後のペースメーカーの件は、濱田による実験だと思われますが、

彼なりにしっかりとした理由があるのでしょう。

子供の頃にたまたま良い先生に診てもらえて、心臓を手術してくれた経験をした分、

もしもすぐに順番が回ってこなかったら…

もしも自分と同じ状況であったはずの患者が救われなかったら…と不安になる気持ちが人一倍強い。

投資家と医療コンサルタントは、(中の人的に)胡散臭さが漂っていたものの、

融資をしたのもきっと、生きる希望を見出せない人を助けてあげたいという

思いやりから来ているのかもしれません。

 

次回から最終章。2人の対立関係がヒートアップしそうです。

濱田が「多くの患者を救いたい」点では松本と一緒な事は

回を重ねるごとに薄々察しているので、

あとはどうやって同じ方向を向いて行かせるのか…落とし所が気になります。

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 6話 感想|幸せでいて欲しい人

 

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率直に言うなら、今まで見てきた甲斐があったなぁ…と思うくらいには、

出来映えに満足させられたお話でした。

 

憲次(泉谷しげる)、藍田(堀内健)、洋平(吉沢悠)と、複数のエピソードを

詰め込んでいく作りは相変わらずなものの、今回は「ただ詰め込んだだけ」ではなく、

それぞれのエピソードに意味があると納得させられる内容に。

少し具体的に書くと、藍田の「患者になってみて初めて分かった」などの言葉に

松本(伊藤英明)が感化され、憲次ももしかしたら強がっているのかも…?と思い

肺がんについて調べてみるアクションをとり、

同じような状況下にいる洋平に対しても誠心誠意向き合い、最後に憲次の家に訪問…

という流れが、構成的にも主人公の心情変化においても無駄なく

スムーズに構築されていた印象を受けました。

 

藍田のエピソードは中の人の事もあり、今回の"崩し"的役割になるのだろうと思っていましたが、

(病人なので、"崩し"という表現を使うのも申し訳ありませんが…(汗))

キーパーソンになっていたのが意外で、上にも書いたように

自身が患者になった率直な気持ちを松本に伝えるシーンには興味深く見入りました。

 

初回の頃は「医者と僧侶の兼業ってなんじゃそりゃ?」みたいな異質さを漂わせていた

僧医という職業も、サイの話を含めて最も活かせてますね。

普通の医者だったら目の前の患者に言わないであろう「死ぬ」という言葉も、

僧侶もやっている松本に言われたら有難い訳で。

 

自暴自棄になっていた洋平の目に光が再び宿り、

医療ドラマでお馴染みの「笑顔で退院」エンドに相応しい

生き生きとした表情を三宅(中谷美紀)に見せる、吉沢悠さんの演技にもやられました。

 

今回は、1本の物語、個々のエピソード、役者、主人公らしさ、全てにおいて良かったです。 

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 5話 感想|良い死に方とは何なのか?

 

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松本(伊藤英明)が無期限謹慎処分となり、僧侶としての活動しか出来なくなってしまった分、

いつもの詰め込み過ぎの患者エピソードに

"箇条書き"感が強く現れ出ていた印象を受けましたが…

後半での「クビなんてどうでも良い。助けたいんですよ!」というたった一台詞で、

主人公の猪突猛進で青臭いキャラクターを表現し切っていた所は良かったです。

 

命を救いたい気持ちが人一倍強い「救急バカ」の「バカ」は

相手が許せないあまりつい感情的になってしまう事でもあるけれど、

自分が謹慎している間に救えたはずの命を救えなかった事でもある。

その事実に気づいて後悔を覚えたから決してただの「バカ」ではないし、

未来のためにも、あの時何をするべきだったのか?を見つめ直すには、

彼にとっては有意義な時間だったと思います。

 

今回のテーマは「良い死に方とは何なのか?」。

ここ最近見てきた死を扱うドラマだと、死は突然やってくるもので、

事故を通して目の前でその人の最期を見てしまう可能性もある…という

残酷な描かれ方が多かった分。

(勿論、その手のドラマも命の儚さをストレートに描いていて好きです。)

孤独死高齢化社会が顕著な今の時代には珍しい、大勢の家族や親戚に見守られながら

笑みを浮かべて亡くなっていく石川(品川徹)の姿や、

前回の娘の感謝の気持ちを松本が受け止めるシーンを見て、

「あんなに幸せそうに亡くなる死もあるのだな」

「死は人を悲しませるだけとは限らないのだな」と知る事が出来、

医者を"鬼"と言う工事現場の患者も含めて、

死に対して視野を広げてくれたお話でもありました。

特に、石川の最期のシーンを長くとり、その間に劇伴が一切かからなかった演出も印象的で、

まるで自分も家族や親族達と一緒に見届けているかのような緊張感を味わえました。

 

松本と濱田(ムロツヨシ)の小学生みたいな掛け合いも

本作の緩衝材となっていて良いですね。毎回クスッとさせられます。

しかし、今回で濱田の陰謀描写が強まってきた事で、

命を扱う本筋よりもそっちの展開がそのうち多くなってしまうのでは?という

心配も少し芽生えてきました。

 

最後に余談ですが、ムロさんのホクロ押しのくだり、

「大恋愛」を見ていた視聴者ならピンときたんじゃないでしょうか。

分かる人には分かるネタをやったと本人がTwitterで呟かれていたので

どんなのが来るか期待していましたが、まさかこれが来るとは思わず。

そのくだりをやっている時は、濱田じゃなくて完全に真司の顔になっていたなぁ(笑)

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 4話 感想|人生において覚悟は必要不可欠…

 

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夫の見舞いに来ない妻・奈穂(中島ひろ子)を受けて

娘・沙織(美山加恋)が田中(片寄涼太)に言った言葉

「病気になると、見ないようにしてた家族の問題がはっきり見える」が、

身内で病気にかかった人がいる家族の心境の本質を突いているようで

かなり印象に残るものでした。

夫の命と介護生活を天秤にかけ、介護はしたくないと本音をぶつけるのも

リアルに感じられました。

 

「救う」とは何か?を知る田中の成長物語、救急救命士に入りたいと決意する

児島(松本穂香)のエピソードと、医療ドラマにおいてはベタな要素で

詰め込み過ぎなのは以前と変わらないものの。

今回は「入院している夫に会いたくない」という"変化"を恐れる妻の心理を描く事で、

「変化を受け入れられない者が、どう覚悟を決めて、どう一歩前に進んでいくのか」

という一貫したテーマが見えた気がして、

田中や児島、そして、過去に幼馴染を目の前で失う後悔を抱える松本(伊藤英明)にも

それが絡められたストーリーに仕上がっていたのが良かったです。

 

ベタとは書きましたが、ドジな研修医はいませんし、それぞれの登場人物の"その後"も

丁寧には描かれているので見易いです。

患者の話を綺麗事に終わらせない所にも好感が持てます。

だからこそ、「千手観音」だけでなく、主人公が僧侶と医師を掛け持っている事、

仏教の教えをもっと前面に出して"本作らしさ"を強調した作品にすべきだと思います。

今期は医療×再建ドラマや、がんや脳外科など珍しい題材を扱っているドラマが

乱立しているだけに、このまま埋もれてしまうのは勿体無い…。

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 3話 感想|もう少し冒険してみても?

 

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松本(伊藤英明)の仏教の教えに影響されていく 

三宅(中谷美紀)と児島(松本穂香)のお話。

 

序盤で三宅と藤森(宇梶剛士)の師弟関係が描かれたのも含め、

今回の話は"成長物語"が軸になっているものだと捉えれば、

宮島(ナオト・インティライミ)の自殺未遂のくだりはやはり盛り込み過ぎた気がして

個々の見せ所が散漫している印象は否めませんでしたが。

それでも、そのエピソードは、松本と同じ目の前の大切な人を救えない経験を味わった

三宅が宮島を励ます形で、「少し逞しくなった姿」を示す為に存在しているのだと

最後に解釈出来たのは良かったです。

 

しかし、「本作らしさ」に関しては、前回よりも更に薄まって

そこらで見かける普通の医療ドラマのような状態になってしまったのは残念…。

今回、袈裟姿で応急処置しているシーンがあったっけ?と思うくらい

「僧医である事の必要性」が見受けられませんでした。

仏教の教えを溶け込ませて見やすかった2話をベースに、

初期設定のトリッキーさを強調した1話の内容を少し加える作りにすれば

丁度良いのかもしれません。

 

そして、僧侶でもあるが故に生死という言葉に敏感な主人公を

もっと命に対して真正面に突っ走る熱血キャラに仕立て上げて、

「泥臭さ」「説教臭さ」で他の医療ドラマとも差別化すべきです。

とすると、三宅や児島よりも、

同じく強い正義感を持つ濱田(ムロツヨシ)との対立関係で

話を進めた方が面白くなるのでは?とも思います。

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 2話 感想|異物感がとれた感じ。

 

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あらあら…前回のごちゃごちゃ具合は何だったんだ…と思えるくらいには、

見違えるほど面白くなった第2話(いや、大袈裟じゃなくて、本当に)。

医者と僧侶どちらも掛け持つ主人公、最後にはお経を唱えるという

突飛な設定を前面に押し出した初回でしたが、それを今回は抑えめにし、

本筋に仏教の教えを絡ませる作りにした事によって

全体的に見やすくなっていたと思います。

 

また、少年の溺水事故を通して、

松本(伊藤英明)が救急救命士になった動機もじっくりと描かれましたし、

松本と濱田(ムロツヨシ)の関係性、濱田の立ち位置も明確になりました。

どんな方向性で行くのかが見えた気がします。

 

「全ての命を救いたい」という想いで、目の前に困っている患者がいれば、

猪突猛進の如く泥臭く向き合っていくのが松本ならば、

「本当に"生きる意欲"がある患者を救いたい」という無駄のない考えがあり、

その考えで病院を支え続けてきた事に誇りを持っているのが濱田。

 

濱田の言動は救急救命士達の視点からすると、如何にもなライバル的存在という

描かれ方ではありますが、ただ憎たらしいだけ…じゃないのが良いですね。

対立する二人の間に「正義感」「信念」が感じられますし、

どちらの意見にも納得してしまいます。

だからこそ王道の関係性でも熱くさせられる部分があり、

これから最終回に向けてどんな葛藤を経験し、それをどう乗り越えていくのか、

今から楽しみで仕方ありません。

 

主人公が仕事を続けていく上でさり気ないヒントを与える存在だと分からせる

中谷美紀さんの立ち位置も、

「さとり娘」から始まり「さとり娘」で終わるオチのつけ方も良かったです。

要素が多少盛り込みすぎなのは気になりますが、

今後以降も今回のような調子なら、期待出来そうです。

 

 

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病室で念仏を唱えないでください 1話 感想|テーマはしっかり描き切ってください

 

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まぁ、脚本家が近年では「ダメ恋」「きみ棲み」「はじこい」などの恋愛ドラマを

得意とされているので、(以前同じようなジャンルはやられた事はあるにしろ)

医療ドラマとなるとどうかなぁ…?とは思っていましたが、

ああ、やっぱり描き慣れていないのね…というのがある意味分かりやすい初回でした。

 

何というか、名前負けしている感じ。

プールで人目を憚らず座禅を組んだり、僧侶なのにエロ本が好きだったりと、

本筋に関係ないコメディパートでは主人公・照円(伊藤英明)の奇抜さが

描けてはいるのですが、

医療ドラマならではの患者に向き合うシーンとなると

「僧侶と医者を掛け持つ主人公」のトンデモ設定がまるで活かせていない。

設定が設定なんですから、病院だからと制服に着替えないで、いっその事、

袈裟姿のまま手術も応急処置もする変わり者!

というキャラクター造形にしてみても良かったんじゃないですかね。

 

一応好意的に解釈したとしたならば、失った命を成仏させる仕事をしているだけあって

人一倍「死」に敏感で「生」に執着を持っている…

ここで従来のものとは違いを出したかったのかもしれませんが、

生きて欲しいと願うのは医者全員同じだと思うので、それだけだと弱いと言いますか。

もう1つ弱いと言えば、終盤で怒りのお経をぶつけるシーンも。

毎回の見せ場にするには、ただ念仏を唱えているだけでは平坦過ぎるので

(宗教で実際にあればの場合)最後に「かーつ(喝)!」と声を張る事でメリハリをつけるか、

照円の気迫に満ちた表情を CGやエフェクトなどで強調させる演出をした方が

面白くなる気がしました。

 

「生死とは?」が本作テーマの割には、笑いながら患者を搬送する医者とか、

心臓マッサージが緩いとか、患者を必死で助けようとしているのが照円だけで

周りは何もしていないとか、所々で作り込みの粗さが目立ってしまっているのが残念。

そして、これは初回だからなのかもしれませんが、

不倫だの足切断だの、残された少年だの、濱田(ムロツヨシ)の陰謀だの、

あらゆる要素を詰め込み過ぎて、結果ぶつ切りの流れになり、

生死を描く要となるであろう「人間模様の深み」が全く感じられないまま

サーっと見終えてしまった印象を受けました。

母と息子2人のエピソードも、何だかとってつけたようで…。

 

タイトルと「僧侶×医者」の組み合わせに惹かれて、期待していたんだけどなぁ。

まさかこんなに普通の医療ドラマだとは思わなかった。話は悪くはないんですけどね。

 

…しかし、まだ月曜の「病院の治しかた」が控えていると言うのに、

同じジャンルのドラマも4本目となると、見るのもちょっとしんどい。

同じ日に9時10時どちらも…ならまだマシなんですけど、

月火木金土でほぼ毎日見る事になっちゃいますから。

だから、全部を完走出来る自信は本当にないです(笑)

 

視聴率の取りやすい定番ジャンルで行こうとしたのが、たまたま被っちゃった!

という所なんでしょうが、去年も弁護士モノ3本でやらかした上に今年は5本なので、

真面目に各局で話し合いした方が良い案件ですよね。

比較されるわ、「もうお腹いっぱい」と言って最初から諦めるドラマが出てくるわで、

ジャンル被りで何か得する事があるのかな。

 

 

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